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噂を知るオーガスタス
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ギュンターがディングレーと大貴族用食堂を抜けた時も。
一階平貴族大食堂に降りた時も。
がらん…と人気が無い。
二人は顔を見合わせ、一気に駆け出した。
講義室の扉を開けた時。
講義室の皆は、髪を振り乱して慌てて駆け込む、ディングレーとギュンターを見た。
ディングレーの真っ直ぐな髪は戦った後のように乱れ、相変わらずぞくり…!とする男っぽさを見せていたが、講師に気まずい顔を見せる。
ギュンターは駆け込む息が弾んでいて、長身ながらディングレーといると細く見える肩が上下に波打ち、金の巻き毛もディングレー同様、やっぱり乱れていた。
講師はディングレーを見
「良かったな。
始める前だから、一応間に合ったことにしとく」
と言い、ディングレーは頷いて、取り巻き大貴族らがわざわざ開けてる最前列の席に、腰掛けた。
ギュンターは正面席横の、ほぼ黒に近い焦げ茶の古びた階段を駆け上がり、かなり後ろの席。
ダベンデスタの横に滑り込む。
ダベンデスタはギュンターの、はだけた襟元の首筋と鎖骨辺りを、つい見てしまい、顔を背けた。
ギュンターは気づく風も無く、本を広げる。
講師はその講義で、生徒らがいつもと違い、妙に…異様なのに気づく。
「(…なんだこの、すごくやりにくい雰囲気は…)」
結局講師はその日、課題についてのテーマを延々しゃべって生徒らの興味を引きつけ、最後に
「これについて、羊皮紙4枚書いてくること」
と言って、講義室をそそくさと逃げ出した。
終了の鐘と共に立ち上がるギュンターを、ダベンデスタが見上げる。
気づいたギュンターは
「悪い。
ちょい疲れてるから、サボってどこかで寝る」
と告げ、さっさと横の階段を降りて行く。
周囲はそれを聞いて憶測の塊だったが、まだ前列にはディングレーの姿が見えて、皆声を極力ひそめ、三年全部にバレてる、朝のディングレーとギュンターの情事について、こっそり語り合った。
スフォルツァは、アイリスが片時も離れない三人の美少年を奪還しようと、あちこちで見張るグーデン配下の者らの視線を感じ、緊張の面持ちで講義の移動中、周囲に気を配るハメになった。
だから無事昼食を知らせる鐘の音で一気に脱力し、三人を大食堂に促した。
一方オーガスタスは講義で移動する度、どこからか視線を感じ、『グーデン一味か!』と振り向くものの…。
知ってる下級生。
今にも泣き出しそうな顔で見つめられ、声をかけようとすると、逃げられる。
かと思うと、もの凄く興味深そうにジロジロ見られ、振り向くと視線を避けられる。
オーガスタスはとうとう、横で吹き出す自分からしたら頭一つ半は背の低い、ローフィスに尋ねた。
「…理由を、知ってるんだな?」
聞くとローフィスは、吹き出しながら明るい栗毛を振って、頷く。
「実は今現在、男ばっかで暇持て余した『教練』では、ボスのお前がここで初めてクィーンを迎えた。
と大評判だ」
「クィーン?
…………まさか、ギュンターの事か?」
ローフィスは口に手を当てまだ、くっくっと笑いながら、頷く。
オーガスタスは跳ねた赤毛の前髪に手をやり、ぼやいた。
「…あいつと連んでる以上、いつかはそういう噂は立つと、覚悟はしていた」
背後から突然リーラスが、濃い真っ直ぐな栗毛ごと、オーガスタスとローフィスの間に顔出して、口挟む。
「いい覚悟だ。
俺が耳に挟んだのは、ディングレーとお前とでギュンターを争って、ディングレーが譲り、お前が勝ち取ったって話だが…」
オーガスタスが眉を寄せ、鳶色の瞳をキラリと光らせて即答した。
「否定しただろうな?」
リーラスは動じない茶の瞳を向け、言い返す。
「…どうしてこんな楽しい噂を否定する」
オーガスタスがいっぺんに、リーラスをきつく睨む。
が、リーラスは言った。
「ローフィスだって、聞かれたら否定しないぞ?」
オーガスタスはまだ笑ってる、ローフィスを見た。
「お前も、否定しないクチか?」
ローフィスはくっくっくっと笑いながら頷き、声を漏らした。
「肯定も、してないのに…奴ら勝手に誤解するから…」
「楽しくて?」
オーガスタスに言われ、ローフィスは青い瞳まで潤ませ、まだ笑い続けて頷く。
とうとう、オーガスタスは大きなため息を吐く。
「…つまり誰も、誤解を解かないんだな?」
リーラスが、頭一つ背の高いオーガスタスの肩に腕を乗せ、顔を覗き込んで言った。
「暇人に娯楽を提供してると思え。
みんな、それなりに楽しんでる。
どうせいつかは、ギュンターが女と美少年相手の“垂らし”だとバレる。
それまでは、喜ばせておけ」
オーガスタスはまた一人、泣きそうな顔して自分を見てる下級生を見つけ、顎をしゃくる。
「楽しんでないヤツは、どうする」
リーラスはさっ!と顔を背け走り去る、小柄な二年を見て、言った。
「真相が分かれば、ほっとする。
それまでには、お前への恋心も覚めるさ!」
オーガスタスは、睨んだ。
「あれは恋心じゃない。
尊敬か信頼を裏切られたって感じの、態度だ」
「…尊敬、され続けたかったのか?」
リーラスに聞かれ、オーガスタスは顔を下げた。
「…別に尊敬はいい」
「じゃ、信頼か?」
リーラスにまた聞かれ、オーガスタスはリーラスを睨む。
やっとローフィスが笑いから回復し、オーガスタスに言った。
「ギュンターとヤってる程度で崩れ去る信頼なんて、崩したって良いだろう?別に」
「…信頼は問題じゃ無い」
「じゃ、なんだ?」
リーラスとローフィス、同時に聞かれ、オーガスタスは顔を下げる。
「…ギュンター相手に俺が“勃つ”と思われてる事が、問題だ」
ローフィスが即答した。
「ギュンターは学年無差別剣の練習試合休んだから、ここでまだ本性が知れ渡ってない。
だがあいつ、大人しくしてる気ナイから、バレるのも直だ」
リーラスも頷く。
「ギュンターの本性バレるまでの、期間限定のお楽しみだ。
下級生の娯楽に、水を差すな」
言われて、オーガスタスはまた大きなため息を、吐き出した。
リーラスが、陽気に言う。
「また面白い噂聞いたら、教えてやるから元気出せ!」
ローフィスも、吹き出しながら言う。
「楽しすぎて、笑い転げるぜ!」
オーガスタスは人の悪い悪友二人に、呆れた視線を送った。
昼食の大食堂に入ると、一斉に下級らは、自分とディングレーに視線を向ける。
ギュンターの姿はまだ、無かった。
ディングレーを覗う。
が、ディングレーは自分同様、まるで気づいてない様子で、周囲の視線を怪訝に見つめている。
オーガスタスは、ディングレーが目端が利かず、世ごとに疎いのを知っていた。
知らせようと、ディングレーの居るテーブルへ体を向けた途端。
大食堂内は突然、シーンとなって、自分とディングレーの動向を覗う。
オーガスタスはまるで、視線に縛られてるみたいだと感じ、固まって…ディングレーから、さっ!と背を向けた。
食堂内はイベントが開催されない失望のため息で満たされ、オーガスタスは椅子に座り、こっそりローフィスに囁く。
「お前いつ、ディングレーに教えるつもりだ?」
「聞かれたら」
「あいつが、自分から気づく訳ナイだろう?
第一そんな噂、耳に入れないよう取り巻きが護ってる」
「…取り巻き筆頭の、デルアンダーまでも誤解してる」
言って、ぷっ!と吹いて、また口に手を当てる。
「なんで知ってる?」
「き…かれたから」
「で、どう答えた?」
「今お前に話したら、俺は笑い死にして食べ損ねるから、夜お前の部屋で晩酌時に話す」
オーガスタスに睨まれたが、ローフィスは思い出したのか、まだ、笑い続けていた。
スフォルツァはアイリスが、こっそり自分と美少年三人から離れ、既に先に食堂に入ってたヤッケルの、後ろに身を屈めて忍んで行くのを見た。
そして暫く後に、帰って来る。
横に来ると、うっとりするような微笑を浮かべ、濃い栗色巻き毛に囲まれた綺麗な顔を近づけて、耳打ちする。
「噂では今朝、三人を私たちに送り届けた後のディングレー私室に、ギュンターは講義に遅刻するまで居たそうだ」
スフォルツァは、アイリスを見た。
アイリスは相変わらず、愛おしい濃紺の瞳をきらきらさせ、囁く。
「ディングレーに突っかかるのは、もう止めたら?」
つい、スフォルツァは言い返す。
「…君に好意を持たれ、邪険にする者がいるなんて、想像も付かない。
単に寝られるギュンターとはシて。
俺が君に夢中なのを知ってるから。
本心は君が好きでも、遠慮してるのでは?」
アイリスは一瞬呆け、けれど悪戯っぽいチャーミングな笑顔を見せて、言った。
「さぁね」
スフォルツァはもう、アイリスの腕を引いて抱き寄せたくなって、切なくなった。
が、アイリスはすっ!と場を外し、アスランやマレー、ハウリィらに、席に着くよう促し
「食事を取ってくるけど、何が苦手?」
と聞いていた。
食事を取りに場を外すアイリスの背後に、ディオネルデス、アッサリア、フィフィルースが続き、スフォルツァは美少年三人の護衛か。
と、座る彼らの、正面に腰掛けた。
ほぼ全校生徒が食事を終えた頃。
ギュンターが、駆け込んで来る。
皆一斉にギュンターに視線を送った。
が、黒髪のゴツい同学年に
「直、講義が始まるぞ!」
と怒鳴られ、ギュンターは
「食ってから行く!!!」
と叫び、トレー置き場に突進する。
皆が続々と、食べ物を皿に盛るギュンターを尻目に、講義に遅れまいと大食堂を出て行った。
一階平貴族大食堂に降りた時も。
がらん…と人気が無い。
二人は顔を見合わせ、一気に駆け出した。
講義室の扉を開けた時。
講義室の皆は、髪を振り乱して慌てて駆け込む、ディングレーとギュンターを見た。
ディングレーの真っ直ぐな髪は戦った後のように乱れ、相変わらずぞくり…!とする男っぽさを見せていたが、講師に気まずい顔を見せる。
ギュンターは駆け込む息が弾んでいて、長身ながらディングレーといると細く見える肩が上下に波打ち、金の巻き毛もディングレー同様、やっぱり乱れていた。
講師はディングレーを見
「良かったな。
始める前だから、一応間に合ったことにしとく」
と言い、ディングレーは頷いて、取り巻き大貴族らがわざわざ開けてる最前列の席に、腰掛けた。
ギュンターは正面席横の、ほぼ黒に近い焦げ茶の古びた階段を駆け上がり、かなり後ろの席。
ダベンデスタの横に滑り込む。
ダベンデスタはギュンターの、はだけた襟元の首筋と鎖骨辺りを、つい見てしまい、顔を背けた。
ギュンターは気づく風も無く、本を広げる。
講師はその講義で、生徒らがいつもと違い、妙に…異様なのに気づく。
「(…なんだこの、すごくやりにくい雰囲気は…)」
結局講師はその日、課題についてのテーマを延々しゃべって生徒らの興味を引きつけ、最後に
「これについて、羊皮紙4枚書いてくること」
と言って、講義室をそそくさと逃げ出した。
終了の鐘と共に立ち上がるギュンターを、ダベンデスタが見上げる。
気づいたギュンターは
「悪い。
ちょい疲れてるから、サボってどこかで寝る」
と告げ、さっさと横の階段を降りて行く。
周囲はそれを聞いて憶測の塊だったが、まだ前列にはディングレーの姿が見えて、皆声を極力ひそめ、三年全部にバレてる、朝のディングレーとギュンターの情事について、こっそり語り合った。
スフォルツァは、アイリスが片時も離れない三人の美少年を奪還しようと、あちこちで見張るグーデン配下の者らの視線を感じ、緊張の面持ちで講義の移動中、周囲に気を配るハメになった。
だから無事昼食を知らせる鐘の音で一気に脱力し、三人を大食堂に促した。
一方オーガスタスは講義で移動する度、どこからか視線を感じ、『グーデン一味か!』と振り向くものの…。
知ってる下級生。
今にも泣き出しそうな顔で見つめられ、声をかけようとすると、逃げられる。
かと思うと、もの凄く興味深そうにジロジロ見られ、振り向くと視線を避けられる。
オーガスタスはとうとう、横で吹き出す自分からしたら頭一つ半は背の低い、ローフィスに尋ねた。
「…理由を、知ってるんだな?」
聞くとローフィスは、吹き出しながら明るい栗毛を振って、頷く。
「実は今現在、男ばっかで暇持て余した『教練』では、ボスのお前がここで初めてクィーンを迎えた。
と大評判だ」
「クィーン?
…………まさか、ギュンターの事か?」
ローフィスは口に手を当てまだ、くっくっと笑いながら、頷く。
オーガスタスは跳ねた赤毛の前髪に手をやり、ぼやいた。
「…あいつと連んでる以上、いつかはそういう噂は立つと、覚悟はしていた」
背後から突然リーラスが、濃い真っ直ぐな栗毛ごと、オーガスタスとローフィスの間に顔出して、口挟む。
「いい覚悟だ。
俺が耳に挟んだのは、ディングレーとお前とでギュンターを争って、ディングレーが譲り、お前が勝ち取ったって話だが…」
オーガスタスが眉を寄せ、鳶色の瞳をキラリと光らせて即答した。
「否定しただろうな?」
リーラスは動じない茶の瞳を向け、言い返す。
「…どうしてこんな楽しい噂を否定する」
オーガスタスがいっぺんに、リーラスをきつく睨む。
が、リーラスは言った。
「ローフィスだって、聞かれたら否定しないぞ?」
オーガスタスはまだ笑ってる、ローフィスを見た。
「お前も、否定しないクチか?」
ローフィスはくっくっくっと笑いながら頷き、声を漏らした。
「肯定も、してないのに…奴ら勝手に誤解するから…」
「楽しくて?」
オーガスタスに言われ、ローフィスは青い瞳まで潤ませ、まだ笑い続けて頷く。
とうとう、オーガスタスは大きなため息を吐く。
「…つまり誰も、誤解を解かないんだな?」
リーラスが、頭一つ背の高いオーガスタスの肩に腕を乗せ、顔を覗き込んで言った。
「暇人に娯楽を提供してると思え。
みんな、それなりに楽しんでる。
どうせいつかは、ギュンターが女と美少年相手の“垂らし”だとバレる。
それまでは、喜ばせておけ」
オーガスタスはまた一人、泣きそうな顔して自分を見てる下級生を見つけ、顎をしゃくる。
「楽しんでないヤツは、どうする」
リーラスはさっ!と顔を背け走り去る、小柄な二年を見て、言った。
「真相が分かれば、ほっとする。
それまでには、お前への恋心も覚めるさ!」
オーガスタスは、睨んだ。
「あれは恋心じゃない。
尊敬か信頼を裏切られたって感じの、態度だ」
「…尊敬、され続けたかったのか?」
リーラスに聞かれ、オーガスタスは顔を下げた。
「…別に尊敬はいい」
「じゃ、信頼か?」
リーラスにまた聞かれ、オーガスタスはリーラスを睨む。
やっとローフィスが笑いから回復し、オーガスタスに言った。
「ギュンターとヤってる程度で崩れ去る信頼なんて、崩したって良いだろう?別に」
「…信頼は問題じゃ無い」
「じゃ、なんだ?」
リーラスとローフィス、同時に聞かれ、オーガスタスは顔を下げる。
「…ギュンター相手に俺が“勃つ”と思われてる事が、問題だ」
ローフィスが即答した。
「ギュンターは学年無差別剣の練習試合休んだから、ここでまだ本性が知れ渡ってない。
だがあいつ、大人しくしてる気ナイから、バレるのも直だ」
リーラスも頷く。
「ギュンターの本性バレるまでの、期間限定のお楽しみだ。
下級生の娯楽に、水を差すな」
言われて、オーガスタスはまた大きなため息を、吐き出した。
リーラスが、陽気に言う。
「また面白い噂聞いたら、教えてやるから元気出せ!」
ローフィスも、吹き出しながら言う。
「楽しすぎて、笑い転げるぜ!」
オーガスタスは人の悪い悪友二人に、呆れた視線を送った。
昼食の大食堂に入ると、一斉に下級らは、自分とディングレーに視線を向ける。
ギュンターの姿はまだ、無かった。
ディングレーを覗う。
が、ディングレーは自分同様、まるで気づいてない様子で、周囲の視線を怪訝に見つめている。
オーガスタスは、ディングレーが目端が利かず、世ごとに疎いのを知っていた。
知らせようと、ディングレーの居るテーブルへ体を向けた途端。
大食堂内は突然、シーンとなって、自分とディングレーの動向を覗う。
オーガスタスはまるで、視線に縛られてるみたいだと感じ、固まって…ディングレーから、さっ!と背を向けた。
食堂内はイベントが開催されない失望のため息で満たされ、オーガスタスは椅子に座り、こっそりローフィスに囁く。
「お前いつ、ディングレーに教えるつもりだ?」
「聞かれたら」
「あいつが、自分から気づく訳ナイだろう?
第一そんな噂、耳に入れないよう取り巻きが護ってる」
「…取り巻き筆頭の、デルアンダーまでも誤解してる」
言って、ぷっ!と吹いて、また口に手を当てる。
「なんで知ってる?」
「き…かれたから」
「で、どう答えた?」
「今お前に話したら、俺は笑い死にして食べ損ねるから、夜お前の部屋で晩酌時に話す」
オーガスタスに睨まれたが、ローフィスは思い出したのか、まだ、笑い続けていた。
スフォルツァはアイリスが、こっそり自分と美少年三人から離れ、既に先に食堂に入ってたヤッケルの、後ろに身を屈めて忍んで行くのを見た。
そして暫く後に、帰って来る。
横に来ると、うっとりするような微笑を浮かべ、濃い栗色巻き毛に囲まれた綺麗な顔を近づけて、耳打ちする。
「噂では今朝、三人を私たちに送り届けた後のディングレー私室に、ギュンターは講義に遅刻するまで居たそうだ」
スフォルツァは、アイリスを見た。
アイリスは相変わらず、愛おしい濃紺の瞳をきらきらさせ、囁く。
「ディングレーに突っかかるのは、もう止めたら?」
つい、スフォルツァは言い返す。
「…君に好意を持たれ、邪険にする者がいるなんて、想像も付かない。
単に寝られるギュンターとはシて。
俺が君に夢中なのを知ってるから。
本心は君が好きでも、遠慮してるのでは?」
アイリスは一瞬呆け、けれど悪戯っぽいチャーミングな笑顔を見せて、言った。
「さぁね」
スフォルツァはもう、アイリスの腕を引いて抱き寄せたくなって、切なくなった。
が、アイリスはすっ!と場を外し、アスランやマレー、ハウリィらに、席に着くよう促し
「食事を取ってくるけど、何が苦手?」
と聞いていた。
食事を取りに場を外すアイリスの背後に、ディオネルデス、アッサリア、フィフィルースが続き、スフォルツァは美少年三人の護衛か。
と、座る彼らの、正面に腰掛けた。
ほぼ全校生徒が食事を終えた頃。
ギュンターが、駆け込んで来る。
皆一斉にギュンターに視線を送った。
が、黒髪のゴツい同学年に
「直、講義が始まるぞ!」
と怒鳴られ、ギュンターは
「食ってから行く!!!」
と叫び、トレー置き場に突進する。
皆が続々と、食べ物を皿に盛るギュンターを尻目に、講義に遅れまいと大食堂を出て行った。
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