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帰り道 17
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門を出、まだ早朝の街道を駆ける。
ローランデはギュンターに散々抉られた、尻の奥が刺激され、疼くように感じ、白い頬をかっ!と染める。
併走していたギュンターが気づき、馬を寄せてそっと囁く。
「…その先に、止めて休むか?」
ローランデは赤くなったまま、こくん。と頷いた。
大木の影で馬から降りる。
ギュンターが手綱を手にしたまま、寄って来て身を寄せる。
もうそれだけで…ローランデは甘い気分になって…ギュンターに、寄り添いそうになり、戸惑った。
思えば一度も、両思いになんてなった事が無かったし、恋愛する間も惜しんで剣を振り、父の領地見回りに付き従っていた。
盗賊退治や病人の世話。
作物が効率よく運べるように手配をしたり、揉め事の仲裁、両親を亡くした子供の、引取先を探したりと…。
日々毎日が忙しくて、ロクに…。
女性とすら、付き合ったことが無かった。
ギュンターの、手が腰に回り、やんわり抱き寄せられる。
それで…それだけで。
どうして、ときめいてる?
彼が、素晴らしい美貌だから?
自分が今朝方、女のように素直に…彼を受け入れたから…?
ギュンターはローランデが、頬を染め、それでも素直に…自分に身を寄せてくれるのに、やはり感激した。
すっかり彼を腕の中に抱きしめると…ローランデは逃げ出すどころか、身体をぴったり、寄せてくれる。
その体温を感じると、あまりの幸福感に包まれ、気づくとローランデの顎に手を添え、彼の顔を上げさせ、被さって、受け止めようと微かに震えて待つ、ローランデの甘い唇に、口づけようとした…その時。
がらがらと、荷馬車の通る音。
「…うんにゃ、都会の騎士さん達かい?!
なんか、お困りかい?!」
もう一人の、声もする。
「馬の蹄鉄でも、外れなすったんかい?!!!!」
ローランデは咄嗟、声かけてくる彼らから顔を背け。
ギュンターは抱くローランデの体を放し、一歩彼らの方に近寄り、怒鳴る。
「用足しだ!」
荷馬車の御者達は、顔を見合わせ
「邪魔しちまったようだな!」
と言った後。
「そこの木の下、気をつけなさいよ!」
「毒キノコが生えてるし、蛇もでるしな!」
と警告を叫び、気の良い田舎者丸出しの顔を向け、何か、放る。
ギュンターは飛んで来た玉を受け止め…それが、青りんごだと知った。
もう一つ、飛んで来て、慌ててもう片手で受け止める。
通り過ぎた荷馬車から
「それでも、食ってくんね!」
「美味かよ!
オラの農園の林檎じゃから!」
と、手をひらひら振って去って行くので。
邪魔された怒りを、怒鳴りそびれた。
ローランデは枝が垂れ下がってるから、腰辺りは見えたとしても、顔は見られてない。
と安堵し、ギュンターはりんごの一個をローランデに投げた後。
やっと、邪魔された不満を口にした。
「毒キノコなんて、採る気も無いし、蛇程度、どって事ない!
要らぬ世話だ!!!」
けれどローランデは怒ってるギュンターの、腕を引いて木の下から出よう。
と促す。
「北領地[シェンダー・ラーデン]の蛇は…大きくて毒があるから、本当に危険なんだ」
言われてギュンターは、思わず黙った。
二人は、馬に跨がろうと馬の横に付き、目が合う。
「場所を変えよう」
咄嗟口から出るギュンターの言葉に、ローランデは即座に頷いた。
が、その後二人は。
邪魔が入りまくり、男同士の恋愛にまるで理解不能な人達だらけの北領地[シェンダー・ラーデン]の領地を出、中央テールズキース領に入るまで。
無言でただひたすら、馬を走らせ続けた。
ローランデはギュンターに散々抉られた、尻の奥が刺激され、疼くように感じ、白い頬をかっ!と染める。
併走していたギュンターが気づき、馬を寄せてそっと囁く。
「…その先に、止めて休むか?」
ローランデは赤くなったまま、こくん。と頷いた。
大木の影で馬から降りる。
ギュンターが手綱を手にしたまま、寄って来て身を寄せる。
もうそれだけで…ローランデは甘い気分になって…ギュンターに、寄り添いそうになり、戸惑った。
思えば一度も、両思いになんてなった事が無かったし、恋愛する間も惜しんで剣を振り、父の領地見回りに付き従っていた。
盗賊退治や病人の世話。
作物が効率よく運べるように手配をしたり、揉め事の仲裁、両親を亡くした子供の、引取先を探したりと…。
日々毎日が忙しくて、ロクに…。
女性とすら、付き合ったことが無かった。
ギュンターの、手が腰に回り、やんわり抱き寄せられる。
それで…それだけで。
どうして、ときめいてる?
彼が、素晴らしい美貌だから?
自分が今朝方、女のように素直に…彼を受け入れたから…?
ギュンターはローランデが、頬を染め、それでも素直に…自分に身を寄せてくれるのに、やはり感激した。
すっかり彼を腕の中に抱きしめると…ローランデは逃げ出すどころか、身体をぴったり、寄せてくれる。
その体温を感じると、あまりの幸福感に包まれ、気づくとローランデの顎に手を添え、彼の顔を上げさせ、被さって、受け止めようと微かに震えて待つ、ローランデの甘い唇に、口づけようとした…その時。
がらがらと、荷馬車の通る音。
「…うんにゃ、都会の騎士さん達かい?!
なんか、お困りかい?!」
もう一人の、声もする。
「馬の蹄鉄でも、外れなすったんかい?!!!!」
ローランデは咄嗟、声かけてくる彼らから顔を背け。
ギュンターは抱くローランデの体を放し、一歩彼らの方に近寄り、怒鳴る。
「用足しだ!」
荷馬車の御者達は、顔を見合わせ
「邪魔しちまったようだな!」
と言った後。
「そこの木の下、気をつけなさいよ!」
「毒キノコが生えてるし、蛇もでるしな!」
と警告を叫び、気の良い田舎者丸出しの顔を向け、何か、放る。
ギュンターは飛んで来た玉を受け止め…それが、青りんごだと知った。
もう一つ、飛んで来て、慌ててもう片手で受け止める。
通り過ぎた荷馬車から
「それでも、食ってくんね!」
「美味かよ!
オラの農園の林檎じゃから!」
と、手をひらひら振って去って行くので。
邪魔された怒りを、怒鳴りそびれた。
ローランデは枝が垂れ下がってるから、腰辺りは見えたとしても、顔は見られてない。
と安堵し、ギュンターはりんごの一個をローランデに投げた後。
やっと、邪魔された不満を口にした。
「毒キノコなんて、採る気も無いし、蛇程度、どって事ない!
要らぬ世話だ!!!」
けれどローランデは怒ってるギュンターの、腕を引いて木の下から出よう。
と促す。
「北領地[シェンダー・ラーデン]の蛇は…大きくて毒があるから、本当に危険なんだ」
言われてギュンターは、思わず黙った。
二人は、馬に跨がろうと馬の横に付き、目が合う。
「場所を変えよう」
咄嗟口から出るギュンターの言葉に、ローランデは即座に頷いた。
が、その後二人は。
邪魔が入りまくり、男同士の恋愛にまるで理解不能な人達だらけの北領地[シェンダー・ラーデン]の領地を出、中央テールズキース領に入るまで。
無言でただひたすら、馬を走らせ続けた。
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