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王族とその取り巻き達の送り迎え
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翌日シェイルは、ディングレー始め取り巻き大貴族を引き連れた格好で、一年宿舎にやって来る。
ヤッケルは騒ぎに廊下を見ると、シェイルの横にディングレー。
背後に傅く、毛並みの良い猟犬のような、二年大貴族達。
…を見て、目をまん丸にした。
ディングレーはシェイルと共に室内へ入ると、ヤッケルに
「朝食は?」
と聞き、ヤッケルは
「済ませた」
と答え、ディングレーに
「出られるか?」
と聞かれ…シェイルの、授業に持っていく物を手渡しながら、頷いた。
再び廊下を、今度はヤッケルが加わっての、行列での送り迎え。
ヤッケルの仲間達はヤッケルをからかおう。
そう思って、口を開けかけた。
が。
毛並みのいい、まだ上級に比べたら小柄な。
けれど鍛え上げられ、びしっ!と背筋伸ばした二年取り巻き大貴族らに、ジロリ。
と見られ…。
結局口を開けたまま、声を出せなかった。
ローランデとフィンスも外へ出る扉戸の前で待ってたけど、行列に振り向き、合流する。
が、ローランデは少しも、王族とその取り巻きらに怖じけない。
いつものように微笑んで
「おはようございます」
とディングレーに感じ良く、挨拶していた。
「…ローランデって…」
「なんか凄い」
「うん」
食堂に居た平貴族も、後から降りて来た一年の他の大貴族らも。
ローランデのその度胸に感心した。
シェイルはローランデが横に来ると、途端ほぐれるように微笑う。
「…お前さ。
ローランデに恋してない?」
ぼそり…と隣で言うヤッケルに、ディングレーも振り向いたしフィンスも目を見開いた。
シェイルはヤッケルに振り向くと、ちょっと膨れて言う。
「ローランデみたいな素敵な貴公子に、恋しない人の方が考えられない」
そう言われて初めて、ローランデが照れて頬を染めているのを、ディングレーは見た。
けどヤッケルは尚も問う。
「それ、肯定してる?
ローランデに恋してるって」
シェイルは逆に尋ねる。
「だってそれが普通じゃ無いの?」
銀髪のエメラルドの瞳の、凄い綺麗で可愛い顔で見つめられ、ヤッケルは顔を下げた。
「…俺、ローランデに恋はしてないから、普通じゃ無い」
フィンスがとうとう、ぷっ!と吹き出し、ヤッケルに見つめられて
「尊敬はしてるけど。
恋はしてないから、私もシェイルが言う所の、“普通”じゃないですね…」
と笑いを堪えて言い、シェイルが今度はディングレーを見るから…ディングレーも困惑して言った。
「…なんで恋愛対象が男だ…。
それ言うなら、俺も普通じゃ無いぞ?」
シェイルは今度は、背後の二年取り巻きに振り向くので…不動の大貴族らも、とびきりの可愛い子ちゃん、シェイルにエメラルド色の大きな綺麗な瞳でじっ…と見つめられ、一斉に顔を下げる。
ディングレーが、庇うように言った。
「みんな、恋する相手は女。
それが、普通だ」
シェイルはディングレーに言われて、暫くディングレーの男らしい顔を見つめた後、ようやく言った。
「…つまり…ぼく…が、普通じゃ無い?」
“やっと分かったか”
とヤッケルが頷き、フィンスも。
そしてディングレーも、クールな男前で頷き、背後の取り巻く大貴族らも、ほっとした様子で頷き倒した。
「…こんなに、素敵なのに」
「素敵は、肯定します」
フィンスが綺麗にフォローして、みんな揃って
「(ナイス!フィンス!)」
と心の中で拍手を送った。
ヤッケルは騒ぎに廊下を見ると、シェイルの横にディングレー。
背後に傅く、毛並みの良い猟犬のような、二年大貴族達。
…を見て、目をまん丸にした。
ディングレーはシェイルと共に室内へ入ると、ヤッケルに
「朝食は?」
と聞き、ヤッケルは
「済ませた」
と答え、ディングレーに
「出られるか?」
と聞かれ…シェイルの、授業に持っていく物を手渡しながら、頷いた。
再び廊下を、今度はヤッケルが加わっての、行列での送り迎え。
ヤッケルの仲間達はヤッケルをからかおう。
そう思って、口を開けかけた。
が。
毛並みのいい、まだ上級に比べたら小柄な。
けれど鍛え上げられ、びしっ!と背筋伸ばした二年取り巻き大貴族らに、ジロリ。
と見られ…。
結局口を開けたまま、声を出せなかった。
ローランデとフィンスも外へ出る扉戸の前で待ってたけど、行列に振り向き、合流する。
が、ローランデは少しも、王族とその取り巻きらに怖じけない。
いつものように微笑んで
「おはようございます」
とディングレーに感じ良く、挨拶していた。
「…ローランデって…」
「なんか凄い」
「うん」
食堂に居た平貴族も、後から降りて来た一年の他の大貴族らも。
ローランデのその度胸に感心した。
シェイルはローランデが横に来ると、途端ほぐれるように微笑う。
「…お前さ。
ローランデに恋してない?」
ぼそり…と隣で言うヤッケルに、ディングレーも振り向いたしフィンスも目を見開いた。
シェイルはヤッケルに振り向くと、ちょっと膨れて言う。
「ローランデみたいな素敵な貴公子に、恋しない人の方が考えられない」
そう言われて初めて、ローランデが照れて頬を染めているのを、ディングレーは見た。
けどヤッケルは尚も問う。
「それ、肯定してる?
ローランデに恋してるって」
シェイルは逆に尋ねる。
「だってそれが普通じゃ無いの?」
銀髪のエメラルドの瞳の、凄い綺麗で可愛い顔で見つめられ、ヤッケルは顔を下げた。
「…俺、ローランデに恋はしてないから、普通じゃ無い」
フィンスがとうとう、ぷっ!と吹き出し、ヤッケルに見つめられて
「尊敬はしてるけど。
恋はしてないから、私もシェイルが言う所の、“普通”じゃないですね…」
と笑いを堪えて言い、シェイルが今度はディングレーを見るから…ディングレーも困惑して言った。
「…なんで恋愛対象が男だ…。
それ言うなら、俺も普通じゃ無いぞ?」
シェイルは今度は、背後の二年取り巻きに振り向くので…不動の大貴族らも、とびきりの可愛い子ちゃん、シェイルにエメラルド色の大きな綺麗な瞳でじっ…と見つめられ、一斉に顔を下げる。
ディングレーが、庇うように言った。
「みんな、恋する相手は女。
それが、普通だ」
シェイルはディングレーに言われて、暫くディングレーの男らしい顔を見つめた後、ようやく言った。
「…つまり…ぼく…が、普通じゃ無い?」
“やっと分かったか”
とヤッケルが頷き、フィンスも。
そしてディングレーも、クールな男前で頷き、背後の取り巻く大貴族らも、ほっとした様子で頷き倒した。
「…こんなに、素敵なのに」
「素敵は、肯定します」
フィンスが綺麗にフォローして、みんな揃って
「(ナイス!フィンス!)」
と心の中で拍手を送った。
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