若き騎士達の危険な日常

あーす。

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怯える本能

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 ローフィスはシェイルを抱きしめ、味わった幸福感に浸りきっていた。
けれど直ぐ、顔を上げてシェイルの…あどけない柔らかな、小さく赤い唇を求める。

口づけ、そして舌を差し入れ絡ませ…。

“どうして…唇にキス出来ないと言い続けてたか…分かるか?シェイル…。
ずっと…こうしたかった。
口づけてお前を俺だけのものに…する為に"

ローフィスはシェイルの唇に触れるだけで無く、舌を絡みつかせて思うさま舌で愛撫する。
くねる舌の熱さに、シェイルが震え出し、ローフィスにきつく抱きしめられてシェイルは正体を無くす。

それは暖かく優しい肉親の情愛では無く、間違いなく男の…。
雄としての情愛。

きつく抱かれ、腰を進められて足を開かされ、そして…。

シェイルが一瞬、ローフィスの…あまりの熱さと雄としての激しさに、びくっ!と身を震わす。
けれどローフィスはもう…自分を抑えられなかった。

シェイルの腰を引き寄せる。
顔を見つめまた、口づけてそして…。

シェイルの細い腿を思い切り自分に密着する程に引き寄せ、ゆっくり双丘の間を、自身の猛ったもので擦り挿入場所を見つけ、ゆっくりとめり込ませた。

「…っあっ…!」

シェイルが腕の中でびくん!と大きく身を揺する。

けれどローフィスは一気に奥まで滑り込ませ、シェイルのいい場所を狙い澄まし、ゆっくりと突き始める。

「…っああっん…っ!………っあ!」

ゆっくりだっけど…感じる場所に来ると激しく抉られ、シェイルはその都度、身を震わせて仰け反る。

「…っあ…っ!」

上ずって掠れた…喘ぎ声…。

ローフィスはそれを聞いて少しずつ、速度を速めた。

もっと高める為もあった。
けど…シェイルをもっと。
もっと、感じさせたかった。
声を聞き続け…そしてうんと…乱れさせてそして…。

シェイルはローフィスに、そうされたいと願ってると…自分に言い聞かせた。
でもローフィスに激しく情熱的に突かれた時。
初めて痛烈に感じた。

自分が、男だったのだと…。

ずっとローフィスと…同性として同じ場所に居た。

けれどローフィスに愛されれば…自分は違う場所…男の姿をした女へと…押しやられるのだと。
初めて感じ、内心戸惑った。

まるで激しい熱で、別の場所へと追いやられ、引き離されるように、心は感じた。
体は…ぴったりと、愛しいローフィスと密着し、彼の情熱を注ぎ込まれてるのに…。

シェイルは一層、激しく抉り腰を進めるローフィスに、しがみつく。

“どうして…?
だってこれは、望んだ事なのに…!"

「あんっ!…っあ…あっ…!」

掠れた甘い喘ぎを…自分は発し、ローフィスの熱で自身も火照りきって、正気は遠ざかって行くのに。

きっとどれ程の痴態を晒しても、ローフィスは受け止めてくれる。
なのに残った僅かな理性が…怯えてる…。

怯えて…る?

闇がその向こうに見える。
笑って。

“嘘だ…!
ローフィスは光だ!
闇の手下になんて、ならない!
絶対…ローフィスは伯父やグーデンのようには、ならない!
なったりしない!"

でもその時。
気の毒そうに囁く声がした。

“君の男としての本能が…君を怯えさせている…。
闇は確かに、そこにあるけど。
闇の思惑は別…"

その時。
シェイルにようやく、分かった。

“女"に成り下がる事を自分の男としての本能が…拒絶してるのだと。

シェイルは泣きながら、ローフィスにきつく抱きつく。
ローフィスはようやくそこで、シェイルが気持ち良くなってないのか?
と気遣うようにシェイルを見つめた。

けれどシェイルが身をぴったりと寄せ、抱きつくから…。
続けて良いんだとローフィスは感じ、更にきつく抉り上げる。

「ああっ!…っん…っ」

激しい快感に身を貫かれながら…けれどシェイルは心の中で、囁きかけて来た声に尋ねた。

“…本能が…ローフィスの熱さで消えてしまえば、怖く無くなる?”
“強引に奪う者らは君の本能の恐怖ですらお構いなしだが、ローフィスはとても君を気遣ってる。
だから…君はみずかららの本能の拒絶を、感じる余裕まである”

シェイルは、頷く。

けれどローフィスは熱くて…抱きすくめてくれる腕は確かで。

“彼の…胸の中にずっといて…。
彼に抱きしめられ続けたいと思うのは…間違い?”

声は気の毒げに囁く。

“子供の頃のように。
とは…もう行かないし、ローフィスも出来ないと本心では強く思ってる。
ローフィスに一番愛される者で居続けるには…君は自分の男としての本能を捨てなければならない。
ローフィスはその事を知っている。
だからローフィスは、自分の一方的な思いで男としての君を消す事を、望んでない”

シェイルは頷く。

ローフィスが大人になるから…。
少年から青年へと、なっていくから…。

だから置いて行かれたくなくて、自分もなろうとしたけど…。

“本当…はまだ、僕は子供のまま…。
そうなんだね?
身体は変わっても、心は…変わってない…。
だから僕の本心は、大人になろうとするローフィスを引き戻そうと願ってる。
子供の、ままで居て欲しいと”

“でもそれ以前に。
君には…君の心には、ずっと昔から男としての自覚が、まず無い。
男と言うより人間であろうとすることすら、君は受け入れられず、人形で居続けなければならないと、思い込んでしまっていたから。
ローフィスが人形だった君を、人間に戻したけど。
けど君は…君の心は。
そこで、止まってしまっている。
男にも女にも、なっていない。

けれど成長は止まらず、体は男だと、主張してる。
つまり…”

“心が体に…ついて行かない?”
“そう。
君が自分のちぐはぐさに怯え、ローフィスを自分から手放す事を…闇は待ち構えてる”

シェイルの心臓が、どっくん!
と鳴った。

ローフィスが高まりきって解き放つ。

シェイルはぐったりしたローフィスの体に、しがみつくようにして抱きついた。

“僕…がローフィスを…手放す…”

“君はそれが嫌で、自分の男としての本能を、ねじ伏せようとする。
けれどそうすればする程、君は辛くなり、いつか疲れてローフィスを手放す。
あの闇は、その時を狙ってる。

たいていの場合、人は欲する物を手に入れても…満足はしばらくの間だけ。
…いずれ思い描く理想とは違って来て…欲したものは以前の輝きを無くし、いらないものへと変貌を遂げる。
変貌するのは…欲する者の心。
欲された物は、変貌などしやしないのに。

それが…人間の不思議だ”

シェイルはその時ようやく…声の主が人間では無く…ディアヴォロスの中に居る、光竜ワーキュラスだと、知った………。


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