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8 来客

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 いつの間にか寝入っていた。夕食前だった。
扉を叩く音がし、が今度は野太い召使いの、声だった。

「…お客です…!旦那様!
都からの、大層立派な武人で……」
「金髪…?!」
扉を開けるなり、ローランデは目前の召使いに尋ねる。

召使いは頷いた。
「大層お背が高いお方で………」
ローランデはすっ飛んで行った。



玄関広間は、暮れかけるオレンジの陽の光が、窓から降り注いでいた。
長身で金髪の近衛服姿の男の前に、濃い紫色のドレスの女性の姿。
デルアンネだ。

彼女はローランデに振り向き、ギュンターは彼を見、笑う。
「奥方に、ご挨拶申し上げていた所だ」

ローランデは呆れた。
ギュンターはそれはにこやかな微笑を、デルアンネに向けたので。

デルアンネも大抵の女性がギュンターを初めて見た時のように、ギュンターの美丈夫ぶりとその男ぶりに見惚れ、頬を染めていた。

二人並ぶ姿はそれは美男美女で、とても人目を引いた。

ローランデはいっそ二人が恋に落ちて自分を捨ててくれないか。と思った。
それはそれで切ないかもしれないが、自分にマリーエルさえ残ればそれでいい。

が、ギュンターもデルアンネも直ぐにローランデの気持ちを察したように表情が険しくなる。

ローランデが途端それに気づいて俯くと、ギュンターが呟く。
「君の可愛いマリーエルを、見せてはくれないのか?」
「あら。ローランデはそんな風に言ってるの?」

デルアンネは嬉しそうで、場は、和やかだった。
が、ローランデは何かが違うと感じた。

自分を“ギュンター”だと、彼は名乗って無いのだろうか?



 マリーエルを、それは可愛いだとか、将来大物になるとギュンターは褒めそやし、その後お茶に呼ばれた。

三人は客間の、一人用のそれはゆったりとしたソファのような深い椅子にそれぞれ掛け、召使いの差し出すお茶のカップを手に取る。

デルアンネは始終ギュンターにとても愛想良く、ギュンターは近衛服が素晴らしく似合い金髪がとても映え、その美貌は輝くように男らしく見えて、ローランデは自分が、光沢があって品良くは見えるものの黄土色の部屋着姿のままだったのに気づく。

胸当て布を左肩で紐で結び、そして腰をやはり、幅広の紐で止めただけの、足先まであるガウンのようなもので、下着すら着けていない。

デルアンネから見たら随分見劣りするんだろうな。とは思ったが、正直二人を前に、何を話していいのか解らなかった。

ギュンターが、カップをすすりながらつぶやく。
「君は奥方に、全部話したんだろう?」

突然のギュンターのその言葉に、ローランデは口に含んだお茶を、吹き出しそうになる。

ギュンターを見たが真顔で、ローランデは何とか咳き込まずにそれを飲み込むと、告げた。
「全部、話した」

「デルアンネ。そう呼んでも、構わないか?」

ギュンターがそう聞くと、彼女はにっこりと笑った。
「ええ。構わないわ」

「デルアンネ。なら君相手じゃ、とても寝室でローランデが満足しないと言う事も、知っている筈だ。
…そうだろう?」

まるで友達に尋ねるように、ギュンターはデルアンネに尋ねたが、デルアンネはますますにっこりと笑った。

それでようやくローランデにも、その不気味さが解った。

二人とも笑顔で、秘かに、火花を散らしていたんだと。


「…………………」

ローランデは思い切り俯くが、デルアンネは告げた。
「お付き合いが、私より長いと聞いたわ。
それは勿論、貴方のような美男ですもの。
彼も暫くは忘れ難いとは思うけれど…。
でも彼に言ってあるの。好きな時に都に、貴方に逢いに行っていいって」

凄く、物わかりの良さそうな妻を演じるデルアンネに、ギュンターはそれでも笑った。

「君は甘く、見ている。ローランデの事を大して知らないだろう?
…俺が美男だとか、そういうロマンチックな問題じゃ無いんだ」
「あら。じゃどういう問題なの?」

二人はローランデの瞳に、やはり相変わらず飛び抜けた美男美女に見えたが、会話の内容は思わず耳を塞ぎたくなるような物だった。

ギュンターは肩を、すくめる。
「多分、君には想像つかない」

がデルアンネはいかにも趣味悪げに、ギュンターを見つめた。
「つく訳無いわ。だって男じゃないもの」

「だがローランデが俺無しじゃ居られないってのも、聞いてるんだろう?」

デルアンネはその大抵の女が振り向きそうな、金の髪に囲まれた輝くばかりの男らしい美貌を見つめ、つぶやく。

「ぬいぐるみの小熊ちゃんを離せない、幼児もそうね。
でも結局いつかは卒業するものよ。

…あら、失礼。
貴方は勿論小熊なんか比較にならない位、いい男だけど」

ギュンターは素晴らしい微笑を、浮かべた。
「…なら今夜俺の寝室にローランデが泊まっても、文句は言わないな?」

デルアンネは初めてきっ!と睨み、だが思い直して微笑んだ。
「ここが誰の屋敷か、お忘れのようね。
そして私達が新婚だと言う事も」

ギュンターがいきなりゆらり…!と立ち上がる。

デルアンネは彼のその大きさと、一見優美に見える美貌の男の、中味が野獣だと感づいて一瞬身を震わせ、ローランデにその庇護を求めるように、椅子に掛けたまま横の一人掛けの椅子に座る、ローランデの方へと身を寄せた。

が、立ち上がったギュンターは真っ直ぐ、ローランデの前へと歩を進める。

その肘掛けに両手を付くと、長身の身を屈め座ったままのローランデに、被さる。

ローランデはギュンターの顔が間近に迫って来るのを呆けて見つめた。
ギュンターがその綺麗な鼻筋の美貌の顔を一瞬傾け、目を閉じ、そして…。

「…んっ…!」
唇にギュンターの唇の感触を感じ、びっくりして固まる。

抗う間も無く、ギュンターの腕が脇から回され背を抱かれ、その広い胸に一気に引き寄せられ、頭を後ろから、彼の大きな手で押さえられて喉を晒し、唇を奪われて、必死でギュンターの腕に、しがみつく。

密着してくる、近衛服を通して感じる、ギュンターの逞しい体の熱い感触につい、身が震う。

舌が、唇を割って入って来ると体が震え出す。
ギュンターの野性味ある香りとその舌に、酔ったように頭が、くらくらした。

が…デルアンネの、目の前だ。

だんっ…!

激しくサイドテーブルを叩く音がし、デルアンネが立ち上がった。
「じき、お夕食よ!」

ギュンターは顔を上げてデルアンネを見つめる。
微笑を、浮かべて。

「…遅れるかもしれない。彼を、煽った責任を、取らないといけないのでね。第一…」

ローランデはギュンターの腕の中で、デルアンネと交わす会話をその胸にしがみつくようにし、耳にした。

「君は想像、つかないと言ったろう?
なら、見ていったらどうだ?
本心はローランデがどんな風になるのか、興味あるんだろう?」

ローランデは嘘だろう…と、思わずその胸から顔を上げ、ギュンターを見つめた。

ギュンターはそれに気づいたが、まだデルアンネに送った『果たし状』の返答を待っている様子で、ローランデはつい彼女に視線向ける。

気づいたデルアンネは俯く。

ギュンターは素っ気なく言った。
「別に、逃げても構わない」

デルアンネは“逃げる”と言う敗者の言葉が大嫌いだった。
が、残れと促すギュンターを『信じられない』と、目を見開き見つめるローランデの表情に気づいた途端、彼女は残る気なんか全然無かったが、つぶやいた。

「…ローランデの、同意が無くても始める訳。
いいわ。出来るんなら、してご覧なさい」

そして彼女は浮かせた腰を、椅子に沈める。

ローランデは彼女の決断に、大きく瞳を見開いた。
その位置は彼の左斜め横。

ギュンターが正面から被さったとしても丸見えだ。

咄嗟にギュンターの腕を掴んで椅子から立ち上がろうとしたが、途端両手首を掴まれ、椅子の背もたれに倒される。

だんっ!

「嫌………っ!」

ローランデは抗うが、ギュンターの体が上から被さり、その逞しい胸板で背もたれに押さえつけられ逃げ場を無くし、もがく。

「ギュンター!…ギュンター!」

ローランデは叫ぶが、ギュンターは暴れる体を肩で押さえつけ、左手を、握っていたローランデの手首を放し股間に潜り込ませ、衣服を掻き分け、いきなり急所をその手で握り込む。
「………っ!」

ローランデがギュンターの体の下で、その手を避けるように身を、くねらせ叫ぶ。

「嫌…・ギュンター!お願いだ!止めて…・」
がその手は直ぐに良く知る、ローランデのいい場所に直に触れた。

「…………っ!」

敏感な場所を無遠慮に探られ、ローランデはきつく眉を寄せ、ギュンターの体の隙間から逃げようと身もがきその度、彼の幅広の肩に逃げ場を阻まれ、好きな様にその大きな手に握られ、弄ばれて、ローランデは俯き懇願した。

「お…願い…ん………」

必死で、デルアンネとは反対の方に顔を伏せるがギュンターの手は意地悪く動き、いつもあっと言う間に高まるその場所を、何度も、何度も指で擦り上げられ、ローランデは必死に声を殺して身を揺すり、そのきつい刺激に唇を噛んだ。

ギュンターは肩で、暴れるローランデの身を椅子に押さえ付けたまま、右手で掴むローランデの左手首を放すと、彼の左の肩紐を外し、ローランデの真っ白な肌をデルアンネの目前に晒す。

ローランデはもう、必死だった。
「止めて…!ギュンターお願いだ!」

腕にしがみつき、押しのけようとした途端、ギュンターの左手は握っていた彼自身を放すと、その下。双丘を割って奥へと、潜り込もうとしていた。

咄嗟に足を閉じ腰をずらそうとするが、ギュンターの膝が右太股を上から押さえつけ、それを阻む。

「…・ギュンター!嫌…・!お願いだ…!」

深く顔を背けてそう乞うが、腿を上から強く、ギュンターの膝で椅子へと沈められ動く事すら儘ならず、その間にその指が双丘を割け入って蕾へと、挿入される。
「…っ!」

ローランデは必死で腰を揺するがギュンターの膝はびくともせず、腕を腰に回されきつく抱かれてその動きを、止められた。

指が深く挿入し、いつも飛び上がる程感じる場所を遠慮無く擦り上げられ、ローランデは身を跳ね上げる。

「嫌………………っ!」

羞恥で頬が、真っ赤に染まる。
体を動かす事すら儘ならなくて、ローランデはその指が彼の一番恥ずかしい場所を幾度も犯すのを、体を震わせ唇を噛みしめて必死で、耐えた。

デルアンネの視線を痛い程意識し、必死で顔をギュンターの胸に埋めて隠す。
だがその指が、二本に増えて奥へ捻り入れられるとローランデは瞬間、仰け反った。

「…………っ!」

彼の腕にしがみつき、声を上げまいと必死に唇を、噛む。
目が、潤み出す。

ギュンターからどうにか逃げようと必死でその逞しい肩を押すがその都度、挿入された指にきつく擦り上げられ、ギュンターの手で煽られてとっくに興奮を示す彼自身の、一番敏感な先端に電流のような刺激が走り抜け体が瞬間、反り返る。

「んっ…あ!」

ギュンターに体毎捕らわれたまま好きなように嬲られ、ローランデは必死で首を振りもがくが、ギュンターの攻めは止まない。

「あ……あ……・っ!」

ローランデが感じる様子を、ギュンターはそっと伺うとその背に腕を入れ、胸を強引に反らせ、衣服が滑り落ちてすっかりはだけた白く形の綺麗な、揺れるローランデの胸の色付いた乳首に、顔を倒して唇を、滑らせる。

瞬間、熱い唇で敏感な突起を吸われ、ローランデの瞳が見開かれてびくん…!とその身が、大きく震う。
と同時に奥に潜り込んだ指がきつく擦り上げ、ローランデは喉を詰まらせ、激しく仰け反った。

「…嫌…っ……あ………!」

真っ赤な唇を戦慄かせ、必死で懇願する。

「……っお…願い…ギュンター…・!
ギュンター止め…て……!」

声を殺す事が出来ず、指が幾度も、彼が飛び上がりそうに感じる場所を遠慮無く擦り上げ、その度体がかっと燃えるように熱く高ぶり、とっくにそそり立った自身に手も触れられずに嬲られて、ローランデは目を潤ませ激しく首を横に、振った。

「許して!ギュンター…嫌………!」

必死で叫ぶが、ギュンターの指は収まるどころか激しさを増す。
唇は乳首の上に滑り、舌でいたぶるように敏感なそこを、きつく吸い上げ舌先で転がす。

「や………あっ!」

もう、泣き出しそうだった。
ギュンターがどれ程自分の体を良く知ってるか。
どうすれば自分が反応するのか知り尽くしていたし、彼にそうされると自分でも恥ずかしい程感じ、力が抜けてしまう。

もがく度、その腕できつく腰を乱暴な程抱き寄せられ、膝で腿を押さえつけられ、全く動きを封じられて、腕の中でローランデは泣いた。

「ギュンター!お願いだから………!」

涙目でそう訴えると、まるでそれを聞き入れたかのように、指が、ゆっくりそこから引き抜かれた。

一気に力が抜け、体が、激しい愛撫の余韻にがくがくと、震う。が、ギュンターの手が、ゆっくりと手首を、握る。右。そして……。

「ギュン……っ!」

両手首を掴まれ、布に喰い込む程きつく背もたれに釘づけられ、ギュンターの頭がすっかりはだけた胸元へと滑り落ちた途端、ローランデはデルアンネの目前に顔をすっかり晒され、愕然とした。

彼女の青紫の視線は刺すようで、ローランデは羞恥に染まり顔を彼女の反対側に、深く背ける。
が、ギュンターの唇が、彼の一番敏感な乳首の先端を、熱い舌でなぞり始める。

途端ぞくりと身が、戦慄いた。

「…………んっ………!」

磔のように釘付けられた手首を外す事は叶わず、表情を妻の目前に晒されて嬲られ、ローランデは絶望的な気持ちになって瞳を、潤ませた。

「嫌…あ……っ!ん………っ!」

ギュンターは、だがいつも通りだった。
ローランデが否定の言葉を叫ぶと愛撫はますます激しさを増す。

もう片方へと喰らい付くように滑り、乳首をその熱い舌で舐め上げて、敏感な先端を舌で転がされ、そのじれるような疼きに、ローランデは激しく肩を揺すって叫んだ。

「や…っ!もう…止め…あっ!…んっ!」

ローランデの青い瞳は潤みきり、涙が滴りそうだった。
ギュンターの愛撫にいとも簡単に嬲られる恥辱を、妻の前にすっかり晒されて。

「…っ!……もう許して…ギュンター、ギュンター!お願い………!」

だがそれが聞こえた途端、ギュンターは更にきつく歯で挟んで乳首を吸い上げる。

「ああっ……っ!」

痛みが混じる程のきつい刺激にたまらず声を上げ、激しく身を震わせて必死で、釘付けられる手首を押し戻そうともがく。が、ギュンターの唇はもう片方へさっと滑ると同様に、歯で軽く噛んで先端を吸い上げた。

「やっっ………っ!」

じれる激しい疼きが、乳首の先端から股間の誇張しきった自身の先端へと走り抜け、ローランデはもう腰を振ってそのまま、達ってしまいたかった。

が、ギュンターののしかかる体はそれすらも許さず、難く椅子に彼を捕らえ自由を奪い、その癖、その唇は彼の敏感に成りきった二つの乳首を、煽るように嬲り続ける。

「ん……っ!ん…っ!」

唇を必死で噛むが到底耐えきれず、ギュンターの歯が、挟み込んで乳首を思い切り捻り上げると、ローランデはとうとう激しく肩を揺すり、体を捻って喘いだ。

「あ…ん…っ!」

ひどく感じる姿を晒し、デルアンネの視線が痛みを感じる程に喰い込む。


デルアンネはだが、それでも辛抱した。

乱れた衣服の隙間から素肌を晒し、ギュンターに捕らわれてくねる彼は、信じられない程の色香を纏い、その真っ白な胸はとても…綺麗で、目を奪われはしたもののどう見たってギュンターにとっては“女”の代わりとしか思えない。

どうして男相手に、よりによって彼女の大事なローランデにギュンターがそうしたいのかは解らなかったが、ローランデが正気に戻ればそんなギュンターの、無法を許す筈も無い。

ローランデに、うんと嫌われるがいい……!

デルアンネはそう、呪いの言葉を心の中で吐き続けその場に居座った。


がいきなり真っ赤に染まる程刺激された乳首をやんわりと舐め上げられ、ローランデは甘い声を上げて身を、震わせる。

「ぁん………っ!」

ギュンターはゆっくり、顔を、上げた。

ローランデの潤んだ青い瞳がぼやけながらもギュンターを真っ直ぐ見つめ、彼がどれだけ敏感な場所を散々嬲られ、妻の前にあられも無い様子を晒し恥ずかしかったかをギュンターに教えた。

が、ギュンターは直ぐローランデの唇を奪う為に被さる。

ローランデは咄嗟に首を振って避けようとするが、ギュンターの手が、頭を後ろから押さえてその逃げ場を無くす。

「んっ…!」

激しい口づけで、息の上がったローランデは苦しさに首を背けようとする度、後ろから手で頭を押し戻され、きつく腰を抱かれ、逃げる事を許されずにその腕の中で悲しげな吐息を洩らした。

「………ん………っ………」

それでもギュンターの腕から逃れようと、その手で必死に逞しい彼の肩を押すが、ギュンターは強引にきつく抱き寄せ、逃がさなかった。

幾度も唇をついばまれ、次いで舌が滑り込み、誘うように舌に触れ、絡みつこうとし、瞬間、頭の後ろに回された手に力が籠もって髪を掴まれ、顎を上げさせられて深く奥迄、ギュンターの舌が差し入れられる。

ローランデは目を、見開いた。

それはまるで刺し貫くようで、次にギュンターが、彼の一番恥ずかしい場所を自身で貫いて、デルアンネの目に晒すのだと解った途端、ローランデの眉が切なげに、寄った。

嫌だ。と、ギュンターの肩を掴み、乱暴に揺すり示したつもりなのに、ギュンターの舌は彼の意思とは反対に、更に激しく煽り立てる。

呼吸が苦しくなる度ギュンターは頬に、首筋に、その、ぞくりとする熱い唇を這わせ、それに合わせて顔を背けようとすると、直ぐに頭の後ろを被う手で押し戻され、唇とその舌を、強引に受け容れさせられた。

「ん…ん……っ!」

ギュンターの密着した熱く逞しい体をひどく意識し、彼の腕の中できつく抱かれて唇を犯されていると意識が霞んで来る。

高まりきった場所が、もうどうしようも無く辛く、たまらなくて、ローランデが最も嫌いで、けれど体が望む、ギュンターに射し貫かれる瞬間を思い描いて、一瞬歓喜に身が震った。

ギュンターはまるでそれを知ってるみたいに顔を、上げる。

流し目の、その紫の瞳の美貌はぞっとする程男っぽく、彼に熱く射るように見つめられた途端、ローランデは身が戦慄いた。

が、ギュンターがデルアンネの存在を、まるで意識しない様子に、ローランデの眉はきつく寄る。

だって、彼女の視線は、喰い込むようなのに……・!

だがギュンターの手がどこで動いているのか気づいた瞬間、ローランデは泣き出しそうにその身を、震わせた。
「……嫌!!」

信じられなかった。もう、限界をとっくに超えていて、きっと先端を少し弄られたら呆気なく達すると言うのに…!

その手はローランデを更に追いつめる為いつもするように、興奮しきった自身の根本を縛る革紐をそこに、括らせようとしていた。

「嫌……!
止めてお願い!!」

ローランデは必死で叫び、足をいざらせ、その手の動きを止めようと股間へ手を伸ばすが、ギュンターの膝はがんとして太腿を押さえ付けて動く事すらさせず、その紐はさっさと彼の誇張した根本にきつく、喰い込んだ。

「いやっ!」

止めようとした両手首を再び難なく捕まえられ、椅子に釘付けられ、ローランデは首と肩を、必死で揺すって暴れた。

「止めて…………!」

目前のギュンターに、殆ど泣き濡れた青い瞳を向け、許しを乞う。
「お願い……!お願い………!
もう許してギュンター……耐えられない!」

ギュンターのその熱い紫の瞳は彼を見つめたものの応えず、押さえつけてた片膝をどけ、彼の左手首を解いた手で左腿を掴み、引き上げて、強引に、足を開かせる。

ローランデは必死でままならぬ不自由な狭い椅子の僅かな隙間で体を揺さぶり、逃れようと暴れる。

腿を掴まれた足を振るが、ギュンターの腕は断固として彼を離さず、暴れる事すら、許さない。

「……っいやっ!お願い………!」

妻の前で犯そうとするギュンターに必死で懇願し、ローランデは開かれた足を閉じようともがくが、腿を掴む手はびくともせず、暴れる胸を、押さえつけるその頑健な肩を必死で、指が喰い込む程きつく縋り付くように握り込む。

今だってもう、気が違いそうなのに…・!
その上解放を阻まれたまま挿入され、散々抉られたりしたら気が…狂ってしまう!

右手首を深く背もたれに釘づけられたまま、肩で胸をきつく押さえつけられ、右足はギュンターの膝で押さえられて動く事すら出来ず、左腿を強引に担ぎ上げて開かされ、どこにも逃げ場なんか無くてローランデは絶望に唇を、噛んだ。

根本に食い込む紐が、じんじんと熱い股間を遮り、担ぎ上げられた左足を、必死で幾度も内側に閉じようとする度横に広げられて、ローランデはギュンターの肩に顔を埋め、身を戦慄かせて叫んだ。

「許して…!お願いだから!」

ギュンターが、体毎捕らえたローランデを、少し身を離して見つめた。

ローランデは深く俯き、真っ赤に染まった震える唇をきつく噛みしめ、犯されるのを覚悟するように震えていた。

ギュンターは耳元に顔を寄せると、そっとささやく。

「達きたいんだろう?」

ローランデは切なげに眉を寄せ、濡れた青い瞳を上げる。
訴えるように、デルアンネが居ると顔を揺らす。

が、ギュンターがまるきりその気で、その意思が岩のように固く、じんじんと熱くたまらない股間に喰い込む、解放を止める紐の感触にそっと目を伏せ…そして顔を上げて自分を妻の前で犯そうとする美貌の野獣にその青く潤んだ瞳を、向けてささやく。

「だっ…てまだ……私を散々嬲る気…なんだろう?」

戦慄く真っ赤な唇で、あどけなくそうつぶやくローランデがあまりに愛しくて、ギュンターはイカれたように彼に捕らわれた瞳を、した。

「長くは、しない」

ローランデはそれでも、青い瞳を潤ませて問うた。
「ほん……とうに?」

ギュンターが、微かに頷くのを見て、ローランデは少し顔を揺らして俯いた。

顔を上げたローランデが切なげに眉を寄せ、せがむようにギュンターを見つめた。

ギュンターは見とれたように視線を注いだが、ゆっくり、彼の腿を掴む手を放し股間から自分を取り出す。

ローランデはその気配を感じ、震えながらギュンターの肩にそっと、その腕を、回す。

その逞しい肩にローランデが顔を埋めると、彼を抱いている野獣の身が、一瞬、震った。

殆どローランデの意識は霞んでいたが、ギュンターが双丘を割って蕾を先端でなぞり、ゆっくり割け入って来ると一瞬、屈辱と歓喜の混じった表情で、仰け反る。

「…ん…っ!」

ギュンターはそれを、知っているみたいにローランデを、深く、抱く。

ローランデは必死でギュンターの肩にしがみつき、その熱く、硬い圧迫感が、自分の敏感な場所を抉るのに耐えようとした。

ギュンターはしがみつかれたローランデの腕の熱さに身を震わせながら、ゆっくりと、更に奥まで自身を捻り入れる。

「あ………っ!」

ローランデにきつくしがみつかれてギュンターは顔を揺らす。

彼の中はいつも最高に気持ち良く、ローランデにイカれてるギュンターはきつくしがみつかれただけで、達きそうに成る。

が、ギュンターはそれでも自分を戒めるように押し止めると、ローランデをもっときつく抱き寄せ、一気に腰を使って彼を、刺し貫いた。

途端、ローランデが白い喉を晒す。
「ああっ………!」

腕の中のローランデの熱い体が感じて激しく震え、ギュンターはまるでそれに応えるように腰を揺すり入れる。

「…っん………あ…っ!」

が解放を阻まれたローランデは抉られる度辛そうに眉を寄せ、唇を噛んで必死でギュンターの首に、両腕を回して電流が駆け抜けるような激しい刺激に、耐えてしがみつく。

途中、誇張しきった股間の熱さと体を刺し貫く激しい刺激に耐えきれず、ふっと意識が途切れ、自分を抉るように激しく刺し貫くギュンターに、引き戻されては彼の腕の中で泣いた。

「…ギュンター……ギュンター………
ギュ…ンター…………………」

泣き濡れた声音は最後、甘い、声に変わった。

デルアンネは思わず、立ち上がった。

ローランデの青い瞳は潤み切ってギュンターはその甘い声音が合図のように顔を上げ、彼の真っ赤に染まった唇に口づける。

そしてギュンターはローランデを抱く腕を下げ、その根本の紐をゆっくり…

…とてもゆっくり、惜しそうに、解いた。

途端、腰を入れてやる。

「あ………………っ!」

甘い、声と同時に腹の辺りに湿り気を感じ、自身も中で放って、ギュンターは吐息を漏らす。

ローランデは殆ど気絶し、ぐったり椅子の背もたれにその顔を寄せていた。

独特の艶のある濃淡ある栗毛が色白の美しい頬にかかり、長い睫毛を閉じ、真っ赤な唇を僅かに開いたまま意識を無くすローランデを見つめた後、もう一度吐息を吐くとギュンターはゆっくり、振り向いた。

デルアンネはまだ、そこに、居た。

大した根性だと、ギュンターは誉めてやりたい気がしたが彼女には敗北が、解ったようだった。

ギュンターの視線を受け、尊大に、彼女は視線を背けたりせずじっと敵を見据え、そして、絶対負けたりしないと言う決意をその青紫の瞳にたぎらせ………ゆっくり靴音を鳴らし、部屋を、出て行った。



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