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二年一般宿舎に足を向けるローフィス
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「ローフィス!」
二年宿舎でシェイルが扉を開けるなり、抱きつく。
ローフィスは両腕を首に巻き付けられ、胸に飛び込む義弟のその背後に。
寝台に寝そべった同室のヤッケルが、やれやれ。
と、だらけて片腕を頭の上に上げ、もう片手でりんごを囓ってるのを見た。
ローフィスが見てるとヤッケルは、戸口の二人を見て見ぬふりをしてる。
ローフィスは胸に張り付くシェイルを引き剥がし、その顔を拝む。
学校一の、美貌の美少年。
異名を取るだけあって、彼の義弟シェイルは冗談抜きで、掛け離れて綺麗だった。
人形…それよりは妖精のような…。
どこか人間離れした、整いきった顔立ち。
つん。と先が細く形の良い鼻。
くっきりと大きな、エメラルド色の瞳は銀の睫に覆われ、唇は赤く色白の肌に映える。
銀の巻き毛を肩に垂らし、見慣れていてもやはり。
目にすると一瞬、その美貌に、目が惹きつけられた。
が、おくびにも出さずつぶやく。
「ローランデに用なんだ」
シェイルは途端、膨れっ面をした。
「俺に、会いに来たって言えよ!
例え嘘でも!」
「…嘘でも良かったのか?」
が、シェイルの眉が切なく寄る。
「…嫌だ…。
俺に会いたかった。
そう…言って欲しい」
そう言って、再び首に回した腕で抱き寄せられ、胸に顔を埋められる。
困っているローフィスを、チラ…!と寝台の上のヤッケルは見ると、つぶやく。
「ローランデへの伝言は、俺が聞くぜ…。
シェイルを放っとくと、欲求不満なんだろう?
と、またロクデナシにつけ込まれるぞ!」
シェイルが頬を赤く染めて、ヤッケルに振り向く。
ヤッケルは目を見開いて、両肩を思い切り持ち上げ、ぼやく。
「だって、今更だろう?」
ローフィスが顔を俯け、ぼやく。
「あんまりシェイルを煽るな」
ヤッケルが直ぐ、言い返す。
「煽ってんのはあんただ。
ディアヴォロスが身近に居ないから、余計だろ?
休暇迄お預けだ。
と言われて膨れてたし、あんたはロクに相手してくれないって愚痴、毎度聞かされるのは俺なんだぞ?」
「ヤッケル!」
シェイルに怒鳴られても、ヤッケルは肩を竦めて気にもしない。
ヤッケルは寝台から背を、跳ね起こすとひらり。
と両足床に付け、戸口の二人に近付く。
「二階(大貴族用宿舎)には俺が行くから、ここを使えば?
鍵、掛けとけよ。
最中に俺に、開けられたくないだろ?」
シェイルはやっぱりヤッケルのその言い様に、頬を染めて俯き。
ローフィスは顔を背け、やれやれ。と吐息を吐いた。
そしてせっかちなヤッケルが、廊下を行く背に怒鳴る。
「一年に、グーデンがちょっかい掛けてるらしいから、ローランデの口から一年の筆頭に、注意を促しといてくれ。
と、伝えろ!」
ヤッケルは足を止めぬまま遠ざかりながら、振り向かず頷いた。
二年宿舎でシェイルが扉を開けるなり、抱きつく。
ローフィスは両腕を首に巻き付けられ、胸に飛び込む義弟のその背後に。
寝台に寝そべった同室のヤッケルが、やれやれ。
と、だらけて片腕を頭の上に上げ、もう片手でりんごを囓ってるのを見た。
ローフィスが見てるとヤッケルは、戸口の二人を見て見ぬふりをしてる。
ローフィスは胸に張り付くシェイルを引き剥がし、その顔を拝む。
学校一の、美貌の美少年。
異名を取るだけあって、彼の義弟シェイルは冗談抜きで、掛け離れて綺麗だった。
人形…それよりは妖精のような…。
どこか人間離れした、整いきった顔立ち。
つん。と先が細く形の良い鼻。
くっきりと大きな、エメラルド色の瞳は銀の睫に覆われ、唇は赤く色白の肌に映える。
銀の巻き毛を肩に垂らし、見慣れていてもやはり。
目にすると一瞬、その美貌に、目が惹きつけられた。
が、おくびにも出さずつぶやく。
「ローランデに用なんだ」
シェイルは途端、膨れっ面をした。
「俺に、会いに来たって言えよ!
例え嘘でも!」
「…嘘でも良かったのか?」
が、シェイルの眉が切なく寄る。
「…嫌だ…。
俺に会いたかった。
そう…言って欲しい」
そう言って、再び首に回した腕で抱き寄せられ、胸に顔を埋められる。
困っているローフィスを、チラ…!と寝台の上のヤッケルは見ると、つぶやく。
「ローランデへの伝言は、俺が聞くぜ…。
シェイルを放っとくと、欲求不満なんだろう?
と、またロクデナシにつけ込まれるぞ!」
シェイルが頬を赤く染めて、ヤッケルに振り向く。
ヤッケルは目を見開いて、両肩を思い切り持ち上げ、ぼやく。
「だって、今更だろう?」
ローフィスが顔を俯け、ぼやく。
「あんまりシェイルを煽るな」
ヤッケルが直ぐ、言い返す。
「煽ってんのはあんただ。
ディアヴォロスが身近に居ないから、余計だろ?
休暇迄お預けだ。
と言われて膨れてたし、あんたはロクに相手してくれないって愚痴、毎度聞かされるのは俺なんだぞ?」
「ヤッケル!」
シェイルに怒鳴られても、ヤッケルは肩を竦めて気にもしない。
ヤッケルは寝台から背を、跳ね起こすとひらり。
と両足床に付け、戸口の二人に近付く。
「二階(大貴族用宿舎)には俺が行くから、ここを使えば?
鍵、掛けとけよ。
最中に俺に、開けられたくないだろ?」
シェイルはやっぱりヤッケルのその言い様に、頬を染めて俯き。
ローフィスは顔を背け、やれやれ。と吐息を吐いた。
そしてせっかちなヤッケルが、廊下を行く背に怒鳴る。
「一年に、グーデンがちょっかい掛けてるらしいから、ローランデの口から一年の筆頭に、注意を促しといてくれ。
と、伝えろ!」
ヤッケルは足を止めぬまま遠ざかりながら、振り向かず頷いた。
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