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眠るライラアン
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案内人が、突然皆を瞬間移動させ…。
小さなコテージの庭へと送る。
周囲には、同様のコテージが建ち並び、穏やかで優しい雰囲気がしていた。
花が色とりどりに咲き乱れていて、シェリアンは突然周囲が変わり、驚くシェイルに微笑みかけて、とても綺麗なピンクの薔薇をつむ。
シェイルも…それに習って、横の花をつみあげた。
ローフィスの横に突然ディラフィスが現れ、ローフィスは目だけ見開いて、ディラフィスを見た。
ディラフィスは
「よぅ…」
と愛息に挨拶し、花を持って一緒に室内へと入っていく、シェイルとシェリアンの背を見送り、息子に囁いた。
「親子だけに、してやれ」
ローフィスは頷いて、ディラフィスを見る。
「シェリアンの訓練に、付き合ってるんだって?」
ディラフィスは頷く。
「俺、神聖神殿隊付き連隊から、『影』の瘴気にやられた者を見回る役目、もらってるから。今」
ローフィスはそれを聞いて、目を見開く。
「神聖神殿隊付き連隊騎士に、戻ったの?」
「正規隊員じゃ無い。
補佐要員で、俺の見回り受け持ちは、元神聖神殿隊付き連隊騎士だから。
シェリアンの面倒が見られる」
「補佐なんて役目もあるんだ?」
「そりゃ、色々あるさ。
『影』に対する知識もあるから、退いてもちょくちょく仕事は貰える」
ローフィスは旅の間、顔の広いディラフィスの口利きで、行く先々で色んな人の屋敷に泊まらせて貰った事を思い出す。
「…シェリアンが目覚めたから。
親父はお役御免だろう?
もうシェイルのお袋さんとは、離婚した?」
ディラフィスは笑う。
「シェイルがもう、戸籍上は義弟で無くなって、寂しいか?」
「それより、あんただ。
戸籍が必要でシェイルのお袋さんと結婚したけど…全然夫婦してなかったのに。
もう、好きな相手と再婚できるんだぜ?」
ディラフィスは腕組んで顔を下げ、ため息を吐く。
「それな…。
結婚って、一人としか出来ないから…今それ言い出すと、困った事になる」
それを聞いて、ローフィスは呆れた。
「なんだよ。三股、四股とか、してんのか?」
「それゃ俺ぐらい大人で。
いい男だと…数人といい関係にはある。
深くは無いが。
そこが…問題かな?
一人に決める…うーーーーん。
どの相手もお互い結婚前提で、付き合って無いしなーーーー」
ローフィスは呆れきって、顔下げた。
が、ディラフィスは愛息に顔傾けて囁く。
「俺より、問題はお前だ。
俺なら、死んでも光竜身に降ろす、「左の王家」の超絶いい男でカリスマなんて、絶対恋敵にしない」
ローフィスはそれを聞いて、がっくり首垂れた。
シェイルはシェリアンと共に、室内に入る。
レースのカーテンで覆われた天蓋の下。
懐かしい母が、目を閉じて横たわってた。
シェイルは目を潤ませて母を見る。
顔色は良く、安らかな寝息を立てていた。
けど不安になって、シェリアンに囁く。
「いつか目、覚める?」
シェリアンは微笑む。
「“癒す者”は精神の疲労が、癒えたら目覚めると。
そう言ってた。
俺達の目では分からないが。
能力者らはライラアンの精神が、もの凄く消耗したまま、少しも回復しなかったと。
精神の疲労が、肉体の怪我のように、目で見えてるらしい。
今やっと。
回復に向かってるそうだ」
シェイルは懐かしい母を見つめた。
髪は明るい栗毛。
閉じているけど確か瞳は、自分と同じ、グリン…。
細くて華奢な鼻の形も、母譲り…。
けれど顔の形は…母はあまり顎の突き出ていない丸顔で、いつも可愛らしくて優しい感じがした。
シェリアンがそっと、枕元に薔薇を置く。
するとライラアンは、目を閉じたまま、微笑んだ。
シェイルはその表情を見て、目を見開く。
自分も…習って枕元に、薔薇を置いた。
その途端、ライラアンは、すうっ…と。
頬に涙を一筋、滴らせた。
そして幸福そうに、微笑む。
シェイルも思わず…頬に涙を伝わせて、横のシェリアンに寄り添う。
「言わなくても…通じた?
僕、もう大丈夫、って」
シェリアンが、シェイルの背に腕を回し、微笑んで頷く。
その時、また空間から人が現れた。
今度こそ、ドレス姿の女性で。
シェイルは彼女を見つめる。
栗毛を結い上げた、ふくよかな中年の女性で、やっぱりとても背が高かった。
「あらごめんなさい。いらしてたのね?
私が、この辺りのコテージの管理を任されてるの。
シュネビィアよ。よろしく。
ライラアンは…起きて動いてても、心ここにあらずで。
脆い少女のようだった。
突然の嵐にすら、怯えるの」
そう言うと、横にシュネビィアと同じ色の栗毛の…子供が姿を現す。
やはり突然、空間から。
「ライラアンの…子供?」
子供はシェイルを見た後、そう、シュネビィアを見上げて尋ねる。
「そうよ」
そう言って、シュネビィアは二人に顔を向けて紹介する。
「私の、息子なの。
一緒にコテージの住人の、世話をしてくれてるの」
息子はシェリアンとシェイルに微笑む。
「一緒に、お菓子だって焼けるんだ!」
シェイルが戸惑ってると、横のシェリアンは子供に微笑みかける。
「ありがとう…。
多分俺も直、ここの住民になる」
子供は、にっこり微笑む。
「じゃもう、『影』の傷は、癒えたんだね?
乗馬、教えてくれる?
ここでは殆ど使わないから。
誰に聞いても、直ぐ消える」
「き…消える?」
シェイルが聞くと、子供は笑う。
「大人は、回答できない質問されると、直ぐ消えるんだ」
シェイルは、顔下げて呟く。
「…文字道理、消えるんだ…」
「そう!
瞬間移動出来ない大人は、睨み付ける。
“どっかへ消えろ!”って。
あ、言葉を使わず、頭の中へ怒鳴りつけるんだ」
シュネビィアは笑う。
「外から来た人は、ここの住人が、とても不思議でしょうね?」
シェイルはこっくり、頷いた。
小さなコテージの庭へと送る。
周囲には、同様のコテージが建ち並び、穏やかで優しい雰囲気がしていた。
花が色とりどりに咲き乱れていて、シェリアンは突然周囲が変わり、驚くシェイルに微笑みかけて、とても綺麗なピンクの薔薇をつむ。
シェイルも…それに習って、横の花をつみあげた。
ローフィスの横に突然ディラフィスが現れ、ローフィスは目だけ見開いて、ディラフィスを見た。
ディラフィスは
「よぅ…」
と愛息に挨拶し、花を持って一緒に室内へと入っていく、シェイルとシェリアンの背を見送り、息子に囁いた。
「親子だけに、してやれ」
ローフィスは頷いて、ディラフィスを見る。
「シェリアンの訓練に、付き合ってるんだって?」
ディラフィスは頷く。
「俺、神聖神殿隊付き連隊から、『影』の瘴気にやられた者を見回る役目、もらってるから。今」
ローフィスはそれを聞いて、目を見開く。
「神聖神殿隊付き連隊騎士に、戻ったの?」
「正規隊員じゃ無い。
補佐要員で、俺の見回り受け持ちは、元神聖神殿隊付き連隊騎士だから。
シェリアンの面倒が見られる」
「補佐なんて役目もあるんだ?」
「そりゃ、色々あるさ。
『影』に対する知識もあるから、退いてもちょくちょく仕事は貰える」
ローフィスは旅の間、顔の広いディラフィスの口利きで、行く先々で色んな人の屋敷に泊まらせて貰った事を思い出す。
「…シェリアンが目覚めたから。
親父はお役御免だろう?
もうシェイルのお袋さんとは、離婚した?」
ディラフィスは笑う。
「シェイルがもう、戸籍上は義弟で無くなって、寂しいか?」
「それより、あんただ。
戸籍が必要でシェイルのお袋さんと結婚したけど…全然夫婦してなかったのに。
もう、好きな相手と再婚できるんだぜ?」
ディラフィスは腕組んで顔を下げ、ため息を吐く。
「それな…。
結婚って、一人としか出来ないから…今それ言い出すと、困った事になる」
それを聞いて、ローフィスは呆れた。
「なんだよ。三股、四股とか、してんのか?」
「それゃ俺ぐらい大人で。
いい男だと…数人といい関係にはある。
深くは無いが。
そこが…問題かな?
一人に決める…うーーーーん。
どの相手もお互い結婚前提で、付き合って無いしなーーーー」
ローフィスは呆れきって、顔下げた。
が、ディラフィスは愛息に顔傾けて囁く。
「俺より、問題はお前だ。
俺なら、死んでも光竜身に降ろす、「左の王家」の超絶いい男でカリスマなんて、絶対恋敵にしない」
ローフィスはそれを聞いて、がっくり首垂れた。
シェイルはシェリアンと共に、室内に入る。
レースのカーテンで覆われた天蓋の下。
懐かしい母が、目を閉じて横たわってた。
シェイルは目を潤ませて母を見る。
顔色は良く、安らかな寝息を立てていた。
けど不安になって、シェリアンに囁く。
「いつか目、覚める?」
シェリアンは微笑む。
「“癒す者”は精神の疲労が、癒えたら目覚めると。
そう言ってた。
俺達の目では分からないが。
能力者らはライラアンの精神が、もの凄く消耗したまま、少しも回復しなかったと。
精神の疲労が、肉体の怪我のように、目で見えてるらしい。
今やっと。
回復に向かってるそうだ」
シェイルは懐かしい母を見つめた。
髪は明るい栗毛。
閉じているけど確か瞳は、自分と同じ、グリン…。
細くて華奢な鼻の形も、母譲り…。
けれど顔の形は…母はあまり顎の突き出ていない丸顔で、いつも可愛らしくて優しい感じがした。
シェリアンがそっと、枕元に薔薇を置く。
するとライラアンは、目を閉じたまま、微笑んだ。
シェイルはその表情を見て、目を見開く。
自分も…習って枕元に、薔薇を置いた。
その途端、ライラアンは、すうっ…と。
頬に涙を一筋、滴らせた。
そして幸福そうに、微笑む。
シェイルも思わず…頬に涙を伝わせて、横のシェリアンに寄り添う。
「言わなくても…通じた?
僕、もう大丈夫、って」
シェリアンが、シェイルの背に腕を回し、微笑んで頷く。
その時、また空間から人が現れた。
今度こそ、ドレス姿の女性で。
シェイルは彼女を見つめる。
栗毛を結い上げた、ふくよかな中年の女性で、やっぱりとても背が高かった。
「あらごめんなさい。いらしてたのね?
私が、この辺りのコテージの管理を任されてるの。
シュネビィアよ。よろしく。
ライラアンは…起きて動いてても、心ここにあらずで。
脆い少女のようだった。
突然の嵐にすら、怯えるの」
そう言うと、横にシュネビィアと同じ色の栗毛の…子供が姿を現す。
やはり突然、空間から。
「ライラアンの…子供?」
子供はシェイルを見た後、そう、シュネビィアを見上げて尋ねる。
「そうよ」
そう言って、シュネビィアは二人に顔を向けて紹介する。
「私の、息子なの。
一緒にコテージの住人の、世話をしてくれてるの」
息子はシェリアンとシェイルに微笑む。
「一緒に、お菓子だって焼けるんだ!」
シェイルが戸惑ってると、横のシェリアンは子供に微笑みかける。
「ありがとう…。
多分俺も直、ここの住民になる」
子供は、にっこり微笑む。
「じゃもう、『影』の傷は、癒えたんだね?
乗馬、教えてくれる?
ここでは殆ど使わないから。
誰に聞いても、直ぐ消える」
「き…消える?」
シェイルが聞くと、子供は笑う。
「大人は、回答できない質問されると、直ぐ消えるんだ」
シェイルは、顔下げて呟く。
「…文字道理、消えるんだ…」
「そう!
瞬間移動出来ない大人は、睨み付ける。
“どっかへ消えろ!”って。
あ、言葉を使わず、頭の中へ怒鳴りつけるんだ」
シュネビィアは笑う。
「外から来た人は、ここの住人が、とても不思議でしょうね?」
シェイルはこっくり、頷いた。
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