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ディングレー私室にて。愛玩らの今後についての話し合い
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デルアンダーがシャクナッセルに、今後の身の振り方の希望を聞いていた時。
再びテスアッソンの
「ディングレー殿がお呼びだ!」
の声で、デルアンダーはソファを立つ。
シャクナッセルはデルアンダーが、うっとりする程素敵な笑顔で
「ここで、寛ぎながら待っていてくれるか?」
と優しい声で告げるのを聞き、見惚れながら頷く。
デルアンダーがノックの後、ディングレー私室に足を踏み入れると。
大貴族らは全員既にそこに来ていて、横一列に目前に立ち塞がり、一斉に振り向いた。
その向こうに、ディングレーの立ち姿がチラと見え、真っ直ぐな黒髪背に流す尊大な主が頷くのを確認し、デルアンダーは歩を進める。
横一列に並ぶ皆の隣に立つと、目前に長椅子の横に立つディングレー。
そして長椅子に足を組み、へたりこんで腰下ろす、ギュンターの姿を見つけた。
チラ、と視線を上げるギュンターは、相変わらず艶やかで豪奢な金の巻き毛を胸に垂らし、冴えた美貌の紫の瞳で、デルアンダーはいっぺんに視線を吸い付けられた。
が、そんな感想を抱いてる事など、微塵も表情に出さない。
ディングレーは濃い栗毛で穏やかな態度の美男、デルアンダーを見ると、途端厳しい表情を緩める。
「…シャクナッセルは、どうだ?」
デルアンダーは親密な微笑を浮かべ、口開く。
「現在、今後はどうしたいかの、聞き取りの途中でした」
ディングレーは頷いた後、顔を横向け視線を外すと、言いにくそうに告げる。
「シャクナッセルが抜けた事もあり…ラナーンも抜けようとしたと、酷い扱いを受けたようで…」
言って、デルアンダーに振り向く。
「三年のセシャル。
それに二年の愛玩三名が、保護して欲しいと、二年宿舎に駆け込んだ」
デルアンダーは目を見開く。
「…それでは、愛玩全員…?」
ディングレーが頷くのを見て、テスアッソンも口開く。
「ではあちらは、奪還に必死でしょう?」
ディングレーはウェーブのかかった明るい栗毛で女顔のテスアッソンの、きりりと引き締まった武人の顔を見、頷きながら説明する。
「四年と三年の配下全て、二年宿舎に押しかけた。
が、ほぼオーガスタスが一人で…」
それを聞いた途端、取り巻き大貴族らは顔を下げる。
「…やっぱり…」
銀髪美形のシャウルスがつぶやくと、長身、直毛栗毛の、朴訥としたラッセンスも頷く。
「去年の四年が卒業し、グーデン配下の戦闘力は著しく落ちましたからね」
黒に近い栗毛の、クールなオルスリードも頷く。
「ほぼ、去年の四年らに頼りっきりだったのが…とうとう、露呈したな」
栗色巻き毛の美青年、モーリアスもが顔下げる。
「その四年ら相手に、当時三年だったオーガスタスは、たった一人で立ち向かっていたから…。
同学年なんて、メじゃないですね…」
ディングレーも、頷く。
「…だから皆、現在怪我人。
傷が癒えるまでは、大人しい。
が、奴らが奪還に必死に成るのは、目に見えてる。
そこでこの三年大貴族宿舎で、保護したいとは思うんだが…」
突然、大貴族らは首振って、互いの顔を見回す。
すかさずラッセンスが申し出る。
「では私はセシャルを。
彼は愛玩とはいえ、元は剣士として鍛えられ、『教練』に入学した。
あれ程の腕を持っているのに…去年の四年らに手酷く弄ばれ、今は見る影も無い」
シャウネスもモーリアスも、憤慨しつつ同意して頷く。
「…あの色情狂の狂犬らは、始末が悪い!」
モーリアスが怒鳴ると、シャウネスも頷く。
「去年はオルスリードに庇われたが、顔がちょっとキレイと言うだけで。
誰彼構わず愛玩にしようと手込めにかかる、極悪非道な奴らでしたね」
ギュンターはようやく、興味引かれて顔を上げる。
「そんな、酷い連中か?」
大貴族らも、ディングレーでさえも。
一斉に、頷く。
ディングレーがおもむろに口開く。
「むしろ奴らがいたからこそ。
ディアヴォロスの目を盗みつつも、グーデンは幅を利かせたと言える」
デルアンダーがさり気なく、口挟む。
「が、こちらにディアヴォロス殿がいらっしゃったから。
グーデンらも迂闊な行動は、慎んできた…とも、言えます」
「…つまりディアヴォロスと、グーデンに付いた過去の四年らが居ない今。
喧嘩では、オーガスタスが圧倒的に有利。
って事だな?」
突然発言するギュンターに、皆が一斉に視線を送る。
ディングレーは長椅子に座るギュンターを見つめながら、少し苦しげに言葉を吐き出す。
「…だが身分では。
ディアヴォロスが居ない今、グーデンがトップ。
アイリスが釘刺してるが。
グーデンが本気になれば…オーガスタスの『教練』在籍は危ない」
ギュンターがディングレーを、きっ!と見上げる。
「退校になるってのか?!」
ディングレーが顔を下げた後、言い切る。
「俺も手を回すが…ローフィスが、させない。
ディアヴォロスに直訴して、救うよう進言するだろうな」
ギュンターは、目を丸くする。
「ローフィス?
…だってディアヴォロスは、あんたの従兄弟だろう?」
ディングレーは首を振って即答する。
「ディアヴォロスは国家の安全について、いつも駆り出され結構忙しい。
ローフィスは…“どんな案件よりオーガスタスを優先しろ!”
と気迫込めて説得するだろう。
多分、俺よりも真剣に」
ギュンターは、ようやく頷いた。
「…なんとなく、理解出来た」
ギュンターの言葉に、大貴族らは互いを見つめ合って、肩すくめる。
テスアッソンが、混ぜっ返された話題を元に戻そうと話し出す。
「…それで…セシャルはラッセンスが引き取ると言う事で、決まりですね?
問題は…二年愛玩の、割り振りですか?」
その時ノックの音がし、召使いが扉に寄ると、開けて相手を見る。
直ぐ扉を開け、主であるディングレーに
「オーガスタス様がお見えです」
と告げた。
開いた扉からオーガスタスが姿を見せる。
横一列に並んで立っていた三年大貴族らは、一斉にオーガスタスに敬意を払い、横に避けて道を空ける。
けれどオーガスタスの背後から、ひょい。と顔を出す赤毛の美少年は、にこっ!と笑うと
「なんか、こういうのって、いいな!」
と意気揚々とオーガスタスの背後から前に飛び出し、大貴族らの空けた場所を通って、ディングレーの方へと歩き出す。
ギュンターが顔を上げ
「レナルアン…。
なんで来てる?」
と声かけた。
レナルアンはソファに座るギュンターに気づき、いっぺんに頬を染めると
「ここに居たんだ!
下に降りたらあんたの姿見えなくて、俺凄く、がっかりしたんだぜ?!」
と叫びながらギュンターに駆け寄り、横に飛び込んで腰掛け、お尻を一度大きく跳ねさせてギュンターの首に両腕回し、抱きつく。
長椅子の斜め後ろに立ってたディングレーは、上から見下ろし、目を見開いた。
「…ギュンターに会いに来るのに、オーガスタスに護衛して貰ったのか?」
けれどディングレーの問いの返答を、オーガスタスがした。
「実はフィンスの所に現在居るが。
やっぱりフィンスのとこで養生してるラナーンと、こいつの二人が居ると。
かしましくてフィンスがやっていけず、引き取り場所を探してる」
ディングレーが聞いた途端目を見開き、さっ!とオーガスタスから顔を背けた後。
こそっ…と、取り巻き大貴族らを見回す。
が、ダレも顔を上げない。
レナルアンだけは、ギュンターの首に腕を回したまま顔を上げると
「俺、ホントはギュンターんとこがいいんだ」
と言い、それを聞いたディングレー始め大貴族らは、ほっ…とし、だがその後の
「けどさ。
オーガスタスが。
ギュンターの部屋じゃグーデンんとこの力自慢らがやって来て、俺なんて直ぐ、連れ戻される。
って言うからさ…。
もっと警戒厳重な、大貴族宿舎じゃないと、無理って…」
と、レナルアンが不満そうに顔を下げて言うと。
ディングレー始め大貴族らは、顔を下げて上目使いで、こっそりオーガスタスを睨んだ。
オーガスタスは肩を竦める。
「お前らもレナルアンの事は、知ってるな?
ローランデは果敢にも、自分の部屋に引き取ると、言ってる。
が、無理なのはダレでも、想像付くだろう?」
ディングレー始め大貴族らは、一斉に不服ながらも頷く。
が、レナルアンに抱きつかれたギュンターだけが。
顔上げて尋ねた。
「俺は想像付かない。
本人がいいって言ってるのに、どこがマズい?」
オーガスタスはギュンターを、諦めの表情で見つめると告げる。
「…お前がローランデの部屋に泊まると言ったら。
俺を始めこの部屋のレナルアンを除く全員が、反対する。
それと同じ理由だ」
ディングレーと大貴族らは、顔を下げつつ納得の頷きを、しまくっていた。
が、ギュンターはやっぱり
「…全然、意味が理解出来ない」
とつぶやく。
レナルアンはギュンターの美貌を間近で見つめ、うっとり見惚れながら
「だってあんたもエロい話、平気でするだろ?
ローランデにはそっちの話は、しちゃダメらしい」
ギュンターは今度、レナルアンを見る。
「なんで?」
「免疫無いし。
すっごーーーーーく、真っ当だから」
「?????
だが…幾らローランデだって、野郎なんだから。
猥談ぐらい…多少はするだろう?」
と、ディングレーを見上げて聞く。
ディングレーは取り巻き大貴族らの前だったので、ギュンターより顔を背け、ぼそりと言葉を返した。
「…だからローランデは。
王族の俺なんかよりよっぽど、品がいいんだ」
ギュンターは途端、顔を下げる。
「…つまり俺とレナルアンは、下品だから。
言葉が悪くてローランデを、気まずくさせるってのか?」
聞いて顔を上げ、室内を見回すと。
ディングレーも大貴族らも。
顔を下げて、うんうん。
と頷いていて、オーガスタスは腕組んで下を見ていたが、ギュンターの視線感じ、ギュンターと目を合わせた後。
思いっきり、首を縦に振った。
再びテスアッソンの
「ディングレー殿がお呼びだ!」
の声で、デルアンダーはソファを立つ。
シャクナッセルはデルアンダーが、うっとりする程素敵な笑顔で
「ここで、寛ぎながら待っていてくれるか?」
と優しい声で告げるのを聞き、見惚れながら頷く。
デルアンダーがノックの後、ディングレー私室に足を踏み入れると。
大貴族らは全員既にそこに来ていて、横一列に目前に立ち塞がり、一斉に振り向いた。
その向こうに、ディングレーの立ち姿がチラと見え、真っ直ぐな黒髪背に流す尊大な主が頷くのを確認し、デルアンダーは歩を進める。
横一列に並ぶ皆の隣に立つと、目前に長椅子の横に立つディングレー。
そして長椅子に足を組み、へたりこんで腰下ろす、ギュンターの姿を見つけた。
チラ、と視線を上げるギュンターは、相変わらず艶やかで豪奢な金の巻き毛を胸に垂らし、冴えた美貌の紫の瞳で、デルアンダーはいっぺんに視線を吸い付けられた。
が、そんな感想を抱いてる事など、微塵も表情に出さない。
ディングレーは濃い栗毛で穏やかな態度の美男、デルアンダーを見ると、途端厳しい表情を緩める。
「…シャクナッセルは、どうだ?」
デルアンダーは親密な微笑を浮かべ、口開く。
「現在、今後はどうしたいかの、聞き取りの途中でした」
ディングレーは頷いた後、顔を横向け視線を外すと、言いにくそうに告げる。
「シャクナッセルが抜けた事もあり…ラナーンも抜けようとしたと、酷い扱いを受けたようで…」
言って、デルアンダーに振り向く。
「三年のセシャル。
それに二年の愛玩三名が、保護して欲しいと、二年宿舎に駆け込んだ」
デルアンダーは目を見開く。
「…それでは、愛玩全員…?」
ディングレーが頷くのを見て、テスアッソンも口開く。
「ではあちらは、奪還に必死でしょう?」
ディングレーはウェーブのかかった明るい栗毛で女顔のテスアッソンの、きりりと引き締まった武人の顔を見、頷きながら説明する。
「四年と三年の配下全て、二年宿舎に押しかけた。
が、ほぼオーガスタスが一人で…」
それを聞いた途端、取り巻き大貴族らは顔を下げる。
「…やっぱり…」
銀髪美形のシャウルスがつぶやくと、長身、直毛栗毛の、朴訥としたラッセンスも頷く。
「去年の四年が卒業し、グーデン配下の戦闘力は著しく落ちましたからね」
黒に近い栗毛の、クールなオルスリードも頷く。
「ほぼ、去年の四年らに頼りっきりだったのが…とうとう、露呈したな」
栗色巻き毛の美青年、モーリアスもが顔下げる。
「その四年ら相手に、当時三年だったオーガスタスは、たった一人で立ち向かっていたから…。
同学年なんて、メじゃないですね…」
ディングレーも、頷く。
「…だから皆、現在怪我人。
傷が癒えるまでは、大人しい。
が、奴らが奪還に必死に成るのは、目に見えてる。
そこでこの三年大貴族宿舎で、保護したいとは思うんだが…」
突然、大貴族らは首振って、互いの顔を見回す。
すかさずラッセンスが申し出る。
「では私はセシャルを。
彼は愛玩とはいえ、元は剣士として鍛えられ、『教練』に入学した。
あれ程の腕を持っているのに…去年の四年らに手酷く弄ばれ、今は見る影も無い」
シャウネスもモーリアスも、憤慨しつつ同意して頷く。
「…あの色情狂の狂犬らは、始末が悪い!」
モーリアスが怒鳴ると、シャウネスも頷く。
「去年はオルスリードに庇われたが、顔がちょっとキレイと言うだけで。
誰彼構わず愛玩にしようと手込めにかかる、極悪非道な奴らでしたね」
ギュンターはようやく、興味引かれて顔を上げる。
「そんな、酷い連中か?」
大貴族らも、ディングレーでさえも。
一斉に、頷く。
ディングレーがおもむろに口開く。
「むしろ奴らがいたからこそ。
ディアヴォロスの目を盗みつつも、グーデンは幅を利かせたと言える」
デルアンダーがさり気なく、口挟む。
「が、こちらにディアヴォロス殿がいらっしゃったから。
グーデンらも迂闊な行動は、慎んできた…とも、言えます」
「…つまりディアヴォロスと、グーデンに付いた過去の四年らが居ない今。
喧嘩では、オーガスタスが圧倒的に有利。
って事だな?」
突然発言するギュンターに、皆が一斉に視線を送る。
ディングレーは長椅子に座るギュンターを見つめながら、少し苦しげに言葉を吐き出す。
「…だが身分では。
ディアヴォロスが居ない今、グーデンがトップ。
アイリスが釘刺してるが。
グーデンが本気になれば…オーガスタスの『教練』在籍は危ない」
ギュンターがディングレーを、きっ!と見上げる。
「退校になるってのか?!」
ディングレーが顔を下げた後、言い切る。
「俺も手を回すが…ローフィスが、させない。
ディアヴォロスに直訴して、救うよう進言するだろうな」
ギュンターは、目を丸くする。
「ローフィス?
…だってディアヴォロスは、あんたの従兄弟だろう?」
ディングレーは首を振って即答する。
「ディアヴォロスは国家の安全について、いつも駆り出され結構忙しい。
ローフィスは…“どんな案件よりオーガスタスを優先しろ!”
と気迫込めて説得するだろう。
多分、俺よりも真剣に」
ギュンターは、ようやく頷いた。
「…なんとなく、理解出来た」
ギュンターの言葉に、大貴族らは互いを見つめ合って、肩すくめる。
テスアッソンが、混ぜっ返された話題を元に戻そうと話し出す。
「…それで…セシャルはラッセンスが引き取ると言う事で、決まりですね?
問題は…二年愛玩の、割り振りですか?」
その時ノックの音がし、召使いが扉に寄ると、開けて相手を見る。
直ぐ扉を開け、主であるディングレーに
「オーガスタス様がお見えです」
と告げた。
開いた扉からオーガスタスが姿を見せる。
横一列に並んで立っていた三年大貴族らは、一斉にオーガスタスに敬意を払い、横に避けて道を空ける。
けれどオーガスタスの背後から、ひょい。と顔を出す赤毛の美少年は、にこっ!と笑うと
「なんか、こういうのって、いいな!」
と意気揚々とオーガスタスの背後から前に飛び出し、大貴族らの空けた場所を通って、ディングレーの方へと歩き出す。
ギュンターが顔を上げ
「レナルアン…。
なんで来てる?」
と声かけた。
レナルアンはソファに座るギュンターに気づき、いっぺんに頬を染めると
「ここに居たんだ!
下に降りたらあんたの姿見えなくて、俺凄く、がっかりしたんだぜ?!」
と叫びながらギュンターに駆け寄り、横に飛び込んで腰掛け、お尻を一度大きく跳ねさせてギュンターの首に両腕回し、抱きつく。
長椅子の斜め後ろに立ってたディングレーは、上から見下ろし、目を見開いた。
「…ギュンターに会いに来るのに、オーガスタスに護衛して貰ったのか?」
けれどディングレーの問いの返答を、オーガスタスがした。
「実はフィンスの所に現在居るが。
やっぱりフィンスのとこで養生してるラナーンと、こいつの二人が居ると。
かしましくてフィンスがやっていけず、引き取り場所を探してる」
ディングレーが聞いた途端目を見開き、さっ!とオーガスタスから顔を背けた後。
こそっ…と、取り巻き大貴族らを見回す。
が、ダレも顔を上げない。
レナルアンだけは、ギュンターの首に腕を回したまま顔を上げると
「俺、ホントはギュンターんとこがいいんだ」
と言い、それを聞いたディングレー始め大貴族らは、ほっ…とし、だがその後の
「けどさ。
オーガスタスが。
ギュンターの部屋じゃグーデンんとこの力自慢らがやって来て、俺なんて直ぐ、連れ戻される。
って言うからさ…。
もっと警戒厳重な、大貴族宿舎じゃないと、無理って…」
と、レナルアンが不満そうに顔を下げて言うと。
ディングレー始め大貴族らは、顔を下げて上目使いで、こっそりオーガスタスを睨んだ。
オーガスタスは肩を竦める。
「お前らもレナルアンの事は、知ってるな?
ローランデは果敢にも、自分の部屋に引き取ると、言ってる。
が、無理なのはダレでも、想像付くだろう?」
ディングレー始め大貴族らは、一斉に不服ながらも頷く。
が、レナルアンに抱きつかれたギュンターだけが。
顔上げて尋ねた。
「俺は想像付かない。
本人がいいって言ってるのに、どこがマズい?」
オーガスタスはギュンターを、諦めの表情で見つめると告げる。
「…お前がローランデの部屋に泊まると言ったら。
俺を始めこの部屋のレナルアンを除く全員が、反対する。
それと同じ理由だ」
ディングレーと大貴族らは、顔を下げつつ納得の頷きを、しまくっていた。
が、ギュンターはやっぱり
「…全然、意味が理解出来ない」
とつぶやく。
レナルアンはギュンターの美貌を間近で見つめ、うっとり見惚れながら
「だってあんたもエロい話、平気でするだろ?
ローランデにはそっちの話は、しちゃダメらしい」
ギュンターは今度、レナルアンを見る。
「なんで?」
「免疫無いし。
すっごーーーーーく、真っ当だから」
「?????
だが…幾らローランデだって、野郎なんだから。
猥談ぐらい…多少はするだろう?」
と、ディングレーを見上げて聞く。
ディングレーは取り巻き大貴族らの前だったので、ギュンターより顔を背け、ぼそりと言葉を返した。
「…だからローランデは。
王族の俺なんかよりよっぽど、品がいいんだ」
ギュンターは途端、顔を下げる。
「…つまり俺とレナルアンは、下品だから。
言葉が悪くてローランデを、気まずくさせるってのか?」
聞いて顔を上げ、室内を見回すと。
ディングレーも大貴族らも。
顔を下げて、うんうん。
と頷いていて、オーガスタスは腕組んで下を見ていたが、ギュンターの視線感じ、ギュンターと目を合わせた後。
思いっきり、首を縦に振った。
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