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朝の一時
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ディアヴォロスは朝食を知らせに来る召使いの気配に、目を覚ます。
向かいのソファにはローフィスが、目を閉じて沈んでいて、いつの間にかここで、ローフィスと果実酒をあおりながら寝てしまったのだと気づいた。
召使いは目覚めるディアヴォロスに、にっこりと微笑む。
「朝食は、いつでもお召し上がりになれます」
ディアヴォロスは頷き
「ありがとう。
直ぐ行くから」
そう告げて、ローフィスを起こすかどうか迷い、結局立ち上がるとそのまま居間を出て、寝室のシェイルの様子を見に行った。
シェイルは目を閉じ、安らかに眠っていたけど。
戸口でディアヴォロスが見つめていると、ゆっくりと夢から覚めて、目を開ける。
そっと身を起こすと、ディアヴォロスに振り向く。
ディアヴォロスは銀の髪を胸に流す、愛らしくも美しいシェイルに微笑みかける。
「食事が出来るけど…」
シェイルは頷き、けれどディアヴォロスを見つめていると、長身で黒く長い縮れ毛を肩に胸に流し、整いきった男らしくも美しい顔立ちと均整の取れた逞しい体躯が視界に入り、次第に彼と過ごした時間を思い出して、恥ずかしげに頬を染めた。
その初々しい艶にディアヴォロスは見惚れたけれど、囁いた。
「湯に浸かった方がいい。
一人でも入れる?」
シェイルは真っ赤な頬で頷くから、ディアヴォロスは微笑んで頷き返した。
ディアヴォロスが食事用の部屋へ、ガウン姿で入った時。
客が二人、既にテーブルについて、先に食事を取っていた。
その二人を見た途端、ディアヴォロスは神聖騎士の“届け物”が何か分かって、微笑んだ。
ローフィスはディアヴォロスが居間を出て言った後直ぐ目覚め、浴室へと向かう。
一風呂浴びて眠るつもりだったのに。
いつの間に眠ってしまったのかの、意識すら無かった。
軽く湯に浸かって、湯に含まれる薬草で体の汚れを落とし、湯から出て体を拭いていた時。
扉が開いて、シェイルが姿を見せる。
「よぅ」
ローフィスにいつもの感じで言われ、シェイルは真っ赤に頬染めて俯いた。
「…なんで朝っぱらから過激な反応してる?」
「(…いつもの、ローフィスだ…)
え…と。
昨日なんか…ローフィスが出かけた後、急に凄く不安になって。
でその…」
ローフィスには…繰り返し辛い夢を見ていたシェイルを、ワーキュラスに幻で見せて貰っていたから。
つい囁いた。
「…不安、沈めて貰うためにディアヴォロスと寝たのか?
お前、ちゃんと彼だと認識してたか?
よそ事考えてたりすると、相手に失礼だぞ?」
シェイルはびっくりして、顔を上げる。
「…失礼…したかも…僕あの…」
ローフィスはため息吐く。
「ディアヴォロスはお前に惚れてるから。
抱きつかれたりしたらきっと、単にお前が不安だから。
って理由で、“彼の事が凄く好き”
ってワケでなくても、きっと優しく抱いちまうんだろうな」
シェイルは頬を赤く染めてたけど。
ローフィスがいつもの毒舌で。
ついぷうっ。と頬を膨らませ、ふてて言った。
「確かに失礼だったかもだけど!
ちゃんと…彼だと相手は分かってたし、第一ディアヴォロスは凄く、存在感あるから!
ローフィスと間違えたりしない!」
「そんなの、基本だ。
第一俺とディアヴォロス?
どう間違えようがある?
それで間違えたりしたらお前、ディアヴォロスに合わす顔無くなるぞ」
シェイルはまた、ふくれっ面をしたけど、じっ…と、ローフィスの顔を見た。
見つめられて、ローフィスはシェイルを見返す。
緩やかにくねる銀の髪を首筋に巻き付け、大きなエメラルド色の瞳は潤み、小さく柔らかな唇は薔薇色。
ガウンを纏った色白の肌はほんのりピンクで、ディアヴォロスに愛された後のシェイルは圧倒的な艶と仄かな色香を纏い、美しかった。
けれどローフィスの表情は変わらず、無言。
シェイルは一生懸命、ローフィスを見つめる。
少し伏せた、印象的な青の瞳。
明るい栗毛を纏い付かせたローフィスの顔立ちは、まだ少年っぽさを残し、鼻筋も頬も顎も、まだすんなりした曲線であどけなさが残ってるのに。
首筋や肩、腕には青年の力強さが伺い見れて、見つめているとつい、どきっ!としてしまう、初々しい男っぽさがあった。
ローフィスは熱い瞳でシェイルに見つめられ、ようやく口を開く。
「…“抱いて”おねだりか?
『悪いが俺は、腹ペコだしディアヴォロスじゃないから。
さっさと浸かって朝飯のテーブルに来い。
俺は先に食ってるが』
って返事しか、今は出来ない」
シェイルは、心からがっかりして囁いた。
「……ディアヴォロスには、利いたのに」
「残念だったな!」
ローフィスは常備してあるガウンひっかけ、着込むと。
シェイルを残し、さっさと浴室を出て行った。
「ローフィスの、馬鹿っ!」
扉を閉め、ローフィスはその言葉を聞き、思った。
「(…分かってない…。
『今始めちまったら、昼まで放さない自信があるぞ。俺は。
…だから出来ない』
…とは、言えないな)」
ローフィスはため息吐くと、本当に空腹で鳴る腹をなだめ、食堂室へと向かう。
扉を開け、ガウン姿のディアヴォロスの向かいに、座る二人の男を見て、目を見開いた。
「親父…!」
向かいのソファにはローフィスが、目を閉じて沈んでいて、いつの間にかここで、ローフィスと果実酒をあおりながら寝てしまったのだと気づいた。
召使いは目覚めるディアヴォロスに、にっこりと微笑む。
「朝食は、いつでもお召し上がりになれます」
ディアヴォロスは頷き
「ありがとう。
直ぐ行くから」
そう告げて、ローフィスを起こすかどうか迷い、結局立ち上がるとそのまま居間を出て、寝室のシェイルの様子を見に行った。
シェイルは目を閉じ、安らかに眠っていたけど。
戸口でディアヴォロスが見つめていると、ゆっくりと夢から覚めて、目を開ける。
そっと身を起こすと、ディアヴォロスに振り向く。
ディアヴォロスは銀の髪を胸に流す、愛らしくも美しいシェイルに微笑みかける。
「食事が出来るけど…」
シェイルは頷き、けれどディアヴォロスを見つめていると、長身で黒く長い縮れ毛を肩に胸に流し、整いきった男らしくも美しい顔立ちと均整の取れた逞しい体躯が視界に入り、次第に彼と過ごした時間を思い出して、恥ずかしげに頬を染めた。
その初々しい艶にディアヴォロスは見惚れたけれど、囁いた。
「湯に浸かった方がいい。
一人でも入れる?」
シェイルは真っ赤な頬で頷くから、ディアヴォロスは微笑んで頷き返した。
ディアヴォロスが食事用の部屋へ、ガウン姿で入った時。
客が二人、既にテーブルについて、先に食事を取っていた。
その二人を見た途端、ディアヴォロスは神聖騎士の“届け物”が何か分かって、微笑んだ。
ローフィスはディアヴォロスが居間を出て言った後直ぐ目覚め、浴室へと向かう。
一風呂浴びて眠るつもりだったのに。
いつの間に眠ってしまったのかの、意識すら無かった。
軽く湯に浸かって、湯に含まれる薬草で体の汚れを落とし、湯から出て体を拭いていた時。
扉が開いて、シェイルが姿を見せる。
「よぅ」
ローフィスにいつもの感じで言われ、シェイルは真っ赤に頬染めて俯いた。
「…なんで朝っぱらから過激な反応してる?」
「(…いつもの、ローフィスだ…)
え…と。
昨日なんか…ローフィスが出かけた後、急に凄く不安になって。
でその…」
ローフィスには…繰り返し辛い夢を見ていたシェイルを、ワーキュラスに幻で見せて貰っていたから。
つい囁いた。
「…不安、沈めて貰うためにディアヴォロスと寝たのか?
お前、ちゃんと彼だと認識してたか?
よそ事考えてたりすると、相手に失礼だぞ?」
シェイルはびっくりして、顔を上げる。
「…失礼…したかも…僕あの…」
ローフィスはため息吐く。
「ディアヴォロスはお前に惚れてるから。
抱きつかれたりしたらきっと、単にお前が不安だから。
って理由で、“彼の事が凄く好き”
ってワケでなくても、きっと優しく抱いちまうんだろうな」
シェイルは頬を赤く染めてたけど。
ローフィスがいつもの毒舌で。
ついぷうっ。と頬を膨らませ、ふてて言った。
「確かに失礼だったかもだけど!
ちゃんと…彼だと相手は分かってたし、第一ディアヴォロスは凄く、存在感あるから!
ローフィスと間違えたりしない!」
「そんなの、基本だ。
第一俺とディアヴォロス?
どう間違えようがある?
それで間違えたりしたらお前、ディアヴォロスに合わす顔無くなるぞ」
シェイルはまた、ふくれっ面をしたけど、じっ…と、ローフィスの顔を見た。
見つめられて、ローフィスはシェイルを見返す。
緩やかにくねる銀の髪を首筋に巻き付け、大きなエメラルド色の瞳は潤み、小さく柔らかな唇は薔薇色。
ガウンを纏った色白の肌はほんのりピンクで、ディアヴォロスに愛された後のシェイルは圧倒的な艶と仄かな色香を纏い、美しかった。
けれどローフィスの表情は変わらず、無言。
シェイルは一生懸命、ローフィスを見つめる。
少し伏せた、印象的な青の瞳。
明るい栗毛を纏い付かせたローフィスの顔立ちは、まだ少年っぽさを残し、鼻筋も頬も顎も、まだすんなりした曲線であどけなさが残ってるのに。
首筋や肩、腕には青年の力強さが伺い見れて、見つめているとつい、どきっ!としてしまう、初々しい男っぽさがあった。
ローフィスは熱い瞳でシェイルに見つめられ、ようやく口を開く。
「…“抱いて”おねだりか?
『悪いが俺は、腹ペコだしディアヴォロスじゃないから。
さっさと浸かって朝飯のテーブルに来い。
俺は先に食ってるが』
って返事しか、今は出来ない」
シェイルは、心からがっかりして囁いた。
「……ディアヴォロスには、利いたのに」
「残念だったな!」
ローフィスは常備してあるガウンひっかけ、着込むと。
シェイルを残し、さっさと浴室を出て行った。
「ローフィスの、馬鹿っ!」
扉を閉め、ローフィスはその言葉を聞き、思った。
「(…分かってない…。
『今始めちまったら、昼まで放さない自信があるぞ。俺は。
…だから出来ない』
…とは、言えないな)」
ローフィスはため息吐くと、本当に空腹で鳴る腹をなだめ、食堂室へと向かう。
扉を開け、ガウン姿のディアヴォロスの向かいに、座る二人の男を見て、目を見開いた。
「親父…!」
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