若き騎士達の危険な日常

あーす。

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動き出す四年護衛達

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 翌日ローフィスは二日酔いが残ってて、次の授業に向かうオーガスタスら、悪友達に
「俺、ちょっとサボって来る」
と言って離れる。

リーラスが
「俺の隠してたつまみ。
全部食った上、空きっ腹なのに俺の酒たらふく飲んで、二日酔いなんだよな!!!」
と嫌味を怒鳴ってた。

皆の笑いが聞こえたが、ローフィスはともかくどこかで休もうと思った。
ふらふらと…普段隠れ家に使ってる、今は殆ど使われていない用具室へと、歩き出した。
けど歩を止めて考える。

旧図書室の方が、近いか?
迷ってると、突然腕を引かれる。
見ると…一年で確か…シェイルの部屋にいた…。

「えーと確か名前は…。
あれ?
俺お前の名前って、聞いてたか?」

「ヤッケル!
…じゃなくて、俺の名前なんて気にしてる場合か!!!」
怒鳴られて一瞬でローフィスは察する。
「どっちだ!!!」

ヤッケルは駆け出し…けれど人気ひとけの無い林の近くの二股の分かれ道で首を横に振る。

「…こっちだ!」
ローフィスは叫んで駆け出す。
ヤッケルは歯を食い縛って、ローフィスの背を追った…。


 ヤッケルは置いて行かれまいと、必死でローフィスの後ろに続いた。
…事の始まりは二限目で、皆乗馬の授業を終えて厩にいた時。

ヤッケルはシェイルが突然背後から走って来て、不安げな表情を見せるので、ぎょっとした。
相変わらず飛び抜けて綺麗で目立ったが、ヤッケルにはシェイルが
“綺麗”と特別な目で見られると、怯える。
と分かっていたので、おくびにも出さない。

「どうした?」
聞くとシェイルは必死に可憐に
「さっき、あの子達が話してるの聞いたけど…食堂でローズベルタに突っかかられたの?
怪我した?」

そう…悲しげな表情をして聞く。
ヤッケルは壁に突き飛ばされた時打った、右肩がまだ少し痛んだけど。
平気な顔を作って言う。
「他の生徒が庇ってくれた。
みんなでローズベルタに立ち向かってくれて。
だから、平気だ」
「僕…食堂で食事する!」

シェイルは…打ちひしがれた、頼りげな可憐な姿でそう言うから…ヤッケルは“性別超えた妖精みたいに綺麗”って感想を引っ込め、言い返す。
「お前、庇ってくれた子達のした事、無にする気か?
みんな、一人でいる時ローズベルタに突っかかられたら怖い。
って思う奴らなんだぞ?
だけど食堂では団結して、俺の事庇ってくれた。
奴らの勇気思うんなら、堂々と俺の運んできた食事、自室で食え!」

そう…話しながら歩いてると…いつの間にか、皆から遅れた。

その時、横の茂みから手が伸びて。
口を塞がれ、茂みの中へと引き入れられた途端…腹を殴られ、身を折った。
気絶しそうで顔を上げた時。
シェイルが口を塞がれ、大きな男に無理矢理抱きかかえられて…連れ去られて行くのが見えた。

叫ぼうしたけど…声が出ない。
暫く腹を押さえ、油汗が出て来たけれど…やっと痛みが引いて。
フィンスとローランデを呼ぼうとして、道に戻ったけど、誰もいない。

誰かの姿を探して彷徨さまよい歩いてたら…ローフィスを見つけ、必死に腕にしがみついて知らせた…。


ローフィスは今や、前をかっ飛んでいた。
まだ腹がズキズキ痛んだけれど…ヤッケルも必死に走った。

やがて、校舎からかなり遠く離れた、掘っ立て小屋がぽつんと…草地の向こうに見えた。
手前はだだっ広いくぼみで…そのかなり向こうは丘。

小屋はその中間の、少し盛り上がった土の上にあった。

ローフィスが身を屈めるから、ヤッケルもそうした。
確かに小屋の窓から、周囲はまるっと見渡せて…近づこうとすればすぐ、見つかる…。

「見張り…いる?」
「…俺が行くから、お前オーガスタス呼んで来い。
第三練習室だ」

「…第…まだここに俺、詳しく無い!
迷ったら…」

ローフィスは血相変えて怒鳴る。
「いいから、行け!」
「あんたは…」
聞くとローフィスはもう、屈めた身を起こして小屋へと走って行くから、ヤッケルは振り切って背後、来た道へと突っ走った。


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