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姿を見せない男
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オーガスタスがユネックと肩を並べて三年席に戻ると、四年達が立ち上がる。
しかし、場内はざわつきまくった。
「ディアヴォロスは?」
「彼はどうした?」
「姿が、見えないぞ?!」
講師らも、戸口へ走る者。
場内を見回す者…。
そして集って協議する者と、慌ただしく駆け回ってる。
四年らは続々と中央に集まり始める。
が、ディアヴォロスの姿はやはり、見当たらない。
ざわざわとざわめき渡る場内。
「どうなるんだ?
ディアヴォロスは出ないって事なのか?」
「今年で最後なのに!
ディアヴォロスが見られないなんて、嘘だろう?!」
一年らは上級達の騒ぎようを、首を振って見回す。
四年らは中央に出揃うものの、講師始め、下級らの騒ぎに困惑気味。
流石最上級だけあり、皆が体格良く、面構えもいい。
その男達が剣を下げたまま、事の成り行きを見守り、所在なく待っている。
一人の講師が駆け込み、集う講師らに何か告げる。
場内の誰もが一斉注目し、ごくり。と唾を飲み込んだ。
講師らはそれぞれ何か言い合い、会場中が注目してるというのに、まだ言い争ってる。
やっと
「…じゃあ、それでいいな?」
と一人の講師の言葉に、他の講師らが頷く。
講師の一人が振り返り、会場に向け、大声で怒鳴った。
「…ディアヴォロスは遅れてる!!!
が、彼はシード扱い!!!
最終戦に、間に合わなければ失格とする!!!」
その言葉に、場内は一応は、ほっとした空気が流れ…。
それでも皆、口々に囁き合う。
「遅れてるって…間に合うのか?!」
「頼む!
間に合ってくれ!!!」
「間に合わなければ?!
ディアヴォロスの姿が見れないなんて、俺は嫌だ!」
「俺だってディアヴォロスが見たい!」
ヤッケルもシェイルもが、思わずディアヴォロスと同じ王族の、ディングレーを見る。
三年席の、オーガスタスとローフィスでさえ。
ディングレーは顔を下げ、ふと視線に気づき、シェイルとヤッケル。
オーガスタスとローフィスの視線を、首を振って確認後、怒鳴った。
「俺だって、彼が来なくて動揺してる!!!」
四年達は二列に並んで向かい合ってる真っ最中なのに、皆一斉に怒鳴るディングレーに、注視した。
ディングレーは…どちらかと言うとローフィスに怒鳴ったつもりだったのに、校内中の男に見つめられ、内心焦った。
その時扉が開く。
場内は一斉に、今度は扉に注目した。
が、入って来たのは講師の一人。
「…なんだ…」
「ディアヴォロスかと思った」
場内の全員が、がっかりして首を下げる。
が今度は、入って来た講師が他の講師に何かを話してる様子を、場内の皆は固唾を飲んで見守る。
「…彼まさかの欠席?」
「…来るん…だよな?
ディアヴォロス…」
「欠場なんて…考えたくないぜ…」
一年らはディアヴォロスの姿が見えず、動揺しまくる上級の様子を、首を振って見回しながら、ディアヴォロスの戦い様ってどんなだろう?
と、興味を引かれまくった。
四年は対戦相手と向かい合い、振って良いのか?
と剣を持ち上げながら迷い…。
内の一人が、講師に叫ぶ。
「始めていいか?!」
四年、剣の講師が振り向き、慌てて駆けつけ
「始め!」
と手を上げて怒鳴った。
が、ざわつきは収まらない。
「ディアヴォロスが来るまで、待たないのか?!」
「…だよな。
待ったっっていいのに…」
が、四年らは剣を交え始める。
さすが最上級生だけあって、どの組も見応えがあった。
既にほぼ全員が、騎士として、更に剣士としての、風格十分。
腰の入った一振りは力強く、振り下ろすだけでもう、格好良かった。
あちこちで剣がかち合う度、火花が散る。
ガンっ!
ガチンっ!!!
どの組も、決着は簡単につきそうに無い。
ガッツ!!!
一人が相手の腹に剣を突きつけ
「それまで!!!」
と叫ばれる。
あちこちで、剣を相手の急所に突きつけての勝ちが、決定していた。
一人。
また一人と勝ち組の列へと並び始める。
けれど場内の一年を除く誰もが、試合が少しでも長引くよう、祈り続けた。
しかし、場内はざわつきまくった。
「ディアヴォロスは?」
「彼はどうした?」
「姿が、見えないぞ?!」
講師らも、戸口へ走る者。
場内を見回す者…。
そして集って協議する者と、慌ただしく駆け回ってる。
四年らは続々と中央に集まり始める。
が、ディアヴォロスの姿はやはり、見当たらない。
ざわざわとざわめき渡る場内。
「どうなるんだ?
ディアヴォロスは出ないって事なのか?」
「今年で最後なのに!
ディアヴォロスが見られないなんて、嘘だろう?!」
一年らは上級達の騒ぎようを、首を振って見回す。
四年らは中央に出揃うものの、講師始め、下級らの騒ぎに困惑気味。
流石最上級だけあり、皆が体格良く、面構えもいい。
その男達が剣を下げたまま、事の成り行きを見守り、所在なく待っている。
一人の講師が駆け込み、集う講師らに何か告げる。
場内の誰もが一斉注目し、ごくり。と唾を飲み込んだ。
講師らはそれぞれ何か言い合い、会場中が注目してるというのに、まだ言い争ってる。
やっと
「…じゃあ、それでいいな?」
と一人の講師の言葉に、他の講師らが頷く。
講師の一人が振り返り、会場に向け、大声で怒鳴った。
「…ディアヴォロスは遅れてる!!!
が、彼はシード扱い!!!
最終戦に、間に合わなければ失格とする!!!」
その言葉に、場内は一応は、ほっとした空気が流れ…。
それでも皆、口々に囁き合う。
「遅れてるって…間に合うのか?!」
「頼む!
間に合ってくれ!!!」
「間に合わなければ?!
ディアヴォロスの姿が見れないなんて、俺は嫌だ!」
「俺だってディアヴォロスが見たい!」
ヤッケルもシェイルもが、思わずディアヴォロスと同じ王族の、ディングレーを見る。
三年席の、オーガスタスとローフィスでさえ。
ディングレーは顔を下げ、ふと視線に気づき、シェイルとヤッケル。
オーガスタスとローフィスの視線を、首を振って確認後、怒鳴った。
「俺だって、彼が来なくて動揺してる!!!」
四年達は二列に並んで向かい合ってる真っ最中なのに、皆一斉に怒鳴るディングレーに、注視した。
ディングレーは…どちらかと言うとローフィスに怒鳴ったつもりだったのに、校内中の男に見つめられ、内心焦った。
その時扉が開く。
場内は一斉に、今度は扉に注目した。
が、入って来たのは講師の一人。
「…なんだ…」
「ディアヴォロスかと思った」
場内の全員が、がっかりして首を下げる。
が今度は、入って来た講師が他の講師に何かを話してる様子を、場内の皆は固唾を飲んで見守る。
「…彼まさかの欠席?」
「…来るん…だよな?
ディアヴォロス…」
「欠場なんて…考えたくないぜ…」
一年らはディアヴォロスの姿が見えず、動揺しまくる上級の様子を、首を振って見回しながら、ディアヴォロスの戦い様ってどんなだろう?
と、興味を引かれまくった。
四年は対戦相手と向かい合い、振って良いのか?
と剣を持ち上げながら迷い…。
内の一人が、講師に叫ぶ。
「始めていいか?!」
四年、剣の講師が振り向き、慌てて駆けつけ
「始め!」
と手を上げて怒鳴った。
が、ざわつきは収まらない。
「ディアヴォロスが来るまで、待たないのか?!」
「…だよな。
待ったっっていいのに…」
が、四年らは剣を交え始める。
さすが最上級生だけあって、どの組も見応えがあった。
既にほぼ全員が、騎士として、更に剣士としての、風格十分。
腰の入った一振りは力強く、振り下ろすだけでもう、格好良かった。
あちこちで剣がかち合う度、火花が散る。
ガンっ!
ガチンっ!!!
どの組も、決着は簡単につきそうに無い。
ガッツ!!!
一人が相手の腹に剣を突きつけ
「それまで!!!」
と叫ばれる。
あちこちで、剣を相手の急所に突きつけての勝ちが、決定していた。
一人。
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けれど場内の一年を除く誰もが、試合が少しでも長引くよう、祈り続けた。
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