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どさくさ紛れでなくマトモ?にローランデと話すギュンター
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粋な栗色巻き毛が自慢の、青い瞳の歴史講師は。
少し気取って見える整った顔を俯け、ひたすら机に突っ伏し堂々と寝ているギュンターに、もう三度も鋭い眼光を送った。
生徒らは歴史講師が、気取った洒落者の外観とは違い、いざとなれば迫力満点で怒鳴りつけるのを知っていたから。
口を噤み、こぞって講師が睨み付けるギュンターを、こっそり見やる。
ハードな試合をこなしたディングレーでさえ、ちゃんと講義を聞いていると言うのに。
試合を欠場した筈のギュンターが、疲労困憊の様子でひたすら、睡眠を貪ってた。
隣のダベンデスタは講師に見つめられ、力なく肩を竦めた。
もう三度も肩を揺すったが、ギュンターが起きる様子が無い。
ディングレーは講師に視線を送り
『無駄だ』と目線で告げた。
夕べ無礼講の後、アスランを頼む。と言われた。
「多分寝台に突っ伏したら明日の昼まで起きない。
俺が寝てる間に連れ去られたら、彼が気の毒だ」
そう言われ、アスランを自室に泊めた。
だから朝食後、取り巻きの一人にギュンターの様子を見に行かせた。
ギュンターはテスアッソンに、後ろから襟首掴まれ、立っているのもやっとなほど壮絶な寝ぼけ顔で、大貴族の朝食の席に、混ざった。
テーブルについても、テスアッソンが時折突っ伏した頭を掴み上げないと起きてられず
「腹は減ってないのか?」
と聞いても
「夕べたらふく喰った」
と言い、ふい…と顔を上げフォークを取り口に掻き込み…そしてまたテーブルに頭を乗せ、ついには乗せたまま皿から手掴みで食事を摘み上げ、口に放り込んでいて、皆はその呆れる食事風景に、揃って目を見開いた。
壮絶に眠い。
とつぶやき、結果二人が彼の両脇で担ぎ、引きずるようにして授業の講堂に連れて行ったから、無理無い事だろう。
講師は何度
「医療室へ連れて行け」
と言いかけ、止めた事か。
確かに授業の、邪魔はしていない。
生徒への示しはまるで、付かなかったが。
そして学年無差別対抗剣の試合。のお陰で、随分削られた歴史の講義は午前まるまる続き、次々に生徒が指名されて質問に答える中、ギュンターは延々眠り続けた。
「さて、大陸エルデルシュベインの中でアースルーリンドは唯一、孤立し他国と交易を持たない。
理由は?
テスアッソン」
がたっ!
テスアッソンは即座に立ち上がる。
長く明るい栗毛を、濃紺の光沢あるビロウドの衣服に垂らす彼は、細い顎と大きめのブルーの瞳の女顔のせいで、かなり優美に見える。
が、背筋をぴしっ!と伸ばした立ち姿は、彼を気概ある騎士に見せる事に成功していた。
「周囲をぐるりと高い崖に囲まれ、外界から進入するのが困難な為です。
敵も入るのに苦労する。
が、交易も困難。
エルデルシュベインの数ある国々の民は未だに、アースルーリンドは謎に包まれた幻の国だと信じている」
「よろしい。
ではアースルーリンドになぜ国が出来たのか」
講師は机につっ伏すギュンターを見た後、横のダベンデスタに顔を向けた。
「ダベンデスタ」
ほぼ黒い栗毛の、真っ直ぐな乱れ髪。
けれど透ける茶の瞳が印象的な、鼻も顎も大きくゴツく男らしい風貌のダベンデスタは
『テスアッソンの後じゃ、自分は随分無骨に見えるんだろうな』
と思いつつ、本当は講師が指名したかった、横で寝こけてる金髪美貌の男を、ため息交じりに見つめつつ立ち上がる。
「…元は偶然迷い込んで、アースルーリンドから出られなくなった者らが数を増やした為です。
女の数が極端に少なかったそうですが…それでも人の数がそこそこ増えた頃。
ドッソムが…ああ地方で色々な呼び名がありますが、人を襲う大型の獣の数も増え…とうとう人は地上に住めず、地下に穴を掘って暮らしていた。
そんな頃、バラバラに点在していた人々が助け合い、部族が形成され…偶然訪れた『光の民』が、穴を小部族同士が行き来出来るほど広げてくれてから、小部族間の交流も盛んになり、人口も増え、皆は団結して地上を支配する獣を狩り始めた。
ついには地上の至る所に居た獣の数を激減させ、人の暮らす土地から山岳部へと追い払う事に成功。
地上に出た部族らはますます数を増やし、その後は…部族同士での交流や戦もありました」
「そこまででいい。
他国からしたらアースルーリンドは美形の宝庫と言われ、エルデルシュベインの各地で高値で売れる。
盗賊らが目の色変えて困難な崖を乗り越え、女子供をさらいに侵入するのも。
祖先である、迷い込んだ者に美形がたいへん多く。
更に閉ざされた環境で数少ない女性の中、美女がもてはやされた為だ。
故にルーツを辿れば、同じ美女が祖先だった者も、多くいるかもしれない」
講師の言葉に、どっ!と笑いが起こる。
ダベンデスタは椅子に腰を落ち着け、ギュンターを見る。
が、その騒ぎにすらピクリとも反応せず熟睡していて、ダベンデスタはまた、諦めのため息を吐いた。
「起きろ!ギュンター!
昼飯だ!」
生徒が全員食堂に消えたがらんとした講堂で、ダベンデスタが堪りかねて怒鳴る。
ギュンターはふ…と頭を持ち上げ、空に成った講堂を、見回した。
そして、唸った。
「…腹が、減った」
ダベンデスタは呆れ混じりに呟いた。
「…そうだろうよ!」
食事の席はもう四年を除く全校生徒が集いつつあり、ごった返してた。
ギュンターはダベンデスタと列に並び皿を取り、料理を木のしゃもじで皿に放り込みながら、どん!と思いっきり背中にぶつかられ、慌てて(顔はすましきってて、表情には出ない)取り落としそうな皿を庇い、思わず背後に振り向き、歯を剥いて睨む。
が、背を向けていたその人物は振り返ると
「すみません。
溢れましたか?」
と丁寧に謝罪し、ギュンターはついその顔を、目を見開いて見た。
濃い栗毛と明るい栗毛の交互に交じる、長い髪と湖水のように澄んだ青の瞳。
いかにも気品溢れる、しなやかな肢体。
一際色白の、染み一つ無い、真っ白な肌にその青い瞳は浮かび上がって見えた。
「王子様」
そう言われても、納得しそうな出で立ち。
どう見ても育ちのそれはいい、身分の高い少年だった。
「…いや。大丈夫だ」
言ってやると彼は謝罪するように感じ良く頷いて、背を向け自分の席へと、戻って行く。
その背を見ながら、ようやく夕べ皆に言われた事を、ぼんやり思い出した。
最もその前にダベンデスタが早口でその名を唱えたが。
「…ローランデじゃないか…」
見るとダベンデスタは壊れた水の汲み上げ(だだ漏れ)のように、しゃべり続ける。
「昨日お前見てなかったから知らないだろうが…。
ローランデは半端無いぞ?
あの見てくれとは正反対にな!
それにこの後二年と合同授業だぞ?知ってるか?
二年との合同授業は『生贄』と呼ばれてる。
あいつが一年の時は、一年との合同授業が『生贄』だった。
今回は三年が真っ先に『生贄』だ。
講師も昨日戦ったばかりのディングレーは宛てがわないだろうが…。
つまり他の奴があいつの相手に宛てがわれるって事だ!
そうなったらいい恥さらしだぞ?
下級生に、滅多打ちにされるなんて!」
ギュンターは言い終わったかな?とダベンデスタの顔をじっ…と見た。
「二年のトップだとは知っている。
喧嘩の場にいて、俺がグーデンの部屋に殴りこむのを、止めた奴だ」
聞いてダベンデスタは呆れ混じりに目を見開きぼやく。
「…それはローランデじゃなくても、誰でも止めるだろう?」
ギュンターは歯を剥く。
「グーデンが少年を拉致しててもか?!」
ダベンデスタは怒るギュンターから、顔を背ける。
金の巻き毛に切れ長の紫の瞳が特徴の、綺麗な曲線の顎と鼻を持つ、とても優美な美貌に見える。
だが生意気にも背は自分より少し高く、見上げるほど。
「…拉致しようが。
王族の私室に普通、殴り込みは掛けない。
ディングレーの私室に殴り込みが入りゃその前に、絶対奴の取り巻きが奴に合う前に、沈めてる」
ギュンターが見下ろすと、ダベンデスタは肩を竦める。
「顔を出したディングレーが問うと、連中は『何でもありませんよ』と狼藉者を引っ張り出し、ぼこぼこに殴って放り出すだろうな」
ギュンターは頷く。
「つまり王族の私室には護衛が付いてるから、困難だと言いたいのか?」
「それに退学のオマケも付く。
目的の人物も殴れず退学だ」
見つめるダベンデスタに、ギュンターも肩を竦めた。
「なるほど。
殴り込んでも利無しと言いたいんだな?」
ダベンデスタは解ったか。と、たっぷり頷いた。
そしてふ…と、ギュンターを見る。
以前より更に、背が伸びたように感じる。
が囁いた。
「案外お前があいつの相手に、指名されるかもな」
ギュンターはまだ、眠気でフラつく頭を振る。
「強敵か?」
ダベンデスタは目を、見開く。
「…学校一の腕前だ」
ギュンターは霞む目でまだ、ぼやけて見える世界とダベンデスタを見て呟く。
「それはたいそう強敵だ」
ダベンデスタはギュンターの表情をじっ…と見た。
が、解って言ってる風もなく、戯言か。と吐息混じりに顔を、背けた。
少し気取って見える整った顔を俯け、ひたすら机に突っ伏し堂々と寝ているギュンターに、もう三度も鋭い眼光を送った。
生徒らは歴史講師が、気取った洒落者の外観とは違い、いざとなれば迫力満点で怒鳴りつけるのを知っていたから。
口を噤み、こぞって講師が睨み付けるギュンターを、こっそり見やる。
ハードな試合をこなしたディングレーでさえ、ちゃんと講義を聞いていると言うのに。
試合を欠場した筈のギュンターが、疲労困憊の様子でひたすら、睡眠を貪ってた。
隣のダベンデスタは講師に見つめられ、力なく肩を竦めた。
もう三度も肩を揺すったが、ギュンターが起きる様子が無い。
ディングレーは講師に視線を送り
『無駄だ』と目線で告げた。
夕べ無礼講の後、アスランを頼む。と言われた。
「多分寝台に突っ伏したら明日の昼まで起きない。
俺が寝てる間に連れ去られたら、彼が気の毒だ」
そう言われ、アスランを自室に泊めた。
だから朝食後、取り巻きの一人にギュンターの様子を見に行かせた。
ギュンターはテスアッソンに、後ろから襟首掴まれ、立っているのもやっとなほど壮絶な寝ぼけ顔で、大貴族の朝食の席に、混ざった。
テーブルについても、テスアッソンが時折突っ伏した頭を掴み上げないと起きてられず
「腹は減ってないのか?」
と聞いても
「夕べたらふく喰った」
と言い、ふい…と顔を上げフォークを取り口に掻き込み…そしてまたテーブルに頭を乗せ、ついには乗せたまま皿から手掴みで食事を摘み上げ、口に放り込んでいて、皆はその呆れる食事風景に、揃って目を見開いた。
壮絶に眠い。
とつぶやき、結果二人が彼の両脇で担ぎ、引きずるようにして授業の講堂に連れて行ったから、無理無い事だろう。
講師は何度
「医療室へ連れて行け」
と言いかけ、止めた事か。
確かに授業の、邪魔はしていない。
生徒への示しはまるで、付かなかったが。
そして学年無差別対抗剣の試合。のお陰で、随分削られた歴史の講義は午前まるまる続き、次々に生徒が指名されて質問に答える中、ギュンターは延々眠り続けた。
「さて、大陸エルデルシュベインの中でアースルーリンドは唯一、孤立し他国と交易を持たない。
理由は?
テスアッソン」
がたっ!
テスアッソンは即座に立ち上がる。
長く明るい栗毛を、濃紺の光沢あるビロウドの衣服に垂らす彼は、細い顎と大きめのブルーの瞳の女顔のせいで、かなり優美に見える。
が、背筋をぴしっ!と伸ばした立ち姿は、彼を気概ある騎士に見せる事に成功していた。
「周囲をぐるりと高い崖に囲まれ、外界から進入するのが困難な為です。
敵も入るのに苦労する。
が、交易も困難。
エルデルシュベインの数ある国々の民は未だに、アースルーリンドは謎に包まれた幻の国だと信じている」
「よろしい。
ではアースルーリンドになぜ国が出来たのか」
講師は机につっ伏すギュンターを見た後、横のダベンデスタに顔を向けた。
「ダベンデスタ」
ほぼ黒い栗毛の、真っ直ぐな乱れ髪。
けれど透ける茶の瞳が印象的な、鼻も顎も大きくゴツく男らしい風貌のダベンデスタは
『テスアッソンの後じゃ、自分は随分無骨に見えるんだろうな』
と思いつつ、本当は講師が指名したかった、横で寝こけてる金髪美貌の男を、ため息交じりに見つめつつ立ち上がる。
「…元は偶然迷い込んで、アースルーリンドから出られなくなった者らが数を増やした為です。
女の数が極端に少なかったそうですが…それでも人の数がそこそこ増えた頃。
ドッソムが…ああ地方で色々な呼び名がありますが、人を襲う大型の獣の数も増え…とうとう人は地上に住めず、地下に穴を掘って暮らしていた。
そんな頃、バラバラに点在していた人々が助け合い、部族が形成され…偶然訪れた『光の民』が、穴を小部族同士が行き来出来るほど広げてくれてから、小部族間の交流も盛んになり、人口も増え、皆は団結して地上を支配する獣を狩り始めた。
ついには地上の至る所に居た獣の数を激減させ、人の暮らす土地から山岳部へと追い払う事に成功。
地上に出た部族らはますます数を増やし、その後は…部族同士での交流や戦もありました」
「そこまででいい。
他国からしたらアースルーリンドは美形の宝庫と言われ、エルデルシュベインの各地で高値で売れる。
盗賊らが目の色変えて困難な崖を乗り越え、女子供をさらいに侵入するのも。
祖先である、迷い込んだ者に美形がたいへん多く。
更に閉ざされた環境で数少ない女性の中、美女がもてはやされた為だ。
故にルーツを辿れば、同じ美女が祖先だった者も、多くいるかもしれない」
講師の言葉に、どっ!と笑いが起こる。
ダベンデスタは椅子に腰を落ち着け、ギュンターを見る。
が、その騒ぎにすらピクリとも反応せず熟睡していて、ダベンデスタはまた、諦めのため息を吐いた。
「起きろ!ギュンター!
昼飯だ!」
生徒が全員食堂に消えたがらんとした講堂で、ダベンデスタが堪りかねて怒鳴る。
ギュンターはふ…と頭を持ち上げ、空に成った講堂を、見回した。
そして、唸った。
「…腹が、減った」
ダベンデスタは呆れ混じりに呟いた。
「…そうだろうよ!」
食事の席はもう四年を除く全校生徒が集いつつあり、ごった返してた。
ギュンターはダベンデスタと列に並び皿を取り、料理を木のしゃもじで皿に放り込みながら、どん!と思いっきり背中にぶつかられ、慌てて(顔はすましきってて、表情には出ない)取り落としそうな皿を庇い、思わず背後に振り向き、歯を剥いて睨む。
が、背を向けていたその人物は振り返ると
「すみません。
溢れましたか?」
と丁寧に謝罪し、ギュンターはついその顔を、目を見開いて見た。
濃い栗毛と明るい栗毛の交互に交じる、長い髪と湖水のように澄んだ青の瞳。
いかにも気品溢れる、しなやかな肢体。
一際色白の、染み一つ無い、真っ白な肌にその青い瞳は浮かび上がって見えた。
「王子様」
そう言われても、納得しそうな出で立ち。
どう見ても育ちのそれはいい、身分の高い少年だった。
「…いや。大丈夫だ」
言ってやると彼は謝罪するように感じ良く頷いて、背を向け自分の席へと、戻って行く。
その背を見ながら、ようやく夕べ皆に言われた事を、ぼんやり思い出した。
最もその前にダベンデスタが早口でその名を唱えたが。
「…ローランデじゃないか…」
見るとダベンデスタは壊れた水の汲み上げ(だだ漏れ)のように、しゃべり続ける。
「昨日お前見てなかったから知らないだろうが…。
ローランデは半端無いぞ?
あの見てくれとは正反対にな!
それにこの後二年と合同授業だぞ?知ってるか?
二年との合同授業は『生贄』と呼ばれてる。
あいつが一年の時は、一年との合同授業が『生贄』だった。
今回は三年が真っ先に『生贄』だ。
講師も昨日戦ったばかりのディングレーは宛てがわないだろうが…。
つまり他の奴があいつの相手に宛てがわれるって事だ!
そうなったらいい恥さらしだぞ?
下級生に、滅多打ちにされるなんて!」
ギュンターは言い終わったかな?とダベンデスタの顔をじっ…と見た。
「二年のトップだとは知っている。
喧嘩の場にいて、俺がグーデンの部屋に殴りこむのを、止めた奴だ」
聞いてダベンデスタは呆れ混じりに目を見開きぼやく。
「…それはローランデじゃなくても、誰でも止めるだろう?」
ギュンターは歯を剥く。
「グーデンが少年を拉致しててもか?!」
ダベンデスタは怒るギュンターから、顔を背ける。
金の巻き毛に切れ長の紫の瞳が特徴の、綺麗な曲線の顎と鼻を持つ、とても優美な美貌に見える。
だが生意気にも背は自分より少し高く、見上げるほど。
「…拉致しようが。
王族の私室に普通、殴り込みは掛けない。
ディングレーの私室に殴り込みが入りゃその前に、絶対奴の取り巻きが奴に合う前に、沈めてる」
ギュンターが見下ろすと、ダベンデスタは肩を竦める。
「顔を出したディングレーが問うと、連中は『何でもありませんよ』と狼藉者を引っ張り出し、ぼこぼこに殴って放り出すだろうな」
ギュンターは頷く。
「つまり王族の私室には護衛が付いてるから、困難だと言いたいのか?」
「それに退学のオマケも付く。
目的の人物も殴れず退学だ」
見つめるダベンデスタに、ギュンターも肩を竦めた。
「なるほど。
殴り込んでも利無しと言いたいんだな?」
ダベンデスタは解ったか。と、たっぷり頷いた。
そしてふ…と、ギュンターを見る。
以前より更に、背が伸びたように感じる。
が囁いた。
「案外お前があいつの相手に、指名されるかもな」
ギュンターはまだ、眠気でフラつく頭を振る。
「強敵か?」
ダベンデスタは目を、見開く。
「…学校一の腕前だ」
ギュンターは霞む目でまだ、ぼやけて見える世界とダベンデスタを見て呟く。
「それはたいそう強敵だ」
ダベンデスタはギュンターの表情をじっ…と見た。
が、解って言ってる風もなく、戯言か。と吐息混じりに顔を、背けた。
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