若き騎士達の危険な日常

あーす。

文字の大きさ
上 下
32 / 171

ローフィスの言葉に泣くシェイル

しおりを挟む
 やっと半分挿入はいった。
そう思い、もっと奥を突こうとしていたグーデンはその矢先、雪崩れ込むオーガスタスとその悪友達に立ち向かうため、護衛らが一人。
また一人と突進して行き、とうとうローフィスに邪魔されて引き抜かざるを得ず、唇を噛む。

今やオーガスタスは獅子の如く、長く真っ赤に燃える髪を振り、黄金の瞳で一級上のアルシャノン相手に、激しい拳の応酬して暴れまくってる。

オーガスタスがアルシャノンを殴り倒し、標的を自分に変える前に…!
突然そう気づき、グーデンは萎えた自分の股間をしまい、殴り合う男らの間を縫って、こっそり身を屈め逃げ出した。

リーラスに見つかり、怒声どせいが響く。

「てめぇらの御大おんたいが逃げ出すぜ!!!
護衛に戻らなくていいのか?!」
「てめぇ三年が、デカいつらするんじゃねぇ!!!」
シャンクはリーラスに叫ぶが、グーデンの扉に向かう姿を、チラと見た。
そしてさっ!と背を向け、グーデンをガードすべく、素早くグーデンの背後に続く。
腕に小屋の隅にいた、小柄な美少年を抱き、引っ立てて。

リーラスは目をこらすが、一年に見える栗毛の小柄な美少年は、助けを叫ばない。

「……………………………」

暫く考え込む。
が、二人がかりでドナルドと格闘していた悪友は、とうとう二人ともドナルドに吹っ飛ばされ、それどころじゃ無いと知って、急いで助っ人に入った。

アルシャノンとオーガスタスは凄まじい殴り合いをしていて、オーガスタスは完全にキレてアルシャノンの拳をかわし、拳を振り切り。
避けられて顎にアルシャノンの拳を喰らい、口の端から血を滴らせて怒り、回し蹴った。

だうん!!!

凄まじい音がしてアルシャノンは壁にぶつかり、黒髪のザッダンが怒鳴る。

「引くぞ!!!」

ザッダンの号令でグーデン護衛らは、殴り合ってた相手に背を向け、突如とつじょ逃げ出す。

アルシャノンだけはオーガスタスをにらえ、口の端を手の甲でぬぐってうめく。
「てめぇ…。
いつか、沈めてやる!」

オーガスタスは一斉に扉に向かって逃げ出す男らの背を見送りながら、ぼやく。
「そんな日が、いつか来るといいな」
「ふざけやがって!」
言うなりアルシャノンが立ち上がるから、オーガスタスは拳握って構える。
が、アルシャノンは離れた横を駆け抜け、開いた扉へと一目散いちもくさんにつっ走って行く。

オーガスタスは拍子抜けして、構えた拳を下げる。

「オーガスタス!」

殆ど裸のシェイルに振り向かれ、涙を流しながら叫ばれて。
オーガスタスは慌てて駆け寄る。
「どうした?!」

ローフィスは、ぐったりしていた。
あちこち血まみれで、ズタボロ。

けれど気づいたように顔を上げ、上着を脱ごうと…力の抜けた腕を上げ、たどたどしく上着を肩から引っ張ってるから…。
オーガスタスは、ため息吐く。

「シェイルに上着、かけてやってくれ」

見てる心配顔の一年ローランデに、声をかける。

ローランデはシャツしか着てない自分に気づき、フィンスに
「悪いけど…」
と言い、フィンスが微笑んで頷き、上着を脱ぎかけるに。
ヤッケルが、ばさっ!
とシェイルの肩に、上着をかけた。

フィンスは脱ぎかけたまま固まり…ローランデはオーガスタスに寄って、ローフィスに屈み込む。

胸の辺りに触れた時、ローフィスは
「…っ!」
と痛みで顔を歪め…けれどローランデは、ほっとしたように笑った。
「アバラは、肺に突き刺さってない…」
尚も触れながら、ローフィスはその都度つど痛みに顔をゆがめていたけどお構いなしに触診しょくしんし、言った。
「折れてない。
でもヒビは…入ってるみたいだから、息をすると痛むでしょうね…」

オーガスタスは、アタマを掻いて言った。
「見かけよりタフだから…こいつ」

けれどローフィスは、ローランデに場を譲って横にいる、シェイルに振り向く。

「もう…泣くな。
だい…じょ…」

言いかけて、痛みで俯くローフィスに、ローランデは慌てて手を添え、背を支えて告げる。
「しゃべらないで!
薬草を貼るまでは酷く痛むはず…。
ヒビは1カ所じゃない。
私が診ただけでも、3カ所は…!」

けれどローフィスは、腕でローランデをさえぎって、呻く。
「言わ…せてくれ…。
もう、泣くなシェイル…。
ほらちゃんと、助けに来たろう?」

「あ、マズい…」
「だよな」

オーガスタスと背後から覗き見てる悪友らの声がして、ローランデも…側で立ってるフィンスも、ヤッケルまでもが。
“何がマズいんだ?”と疑問に思ったけど。
ローフィスの言葉を聞いた途端、壮絶に涙を流すシェイルを見て、口を閉ざした。

乱れた銀の長い髪を胸に垂らし、白い頬に真珠のような涙を、次から次へと滴らせて泣くシェイルは…可憐そのもの。
大きな美しいエメラルド色の瞳は濡れていて、ローフィスだけを見つめていた。

「抱きついても…いい?」

泣きながら言うシェイルに、ローランデは横に避けてささやく。
「そっと…なら」

シェイルはうつむくローフィスを見上げ…泣きながらその青い瞳を見つめ…そして両腕ローフィスの胴に回し、抱きついた。

ローフィスは微笑わらい、そして腕を上げてシェイルの背を抱き返そうとし…痛みに顔を歪め、そして…床に崩れ落ちて気絶した。

それを見て一斉に悪友らが感想を述べ始める。
「うーん俺。
ローフィスが痛みで気絶するとこ、初めて見たぜ」
「俺も。
要領良いし小回り利くしアタマいいし」
「俺の方が大抵先に気絶して、目覚めざめたらローフィスに介抱されてた、ことしかない」

「普通、そうだよな?」
リーラスに聞かれ、オーガスタスは大きく頷く。

「悪いなシェイル。
そいつ、医療室に運ぶから」

オーガスタスに言われ、シェイルはまだぽろぽろと涙を頬に滴らせ…それでも床に倒れ気絶するローフィスをそっ…と放し、場をオーガスタスに譲る。

オーガスタスはローフィスを両腕で支えて抱き上げ、周囲に立つ、リーラス始め悪友達に告げた。
「気づいたローフィスに絶対。
俺がお姫様だっこして運んだ事は、言うな」

リーラス始め悪友らが頷くのを見て、オーガスタスはローランデ、フィンス、ヤッケルをも見ると、確認取る。
「お前らもだ」

ローランデとフィンスは互いの顔を見合わせた後。
おずおずと頷いた。

ヤッケルだけは
「何がマズいんだ?」
と聞くから、リーラスが言った。

「…ローフィスは一見、ここじゃ背が低くてファニー・フェイス(可愛い系の顔)だから」
悪友一人が、付け足す。
「中身は最悪に可愛げ無いが」
「だな」
「ああ」

ヤッケルは、呆れて言った。
「…つまり…マズいのは、お姫様だっこ?」

全員が頷き、オーガスタスは抱いたまま扉へ向かいながらぼやく。
「プライドにさわる。
肩にかついだことにしといてくれ」

それを聞いたローランデは
「肋骨にヒビが入っていたら…普通肩には担がない」
と言い、その場の全員に人差し指を口に当てられ
「しーーーーーっ」
さとされ、目を見開いた。

シェイルだけはオーガスタスの後を必死について行き、皆気づいてオーガスタスを先頭に、ぞろぞろと医療室へついて行った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

家族連れ、犯された父親 第二巻「男の性活」  ~40代ガチムチお父さんが、様々な男と交わり本当の自分に目覚めていく物語~

くまみ
BL
ジャンヌ ゲイ小説 ガチムチ 太め 親父系 家族連れ、犯された父親 「交差する野郎たち」の続編、3年後が舞台 <あらすじ>  相模和也は3年前に大学時代の先輩で二つ歳上の槙田准一と20年振りの偶然の再会を果たした。大学時代の和也と准一は性処理と言う名目の性的関係を持っていた!時を経て再開をし、性的関係は恋愛関係へと発展した。高校教師をしていた、准一の教え子たち。鴨居茂、中山智成を交えて、男(ゲイ)の付き合いに目覚めていく和也だった。  あれから3年が経ち、和也も周囲の状況には新たなる男たちが登場。更なる男の深みにはまりゲイであることを自覚していく和也であった。

とろとろ【R18短編集】

ちまこ。
BL
ねっとり、じっくりと。 とろとろにされてます。 喘ぎ声は可愛いめ。 乳首責め多めの作品集です。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので

こじらせた処女
BL
 大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。  とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…

甥の性奴隷に堕ちた叔父さま

月歌(ツキウタ)
BL
甥の性奴隷として叔父が色々される話

新しいパパは超美人??~母と息子の雌堕ち記録~

焼き芋さん
BL
ママが連れてきたパパは超美人でした。 美しい声、引き締まったボディ、スラリと伸びた美しいおみ足。 スタイルも良くママよりも綺麗…でもそんなパパには太くて立派なおちんちんが付いていました。 これは…そんなパパに快楽地獄に堕とされた母と息子の物語… ※DLsite様でCG集販売の予定あり

受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店

ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。

処理中です...