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浮き足立つ校内
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朝の講師の通達後、校内はざわめき渡った。
誰もが少しでも気合い入れようと、練習場に足を運ぶ。
ので、どの練習場も、剣を持つ生徒でごった返していた。
ローランデとフィンスが、ヤッケルと共にディングレー私室を訪れる。
が、ディングレーは私室に入る手前の、大貴族らが集う食堂で、大貴族らと優雅な朝食を取っていて…。
フィンスは目を見開く。
そっと横のローランデに
「さすが、余裕ですね」
と小声で囁き、ローランデは微笑んで頷く。
ディングレーはフォークを置くと
「部屋へ行っててくれ。
終えたら俺も戻る」
と声をかけ、ローランデとフィンスは微笑んで頷いた。
デルアンダーが、椅子の背後を通り過ぎるヤッケルに、振り向いて小声で尋ねる。
「で、昨夜ローフィス殿はシェイルと…?」
大貴族食卓の皆が、興味津々でヤッケルの返答に注視する。
「………………………………………」
ヤッケルは、凄く育ちの良く品も良く、それでいて強そうな二年大貴族らに一斉に見つめられ、目を見開く。
暫くの沈黙後、ディングレーに救難の視線を送る。
皆がディングレーに振り向こうとした、その時。
オーガスタスがディングレーの私室から、その長身の姿を見せ、食卓にご馳走が並ぶのを見て、近寄って言う。
「…腹が減った。
誰に言えば食わせて貰える?」
テーブルの一人が、横の開いてる空の椅子を見つつ。
大きなオーガスタスが座ってもぶつからないよう、横に椅子を引いて距離を取る。
オーガスタスは移動する椅子の音を合図に、ディングレーに振り向く。
「あそこに座っても、構わないのか?」
ディングレーは頷く。
「下座だが…」
オーガスタスは即答した。
「食えれば何でもいい」
ディングレーは目で空の椅子をオーガスタスに指しながら、背後の召使いに告げる。
「直ぐ、一人分の給仕を頼む」
オーガスタスはスタスタと空いてる椅子まで来て、椅子を引き
「二人分頼む」
と言いながら腰掛ける。
召使いはディングレーに頷かれて、食事のワゴンから、皿を持ってオーガスタスの方へ歩き出す。
ヤッケルは…返事せずに済んで、ほっとした。
なぜなら返答に興味を持ってた二年大貴族らは、平貴族ながら年上のオーガスタスの迫力に飲まれたように…固唾を飲んで同じテーブルに着くオーガスタスを、食事の手を止めて見つめていたから。
が、オーガスタスは全然気にする様子も無い。
ついヤッケルは、前で立ち止まって様子を見てるフィンスに
「オーガスタスくらい大物なら…平貴族だろうが、身分気にしないんだな」
と耳打ちした。
フィンスは頷く。
「大貴族ですら従わせる程、迫力ありますもんね」
ローランデだけが。
ディングレー私室の扉の前で、まだ食卓の椅子の背後で食事風景を見てる、フィンスとヤッケルに振り向き、待った。
フィンスとヤッケルは気づいて、王族私室の扉へと歩く。
が、デルアンダーは咄嗟、去って行くヤッケルに振り向く。
「…返事は?」
ヤッケルは、ぎくっ!として足を止めた。
そして…侍従に料理の乗った皿を目前に置かれてる、オーガスタスに声かける。
「ローフィスって結局…シェイルの事、抱いたと思う?」
その場は全員、その直接話法に慌てふためきつつも、表面だけは必死で平静を装う中。
オーガスタス、だけはフオークに刺した肉を口に運びつつ、平気で答える。
「睡眠薬取りに来たの、お前見てなかったっけ?
あれ飲んだら、どんだけ精力旺盛な男だろうが、ナニも出来ずに、寝る」
ヤッケルは慌てるデルアンダーに、振り向く。
「…だ、そうだ」
こっそり聞き出すつもりのデルアンダーは、オーガスタスに
『私的な事に首突っ込むな』
と睨まれないかと、顔を下げる。
が、オーガスタスは構わず食事を続け…凄く気まずい食卓に突如気づき、顔を上げる。
「…お前らも近衛に進むんなら、女のいない戦場では男の“夜付き人”に、世話になるんだろう?
まさか…これだけ面構えのいい、いっぱしの男ヅラして、この話題が恥ずかしいのか?」
と聞くので…。
皆は一斉に、彼らの中で一番身分高い、ディングレーの顔色をうかがう。
ディングレーは代表しての返答を任され、少し不快そうに眉をひそめながらも、言った。
「…普通朝食の席で、夕べの情事の話はしない」
皆、ディングレーの言葉に頷く中、オーガスタスだけがフォークを止めて目を見開く。
「マジか?
無事、意中の可愛い下級を口説けて、自室のベットに連れ込んだとか。
酒場で女と、珍しくとんとん拍子に上手く行って、二階(寝台付きの個室がある)へシケ込んだとか。
更にはそこで、どんなコトして相手に白けられたとか。
自慢のテクを具体的に説明し、それを駆使して首尾良くイかせた…とかの…話は…………」
オーガスタスの意見に、ディングレー始め、皆が一斉に顔を下げるので…。
オーガスタスは暫く無言で野菜をぽりぽり食べた後、顔を上げて言った。
「…お前らマジ、男?」
ディングレーがそれを聞いて、ため息交じりに水のグラスを取り、他の大貴族らも習って水のグラスを取って、皆一斉に水を飲んで誤魔化した。
フィンスとヤッケルも顔を下げつつ、ローランデの横に来て、三人はそそくさと、ディングレー私室に逃げる。
扉が閉まると、ローランデが
「食事中に情事の話は…流石に食は、進まないと思うんですけど」
と感想を述べ、フィンスは頷き、ヤッケルは
「いや、そこじゃなくて…。
俺なら、話したくても話せる武勇伝が無くて…凄く、気まずい」
と言い、ローランデとフィンスに、揃って振り向かれた。
誰もが少しでも気合い入れようと、練習場に足を運ぶ。
ので、どの練習場も、剣を持つ生徒でごった返していた。
ローランデとフィンスが、ヤッケルと共にディングレー私室を訪れる。
が、ディングレーは私室に入る手前の、大貴族らが集う食堂で、大貴族らと優雅な朝食を取っていて…。
フィンスは目を見開く。
そっと横のローランデに
「さすが、余裕ですね」
と小声で囁き、ローランデは微笑んで頷く。
ディングレーはフォークを置くと
「部屋へ行っててくれ。
終えたら俺も戻る」
と声をかけ、ローランデとフィンスは微笑んで頷いた。
デルアンダーが、椅子の背後を通り過ぎるヤッケルに、振り向いて小声で尋ねる。
「で、昨夜ローフィス殿はシェイルと…?」
大貴族食卓の皆が、興味津々でヤッケルの返答に注視する。
「………………………………………」
ヤッケルは、凄く育ちの良く品も良く、それでいて強そうな二年大貴族らに一斉に見つめられ、目を見開く。
暫くの沈黙後、ディングレーに救難の視線を送る。
皆がディングレーに振り向こうとした、その時。
オーガスタスがディングレーの私室から、その長身の姿を見せ、食卓にご馳走が並ぶのを見て、近寄って言う。
「…腹が減った。
誰に言えば食わせて貰える?」
テーブルの一人が、横の開いてる空の椅子を見つつ。
大きなオーガスタスが座ってもぶつからないよう、横に椅子を引いて距離を取る。
オーガスタスは移動する椅子の音を合図に、ディングレーに振り向く。
「あそこに座っても、構わないのか?」
ディングレーは頷く。
「下座だが…」
オーガスタスは即答した。
「食えれば何でもいい」
ディングレーは目で空の椅子をオーガスタスに指しながら、背後の召使いに告げる。
「直ぐ、一人分の給仕を頼む」
オーガスタスはスタスタと空いてる椅子まで来て、椅子を引き
「二人分頼む」
と言いながら腰掛ける。
召使いはディングレーに頷かれて、食事のワゴンから、皿を持ってオーガスタスの方へ歩き出す。
ヤッケルは…返事せずに済んで、ほっとした。
なぜなら返答に興味を持ってた二年大貴族らは、平貴族ながら年上のオーガスタスの迫力に飲まれたように…固唾を飲んで同じテーブルに着くオーガスタスを、食事の手を止めて見つめていたから。
が、オーガスタスは全然気にする様子も無い。
ついヤッケルは、前で立ち止まって様子を見てるフィンスに
「オーガスタスくらい大物なら…平貴族だろうが、身分気にしないんだな」
と耳打ちした。
フィンスは頷く。
「大貴族ですら従わせる程、迫力ありますもんね」
ローランデだけが。
ディングレー私室の扉の前で、まだ食卓の椅子の背後で食事風景を見てる、フィンスとヤッケルに振り向き、待った。
フィンスとヤッケルは気づいて、王族私室の扉へと歩く。
が、デルアンダーは咄嗟、去って行くヤッケルに振り向く。
「…返事は?」
ヤッケルは、ぎくっ!として足を止めた。
そして…侍従に料理の乗った皿を目前に置かれてる、オーガスタスに声かける。
「ローフィスって結局…シェイルの事、抱いたと思う?」
その場は全員、その直接話法に慌てふためきつつも、表面だけは必死で平静を装う中。
オーガスタス、だけはフオークに刺した肉を口に運びつつ、平気で答える。
「睡眠薬取りに来たの、お前見てなかったっけ?
あれ飲んだら、どんだけ精力旺盛な男だろうが、ナニも出来ずに、寝る」
ヤッケルは慌てるデルアンダーに、振り向く。
「…だ、そうだ」
こっそり聞き出すつもりのデルアンダーは、オーガスタスに
『私的な事に首突っ込むな』
と睨まれないかと、顔を下げる。
が、オーガスタスは構わず食事を続け…凄く気まずい食卓に突如気づき、顔を上げる。
「…お前らも近衛に進むんなら、女のいない戦場では男の“夜付き人”に、世話になるんだろう?
まさか…これだけ面構えのいい、いっぱしの男ヅラして、この話題が恥ずかしいのか?」
と聞くので…。
皆は一斉に、彼らの中で一番身分高い、ディングレーの顔色をうかがう。
ディングレーは代表しての返答を任され、少し不快そうに眉をひそめながらも、言った。
「…普通朝食の席で、夕べの情事の話はしない」
皆、ディングレーの言葉に頷く中、オーガスタスだけがフォークを止めて目を見開く。
「マジか?
無事、意中の可愛い下級を口説けて、自室のベットに連れ込んだとか。
酒場で女と、珍しくとんとん拍子に上手く行って、二階(寝台付きの個室がある)へシケ込んだとか。
更にはそこで、どんなコトして相手に白けられたとか。
自慢のテクを具体的に説明し、それを駆使して首尾良くイかせた…とかの…話は…………」
オーガスタスの意見に、ディングレー始め、皆が一斉に顔を下げるので…。
オーガスタスは暫く無言で野菜をぽりぽり食べた後、顔を上げて言った。
「…お前らマジ、男?」
ディングレーがそれを聞いて、ため息交じりに水のグラスを取り、他の大貴族らも習って水のグラスを取って、皆一斉に水を飲んで誤魔化した。
フィンスとヤッケルも顔を下げつつ、ローランデの横に来て、三人はそそくさと、ディングレー私室に逃げる。
扉が閉まると、ローランデが
「食事中に情事の話は…流石に食は、進まないと思うんですけど」
と感想を述べ、フィンスは頷き、ヤッケルは
「いや、そこじゃなくて…。
俺なら、話したくても話せる武勇伝が無くて…凄く、気まずい」
と言い、ローランデとフィンスに、揃って振り向かれた。
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