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ディアヴォロスの私室
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シェイルは四年宿舎の、正面では無く横にある扉から、ディアヴォロスが入って行くのを見た。
「ここの扉から、私の私室に入れるから。
でも扉を間違えると、別の大貴族の部屋に通じてしまうから、気をつけて」
ディアヴォロスにそう言われて、シェイルは扉を真剣に見た。
でも扉には黄金の飾りが付いていて、他の扉にはそれが無く、シェイルは中へと入り、召使いが行き交う廊下を進むディアヴォロスに、尋ねる。
「ディアヴォロスの部屋に続く扉にだけ、金の紋章がついてる?」
ディアヴォロスは微笑んで、頷く。
召使い達は、ディアヴォロスの腕に抱きかかえられてるシェイルを見ると、にっこり笑う。
「浴室は、用意出来ていますから」
そう声かけられ、ディアヴォロスは微笑んで礼を言う。
「ありがとう」
廊下の左右には扉が幾つもあって、召使い達は忙しそうに、物を運んだりの作業をしていた。
あまり長くない廊下の先に階段があって、シェイルはローランデの私室も、こんな風に召使いが出入りする別の階段があるのかな?
と思った。
何も言わないのに、ディアヴォロスは階段を上がりながら、にっこり笑う。
「ローランデの部屋は、私も昔使っていた。
大抵召使い用の扉には、護衛が居て。
不法侵入者は簡単に入れないよう、警護してる」
シェイルは背後を振り向く。
召使い達だけで、護衛の姿は見えない。
階段を上がりきった所で、ディアヴォロスは顔を寄せて囁く。
「私の召使い達は皆、短剣を使う。
大柄で無くいかにも護衛に見えないが、下働きも出来て護衛も兼ねる」
シェイルは鼻筋通ったディアヴォロスの綺麗な顔が間近で、どきっ!とした。
「もうみんな、君の姿を覚えたから。
ノックをして姿を見せれば、直ぐ入れる」
シェイルは男らしい声音でそう囁かれ、どぎまぎしながら頷いた。
階段を上がった先は短い廊下で、やっぱり左右に扉があって、一番先の扉を、ディアヴォロスは肩で押して開ける。
そこは…流石王族。
と言うだけある、豪華な飾りが至る所に施された美しい部屋だったけれど。
ディングレーの所に比べると、寛げる感じがした。
ソファの色は明るいシャーベットオレンジ。
けれど金の刺繍が施され、優しいけれど豪華に見えた。
カーテンは暗く無い、青に近い紺色。
それも、金の刺繍が美しく布を飾ってる。
部屋に飾られた陶器はクリーム色で、やっぱり金で飾られ、豪華だけど…。
ディングレーの部屋のように、金綺羅金に感じない。
「(…どうしてかな?)」
シェイルはディアヴォロスに、ソファに下ろされ、腰掛けて部屋を見回し、思った。
ディアヴォロスはくすくす笑って、手ずからグラスに果実酒を注ぎ、手渡しながら言った。
「ディングレーの所は…執事が、王族用の家具を一式用意してるのに、ディングレー自身が。
執事に言い訳出来る程度に豪華な家具を抜粋し、適当に配置してるから。
統一感が無くて、ちぐはぐでやたら豪華だけど、落ち着かない部屋になってる」
シェイルは素晴らしいカットのクリスタルグラスを見て、そうか。と頷く。
ディアヴォロスは横の一人掛け用ソファに腰掛け、自分もグラスを手に、シェイルに振り向く。
「恥ずかしかった?」
シェイルはもう少しで、飲みかけた果実酒を吹き出す所だった。
「…やっぱり、知って…」
ディアヴォロスは笑う。
「残念ながら、そっちの方面では私も、凄く君が欲しかったから。
直ぐ気づいてしまう」
シェイルは真っ赤になると、顔を下げる。
ディアヴォロスは顔を下げ、シェイルを覗き込んで尋ねる。
「まさか…自分でするのは、初めて?」
シェイルは顔を深く下げたまま、頷く。
ディアヴォロスは更に尋ねる。
「ローフィスは…そっち方面は、まるで教えてくれなかった?」
シェイルは顔を下げたまま、また頷く。
「だってそんな頃、ローフィスは教練入学のために鍛錬始めてたし。
終わったら入学しちゃった」
ディアヴォロスは短いため息を吐く。
「恥ずかしい事じゃ無い。
大人になりかけの男は、当たり前にすることだ」
シェイルはびっくりして、顔を上げる。
「ローランデも?!」
そう聞くと、グラスを口に持って行ったディアヴォロスはグラスを下げ、複雑な顔をした。
「彼、あんまり性欲は、強く無さそうだから。
あまり無いかもしれない」
シェイルは、ほっとした。
そして微笑む。
「ローランデは清らかで、聖人みたいだから」
ディアヴォロスも微笑んで尋ねる。
「そんな所が、好きなの?」
シェイルは笑顔で頷く。
けれどディアヴォロスはさり気なく言った。
「でも僧侶でも無ければ。
普通、年頃の男なら、自慰くらいする」
シェイルはまた、思い出して真っ赤になって、顔を下げた。
ディアヴォロスの手が、シェイルの顎に触れる。
シェイルが気づいて顔を上げると。
ディアヴォロスが顔を傾け、顔を近づけるから。
口づけされる…。
そう思って、目を閉じた。
「ここの扉から、私の私室に入れるから。
でも扉を間違えると、別の大貴族の部屋に通じてしまうから、気をつけて」
ディアヴォロスにそう言われて、シェイルは扉を真剣に見た。
でも扉には黄金の飾りが付いていて、他の扉にはそれが無く、シェイルは中へと入り、召使いが行き交う廊下を進むディアヴォロスに、尋ねる。
「ディアヴォロスの部屋に続く扉にだけ、金の紋章がついてる?」
ディアヴォロスは微笑んで、頷く。
召使い達は、ディアヴォロスの腕に抱きかかえられてるシェイルを見ると、にっこり笑う。
「浴室は、用意出来ていますから」
そう声かけられ、ディアヴォロスは微笑んで礼を言う。
「ありがとう」
廊下の左右には扉が幾つもあって、召使い達は忙しそうに、物を運んだりの作業をしていた。
あまり長くない廊下の先に階段があって、シェイルはローランデの私室も、こんな風に召使いが出入りする別の階段があるのかな?
と思った。
何も言わないのに、ディアヴォロスは階段を上がりながら、にっこり笑う。
「ローランデの部屋は、私も昔使っていた。
大抵召使い用の扉には、護衛が居て。
不法侵入者は簡単に入れないよう、警護してる」
シェイルは背後を振り向く。
召使い達だけで、護衛の姿は見えない。
階段を上がりきった所で、ディアヴォロスは顔を寄せて囁く。
「私の召使い達は皆、短剣を使う。
大柄で無くいかにも護衛に見えないが、下働きも出来て護衛も兼ねる」
シェイルは鼻筋通ったディアヴォロスの綺麗な顔が間近で、どきっ!とした。
「もうみんな、君の姿を覚えたから。
ノックをして姿を見せれば、直ぐ入れる」
シェイルは男らしい声音でそう囁かれ、どぎまぎしながら頷いた。
階段を上がった先は短い廊下で、やっぱり左右に扉があって、一番先の扉を、ディアヴォロスは肩で押して開ける。
そこは…流石王族。
と言うだけある、豪華な飾りが至る所に施された美しい部屋だったけれど。
ディングレーの所に比べると、寛げる感じがした。
ソファの色は明るいシャーベットオレンジ。
けれど金の刺繍が施され、優しいけれど豪華に見えた。
カーテンは暗く無い、青に近い紺色。
それも、金の刺繍が美しく布を飾ってる。
部屋に飾られた陶器はクリーム色で、やっぱり金で飾られ、豪華だけど…。
ディングレーの部屋のように、金綺羅金に感じない。
「(…どうしてかな?)」
シェイルはディアヴォロスに、ソファに下ろされ、腰掛けて部屋を見回し、思った。
ディアヴォロスはくすくす笑って、手ずからグラスに果実酒を注ぎ、手渡しながら言った。
「ディングレーの所は…執事が、王族用の家具を一式用意してるのに、ディングレー自身が。
執事に言い訳出来る程度に豪華な家具を抜粋し、適当に配置してるから。
統一感が無くて、ちぐはぐでやたら豪華だけど、落ち着かない部屋になってる」
シェイルは素晴らしいカットのクリスタルグラスを見て、そうか。と頷く。
ディアヴォロスは横の一人掛け用ソファに腰掛け、自分もグラスを手に、シェイルに振り向く。
「恥ずかしかった?」
シェイルはもう少しで、飲みかけた果実酒を吹き出す所だった。
「…やっぱり、知って…」
ディアヴォロスは笑う。
「残念ながら、そっちの方面では私も、凄く君が欲しかったから。
直ぐ気づいてしまう」
シェイルは真っ赤になると、顔を下げる。
ディアヴォロスは顔を下げ、シェイルを覗き込んで尋ねる。
「まさか…自分でするのは、初めて?」
シェイルは顔を深く下げたまま、頷く。
ディアヴォロスは更に尋ねる。
「ローフィスは…そっち方面は、まるで教えてくれなかった?」
シェイルは顔を下げたまま、また頷く。
「だってそんな頃、ローフィスは教練入学のために鍛錬始めてたし。
終わったら入学しちゃった」
ディアヴォロスは短いため息を吐く。
「恥ずかしい事じゃ無い。
大人になりかけの男は、当たり前にすることだ」
シェイルはびっくりして、顔を上げる。
「ローランデも?!」
そう聞くと、グラスを口に持って行ったディアヴォロスはグラスを下げ、複雑な顔をした。
「彼、あんまり性欲は、強く無さそうだから。
あまり無いかもしれない」
シェイルは、ほっとした。
そして微笑む。
「ローランデは清らかで、聖人みたいだから」
ディアヴォロスも微笑んで尋ねる。
「そんな所が、好きなの?」
シェイルは笑顔で頷く。
けれどディアヴォロスはさり気なく言った。
「でも僧侶でも無ければ。
普通、年頃の男なら、自慰くらいする」
シェイルはまた、思い出して真っ赤になって、顔を下げた。
ディアヴォロスの手が、シェイルの顎に触れる。
シェイルが気づいて顔を上げると。
ディアヴォロスが顔を傾け、顔を近づけるから。
口づけされる…。
そう思って、目を閉じた。
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