286 / 307
一・二年グーデン配下の不穏な動き
しおりを挟む
アイリスはスフォルツァとの間に、三人の美少年を挟み講義に出向いた。
乗馬の講義で、まだ怪我の完全に癒えてないアスランは、しぶしぶスフォルツァの前に座る。
二年との合同講義だったけど、二年の愛玩は誰も姿を見せていなかった。
スフォルツァは二年グーデン配下の筆頭、ローズベルタが馬上で、チラチラと前に乗るアスランを覗い見、自分を“邪魔者”と睨むのを見た。
一年取り巻き大貴族らとアイリスは補習の時同様、マレーとハウリィを真ん中に据えて前後左右に馬を配し、二人を護っていた。
が、ドラーケンとその手下が、何度も視線を向けるのに気づく。
その都度、アッサリアやディオネルデスは睨み付け、フィフィルースは脇差しに手を伸ばし、柄を握って見つめ返す。
“手を出したら、タダじゃおかない”と、無言の威圧をかけて。
ヤッケルが馬を寄せ、アイリスに話しかける。
「奴ら、隙覗ってるな…」
アイリスはヤッケルの言葉に、頷く。
「愛玩全員が、ホントにグーデンの元から、一斉に逃げ出したんですか?」
問われてヤッケルは、頷く。
「…それだってグーデンの元に、残っていられた者達だけだが。
グーデンが金払って雇ってた、去年の四年が乱暴に扱うわ。
なのに集団で犯しまくるわで。
俺が知ってるだけでも三人。
グーデンは愛玩にしたがってたのに、そいつらのせいで自ら退学した者達がいる。
噂では…陰でディアヴォロスが、自分の元に雇い入れると確約したので、『教練』を去ったという説もある」
アイリスは目を見開く。
「…いいな…。
私もディアヴォロス殿がいらっしゃった時、在籍したかったです。
すっごーーーーく、いい男なんですよね?
私がお会いしたのは、かなり前の大公家の舞踏会で。
まだ、お若くていらっしゃったけど…とても素敵でした❦」
ヤッケルは、女の子のように頬染めるアイリスを、ジト目で見つめる。
「…ミーハーだな…」
アイリスはそれを聞き、ふくれっ面で言い返す。
「ディアヴォロス様相手じゃ、誰でもそうなりますよ」
ヤッケルは顔を下げると、呟く。
「俺の言った事、聞いてた?」
「グーデンが愛玩にと、目を付けた美少年三人に、逃げられた話ですよね?
去年の四年って、そんな最悪なんですか?」
ヤッケルは頷く。
「オーガスタス並の身長と体格の、熊みたいなドナルドだろ?
銀髪の超男好きで、泣かすのが大好きなサドのアルシャノン。
それに金髪で顔にキズのある、狂犬みたいなシャンク。
この三人は、ガタイがデカい。
あと一人は黒髪の美形で小柄だが、やっぱサドのザッダン。
機転の利く、参謀役ってとこかな?
迫ってきた男のアソコ、咥える振りして食いちぎったとの、物騒な噂がある。
他の三人は脳味噌あんま使わず、暴れまくるタイプだから」
アイリスはザッダンの話を聞くと、顔下げる。
「…やっぱ不本意な男に迫られたら、そうなりますよね。
私は流石に咥える前に、蹴り倒して潰しますが」
ヤッケルは、目を見開きしばしの沈黙後、尋ねた。
「ナニを、ツブすんだ?」
アイリスはヤッケルの股間を見て言う。
「貴方も、持ってるモノですよ。
男なら大抵、一つは持ってますね」
ヤッケルは目を見開いたまま、固まって問うた。
「…それ、女顔の美形男に共通した意見か?」
アイリスは素直に頷くと、問い返す。
「ギュンター殿にも、聞いてみたら?
彼も若年の時絶対、幾度も男に迫られてますよ」
ヤッケルは、上品でたおやかなアイリスを見つめ、まだ目を見開いたまま呟いた。
「ギュンターが蹴るだろう事は、容易に想像付く」
アイリスはにこにこ笑うと
「ですよね」
と、同意した。
ヤッケルはやっぱり、通じていそうで言葉の通じてないアイリスを、思わず目を見開いたまま凝視した。
アスランは起伏の激しい土地を駆け抜ける様を見、スフォルツァの前で青ざめる。
「…こんな…ところ、絶対僕、落ちずに馬に乗ってる自信、ありません」
スフォルツァはアスランの泣き言を聞いて、ため息吐いた。
「(…グーデン配下が愛玩不足で、改めてアスランに狙いを付けてるみたいなのに。
心配事はそっちか…)」
けれどグーデンに、無残に扱われる事を想像した途端、スフォルツァは自分でも意外なほど…アスランを絶対そんな目には、合わせまいと覚悟決めてる自身に気づく。
振り向くと、マレーとハウリィを両脇で取り囲む大貴族らも、彼らに笑顔を向けながら…側にピタリと馬を並べ、離れない…。
前の方では二年のグーデン配下、冷酷で乱暴者の美形ローズベルタを、ローランデが隣に付いて見張っていた。
ローズベルタは何とかローランデを振り切ろうとするが、ローランデはさせず、どこまでもぴったり付いて、併走する。
他のグーデン配下達は、この中では事実上のトップ、ローズベルタが見張られて迂闊に動けず、更に美少年三人のガードが固いのを見て、ちっ!と舌打ちし、離れて行った。
フィンスとシュルツは、馬を寄せると小声で話し出す。
「三年のセシャルとシャクナッセルは、講義に出てるらしい」
シュルツの言葉に、フィンスも頷く。
「今日は来てないからいいけど。
ラナーン、レナルアン、ミーシャの三人が講義に出始めたら…護るのは大変そうだね…」
シュルツもその言葉に、頷く。
「まあ…いざ出るとなったら。
護るしかないが」
フィンスもシュルツのその決意に、同意して頷いた。
オーガスタスはギュンターの
「腹減った…」
と呻く声を聞く。
まだ半分眠った頭で反射的に
「ディングレーかその召使いに、食い物くれと頼め」
と言葉を返し、ギュンター方向から背を向けて背もたれの方に顔を向け、クッション抱えて二度寝に入った。
間もなく、いい匂いがし、ギュンターのガツガツガツ…と、食べ物を掻き込む音に、とうとうむくっ!と起き上がると、長椅子で食べてるギュンターに皿を差し出し、給仕してる召使いに尋ねる。
「今、何時だ?」
召使いは微笑むと
「後少しで12点鐘です」
と答えた。
オーガスタスは額に手を当て、暫し黙り込んだ後。
顔を上げて再度尋ねた。
「ローフィスは別の部屋に居るのか?
それとも…」
召使いは頷くと
「ディングレー様の寝室にいらっしゃいます」
と答え、ギュンターが空にした皿を持って、一礼した後下がる。
ギュンターは手づかみで鳥のもも肉を噛み千切っていたが、オーガスタスが固まったままなので、目を見開いた後、ぼそり…と告げる。
「まさか昨夜、ヤってないよな?」
ギュンターはオーガスタスを見る。
が、オーガスタスは額に手を当てたまま、頷くでも、首を横に振るでもなく、そのままなのでついギュンターは、再度尋ねた。
「…まさか…ディングレーが、突っ込まれる側?」
その時、突然扉が開くと、ディングレーがガウンの前をはだけ、呻く。
「ダレがダレに突っ込まれるって?」
「………………………………」
ギュンターがもも肉を手にしたまま、振り向くのでディングレーは目を見開く。
「…まだ…残ってるぞ?」
ギュンターは手に持つ、もも肉を見る。
上少しと下半分は、まるっと肉が付いていた。
「…だから?」
尋ねると、ディングレーは目を見開いたまま、呟く。
「…だってお前が食事途中で顔上げた試し、今まで一度も無いし。
召使いも、どれだけの量の料理を出しても、食べ残しを一切出さない食いっぷりは、気持ちが良いほどだと。
褒めていた」
ギュンターはそう言う、ヨレた服装のディングレーを見た後。
自分の手に持つ鳥もも肉を見た。
そして、思い出したように食べ始める。
ディングレーが一人掛け用ソファに座るのを見て、オーガスタスは顔下げたまま、ぼそりと言う。
「…お前がローフィスに突っ込まれたのかと、聞かれてたんだ」
ディングレーはテーブルの上の飲み残しのグラスに手を伸ばしかけ、ピタリ、と止まる。
「………………………どっから出るんだ?
その発想」
オーガスタスは俯いたまま髪をぼりぼり掻くと、口開く。
「お前らが寝室で二人きりだからなんじゃ無いのか?
俺が運べないのは分かる。
運べそうなローフィスとギュンターの二択で、ローフィスを取ったから。
ギュンターに勘ぐられるんだ」
ディングレーは納得して頷きながらグラスを持ち上げると、口に運びながら告げる。
「目が覚めて見る顔がギュンターだと。
寝起きに悪い」
オーガスタスはがっついてるギュンターを見やり、ぼやく。
「顔・ダケは美麗だから…目の保養になるぞ?」
ディングレーは眉しかめる。
「本気か?
どれだけ美形だろうが、性格知ってて…。
あんただったらその性格の方、綺麗に忘れてあいつに見とれられるのか?」
オーガスタスは髪揺らして首を振る。
「そんな器用な事、俺には無理だ」
「だろ?」
ディングレーは口に運んだ残り酒をようやく飲み込んだ。
ギュンターも水のグラスに手を伸ばして言う。
「同性のヤツに、顔が綺麗だと思われてると大抵、馬鹿にされてると感じる。
なんで、あんたらと居ると、居心地は良いが。
あんたらだと、性格の方を馬鹿にされてる気がするのは、なぜだ?」
「同性に呆れられる性格の俺ですら、お前には呆れ返る程、いい性格してるから」
オーガスタスがぼそりと言う、その言葉を聞き。
ギュンターだけで無く、ディングレーまでもが、オーガスタスを凝視した。
乗馬の講義で、まだ怪我の完全に癒えてないアスランは、しぶしぶスフォルツァの前に座る。
二年との合同講義だったけど、二年の愛玩は誰も姿を見せていなかった。
スフォルツァは二年グーデン配下の筆頭、ローズベルタが馬上で、チラチラと前に乗るアスランを覗い見、自分を“邪魔者”と睨むのを見た。
一年取り巻き大貴族らとアイリスは補習の時同様、マレーとハウリィを真ん中に据えて前後左右に馬を配し、二人を護っていた。
が、ドラーケンとその手下が、何度も視線を向けるのに気づく。
その都度、アッサリアやディオネルデスは睨み付け、フィフィルースは脇差しに手を伸ばし、柄を握って見つめ返す。
“手を出したら、タダじゃおかない”と、無言の威圧をかけて。
ヤッケルが馬を寄せ、アイリスに話しかける。
「奴ら、隙覗ってるな…」
アイリスはヤッケルの言葉に、頷く。
「愛玩全員が、ホントにグーデンの元から、一斉に逃げ出したんですか?」
問われてヤッケルは、頷く。
「…それだってグーデンの元に、残っていられた者達だけだが。
グーデンが金払って雇ってた、去年の四年が乱暴に扱うわ。
なのに集団で犯しまくるわで。
俺が知ってるだけでも三人。
グーデンは愛玩にしたがってたのに、そいつらのせいで自ら退学した者達がいる。
噂では…陰でディアヴォロスが、自分の元に雇い入れると確約したので、『教練』を去ったという説もある」
アイリスは目を見開く。
「…いいな…。
私もディアヴォロス殿がいらっしゃった時、在籍したかったです。
すっごーーーーく、いい男なんですよね?
私がお会いしたのは、かなり前の大公家の舞踏会で。
まだ、お若くていらっしゃったけど…とても素敵でした❦」
ヤッケルは、女の子のように頬染めるアイリスを、ジト目で見つめる。
「…ミーハーだな…」
アイリスはそれを聞き、ふくれっ面で言い返す。
「ディアヴォロス様相手じゃ、誰でもそうなりますよ」
ヤッケルは顔を下げると、呟く。
「俺の言った事、聞いてた?」
「グーデンが愛玩にと、目を付けた美少年三人に、逃げられた話ですよね?
去年の四年って、そんな最悪なんですか?」
ヤッケルは頷く。
「オーガスタス並の身長と体格の、熊みたいなドナルドだろ?
銀髪の超男好きで、泣かすのが大好きなサドのアルシャノン。
それに金髪で顔にキズのある、狂犬みたいなシャンク。
この三人は、ガタイがデカい。
あと一人は黒髪の美形で小柄だが、やっぱサドのザッダン。
機転の利く、参謀役ってとこかな?
迫ってきた男のアソコ、咥える振りして食いちぎったとの、物騒な噂がある。
他の三人は脳味噌あんま使わず、暴れまくるタイプだから」
アイリスはザッダンの話を聞くと、顔下げる。
「…やっぱ不本意な男に迫られたら、そうなりますよね。
私は流石に咥える前に、蹴り倒して潰しますが」
ヤッケルは、目を見開きしばしの沈黙後、尋ねた。
「ナニを、ツブすんだ?」
アイリスはヤッケルの股間を見て言う。
「貴方も、持ってるモノですよ。
男なら大抵、一つは持ってますね」
ヤッケルは目を見開いたまま、固まって問うた。
「…それ、女顔の美形男に共通した意見か?」
アイリスは素直に頷くと、問い返す。
「ギュンター殿にも、聞いてみたら?
彼も若年の時絶対、幾度も男に迫られてますよ」
ヤッケルは、上品でたおやかなアイリスを見つめ、まだ目を見開いたまま呟いた。
「ギュンターが蹴るだろう事は、容易に想像付く」
アイリスはにこにこ笑うと
「ですよね」
と、同意した。
ヤッケルはやっぱり、通じていそうで言葉の通じてないアイリスを、思わず目を見開いたまま凝視した。
アスランは起伏の激しい土地を駆け抜ける様を見、スフォルツァの前で青ざめる。
「…こんな…ところ、絶対僕、落ちずに馬に乗ってる自信、ありません」
スフォルツァはアスランの泣き言を聞いて、ため息吐いた。
「(…グーデン配下が愛玩不足で、改めてアスランに狙いを付けてるみたいなのに。
心配事はそっちか…)」
けれどグーデンに、無残に扱われる事を想像した途端、スフォルツァは自分でも意外なほど…アスランを絶対そんな目には、合わせまいと覚悟決めてる自身に気づく。
振り向くと、マレーとハウリィを両脇で取り囲む大貴族らも、彼らに笑顔を向けながら…側にピタリと馬を並べ、離れない…。
前の方では二年のグーデン配下、冷酷で乱暴者の美形ローズベルタを、ローランデが隣に付いて見張っていた。
ローズベルタは何とかローランデを振り切ろうとするが、ローランデはさせず、どこまでもぴったり付いて、併走する。
他のグーデン配下達は、この中では事実上のトップ、ローズベルタが見張られて迂闊に動けず、更に美少年三人のガードが固いのを見て、ちっ!と舌打ちし、離れて行った。
フィンスとシュルツは、馬を寄せると小声で話し出す。
「三年のセシャルとシャクナッセルは、講義に出てるらしい」
シュルツの言葉に、フィンスも頷く。
「今日は来てないからいいけど。
ラナーン、レナルアン、ミーシャの三人が講義に出始めたら…護るのは大変そうだね…」
シュルツもその言葉に、頷く。
「まあ…いざ出るとなったら。
護るしかないが」
フィンスもシュルツのその決意に、同意して頷いた。
オーガスタスはギュンターの
「腹減った…」
と呻く声を聞く。
まだ半分眠った頭で反射的に
「ディングレーかその召使いに、食い物くれと頼め」
と言葉を返し、ギュンター方向から背を向けて背もたれの方に顔を向け、クッション抱えて二度寝に入った。
間もなく、いい匂いがし、ギュンターのガツガツガツ…と、食べ物を掻き込む音に、とうとうむくっ!と起き上がると、長椅子で食べてるギュンターに皿を差し出し、給仕してる召使いに尋ねる。
「今、何時だ?」
召使いは微笑むと
「後少しで12点鐘です」
と答えた。
オーガスタスは額に手を当て、暫し黙り込んだ後。
顔を上げて再度尋ねた。
「ローフィスは別の部屋に居るのか?
それとも…」
召使いは頷くと
「ディングレー様の寝室にいらっしゃいます」
と答え、ギュンターが空にした皿を持って、一礼した後下がる。
ギュンターは手づかみで鳥のもも肉を噛み千切っていたが、オーガスタスが固まったままなので、目を見開いた後、ぼそり…と告げる。
「まさか昨夜、ヤってないよな?」
ギュンターはオーガスタスを見る。
が、オーガスタスは額に手を当てたまま、頷くでも、首を横に振るでもなく、そのままなのでついギュンターは、再度尋ねた。
「…まさか…ディングレーが、突っ込まれる側?」
その時、突然扉が開くと、ディングレーがガウンの前をはだけ、呻く。
「ダレがダレに突っ込まれるって?」
「………………………………」
ギュンターがもも肉を手にしたまま、振り向くのでディングレーは目を見開く。
「…まだ…残ってるぞ?」
ギュンターは手に持つ、もも肉を見る。
上少しと下半分は、まるっと肉が付いていた。
「…だから?」
尋ねると、ディングレーは目を見開いたまま、呟く。
「…だってお前が食事途中で顔上げた試し、今まで一度も無いし。
召使いも、どれだけの量の料理を出しても、食べ残しを一切出さない食いっぷりは、気持ちが良いほどだと。
褒めていた」
ギュンターはそう言う、ヨレた服装のディングレーを見た後。
自分の手に持つ鳥もも肉を見た。
そして、思い出したように食べ始める。
ディングレーが一人掛け用ソファに座るのを見て、オーガスタスは顔下げたまま、ぼそりと言う。
「…お前がローフィスに突っ込まれたのかと、聞かれてたんだ」
ディングレーはテーブルの上の飲み残しのグラスに手を伸ばしかけ、ピタリ、と止まる。
「………………………どっから出るんだ?
その発想」
オーガスタスは俯いたまま髪をぼりぼり掻くと、口開く。
「お前らが寝室で二人きりだからなんじゃ無いのか?
俺が運べないのは分かる。
運べそうなローフィスとギュンターの二択で、ローフィスを取ったから。
ギュンターに勘ぐられるんだ」
ディングレーは納得して頷きながらグラスを持ち上げると、口に運びながら告げる。
「目が覚めて見る顔がギュンターだと。
寝起きに悪い」
オーガスタスはがっついてるギュンターを見やり、ぼやく。
「顔・ダケは美麗だから…目の保養になるぞ?」
ディングレーは眉しかめる。
「本気か?
どれだけ美形だろうが、性格知ってて…。
あんただったらその性格の方、綺麗に忘れてあいつに見とれられるのか?」
オーガスタスは髪揺らして首を振る。
「そんな器用な事、俺には無理だ」
「だろ?」
ディングレーは口に運んだ残り酒をようやく飲み込んだ。
ギュンターも水のグラスに手を伸ばして言う。
「同性のヤツに、顔が綺麗だと思われてると大抵、馬鹿にされてると感じる。
なんで、あんたらと居ると、居心地は良いが。
あんたらだと、性格の方を馬鹿にされてる気がするのは、なぜだ?」
「同性に呆れられる性格の俺ですら、お前には呆れ返る程、いい性格してるから」
オーガスタスがぼそりと言う、その言葉を聞き。
ギュンターだけで無く、ディングレーまでもが、オーガスタスを凝視した。
0
お気に入りに追加
51
あなたにおすすめの小説


淫愛家族
箕田 はる
BL
婿養子として篠山家で生活している睦紀は、結婚一年目にして妻との不仲を悩んでいた。
事あるごとに身の丈に合わない結婚かもしれないと考える睦紀だったが、以前から親交があった義父の俊政と義兄の春馬とは良好な関係を築いていた。
二人から向けられる優しさは心地よく、迷惑をかけたくないという思いから、睦紀は妻と向き合うことを決意する。
だが、同僚から渡された風俗店のカードを返し忘れてしまったことで、正しい三人の関係性が次第に壊れていく――


どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる