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始まりの時
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シェイルは横のローフィスを見る。
無言で風呂から上がった後、壁際の棚の、横のフックに並ぶ布を持ち上げ、体を拭き、その横のフックにかかってるガウンを羽織ってる。
ポイ。
と乾いた布を投げられ、シェイルは受け取って体を拭く。
ガウンを手渡され、羽織って…もう扉を開けて出て行くローフィスの後に付いて、シェイルはマントの上のペンダントを掴むと、後を追った。
さっきの…居間には、もうディアヴォロスの姿は無く、ローフィスは掃き出し窓の前を通り、正面にある扉を開けた。
その部屋も南側はやっぱり掃き出し窓で、直ぐ庭に出て行ける。
奥に天蓋付きの寝台が置かれていて、オーガスタスが三人寝ても余裕の広さ。
ローフィスはさっさと寝台に寄ると、その横のテーブルの上からデキャンターとグラスを取り、果実酒を注ぐ。
シェイルは無言のローフィスに、混乱して尋ねる。
「…さっき僕…ヘタだった?
でも直ぐ出ちゃったから…気持ち良かったんだよね?
舐めたのが…ダメ?
けどグーデンは…全部飲ませるとか言ってたよ?
…グーデンが、よっぽど酷いの?」
シェイルはそこで、思い出して顔をしかめる。
「…飲みたくなくて頑張ったけど、少し…飲んじゃった時…グーデンの、最悪にマズかった…。
気持ち悪いし。
苦くて変な味…。
それに比べたらローフィスのって、嘘みたいに美味しかった…けど…」
「分かったもういい!
それ以上は言うな!」
ローフィスが叫んで振り向くから、シェイルはほっとした。
けどローフィスはまた、顔を下げてる。
シェイルはようやく、思い当たって尋ねる。
「…もしかしてローフィス…恥ずかしかった?」
ローフィスはそこで、大きなため息を、吐き出した。
なのでシェイルは尚も聞いた。
「…それとも気持ち良すぎて…」
ローフィスはそこで、大きく頷くから…シェイルはやっとほっとして微笑んだ。
「良かった!」
「俺は良くない…。
あんな事されたら…気持ち良すぎて力抜けまくって、俺からは何にも出来なくなっちゃうじゃ無いか…」
シェイルはそこで、顔を下げる。
「あ、ごめん…。
ローフィスえっちな事、いっぱいしたかったんだ…」
ローフィスは素直に頷きかけて、慌てて首を横に振った。
「…どっち?」
シェイルに突っ込まれて、ローフィスはまた、顔を思い切り下げた。
「…僕ずっと…あの女将さんに代わって僕が…ローフィスとしたかったんだ。
だから…」
ローフィスは真っ赤に成って頷く。
「だから俺の事、勃たせた後。
自分に挿入れたかったんだな?
だがもう俺、勃ってたし!
そこで舐められたら…」
「…口で出ちゃった?」
「…そう!」
「僕に挿入れる前に?」
「そう!」
「それが…ショック?」
ローフィスが、額に手を当て黙り込むから。
シェイルは呆けた。
がローフィスは額に手を当てたまま、突然叫ぶ。
「ともかく当分、俺の事舐めるの禁止!」
「…分かった」
「…お前がして欲しいコト、してやるから」
「…僕…だとローフィスきっと、欲求不満になると思う。
だってえっちな事、した事無いから…何して欲しいか分かんない。
…あ!
ディングレーが言ってた、持ち上げて落とすの。
それやってみたい!」
ローフィスが、睨んでるっぽくて、シェイルは怯んだ。
「…もしかして、凄く…ヤバい事?」
ローフィスが、頷く。
「体がえっちな事にうんと慣れてないと。
無理だ」
シェイルはそれを聞いて頬を染める。
「…なんかうんとえっちな体って言い方…卑猥…」
ローフィスは可愛らしく恥ずかしがるシェイルを見つつ、必死に言葉を吐き出す。
「えっちな事は殆どが、卑猥だ」
そしてシェイルに、グラスを差し出して言う。
「ここで決めろ。
もう止めて。
えっちする相手は惚れた女の子とするか。
俺と続けるか」
シェイルはふくれた。
「好きな女の子なんていないし、ローフィスとしたいに決まってる」
「だけどお前、俺が雄になると怖いんだろう?
ホントは」
「ローフィスは怖く無い。
ローフィスにされるとおかしくなって自分が変わっちゃうから、怖い」
「お前を抱きたい男は大抵、うんとお前をおかしくさせて、自分好みのえっちなヤツに変えたい」
「…ローフィスも?」
ローフィスは凄く、言い淀みつつも言い返す。
「…大抵の男にされる少年は、強引に受け入れる体に変えられて、戻れなくて仕方無いから開き直る。
元来されるのが凄く好きな性質で無い限りは、そっちのパターンが殆ど。
俺は、お前にそんな風になって欲しくないから…」
「僕、どっちかもっとされないと、分かんない」
「お前、そんなに俺にされたいの?
『影』のいなくなった、今でも?
でも『影』から守るの、俺の他に今はディアヴォロスもいる。
少しは真面目に考えろよ。
あんなぞっとする『影』に付け狙われなくなったんだ。
もう怯えなくていい。
真っ当な人生、送れるんだぜ?」
「それどんなのか、全然分かんない」
ローフィスはまた、ため息を吐いた。
「じゃあ俺も真面目に聞くけど。
お前、男にされるの、好きなの?」
シェイルは可愛らしくにっこり、微笑んだ。
「ローフィスに、されるのが好き」
結局逆戻りで、ローフィスは内心大きくため息吐き出した。
「(…つまり、人形から人間に戻った時俺がいたから。
ひよこの刷り込みと一緒で、俺しか見えてなくて、俺さえいれば安心で。
さらにそこで成長も思考も、止まったままなんだな………)」
けれど寝台に上り、横になるシェイルは明らかに艶を纏い始め、仄かな色香すら漂わせ、初々しくってめちゃくちゃ綺麗で可愛い。
「(…どんな男も狼になって襲いかかりそうなくらい…愛らしくて色っぽい…)」
ローフィスは仕方無く、シェイルの横に転がり込むと、嬉しそうに抱きついた来るシェイルを抱き返し、シェイルを下敷きにして上からシェイルの顔を見つめ返し、愛らしくて小さな赤い唇に、そっと口づけた。
無言で風呂から上がった後、壁際の棚の、横のフックに並ぶ布を持ち上げ、体を拭き、その横のフックにかかってるガウンを羽織ってる。
ポイ。
と乾いた布を投げられ、シェイルは受け取って体を拭く。
ガウンを手渡され、羽織って…もう扉を開けて出て行くローフィスの後に付いて、シェイルはマントの上のペンダントを掴むと、後を追った。
さっきの…居間には、もうディアヴォロスの姿は無く、ローフィスは掃き出し窓の前を通り、正面にある扉を開けた。
その部屋も南側はやっぱり掃き出し窓で、直ぐ庭に出て行ける。
奥に天蓋付きの寝台が置かれていて、オーガスタスが三人寝ても余裕の広さ。
ローフィスはさっさと寝台に寄ると、その横のテーブルの上からデキャンターとグラスを取り、果実酒を注ぐ。
シェイルは無言のローフィスに、混乱して尋ねる。
「…さっき僕…ヘタだった?
でも直ぐ出ちゃったから…気持ち良かったんだよね?
舐めたのが…ダメ?
けどグーデンは…全部飲ませるとか言ってたよ?
…グーデンが、よっぽど酷いの?」
シェイルはそこで、思い出して顔をしかめる。
「…飲みたくなくて頑張ったけど、少し…飲んじゃった時…グーデンの、最悪にマズかった…。
気持ち悪いし。
苦くて変な味…。
それに比べたらローフィスのって、嘘みたいに美味しかった…けど…」
「分かったもういい!
それ以上は言うな!」
ローフィスが叫んで振り向くから、シェイルはほっとした。
けどローフィスはまた、顔を下げてる。
シェイルはようやく、思い当たって尋ねる。
「…もしかしてローフィス…恥ずかしかった?」
ローフィスはそこで、大きなため息を、吐き出した。
なのでシェイルは尚も聞いた。
「…それとも気持ち良すぎて…」
ローフィスはそこで、大きく頷くから…シェイルはやっとほっとして微笑んだ。
「良かった!」
「俺は良くない…。
あんな事されたら…気持ち良すぎて力抜けまくって、俺からは何にも出来なくなっちゃうじゃ無いか…」
シェイルはそこで、顔を下げる。
「あ、ごめん…。
ローフィスえっちな事、いっぱいしたかったんだ…」
ローフィスは素直に頷きかけて、慌てて首を横に振った。
「…どっち?」
シェイルに突っ込まれて、ローフィスはまた、顔を思い切り下げた。
「…僕ずっと…あの女将さんに代わって僕が…ローフィスとしたかったんだ。
だから…」
ローフィスは真っ赤に成って頷く。
「だから俺の事、勃たせた後。
自分に挿入れたかったんだな?
だがもう俺、勃ってたし!
そこで舐められたら…」
「…口で出ちゃった?」
「…そう!」
「僕に挿入れる前に?」
「そう!」
「それが…ショック?」
ローフィスが、額に手を当て黙り込むから。
シェイルは呆けた。
がローフィスは額に手を当てたまま、突然叫ぶ。
「ともかく当分、俺の事舐めるの禁止!」
「…分かった」
「…お前がして欲しいコト、してやるから」
「…僕…だとローフィスきっと、欲求不満になると思う。
だってえっちな事、した事無いから…何して欲しいか分かんない。
…あ!
ディングレーが言ってた、持ち上げて落とすの。
それやってみたい!」
ローフィスが、睨んでるっぽくて、シェイルは怯んだ。
「…もしかして、凄く…ヤバい事?」
ローフィスが、頷く。
「体がえっちな事にうんと慣れてないと。
無理だ」
シェイルはそれを聞いて頬を染める。
「…なんかうんとえっちな体って言い方…卑猥…」
ローフィスは可愛らしく恥ずかしがるシェイルを見つつ、必死に言葉を吐き出す。
「えっちな事は殆どが、卑猥だ」
そしてシェイルに、グラスを差し出して言う。
「ここで決めろ。
もう止めて。
えっちする相手は惚れた女の子とするか。
俺と続けるか」
シェイルはふくれた。
「好きな女の子なんていないし、ローフィスとしたいに決まってる」
「だけどお前、俺が雄になると怖いんだろう?
ホントは」
「ローフィスは怖く無い。
ローフィスにされるとおかしくなって自分が変わっちゃうから、怖い」
「お前を抱きたい男は大抵、うんとお前をおかしくさせて、自分好みのえっちなヤツに変えたい」
「…ローフィスも?」
ローフィスは凄く、言い淀みつつも言い返す。
「…大抵の男にされる少年は、強引に受け入れる体に変えられて、戻れなくて仕方無いから開き直る。
元来されるのが凄く好きな性質で無い限りは、そっちのパターンが殆ど。
俺は、お前にそんな風になって欲しくないから…」
「僕、どっちかもっとされないと、分かんない」
「お前、そんなに俺にされたいの?
『影』のいなくなった、今でも?
でも『影』から守るの、俺の他に今はディアヴォロスもいる。
少しは真面目に考えろよ。
あんなぞっとする『影』に付け狙われなくなったんだ。
もう怯えなくていい。
真っ当な人生、送れるんだぜ?」
「それどんなのか、全然分かんない」
ローフィスはまた、ため息を吐いた。
「じゃあ俺も真面目に聞くけど。
お前、男にされるの、好きなの?」
シェイルは可愛らしくにっこり、微笑んだ。
「ローフィスに、されるのが好き」
結局逆戻りで、ローフィスは内心大きくため息吐き出した。
「(…つまり、人形から人間に戻った時俺がいたから。
ひよこの刷り込みと一緒で、俺しか見えてなくて、俺さえいれば安心で。
さらにそこで成長も思考も、止まったままなんだな………)」
けれど寝台に上り、横になるシェイルは明らかに艶を纏い始め、仄かな色香すら漂わせ、初々しくってめちゃくちゃ綺麗で可愛い。
「(…どんな男も狼になって襲いかかりそうなくらい…愛らしくて色っぽい…)」
ローフィスは仕方無く、シェイルの横に転がり込むと、嬉しそうに抱きついた来るシェイルを抱き返し、シェイルを下敷きにして上からシェイルの顔を見つめ返し、愛らしくて小さな赤い唇に、そっと口づけた。
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