297 / 307
ローフィスに指南を求めるギュンターとリーラス
しおりを挟む
玄関階段を降りきると、ギュンターは背後に振り向き、ローフィスに問い正す。
「…つまり俺は、酒場の女は虜に出来ても。
ああ言う、身分高い女はモノに出来ないと、あんた思ってるのか?」
突然振り向かれ、その美貌の紫の瞳で見つめられ、ローフィスは一瞬顔を後ろに引いて、たじろく。
が、ぽつり…と話出す。
「…時間があって寝台に誘えれば、お前ならオトせると思う。
が、ぱっと見だけで、身分高い女を惚れさせたかったら。
お前はもっと着飾ってお上品に振る舞い、いかにも宮廷貴公子に見せないと。
デルアンダーには負ける」
ギュンターは、頷く。
「…身分高い女は、デルアンダーと寝たいと思うのか?」
ディングレーは補習に遅れる。と先を急ぎかけたが、とうとう足を止めてギュンターとローフィスの問答に耳を傾ける。
オーガスタスはローフィスの横で、ローフィスを見守っていた。
ギュンターに問われたローフィスは、ため息と共に顔を下げ、なんとか説明し始める。
「…お前、女のロマンチックって、分かってるか?
ローランデが典型だ。
寝ようと、ガツガツしない。
優しく触れたり、話を聞いたり。
優雅にダンスに誘い、食事を楽しむ。
ずっと、相手を見つめながら。
そういうのに、寝なくても乙女はときめくんだ。
…寝て良かった。
は、その後に来る」
ギュンターは眉間を、思いっきり寄せた。
「…つまりデートして楽しませて、そこで更にベットでもキめるのか?
敷居、高いな」
オーガスタスが呆れて口開く。
「デートでロマンチックなムードに浸りきったら。
多少寝技が不器用でも、許される。
直接的な快感が好きな熟女、じゃない夢見る乙女は。
寝る経験よりロマンチックなムードを好むから、寝技だけでオトせない」
ギュンターの眉間の皺が深くなったので、ローフィスが付け足す。
「だがベットでお前が。
思い切り満足させれば。
大抵の相手はお前にベタ惚れ。
そうじゃない女は…」
そこまで言うと、ギュンターだけで無くディングレーもオーガスタスも。
ローフィスのその後の言葉を、興味津々で見守った。
ローフィスは二人の視線を感じ、顔下げて口開く。
「…(ヘンなプレッシャー感じる…)プライドが邪魔して、強がってるだけだ。
本心では、お前に思いっきり抱かれたいと、欲していても。
理性的な女は、それを受け入れられないだけ。
お前がチャンスを作り、強引に迫れば。
…多分、オチる」
ディングレーとオーガスタスは今度、指導されたギュンターを見守る。
ギュンターは考え込んだ後
「…つまりそっちも、経験が要る。ってコトだな?
どこで押して、どこで引くか」
と呟く。
ローフィスは肩すくめた。
「お前と一度寝た相手は大抵、お前に引かれたら、追いかけて来るだろうな」
ギュンターは、頷いて背を向け、歩き出した。
ディングレーとオーガスタスは、咄嗟ローフィスに詰め寄る。
「…あれ以上の垂らしにさせたいのか?」(ディングレー)
「垂らしの怪物になったら、どうする?!」(オーガスタス)
ローフィスは二人に顔を寄せられ、ちょい引きつつも、言葉を返した。
「本人が望めば俺が押さなくても、怪物になるし。
みっとも無い垂らしになるより、クールで分別ある垂らしになった方が、マシだろう?」
その言い訳に、ディングレーは額に手を当て、沈み込んだし。
オーガスタスは首下げて、今後を憂いた。
その時、背後からリーラスが階段降りて来て、オーガスタスとローフィスの間に進むと、ローフィスに顔を向けて尋ねる。
「…どこで振られたのか、分からなかった」
オーガスタスは横で顔を背けて呟く。
「やっぱ、振られたか」
今度はギュンターが行きかけて、戻って来て、会話に耳を傾けた。
「…あのな。
講師がさせる訳無いだろう?」
ローフィスが言うと、オーガスタスも頷く。
「16の処女だ。
せめて初恋の相手と最初を過ごさせ、18くらいになったら頂け」
リーラスが、オーガスタスを見る。
「…俺が最初だと。
そんな、マズいか?」
ローフィスが、大きなため息吐いた後、言い捨てる。
「寝た後、ちゃんと抱きしめて甘い言葉をささやけるか?
その後、こまめに気遣いプレゼントを送り続け、デートに誘えるのか?」
オーガスタスも頷いて言う。
「せめて、三ヶ月くらいは」
リーラスは途端、泣きそうな表情をする。
「三ヶ月?
出来る訳、無いだろう?!
俺は今までそんなコト、たった一人の相手にしたのは…せいぜい続いて一週間」
ローフィスが、ぽん。とリーラスの肩叩く。
「お前は分かってナイが。
グリネスみたいな気の強い女を、抱いてあっさり捨て、恨み思い切り買うと。
…後が怖いぞ…」
リーラスはそこで、すっ!と顔上げる。
「…なんだ。
結局講師は、俺の為に振るよう仕向けたんだな?」
オーガスタスは顔下げた。
が、何とか言った。
「…そうだ。
グリネスどころか、お前の為にもならない」
リーラスは笑顔で頷く。
「なる程。
確かに俺は、なびく女は選ばず、全部頂いてるからな。
食中毒に、当たるようなモンだろう?
皿に毒が入ってるぞと。
講師は忠告してくれたも、同然なんだな?!」
ギュンターとディングレーは、嬉しそうなリーラスと裏腹の、オーガスタスとローフィスの顔下げる様を見た。
全然懲りず、あくまで前向きなリーラスに、二人は沈痛な面持ちで顔を下げた後。
やっと、ローフィスが口開いた。
「…そうとも言える。
お前が、傷つけられた女の恨みを思い知らない限り。
周囲が気を使わなきゃならない」
ローフィスは沈んだ声でそう言うと。
オーガスタスと共に二人同時に、揃ってリーラスから顔背け、突然歩き出して、リーラスをその場に置き去りにした。
ギュンターとディングレーは、突然離脱する二人を見た後、顔を見合わせる。
「…ナンだっけ」
のディングレーの言葉に、ギュンターも脇に追いやったすべきコトを突然思い出し
「…補習だ」
と呟く。
二人は極力リーラスと目を合わせず、無言で剣の鍛錬場に向かって、並んで歩き出した。
「…つまり俺は、酒場の女は虜に出来ても。
ああ言う、身分高い女はモノに出来ないと、あんた思ってるのか?」
突然振り向かれ、その美貌の紫の瞳で見つめられ、ローフィスは一瞬顔を後ろに引いて、たじろく。
が、ぽつり…と話出す。
「…時間があって寝台に誘えれば、お前ならオトせると思う。
が、ぱっと見だけで、身分高い女を惚れさせたかったら。
お前はもっと着飾ってお上品に振る舞い、いかにも宮廷貴公子に見せないと。
デルアンダーには負ける」
ギュンターは、頷く。
「…身分高い女は、デルアンダーと寝たいと思うのか?」
ディングレーは補習に遅れる。と先を急ぎかけたが、とうとう足を止めてギュンターとローフィスの問答に耳を傾ける。
オーガスタスはローフィスの横で、ローフィスを見守っていた。
ギュンターに問われたローフィスは、ため息と共に顔を下げ、なんとか説明し始める。
「…お前、女のロマンチックって、分かってるか?
ローランデが典型だ。
寝ようと、ガツガツしない。
優しく触れたり、話を聞いたり。
優雅にダンスに誘い、食事を楽しむ。
ずっと、相手を見つめながら。
そういうのに、寝なくても乙女はときめくんだ。
…寝て良かった。
は、その後に来る」
ギュンターは眉間を、思いっきり寄せた。
「…つまりデートして楽しませて、そこで更にベットでもキめるのか?
敷居、高いな」
オーガスタスが呆れて口開く。
「デートでロマンチックなムードに浸りきったら。
多少寝技が不器用でも、許される。
直接的な快感が好きな熟女、じゃない夢見る乙女は。
寝る経験よりロマンチックなムードを好むから、寝技だけでオトせない」
ギュンターの眉間の皺が深くなったので、ローフィスが付け足す。
「だがベットでお前が。
思い切り満足させれば。
大抵の相手はお前にベタ惚れ。
そうじゃない女は…」
そこまで言うと、ギュンターだけで無くディングレーもオーガスタスも。
ローフィスのその後の言葉を、興味津々で見守った。
ローフィスは二人の視線を感じ、顔下げて口開く。
「…(ヘンなプレッシャー感じる…)プライドが邪魔して、強がってるだけだ。
本心では、お前に思いっきり抱かれたいと、欲していても。
理性的な女は、それを受け入れられないだけ。
お前がチャンスを作り、強引に迫れば。
…多分、オチる」
ディングレーとオーガスタスは今度、指導されたギュンターを見守る。
ギュンターは考え込んだ後
「…つまりそっちも、経験が要る。ってコトだな?
どこで押して、どこで引くか」
と呟く。
ローフィスは肩すくめた。
「お前と一度寝た相手は大抵、お前に引かれたら、追いかけて来るだろうな」
ギュンターは、頷いて背を向け、歩き出した。
ディングレーとオーガスタスは、咄嗟ローフィスに詰め寄る。
「…あれ以上の垂らしにさせたいのか?」(ディングレー)
「垂らしの怪物になったら、どうする?!」(オーガスタス)
ローフィスは二人に顔を寄せられ、ちょい引きつつも、言葉を返した。
「本人が望めば俺が押さなくても、怪物になるし。
みっとも無い垂らしになるより、クールで分別ある垂らしになった方が、マシだろう?」
その言い訳に、ディングレーは額に手を当て、沈み込んだし。
オーガスタスは首下げて、今後を憂いた。
その時、背後からリーラスが階段降りて来て、オーガスタスとローフィスの間に進むと、ローフィスに顔を向けて尋ねる。
「…どこで振られたのか、分からなかった」
オーガスタスは横で顔を背けて呟く。
「やっぱ、振られたか」
今度はギュンターが行きかけて、戻って来て、会話に耳を傾けた。
「…あのな。
講師がさせる訳無いだろう?」
ローフィスが言うと、オーガスタスも頷く。
「16の処女だ。
せめて初恋の相手と最初を過ごさせ、18くらいになったら頂け」
リーラスが、オーガスタスを見る。
「…俺が最初だと。
そんな、マズいか?」
ローフィスが、大きなため息吐いた後、言い捨てる。
「寝た後、ちゃんと抱きしめて甘い言葉をささやけるか?
その後、こまめに気遣いプレゼントを送り続け、デートに誘えるのか?」
オーガスタスも頷いて言う。
「せめて、三ヶ月くらいは」
リーラスは途端、泣きそうな表情をする。
「三ヶ月?
出来る訳、無いだろう?!
俺は今までそんなコト、たった一人の相手にしたのは…せいぜい続いて一週間」
ローフィスが、ぽん。とリーラスの肩叩く。
「お前は分かってナイが。
グリネスみたいな気の強い女を、抱いてあっさり捨て、恨み思い切り買うと。
…後が怖いぞ…」
リーラスはそこで、すっ!と顔上げる。
「…なんだ。
結局講師は、俺の為に振るよう仕向けたんだな?」
オーガスタスは顔下げた。
が、何とか言った。
「…そうだ。
グリネスどころか、お前の為にもならない」
リーラスは笑顔で頷く。
「なる程。
確かに俺は、なびく女は選ばず、全部頂いてるからな。
食中毒に、当たるようなモンだろう?
皿に毒が入ってるぞと。
講師は忠告してくれたも、同然なんだな?!」
ギュンターとディングレーは、嬉しそうなリーラスと裏腹の、オーガスタスとローフィスの顔下げる様を見た。
全然懲りず、あくまで前向きなリーラスに、二人は沈痛な面持ちで顔を下げた後。
やっと、ローフィスが口開いた。
「…そうとも言える。
お前が、傷つけられた女の恨みを思い知らない限り。
周囲が気を使わなきゃならない」
ローフィスは沈んだ声でそう言うと。
オーガスタスと共に二人同時に、揃ってリーラスから顔背け、突然歩き出して、リーラスをその場に置き去りにした。
ギュンターとディングレーは、突然離脱する二人を見た後、顔を見合わせる。
「…ナンだっけ」
のディングレーの言葉に、ギュンターも脇に追いやったすべきコトを突然思い出し
「…補習だ」
と呟く。
二人は極力リーラスと目を合わせず、無言で剣の鍛錬場に向かって、並んで歩き出した。
0
お気に入りに追加
51
あなたにおすすめの小説





どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる