若き騎士達の危険な日常

あーす。

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ローフィスの不在

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「ともかく、食事にしよう。
教練キャゼ』には、私の方から使者を送り、君とシェイル、私はしばらくの間、不在にすると告げてあるから」

ローフィスは、何から何まで手回しのいい、ディアヴォロスに無言で頷く。

豪勢な食事の並ぶ食卓で、無言で食べるローフィスに、ディアヴォロスが囁く。
「今、ワーキュラスがいるこの場なら。
君が無茶しそうな時、介入して警告を発して貰える」

「それは俺にこの後シェイルを抱いていい。
と言う許可か?」

ディアヴォロスが、頷く。

ローフィスは顔下げて囁く。
「でも今夜は一度、『教練キャゼ』に帰ってオーガスタスに事情を話しておかないと。
約束もあるから、そっちも手を打つ必要がある」

シェイルが、不安そうに囁く。
「戻って来る?」
ローフィスは頷く。
「夜中になりそうかもだが」

ディアヴォロスが即座に、言った。
「君の馬はここに置いて、馬車を使え。
御者は腕の立つ二人を付ける」

「…グーデンが…追っ手を出すと思ってるのか?」
「いや。
シェイルの伯父の方だ。
君を知ってるし、もし見かけたら君の後を付けて、ここまでやってかねない」

シェイルが、びくっ!と身を震わせた。

ディアヴォロスは気づき、言葉を足す。
「最も長く、『闇の第二』に憑かれていたから。
今頃廃人同様、正気を無くしてるかもしれない。
が、気をつけるに超したことは無い。
私に関わる者だと知られると。
私の敵も君を狙うから」

ローフィスは気づく。
「…アドラフレン関係の?」
ディアヴォロスは頷く。
「私が脅され、動けなくなると。
アドラフレンの勢力は半減する。
アドラフレンの失脚を狙う勢力はまだ完全に撲滅してないから。
君にまで火の粉がかかると、シェイルが心配するから出来れば避けたい」

ローフィスは…頷きたくなかったが、頷いた。
単騎の方が、実際は身軽だと思ったから。

けれどディアヴォロスの提言に、口出しは出来なかった。

ローフィスが服を着替え玄関ホールへ出て行くと。
シェイルが行こうとするローフィスの背に抱きつく。

ローフィスは振り向き、シェイルはまた、ぴったり身を寄せて抱きつきローフィスを見上げ、囁く。
「…帰って来てね?」
ローフィスは無言で頷き、離したく無さそうな泣き出しそうな表情のシェイルの可憐な顔を見つめ、屈んで顔を寄せる。

シェイルは近づくローフィスの唇に唇を押し当て…。
それはまるっきり、熱愛してる恋人同士に見えた。

ローフィスも自覚してるのか、シェイルの唇を放すと、チラ…と背後で腕組みして立ってる、ディアヴォロスを見る。

まるで
『頼んだ』
と言うような視線を向け、さっとシェイルに背を向け、歩き去る。

扉が閉まると、シェイルはまだ心配そうに扉を見つめてるから。
ディアヴォロスはため息を吐きながら、そっとシェイルの背に手を触れ、室内へと促した。

扉を開け、さっきの寝室へシェイルを押して囁く。
「少し眠ったら?
疲れてるだろう?」

けれどシェイルは、ディアヴォロスの着衣ガウンの袖を放さない。
「…一人じゃ…眠れない」

ディアヴォロスは頷く。
そしてシェイルと一緒に、寝台へと歩いた。

横になるとシェイルも横に来る。
そしてぴったりと身を寄せて抱きついて来るから…ディアヴォロスは正直、上がって来る熱と戦った。

「そんなに…不安?」
尋ねると、シェイルは頷く。

ワーキュラスが、ディアヴォロスの心の中で囁いた。
“私のせいで。
ここには光が満ちてる。
光は心の奥底の不安を浮かび上がらせる。
それは…治すための課程の一つだが…。
シェイルは今、亡くした父の事をかなりはっきり、思い出しているから、ローフィスが父のようにならないかと不安なんだ”

ディアヴォロスは頷く。
そして俯くシェイルに顔を寄せ、囁く。

「ローフィスに付けた御者二人は…宮廷警備の長、アドラフレンの腕利きの部下二人で。
目端が利いてどんな尾行も巻くし、狼藉者もたちどころに撃退する。
だからローフィスは安全だ。
第一危険なら…ローフィスはここに長く居て、ワーキュラスがもう、ローフィスの輝きを覚えたから。
ワーキュラスがローフィスの足跡を辿って、危なければ教えてくれる。
私が血相変えてここを出て行ったら。
その時が本当に、ローフィスの危険な時だから。
そうなってから、心配すればいい」

シェイルはディアヴォロスを見つめる。
さっきの…夢の中だと思ってた時のように、透けるブルー・サファイアの瞳をしていた。

シェイルはつい、顔を寄せてそう言った、ディアヴォロスに口づける。
そして囁く。
「僕…僕もうずっと嫌だった…。
グーデンに掴まって、嫌らしい目で見られて…。
僕…おかしくされるなら、貴方やローフィスがいい…」

そう呟いてシェイルは抱きついて来るから…ディアヴォロスは彼が、抱いて欲しいんだと感じた。
自身の性欲じゃなく、愛玩のように扱われたその体験を消したくて、否応なしに情事をする必要に促されてるのだと。

“抱き止めてくれる確かな腕が欲しい”

ディアヴォロスにシェイルの内心の声が聞こえ、嫌な体験を打ち消したいシェイルの気持ちは分かったけど。
ディアヴォロスは胸に顔を埋める華奢なシェイルの温もりを感じるともう、情欲が湧き上がり、そっと胸からシェイルの顔を離して、顔を傾け口づける。

シェイルは拒むどころか応えてきて、そっと舌を差し入れると身を震わすから…。
そこでディアヴォロスの理性は、飛んだ。

狂おしくシェイルの舌を誘い、絡ませるとシェイルが感じたように身震いする。
だから唇を離し頬に、そして首筋に唇を這わせ、胸元に降りて行ってピンクの愛らしい乳首の横に触れる。
けれどその時。
シェイルが恥ずかしげに、身をよじった。

愛撫して欲しいのだと…ディアヴォロスに分かり、シェイルの可愛らしいピンクの乳首をそっと、唇で覆い尽くす。
舌の腹で舐めると、シェイルの身がビクン!と震った。

「あ…っ…………」

甘い…喘ぎ声で、ディアヴォロスはつい、手で軽く揉み上げて、更に乳首に舌を這わせる。

「んん…っ…」

歓喜に近い甘い喘ぎ声に促され…ディアヴォロスは更にもう片方の胸も軽く揉んで、指の腹で乳首を愛撫してやる。

「あ…あっ…」

シェイルの身が、甘やかにくねる。

シェイルはどうして…ディアヴォロスに抱かれると、自分が…女になった気分に成るのか、不思議だった。
どれだけ甘やかに乱れても、ディアヴォロスはその腕で抱き止めてくれる…。

男が消し飛ぶ以前に…自分が…愛されるに相応しい女性になったような気分で…愛撫される事を許容してしまう。

感じて仰け反ると、ディアヴォロスは更に舌できつい愛撫を加え、応えてくれて…。

シェイルは長い銀の髪を散らし、艶やかに身をくねらせた。

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