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ローフィスの言葉に泣くシェイル
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やっと半分挿入った。
そう思い、もっと奥を突こうとしていたグーデンはその矢先、雪崩れ込むオーガスタスとその悪友達に立ち向かうため、護衛らが一人。
また一人と突進して行き、とうとうローフィスに邪魔されて引き抜かざるを得ず、唇を噛む。
今やオーガスタスは獅子の如く、長く真っ赤に燃える髪を振り、黄金の瞳で一級上のアルシャノン相手に、激しい拳の応酬して暴れまくってる。
オーガスタスがアルシャノンを殴り倒し、標的を自分に変える前に…!
突然そう気づき、グーデンは萎えた自分の股間をしまい、殴り合う男らの間を縫って、こっそり身を屈め逃げ出した。
リーラスに見つかり、怒声が響く。
「てめぇらの御大が逃げ出すぜ!!!
護衛に戻らなくていいのか?!」
「てめぇ三年が、デカい面するんじゃねぇ!!!」
シャンクはリーラスに叫ぶが、グーデンの扉に向かう姿を、チラと見た。
そしてさっ!と背を向け、グーデンをガードすべく、素早くグーデンの背後に続く。
腕に小屋の隅にいた、小柄な美少年を抱き、引っ立てて。
リーラスは目をこらすが、一年に見える栗毛の小柄な美少年は、助けを叫ばない。
「……………………………」
暫く考え込む。
が、二人がかりでドナルドと格闘していた悪友は、とうとう二人共ドナルドに吹っ飛ばされ、それどころじゃ無いと知って、急いで助っ人に入った。
アルシャノンとオーガスタスは凄まじい殴り合いをしていて、オーガスタスは完全にキレてアルシャノンの拳をかわし、拳を振り切り。
避けられて顎にアルシャノンの拳を喰らい、口の端から血を滴らせて怒り、回し蹴った。
だうん!!!
凄まじい音がしてアルシャノンは壁にぶつかり、黒髪のザッダンが怒鳴る。
「引くぞ!!!」
ザッダンの号令でグーデン護衛らは、殴り合ってた相手に背を向け、突如逃げ出す。
アルシャノンだけはオーガスタスを睨み据え、口の端を手の甲で拭って呻く。
「てめぇ…。
いつか、沈めてやる!」
オーガスタスは一斉に扉に向かって逃げ出す男らの背を見送りながら、ぼやく。
「そんな日が、いつか来るといいな」
「ふざけやがって!」
言うなりアルシャノンが立ち上がるから、オーガスタスは拳握って構える。
が、アルシャノンは離れた横を駆け抜け、開いた扉へと一目散につっ走って行く。
オーガスタスは拍子抜けして、構えた拳を下げる。
「オーガスタス!」
殆ど裸のシェイルに振り向かれ、涙を流しながら叫ばれて。
オーガスタスは慌てて駆け寄る。
「どうした?!」
ローフィスは、ぐったりしていた。
あちこち血まみれで、ズタボロ。
けれど気づいたように顔を上げ、上着を脱ごうと…力の抜けた腕を上げ、たどたどしく上着を肩から引っ張ってるから…。
オーガスタスは、ため息吐く。
「シェイルに上着、かけてやってくれ」
見てる心配顔の一年ローランデに、声をかける。
ローランデはシャツしか着てない自分に気づき、フィンスに
「悪いけど…」
と言い、フィンスが微笑んで頷き、上着を脱ぎかける間に。
ヤッケルが、ばさっ!
とシェイルの肩に、上着をかけた。
フィンスは脱ぎかけたまま固まり…ローランデはオーガスタスに寄って、ローフィスに屈み込む。
胸の辺りに触れた時、ローフィスは
「…っ!」
と痛みで顔を歪め…けれどローランデは、ほっとしたように笑った。
「アバラは、肺に突き刺さってない…」
尚も触れながら、ローフィスはその都度痛みに顔を歪めていたけどお構いなしに触診し、言った。
「折れてない。
でもヒビは…入ってるみたいだから、息をすると痛むでしょうね…」
オーガスタスは、アタマを掻いて言った。
「見かけよりタフだから…こいつ」
けれどローフィスは、ローランデに場を譲って横にいる、シェイルに振り向く。
「もう…泣くな。
だい…じょ…」
言いかけて、痛みで俯くローフィスに、ローランデは慌てて手を添え、背を支えて告げる。
「しゃべらないで!
薬草を貼るまでは酷く痛むはず…。
ヒビは1カ所じゃない。
私が診ただけでも、3カ所は…!」
けれどローフィスは、腕でローランデを遮って、呻く。
「言わ…せてくれ…。
もう、泣くなシェイル…。
ほらちゃんと、助けに来たろう?」
「あ、マズい…」
「だよな」
オーガスタスと背後から覗き見てる悪友らの声がして、ローランデも…側で立ってるフィンスも、ヤッケルまでもが。
“何がマズいんだ?”と疑問に思ったけど。
ローフィスの言葉を聞いた途端、壮絶に涙を流すシェイルを見て、口を閉ざした。
乱れた銀の長い髪を胸に垂らし、白い頬に真珠のような涙を、次から次へと滴らせて泣くシェイルは…可憐そのもの。
大きな美しいエメラルド色の瞳は濡れていて、ローフィスだけを見つめていた。
「抱きついても…いい?」
泣きながら言うシェイルに、ローランデは横に避けて囁く。
「そっと…なら」
シェイルは俯くローフィスを見上げ…泣きながらその青い瞳を見つめ…そして両腕ローフィスの胴に回し、抱きついた。
ローフィスは微笑い、そして腕を上げてシェイルの背を抱き返そうとし…痛みに顔を歪め、そして…床に崩れ落ちて気絶した。
それを見て一斉に悪友らが感想を述べ始める。
「うーん俺。
ローフィスが痛みで気絶するとこ、初めて見たぜ」
「俺も。
要領良いし小回り利くしアタマいいし」
「俺の方が大抵先に気絶して、目覚めたらローフィスに介抱されてた、ことしかない」
「普通、そうだよな?」
リーラスに聞かれ、オーガスタスは大きく頷く。
「悪いなシェイル。
そいつ、医療室に運ぶから」
オーガスタスに言われ、シェイルはまだぽろぽろと涙を頬に滴らせ…それでも床に倒れ気絶するローフィスをそっ…と放し、場をオーガスタスに譲る。
オーガスタスはローフィスを両腕で支えて抱き上げ、周囲に立つ、リーラス始め悪友達に告げた。
「気づいたローフィスに絶対。
俺がお姫様だっこして運んだ事は、言うな」
リーラス始め悪友らが頷くのを見て、オーガスタスはローランデ、フィンス、ヤッケルをも見ると、確認取る。
「お前らもだ」
ローランデとフィンスは互いの顔を見合わせた後。
おずおずと頷いた。
ヤッケルだけは
「何がマズいんだ?」
と聞くから、リーラスが言った。
「…ローフィスは一見、ここじゃ背が低くてファニー・フェイス(可愛い系の顔)だから」
悪友一人が、付け足す。
「中身は最悪に可愛げ無いが」
「だな」
「ああ」
ヤッケルは、呆れて言った。
「…つまり…マズいのは、お姫様だっこ?」
全員が頷き、オーガスタスは抱いたまま扉へ向かいながらぼやく。
「プライドに障る。
肩に担いだことにしといてくれ」
それを聞いたローランデは
「肋骨にヒビが入っていたら…普通肩には担がない」
と言い、その場の全員に人差し指を口に当てられ
「しーーーーーっ」
と諭され、目を見開いた。
シェイルだけはオーガスタスの後を必死について行き、皆気づいてオーガスタスを先頭に、ぞろぞろと医療室へついて行った。
そう思い、もっと奥を突こうとしていたグーデンはその矢先、雪崩れ込むオーガスタスとその悪友達に立ち向かうため、護衛らが一人。
また一人と突進して行き、とうとうローフィスに邪魔されて引き抜かざるを得ず、唇を噛む。
今やオーガスタスは獅子の如く、長く真っ赤に燃える髪を振り、黄金の瞳で一級上のアルシャノン相手に、激しい拳の応酬して暴れまくってる。
オーガスタスがアルシャノンを殴り倒し、標的を自分に変える前に…!
突然そう気づき、グーデンは萎えた自分の股間をしまい、殴り合う男らの間を縫って、こっそり身を屈め逃げ出した。
リーラスに見つかり、怒声が響く。
「てめぇらの御大が逃げ出すぜ!!!
護衛に戻らなくていいのか?!」
「てめぇ三年が、デカい面するんじゃねぇ!!!」
シャンクはリーラスに叫ぶが、グーデンの扉に向かう姿を、チラと見た。
そしてさっ!と背を向け、グーデンをガードすべく、素早くグーデンの背後に続く。
腕に小屋の隅にいた、小柄な美少年を抱き、引っ立てて。
リーラスは目をこらすが、一年に見える栗毛の小柄な美少年は、助けを叫ばない。
「……………………………」
暫く考え込む。
が、二人がかりでドナルドと格闘していた悪友は、とうとう二人共ドナルドに吹っ飛ばされ、それどころじゃ無いと知って、急いで助っ人に入った。
アルシャノンとオーガスタスは凄まじい殴り合いをしていて、オーガスタスは完全にキレてアルシャノンの拳をかわし、拳を振り切り。
避けられて顎にアルシャノンの拳を喰らい、口の端から血を滴らせて怒り、回し蹴った。
だうん!!!
凄まじい音がしてアルシャノンは壁にぶつかり、黒髪のザッダンが怒鳴る。
「引くぞ!!!」
ザッダンの号令でグーデン護衛らは、殴り合ってた相手に背を向け、突如逃げ出す。
アルシャノンだけはオーガスタスを睨み据え、口の端を手の甲で拭って呻く。
「てめぇ…。
いつか、沈めてやる!」
オーガスタスは一斉に扉に向かって逃げ出す男らの背を見送りながら、ぼやく。
「そんな日が、いつか来るといいな」
「ふざけやがって!」
言うなりアルシャノンが立ち上がるから、オーガスタスは拳握って構える。
が、アルシャノンは離れた横を駆け抜け、開いた扉へと一目散につっ走って行く。
オーガスタスは拍子抜けして、構えた拳を下げる。
「オーガスタス!」
殆ど裸のシェイルに振り向かれ、涙を流しながら叫ばれて。
オーガスタスは慌てて駆け寄る。
「どうした?!」
ローフィスは、ぐったりしていた。
あちこち血まみれで、ズタボロ。
けれど気づいたように顔を上げ、上着を脱ごうと…力の抜けた腕を上げ、たどたどしく上着を肩から引っ張ってるから…。
オーガスタスは、ため息吐く。
「シェイルに上着、かけてやってくれ」
見てる心配顔の一年ローランデに、声をかける。
ローランデはシャツしか着てない自分に気づき、フィンスに
「悪いけど…」
と言い、フィンスが微笑んで頷き、上着を脱ぎかける間に。
ヤッケルが、ばさっ!
とシェイルの肩に、上着をかけた。
フィンスは脱ぎかけたまま固まり…ローランデはオーガスタスに寄って、ローフィスに屈み込む。
胸の辺りに触れた時、ローフィスは
「…っ!」
と痛みで顔を歪め…けれどローランデは、ほっとしたように笑った。
「アバラは、肺に突き刺さってない…」
尚も触れながら、ローフィスはその都度痛みに顔を歪めていたけどお構いなしに触診し、言った。
「折れてない。
でもヒビは…入ってるみたいだから、息をすると痛むでしょうね…」
オーガスタスは、アタマを掻いて言った。
「見かけよりタフだから…こいつ」
けれどローフィスは、ローランデに場を譲って横にいる、シェイルに振り向く。
「もう…泣くな。
だい…じょ…」
言いかけて、痛みで俯くローフィスに、ローランデは慌てて手を添え、背を支えて告げる。
「しゃべらないで!
薬草を貼るまでは酷く痛むはず…。
ヒビは1カ所じゃない。
私が診ただけでも、3カ所は…!」
けれどローフィスは、腕でローランデを遮って、呻く。
「言わ…せてくれ…。
もう、泣くなシェイル…。
ほらちゃんと、助けに来たろう?」
「あ、マズい…」
「だよな」
オーガスタスと背後から覗き見てる悪友らの声がして、ローランデも…側で立ってるフィンスも、ヤッケルまでもが。
“何がマズいんだ?”と疑問に思ったけど。
ローフィスの言葉を聞いた途端、壮絶に涙を流すシェイルを見て、口を閉ざした。
乱れた銀の長い髪を胸に垂らし、白い頬に真珠のような涙を、次から次へと滴らせて泣くシェイルは…可憐そのもの。
大きな美しいエメラルド色の瞳は濡れていて、ローフィスだけを見つめていた。
「抱きついても…いい?」
泣きながら言うシェイルに、ローランデは横に避けて囁く。
「そっと…なら」
シェイルは俯くローフィスを見上げ…泣きながらその青い瞳を見つめ…そして両腕ローフィスの胴に回し、抱きついた。
ローフィスは微笑い、そして腕を上げてシェイルの背を抱き返そうとし…痛みに顔を歪め、そして…床に崩れ落ちて気絶した。
それを見て一斉に悪友らが感想を述べ始める。
「うーん俺。
ローフィスが痛みで気絶するとこ、初めて見たぜ」
「俺も。
要領良いし小回り利くしアタマいいし」
「俺の方が大抵先に気絶して、目覚めたらローフィスに介抱されてた、ことしかない」
「普通、そうだよな?」
リーラスに聞かれ、オーガスタスは大きく頷く。
「悪いなシェイル。
そいつ、医療室に運ぶから」
オーガスタスに言われ、シェイルはまだぽろぽろと涙を頬に滴らせ…それでも床に倒れ気絶するローフィスをそっ…と放し、場をオーガスタスに譲る。
オーガスタスはローフィスを両腕で支えて抱き上げ、周囲に立つ、リーラス始め悪友達に告げた。
「気づいたローフィスに絶対。
俺がお姫様だっこして運んだ事は、言うな」
リーラス始め悪友らが頷くのを見て、オーガスタスはローランデ、フィンス、ヤッケルをも見ると、確認取る。
「お前らもだ」
ローランデとフィンスは互いの顔を見合わせた後。
おずおずと頷いた。
ヤッケルだけは
「何がマズいんだ?」
と聞くから、リーラスが言った。
「…ローフィスは一見、ここじゃ背が低くてファニー・フェイス(可愛い系の顔)だから」
悪友一人が、付け足す。
「中身は最悪に可愛げ無いが」
「だな」
「ああ」
ヤッケルは、呆れて言った。
「…つまり…マズいのは、お姫様だっこ?」
全員が頷き、オーガスタスは抱いたまま扉へ向かいながらぼやく。
「プライドに障る。
肩に担いだことにしといてくれ」
それを聞いたローランデは
「肋骨にヒビが入っていたら…普通肩には担がない」
と言い、その場の全員に人差し指を口に当てられ
「しーーーーーっ」
と諭され、目を見開いた。
シェイルだけはオーガスタスの後を必死について行き、皆気づいてオーガスタスを先頭に、ぞろぞろと医療室へついて行った。
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