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更けていく酒場にて。異変に戸惑うギュンターと落ち込み帰るゼイブン
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ギュンターは久しぶりに、甘やかな香りと柔らかく豊満な体の女性に倒れ込んで、ふわふわしたまろやかな情事にうっとりした。
一人目。
女性の満足の喘ぎを聞き、彼女の上から横に退いて、腕枕で休んでると。
どんどんどん!
拳で扉を叩く音。
「後がつっかえてるんだから!
さっさと出てよ!」
腕枕した女性は、怒り顔で身を起こすと。
素早く寝てるギュンターに口づけし、衣服を整え、憮然とした顔で扉を開ける。
廊下には、懐中時計を手にした女性が睨み顔で針を示し、その周囲にずらりと女達が、順番待ちして時間を押しかけた女を、一斉に睨む。
「叩かないと、出てこれないの?!」
「今度は、くじ引きから外すわよ!!!」
女達に睨まれ、出て来た女は乱れ髪に手をやり、斜に見つめて廊下を歩き出す。
「あんた達も!!!
久しぶりにギュンターの腕に抱かれて、時間守れるかどうかやってみなさいよ!!!」
と、捨て台詞を吐きながら。
二番目の女性が嬉々として室内へ乗り込み、寝台に横たわるギュンターに、両腕で抱きついてキスをした。
もうそれだけで、久しぶりだったギュンターに火が付く。
背に腕を回し、押し倒して下敷きにし、キスを繰り返した。
満足の喘ぎと共にしなだれかかる女の体を抱き止め、休んでいると。
やっぱり扉を叩かれ、女は不満げに室内を出て行く。
三人目もやっぱりギュンターに飛びつくように抱きつく。
抱きしめて愛撫を加え、上がる嬌声を聞きながら、甘やかな快感を感じ、達する時へと加速する。
頭の隅に小さく見えていた、ローランデの貴公子然とした光り輝く姿が。
次第に大きくなるのを感じ、ギュンターは内心、首捻る。
「(…なんで、ローランデだ?
レナルアンなら、分かるが…)」
ギュンターはどんどんアタマの中に居座る、ローランデの姿を見つめ、頭の中で問う。
「(…だってあんたは、嫉妬なんてしないだろう?
…俺の事なんて、眼中に無い…)」
そう思った途端、萎えかけて…ギュンターは慌ててその考えを閉め出す。
ローランデが、例え幻でも現れると。
自分でも、自分の身に起こる現象が訳分からず、ギュンターは内心、焦りまくった。
が、高まる女の嬌声に、余分な事なんて考えてる間なんて無い。
「ああっ!!!」
女が叫び、背を反らして痙攣する。
ギュンターもあんまり気持ち良くて、眉を寄せて解き放つ。
彼女の体を抱き寄せ、甘い口づけをして快感を分け合った後の、甘い一時…に浸ろうとした途端。
また扉を叩く音。
どんどんどんどんどんどんどん!!!
「(…どうして俺がイかせた後だって、分かるんだ?)」
抱きしめた女は、不満そうな表情を扉に向けた後。
名残惜しそうにギュンターに口づけし、衣服を正して慌ただしく出て行った。
入れ替わりに、少しでも時間を惜しむように。
次の女に寝台に飛び込まれて抱きつかれ、ギュンターは口づけようとして、囁く。
「悪い…俺かなり、汚れてるぞ?」
けれど女に、必死に抱き寄せられて囁かれた。
「気にしてる間なんて、ある?!
この際、他の女の匂いなんて構ってられない!
まだ廊下で待ってる女が、かなりの数いるんだから!!!」
ギュンターは『何人待機してる?』と聞きたかった。
けれど遮二無二口づけられ、話してる間もなく、彼女は興奮状態。
ギュンターは仕方無く、抱き寄せて下敷きにすると、もう女の瞳は潤んでるから…。
ギュンターは再び、欲望に火が点く自分を意識した。
けれど高まり始めると。
再び脳裏の片隅にいた、ローランデの姿が大きく浮かび上がる。
ギュンターは、焦りきった。
「(…なんでだ?
どうなってる?!)」
けれど高まってる真っ最中。
ギュンターは女をイかせる為、必死に脳裏のローランデを閉め出した。
次の女が入って来て。
また高まり始めると、ローランデの姿が。
くっきりと脳裏に浮かび、微笑を浮かべてる。
「(…俺…なんでこんなになってるんだ?!)」
流石に六人目を終え、七人目が入って来た時。
疲労を覚え始めた。
が、誘われるとやっぱり一気に、ソノ気になる。
抱きつく彼女に倒れ込む。
女は時間が惜しいように、ギュンターを手で握り込んで、自身の秘所に導く。
挿入すると再び、脳が痺れるような快感に包まれ、夢中で突き上げた。
目を閉じ没頭する。
今度は、ローランデの姿が浮かび上がらない。
ギュンターは
「(やっと消えたか…)」
と安堵し、達する為の最後の一突きをしようと、下に居る女に視線を送る。
突いた後見下ろすと、女…のハズのその人物は、達して満足そうな…そして幸福そうな微笑を浮かべ、手を伸ばして頬に触れる。
が、ギュンターはその相手が…ローランデにすり替わり、ローランデに微笑まれて固まった。
「?
どうしたの?ギュンター」
声は女。
けれどまだ、姿はローランデに見えていて、ローランデが少し怪訝な表情で身を起こし、固まる自分の前から見つめ、そして口づけをねだるように顔を傾けた。
しっとりと唇が触れて、口づけられた時。
ギュンターは思わずその唇をもっと味わおうと…追いかけ、自身の唇で包み込み、そして…舌を差し入れ、熱烈に口づけようとした時。
どんどんどんどん!!!
お決まりの、時間切れの合図。
ふ…と意識が戻り、目前の相手を見ると。
黒髪のレイリーンで。
彼女は
「もう!!!」
と、鳴り続ける扉を叩く音に憤慨し、衣服を慌てて直していた。
ギュンターは、慌ただしく身支度する女の横で、茫然自失になった。
「(…なんで黒髪が、明るい栗毛のローランデに見える?
…あり得ないだろう?)」
自分でも自分の状態が、訳解らず。
ギュンターは次の女に抱きつかれ、顔をつかまれ叫ばれるまで、固まり続けた。
「もう!!!
七人もこなしてるんだから、いい加減タネ切れかもだけど!!!
貴方、まだ大丈夫な筈じゃ無い?!
知ってるのよ!!!
一人二回から三回ずつ。
六人たて続けに、シた事あるって!!!
それって十回以上は平気。
ってコトでしょ?!」
「……………………………」
ギュンターは、相手の女がちゃんと見知った、濃い栗毛のイザベルだと認識出来る自分に、ちょっとほっとしつつ、ぼやく。
「…あの時はちゃんと、次の女の間に、休憩出来た」
けれどイザベルに叱られる。
「休憩なんて入れてたら、廊下の女の数、減らないわよ!!!」
けれどギュンターが再び『後、何人…?』
と人数を尋ねる間も与えられず、口づけされて言葉を塞がれ。
ギュンターは仕方無く、イザベルの体を抱き寄せた。
熱く絡みつかれると。
やっぱりここ暫くお見限りだったギュンターに、直ぐ灯が灯る。
ギュンターは
「(今度は最後まで、イザベルと認識出来ますように)」
と祈りながら、情熱の時に突入した。
下の酒場では、リーラス始め四年達は大盛り上がり。
ゼイブンは幾度も女と共に二階に上がり。
暫く後、火照った赤い頬の女と降りて来て。
再び女と共に二階に上がる。
を、繰り返していたが、かなり夜が更けてもオーガスタスらが酒を飲んでる姿を見、ゼイブンは声かける。
「…もしかしてギュンター、待ってるのか?
あいつ、当分無理だぜ。
あいつの部屋の前の廊下。
まだかなりの女で、埋まってるから」
オーガスタスの馴染みの女、ジェンナがオーガスタスの腕を引く。
「もう!!!
なんでギュンターばっかり、楽しませるの?!
私を楽しませてくれたって、いいじゃない!!!」
ゼイブンは女が途切れ、後は『教練』に帰るダケの事態になっていたので、寄って囁く。
「俺で良ければ。
楽しませるんだけど」
けれどテーブルの四年らは、一斉に笑い声立てる。
「お前、オーガスタスのような立派な一物、持ってんのか?!」
「ムリムリ!
この中の誰も。
オーガスタスの代わりなんて出来ないぜ?!」
ゼイブンは呆然として、ジェンナの向こうの、オーガスタスに視線を送る。
座ってると、ゼイブンでもオーガスタスの小顔の、整った顔がよく見える。
ハッキリ言って、すんなりしてゴツく無い、男前。
ゼイブンはオーガスタスの鳶色の瞳に見つめられ
「…失礼しました」
と呟く。
オーガスタスはゼイブンをじっ…と見たまま、ぼやく。
「垂らしの割に、引き際が良いな?」
ゼイブンはため息交じりに項垂れ、敗北宣言した。
「…それ、もしかしてホメてる?
まあそれはどうでもイイけど、あんたの噂は聞いてる。
テクでは到底太刀打ちできない、凄まじい境涯に到達すると。
あんたと寝た女は、口を揃えて言うもんな」
「………………………………………」
オーガスタスからの返事は無く、ゼイブンは項垂れたまま、酒場の出口へと歩を運ぶ。
悪友の一人が声かける。
「帰るのか?」
ゼイブンは項垂れたまま、こっくりと頷き。
顔を下げたまま扉を開け、出て行った。
オーガスタスは気づいて閉まりかける扉に振り向くと、叫んだ。
「さっきお前にいちゃもんつけた野郎が!
もし、待ち伏せしてたら。
足を使って逃げ切れ!!!」
しかし扉は閉まり、リーラスがぼやく。
「…無茶言うぜ…。
あいつ、何回二階に上がった?」
ローフィスも頷く。
「四人はいたし。
一人の時間が結構長いから、一回で済んだとも思えない。
それだけ腰使って、走れ?
…無理だな」
けれどオーガスタスは、ローフィスとリーラスを見た。
「…けど、ゼイブンだぜ?」
言われたローフィスは、目を見開き頷く。
「…確かにアイツ…逃げ足だけはどれだけでも、早いな…」
オーガスタスは頷いた。
「かつての四年、アルシャノンがどれだけ捕まえようとしても、逃げ切った唯一人の男だ」
リーラスも顔を下げる。
「確かに、しぶとい。
しかし顔ダケは綺麗だが、あんだけ可愛げの無い相手を懲りずに狙い続ける、アルシャノンの趣味も最悪だよな」
ローフィスも頷いた。
「アルシャノンは、突っ込めればナンでもいいんだ」
けれどオーガスタス横のジェンナが、オーガスタスの腕を引く。
「もう!!!
ナニが面白くて、最悪に乱暴な去年の卒業生の、しかも男の話なんてしてるの?
行くわよ!!!
断らせないから!!!」
と叫ぶと、オーガスタスの腕を引っ張る。
「行って来い」(ローフィス)
「女に恥欠かすな」(リーラス)
二人に言われ、オーガスタスは仕方無く、腰を上げた。
「…最近溜まってるから。
加減出来なくても勘弁してくれるか?」
とジェンナに声かけながら。
ローフィスも横の金髪巨乳のマリアンナに誘われ、リーラスも黒髪で妖艶なグゥィネスに誘われ、間もなく二人も、女連れで二階に上がって行った。
一人目。
女性の満足の喘ぎを聞き、彼女の上から横に退いて、腕枕で休んでると。
どんどんどん!
拳で扉を叩く音。
「後がつっかえてるんだから!
さっさと出てよ!」
腕枕した女性は、怒り顔で身を起こすと。
素早く寝てるギュンターに口づけし、衣服を整え、憮然とした顔で扉を開ける。
廊下には、懐中時計を手にした女性が睨み顔で針を示し、その周囲にずらりと女達が、順番待ちして時間を押しかけた女を、一斉に睨む。
「叩かないと、出てこれないの?!」
「今度は、くじ引きから外すわよ!!!」
女達に睨まれ、出て来た女は乱れ髪に手をやり、斜に見つめて廊下を歩き出す。
「あんた達も!!!
久しぶりにギュンターの腕に抱かれて、時間守れるかどうかやってみなさいよ!!!」
と、捨て台詞を吐きながら。
二番目の女性が嬉々として室内へ乗り込み、寝台に横たわるギュンターに、両腕で抱きついてキスをした。
もうそれだけで、久しぶりだったギュンターに火が付く。
背に腕を回し、押し倒して下敷きにし、キスを繰り返した。
満足の喘ぎと共にしなだれかかる女の体を抱き止め、休んでいると。
やっぱり扉を叩かれ、女は不満げに室内を出て行く。
三人目もやっぱりギュンターに飛びつくように抱きつく。
抱きしめて愛撫を加え、上がる嬌声を聞きながら、甘やかな快感を感じ、達する時へと加速する。
頭の隅に小さく見えていた、ローランデの貴公子然とした光り輝く姿が。
次第に大きくなるのを感じ、ギュンターは内心、首捻る。
「(…なんで、ローランデだ?
レナルアンなら、分かるが…)」
ギュンターはどんどんアタマの中に居座る、ローランデの姿を見つめ、頭の中で問う。
「(…だってあんたは、嫉妬なんてしないだろう?
…俺の事なんて、眼中に無い…)」
そう思った途端、萎えかけて…ギュンターは慌ててその考えを閉め出す。
ローランデが、例え幻でも現れると。
自分でも、自分の身に起こる現象が訳分からず、ギュンターは内心、焦りまくった。
が、高まる女の嬌声に、余分な事なんて考えてる間なんて無い。
「ああっ!!!」
女が叫び、背を反らして痙攣する。
ギュンターもあんまり気持ち良くて、眉を寄せて解き放つ。
彼女の体を抱き寄せ、甘い口づけをして快感を分け合った後の、甘い一時…に浸ろうとした途端。
また扉を叩く音。
どんどんどんどんどんどんどん!!!
「(…どうして俺がイかせた後だって、分かるんだ?)」
抱きしめた女は、不満そうな表情を扉に向けた後。
名残惜しそうにギュンターに口づけし、衣服を正して慌ただしく出て行った。
入れ替わりに、少しでも時間を惜しむように。
次の女に寝台に飛び込まれて抱きつかれ、ギュンターは口づけようとして、囁く。
「悪い…俺かなり、汚れてるぞ?」
けれど女に、必死に抱き寄せられて囁かれた。
「気にしてる間なんて、ある?!
この際、他の女の匂いなんて構ってられない!
まだ廊下で待ってる女が、かなりの数いるんだから!!!」
ギュンターは『何人待機してる?』と聞きたかった。
けれど遮二無二口づけられ、話してる間もなく、彼女は興奮状態。
ギュンターは仕方無く、抱き寄せて下敷きにすると、もう女の瞳は潤んでるから…。
ギュンターは再び、欲望に火が点く自分を意識した。
けれど高まり始めると。
再び脳裏の片隅にいた、ローランデの姿が大きく浮かび上がる。
ギュンターは、焦りきった。
「(…なんでだ?
どうなってる?!)」
けれど高まってる真っ最中。
ギュンターは女をイかせる為、必死に脳裏のローランデを閉め出した。
次の女が入って来て。
また高まり始めると、ローランデの姿が。
くっきりと脳裏に浮かび、微笑を浮かべてる。
「(…俺…なんでこんなになってるんだ?!)」
流石に六人目を終え、七人目が入って来た時。
疲労を覚え始めた。
が、誘われるとやっぱり一気に、ソノ気になる。
抱きつく彼女に倒れ込む。
女は時間が惜しいように、ギュンターを手で握り込んで、自身の秘所に導く。
挿入すると再び、脳が痺れるような快感に包まれ、夢中で突き上げた。
目を閉じ没頭する。
今度は、ローランデの姿が浮かび上がらない。
ギュンターは
「(やっと消えたか…)」
と安堵し、達する為の最後の一突きをしようと、下に居る女に視線を送る。
突いた後見下ろすと、女…のハズのその人物は、達して満足そうな…そして幸福そうな微笑を浮かべ、手を伸ばして頬に触れる。
が、ギュンターはその相手が…ローランデにすり替わり、ローランデに微笑まれて固まった。
「?
どうしたの?ギュンター」
声は女。
けれどまだ、姿はローランデに見えていて、ローランデが少し怪訝な表情で身を起こし、固まる自分の前から見つめ、そして口づけをねだるように顔を傾けた。
しっとりと唇が触れて、口づけられた時。
ギュンターは思わずその唇をもっと味わおうと…追いかけ、自身の唇で包み込み、そして…舌を差し入れ、熱烈に口づけようとした時。
どんどんどんどん!!!
お決まりの、時間切れの合図。
ふ…と意識が戻り、目前の相手を見ると。
黒髪のレイリーンで。
彼女は
「もう!!!」
と、鳴り続ける扉を叩く音に憤慨し、衣服を慌てて直していた。
ギュンターは、慌ただしく身支度する女の横で、茫然自失になった。
「(…なんで黒髪が、明るい栗毛のローランデに見える?
…あり得ないだろう?)」
自分でも自分の状態が、訳解らず。
ギュンターは次の女に抱きつかれ、顔をつかまれ叫ばれるまで、固まり続けた。
「もう!!!
七人もこなしてるんだから、いい加減タネ切れかもだけど!!!
貴方、まだ大丈夫な筈じゃ無い?!
知ってるのよ!!!
一人二回から三回ずつ。
六人たて続けに、シた事あるって!!!
それって十回以上は平気。
ってコトでしょ?!」
「……………………………」
ギュンターは、相手の女がちゃんと見知った、濃い栗毛のイザベルだと認識出来る自分に、ちょっとほっとしつつ、ぼやく。
「…あの時はちゃんと、次の女の間に、休憩出来た」
けれどイザベルに叱られる。
「休憩なんて入れてたら、廊下の女の数、減らないわよ!!!」
けれどギュンターが再び『後、何人…?』
と人数を尋ねる間も与えられず、口づけされて言葉を塞がれ。
ギュンターは仕方無く、イザベルの体を抱き寄せた。
熱く絡みつかれると。
やっぱりここ暫くお見限りだったギュンターに、直ぐ灯が灯る。
ギュンターは
「(今度は最後まで、イザベルと認識出来ますように)」
と祈りながら、情熱の時に突入した。
下の酒場では、リーラス始め四年達は大盛り上がり。
ゼイブンは幾度も女と共に二階に上がり。
暫く後、火照った赤い頬の女と降りて来て。
再び女と共に二階に上がる。
を、繰り返していたが、かなり夜が更けてもオーガスタスらが酒を飲んでる姿を見、ゼイブンは声かける。
「…もしかしてギュンター、待ってるのか?
あいつ、当分無理だぜ。
あいつの部屋の前の廊下。
まだかなりの女で、埋まってるから」
オーガスタスの馴染みの女、ジェンナがオーガスタスの腕を引く。
「もう!!!
なんでギュンターばっかり、楽しませるの?!
私を楽しませてくれたって、いいじゃない!!!」
ゼイブンは女が途切れ、後は『教練』に帰るダケの事態になっていたので、寄って囁く。
「俺で良ければ。
楽しませるんだけど」
けれどテーブルの四年らは、一斉に笑い声立てる。
「お前、オーガスタスのような立派な一物、持ってんのか?!」
「ムリムリ!
この中の誰も。
オーガスタスの代わりなんて出来ないぜ?!」
ゼイブンは呆然として、ジェンナの向こうの、オーガスタスに視線を送る。
座ってると、ゼイブンでもオーガスタスの小顔の、整った顔がよく見える。
ハッキリ言って、すんなりしてゴツく無い、男前。
ゼイブンはオーガスタスの鳶色の瞳に見つめられ
「…失礼しました」
と呟く。
オーガスタスはゼイブンをじっ…と見たまま、ぼやく。
「垂らしの割に、引き際が良いな?」
ゼイブンはため息交じりに項垂れ、敗北宣言した。
「…それ、もしかしてホメてる?
まあそれはどうでもイイけど、あんたの噂は聞いてる。
テクでは到底太刀打ちできない、凄まじい境涯に到達すると。
あんたと寝た女は、口を揃えて言うもんな」
「………………………………………」
オーガスタスからの返事は無く、ゼイブンは項垂れたまま、酒場の出口へと歩を運ぶ。
悪友の一人が声かける。
「帰るのか?」
ゼイブンは項垂れたまま、こっくりと頷き。
顔を下げたまま扉を開け、出て行った。
オーガスタスは気づいて閉まりかける扉に振り向くと、叫んだ。
「さっきお前にいちゃもんつけた野郎が!
もし、待ち伏せしてたら。
足を使って逃げ切れ!!!」
しかし扉は閉まり、リーラスがぼやく。
「…無茶言うぜ…。
あいつ、何回二階に上がった?」
ローフィスも頷く。
「四人はいたし。
一人の時間が結構長いから、一回で済んだとも思えない。
それだけ腰使って、走れ?
…無理だな」
けれどオーガスタスは、ローフィスとリーラスを見た。
「…けど、ゼイブンだぜ?」
言われたローフィスは、目を見開き頷く。
「…確かにアイツ…逃げ足だけはどれだけでも、早いな…」
オーガスタスは頷いた。
「かつての四年、アルシャノンがどれだけ捕まえようとしても、逃げ切った唯一人の男だ」
リーラスも顔を下げる。
「確かに、しぶとい。
しかし顔ダケは綺麗だが、あんだけ可愛げの無い相手を懲りずに狙い続ける、アルシャノンの趣味も最悪だよな」
ローフィスも頷いた。
「アルシャノンは、突っ込めればナンでもいいんだ」
けれどオーガスタス横のジェンナが、オーガスタスの腕を引く。
「もう!!!
ナニが面白くて、最悪に乱暴な去年の卒業生の、しかも男の話なんてしてるの?
行くわよ!!!
断らせないから!!!」
と叫ぶと、オーガスタスの腕を引っ張る。
「行って来い」(ローフィス)
「女に恥欠かすな」(リーラス)
二人に言われ、オーガスタスは仕方無く、腰を上げた。
「…最近溜まってるから。
加減出来なくても勘弁してくれるか?」
とジェンナに声かけながら。
ローフィスも横の金髪巨乳のマリアンナに誘われ、リーラスも黒髪で妖艶なグゥィネスに誘われ、間もなく二人も、女連れで二階に上がって行った。
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