21 / 171
光竜宿すディアヴォロスと、対峙するアルシャノン
しおりを挟むラナーンはようやく…背後に居た四年が、自分を放し、離れて行くのを感じて…ほっとした。
けれどリングは今や痛い程食い込み…辛くって涙が頬を伝う。
グーデンは嬉しそうにラナーンを見つめ…両腕上に釣り上げられたまま俯く顔の、顎を手で持ち上げ、前に立って命ずる。
「咥えろ…。
上手く出来れば、リングを外してやる」
ラナーンは泣きながら顔を上げ…目の前に晒された、軟弱なグーデンの性器にそっと…舌を差し出す。
そして…舐めた。
「…いいコだ…。
ちゃんと丁寧に…そう…そこだ…」
ラナーンは夢中で…解放されたくって必死にグーデンの…気持ち悪い物を舐め続けた。
アルシャノンはグーデン私室の召使い用階段を降りた土間で、熊のようにデカいドナルドと狂犬のような金髪、シャンクが振り向くのを見た。
二人よりは随分小柄に見える、一年のローズベルタが二人の間にいる。
「新しい愛玩の、調教はどうだ?」
シャンクに聞かれ、アルシャノンはジロリ。
と見返す。
シャンクもドナルドも、どちらかと言えば女を犯したいから、女がいない場所でしか、好んで男を犯そうとはしない。
が、ここ『教練』に女はいないから、この敷地内に居る間はえり好みせず、男を楽しんで犯す。
「グーデンの楽しむ合間の、つまみ食い程度だ。
さほど楽しくない。
もっと…泣き狂わせてやりたいが…グーデンはあれで、根性なしのヘタレだからな」
「…シェイルはもう男を知ってると聞いたぞ?
グーデンに渡す前、俺達が味見したってバレないだろう?」
そう笑うデカいドナルドは、アタマが単純だ。
アルシャノンは不機嫌に言った。
「そりゃ俺だって、ディアヴォロスさえいなけれゃグーデンに気を遣ったりしない。
が今、グーデンの元から離れたら…好きな時に獲物を捕らえ嬲る楽しみも…無くなる」
そう言うと、シャンクもドナルドも顔を下げた。
その前は「右の王家」の王族、アルファロイスがここを仕切り、やっと卒業したと思ったら今度は同学年のディアヴォロスが仕切る。
校内で、何でも見通す光竜を身に降ろしたディアヴォロスの目を盗み…弱い下級生を捕まえて犯すのは、大変な作業だった。
同じ王族のグーデンの庇護の元なら、まだマシ。
どれだけ酷く犯しても…ディアヴォロスと面と向かって対峙するのはグーデン。
最もグーデンですら、ディアヴォロスに真正面から立ち向かったりはせず…使者を使って処分を免除する命令書を学校側に出す。
どれだけ無茶な命令書だろうが…グーデンも一応、王族。
講師らは無視出来ない。
でなければとっくの昔に退校の憂き目に遭って、ここを去らねばならず…。
近衛に上がって暴れまくって出世し、大金をせしめる野望は、叶えられない…。
「…オーガスタスが、出てくるか?」
シャンクの言葉に、アルシャノンは振り向く。
シャンクは先日、一級下のオーガスタスとハデに殴り合い、左腕を捻られ今でも…痛む様子を見せる。
目だけは暗く輝き、今度相まみえたら、今度こそ叩きのめしてやると…表情で語っていた。
アルシャノンは一年のローズベルタを見る。
“大抵のヤツは俺達にビビるが…こいつは一年ながら、肝が据わってるな”
そう内心笑った。
「行くか?」
そう問うと、シャンクは頷いて唸る。
「…一年宿舎に殴り込みか」
ドナルドは嬉しそうに笑う。
「獲物はとびきりの、シェイルだ」
三人は召使い用通路の扉を開け、月照らす外へと歩き出す。
ローズベルタは数歩遅れて、付いて来た。
けれど二年宿舎の前を通り過ぎ、その横の一年宿舎へ辿り着くその前に。
立ち塞がる人物のシルエット。
皆、その男が月明かりでディアヴォロスだと分かると。
一瞬で戦闘態勢に入り、暗く鋭い目で、睨めつける。
三対一。
が、ディアヴォロスは表情すら変えず、静かな…しかし響く声で告げる。
「こんな時間に君達が一年宿舎に、用か?」
アルシャノンは鋭く獣のように目を輝かせたまま、ディアヴォロスに囁く。
「この一年を、送って行く」
ディアヴォロスはそこで、笑う。
「三人で?
…彼は私が送ろう」
ローズベルタはそう言った、ディアヴォロスを見た。
月明かりで顔半分が、影。
が…透き通ったような清涼な空気が漂い…人ではない…どこか荘厳な雰囲気がして、怖じけた。
「…ひ…一人で帰れる」
ローズベルタはやっと、それだけ告げた。
シャンクとドナルドは、アルシャノンが動き出すのを待った。
ディアヴォロスはうっとりするような微笑を零す。
「なる程。
確かに君たちは大怪我負った方が…グーデンに言い訳も、出来るだろうな」
シャンクが殺気立って、肩を揺すって迫り出す。
ディアヴォロスは冷静に告げた。
「アロン山の大狼は…君らよりもっと鋭い殺気を放つ」
それを聞いた途端、三人はぞっと震った。
アロン山の大狼は人食い。
体はデカい上、群れで来られたら…簡単に喰われる。
が、ディアヴォロスはその大狼の群れに囲まれて尚、それを殺して生き延びたのだと。
どういう訳か、三人には鮮明に分かった。
ローズベルタも先輩らの、恐怖が分かった。
ディアヴォロスは…その気になれば簡単に命を奪えると。
無言で告げている。
ディアヴォロスに視線を向けられ、ローズベルタは躊躇い…そして、歩き出した。
アルシャノンは自分の足が、動かない事を呪った。
オーガスタスなら殴れる!
オーガスタスなら…。
が、ディアヴォロス相手では…一瞬で、倒される…。
実際殴られたのは一度。
どれだけ…あれは隙があったからだと、自分に言い聞かせても…思い返す度“ディアヴォロスは圧倒的に強く叶わない”
その思いが心を占める。
歯ぎしりしていた。
が、シャンクもドナルドも今はもう静か…。
グーデンに言えば、シェイルを連れて来ない不手際を罵るだろう…。
が、ディアヴォロスの名を出せば…グーデンでも黙り込む。
言うしかない。
シェイルを手に入れたければ…ディアヴォロスがここから一時、離れるような騒ぎか催し物を…「左の王家」で行ってくれと、グーデンに。
奴がいれば間違いなく…シェイルに手出しは出来ない。
アルシャノンと二人の仲間は、ディアヴォロスがローズベルタの後を追い、一年宿舎へと歩き去るのを見つめた。
そして…暗い憤りをぶつけることの叶わない相手を、心から憎みながら…何も出来ず拳を、握りしめた…。
0
お気に入りに追加
117
あなたにおすすめの小説
エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので
こじらせた処女
BL
大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。
とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…
少年野球で知り合ってやけに懐いてきた後輩のあえぎ声が頭から離れない
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
少年野球で知り合い、やたら懐いてきた後輩がいた。
ある日、彼にちょっとしたイタズラをした。何気なく出したちょっかいだった。
だがそのときに発せられたあえぎ声が頭から離れなくなり、俺の行為はどんどんエスカレートしていく。
アダルトショップでオナホになった俺
ミヒロ
BL
初めて同士の長年の交際をしていた彼氏と喧嘩別れした弘樹。
覚えてしまった快楽に負け、彼女へのプレゼントというていで、と自分を慰める為にアダルトショップに行ったものの。
バイブやローションの品定めしていた弘樹自身が客や後には店員にオナホになる話し。
※表紙イラスト as-AIart- 様(素敵なイラストありがとうございます!)
新しいパパは超美人??~母と息子の雌堕ち記録~
焼き芋さん
BL
ママが連れてきたパパは超美人でした。
美しい声、引き締まったボディ、スラリと伸びた美しいおみ足。
スタイルも良くママよりも綺麗…でもそんなパパには太くて立派なおちんちんが付いていました。
これは…そんなパパに快楽地獄に堕とされた母と息子の物語…
※DLsite様でCG集販売の予定あり
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
変態村♂〜俺、やられます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
地図から消えた村。
そこに肝試しに行った翔馬たち男3人。
暗闇から聞こえる不気味な足音、遠くから聞こえる笑い声。
必死に逃げる翔馬たちを救った村人に案内され、ある村へたどり着く。
その村は男しかおらず、翔馬たちが異変に気づく頃には、すでに囚われの身になってしまう。
果たして翔馬たちは、抱かれてしまう前に、村から脱出できるのだろうか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる