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第八章 『中央護衛連隊長就任』
自身の体で暴れ回りたい面々
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アースラフテスが、室内で旅立ちの仕度始める皆に、顔を向ける。
「我が配下がメーダフォーテの見張りに居るのに、襲撃計画を立てるとは………。
筒抜けだと考える、知恵も無いようだ」
アルファロイスが、苦く笑った。
「私の刺した釘は、痛くなかったようだな」
ディアヴォロスが囁く。
「レッツァディンは「左の王家」の者…。
王家の誇りはどんな釘も釘と思えない」
そして、アルファロイスへと振り向く。
「…貴方が同行すると…処分を下さなくては成らなくなる」
アルファロイスは素っ気無く言った。
「就任式に列席する最高准将が、別の者に成り代わるだけだ」
が、それでも…。
ディアヴォロスは首を横に、振る。
「レッツァディンが本当に決着を付けたい相手は、私だ。
本当は他の者らは関係無い。
だから…」
「その地位も奪うな。と?」
アルファロイスの言葉に、ディアヴォロスは首、縦に振る。
アルファロイスは吐息交じりに囁く。
「…いいだろう…。
そんなに…私から、生身で暴れる機会を奪いたいんなら」
それに従う。と見つめ来るアルファロイスに、ディアヴォロスは感謝の視線を向けた。
部屋の奥で…ギュンターは近衛の大物二人の言葉聞き、項垂れきっていた。
ローランデはきつい眼差しで素早く革手袋を付けていて、オーガスタスは萎れるギュンターが、結果一度も結界から帰還し、ローランデを抱きしめられなかった為。
と解って吐息吐く。
ディンダーデンはベルトに手かけ
「襲撃があるのか?」
と、わくわくした楽しげな雰囲気を作っていた。
ディングレーが、もたれかかっていた戸口から身を起こそうとし、突然部屋に入って来たシェイルを、思わず見送る。
シェイルは真っ直ぐディアヴォロスの前へ進むと、囁く。
「ローフィスがまだ、動けない。だから…」
ディアヴォロスはその、銀髪の可憐な妖精に囁く。
「君は彼に付いているといい」
シェイルはディアヴォロスを見上げる。
ディアスは苦笑し…そして屈む。
シェイルはその近づいて来るディアスの唇に、自分からそっ…と口付け、囁く。
「…あんたもまだ充分…本調子じゃないんだろう?
無茶は…」
言った途端、背後のアルファロイスが陽気に笑って口挟む。
「やっぱり、見張りが要るな!」
ゼイブンが、ディングレー立つ戸口に姿見せ、憮然。と室内の一同を見、言い放つ。
「ローフィスもアイリスも、傷があの騒ぎで癒えてないから、結果俺が道案内役を被(こうむ)った」
ディンダーデンが剣をベルトに差し、笑う。
「賜(たまわ)った。じゃなく、被(こうむ)った。か。
お前らしいぜ」
オーガスタスが、ディアヴォロスの横に来て告げる。
「これだけ居るんだ。
あんたの出番は無い」
シェイルが追随する。
「もっと、言ってやって。
ディアスだって休養が、必要なのに!!!」
ディアヴォロスは困ったように、シェイルを見る。
が、オーガスタスが囁いた。
「第一消耗した体に、ゼイブン案内する道は大層過酷だ。
俺は『闇の第二』以外には、とてつもなく強いから大丈夫だ」
ディンダーデンは途端
『そうだった』
と道案内のゼイブンを見、吐息と共に顔下げた。
とうとうディングレーが、高貴な従兄弟(ディアヴォロス)に囁く。
「俺に代わって、シェイルと一緒にローフィスと養生しろ」
ディアヴォロス目前の、シェイルも思い切り、頷く。
「ディングレーは不器用な武人だから、病人の世話より喧嘩の方が役に立つ」
ゼイブンが見てると、その通りなのでディングレーががっくり。
と首下げた。
日の落ちた月明かりの中、ギュンター、ディンダーデン、オーガスタス、ローランデ、ディングレー、ゼイブンが次々と馬に跨がる。
ディアヴォロスの横でシェイルが見張るように立ち、面々は右将軍、左将軍が見送る中、門ある方向へ馬の首回し、次々に出立した。
皆が速度上げて門を目指すと、アルファロイスが悪戯っぽく笑う。
ディアヴォロスを促し、馬に跨がると睨むシェイルに、微笑って告げた。
「背後で見守るだけだ!
出番が無ければ、最後迄姿を見せない!」
シェイルはディアヴォロス迄馬上でアルファロイスと馬並べる様子に、憮然と腕組む。
「絶対!
約束だぞ!」
言葉無いディアヴォロスに代わり、アルファロイスが陽気に請け負った。
「私に任せろ!」
二人が馬の首門に回し、拍車かけ駆け去るのを見つめ、シェイルは思った。
けどだって、請け負った右将軍アルファロイスは悪ノリが、大好きな物好きだ。
シェイルは絶望の吐息吐くと、唯一の理性。
ローランデ迄もが、きっちりしつこい妨害に腹立てまくってるのを思い出し、更なる絶望の吐息を吐き出した。
皆一斉に馬蹴立て門を潜る。
横の茂みよりがさっ!
と音がした途端、馬上オーガスタスが、先頭のゼイブンに声かける。
「アースラフテスが言うには、襲撃されるそうだ!」
ゼイブンは振り向くと、憮然。と告げる。
「俺の案内する道に襲撃者は現れない!」
ディンダーデンが背後から怒鳴る。
「オーガスタスは、襲撃しやすい道を行け。
と言ってるんだ!」
ゼイブンは振り向くと、近衛の色男を睨む。
オーガスタスのその後ろ。
ギュンターと併走するディンダーデンに怒鳴り返す。
「俺は!
襲撃に出会うのはごめんだ。と言ってる!
あんたら近衛の男と違い俺は!
道案内が済めば、お役御免でギュンターの就任式なんかにも、出向かなくて済むんだからな!」
オーガスタスがゼイブンの背に怒鳴る。
「いいから、普通の道を行け!
襲撃が済んだら、近道に付き合う!」
ゼイブンは背後の、近衛の大物(オーガスタス)に歯を剥いた。
「俺に、絶対短剣使わせるなよ!」
ディンダーデンが背後で陽気に叫ぶ。
「いいから、襲撃来たらどっかに隠れてろ!」
最後尾からディングレーが、追随して怒鳴る。
「戦闘は俺達に任せろ!」
ギュンターだけは、斜め後ろに馬を付けるローランデを、情けない表情でそっ…と盗み見した。
「我が配下がメーダフォーテの見張りに居るのに、襲撃計画を立てるとは………。
筒抜けだと考える、知恵も無いようだ」
アルファロイスが、苦く笑った。
「私の刺した釘は、痛くなかったようだな」
ディアヴォロスが囁く。
「レッツァディンは「左の王家」の者…。
王家の誇りはどんな釘も釘と思えない」
そして、アルファロイスへと振り向く。
「…貴方が同行すると…処分を下さなくては成らなくなる」
アルファロイスは素っ気無く言った。
「就任式に列席する最高准将が、別の者に成り代わるだけだ」
が、それでも…。
ディアヴォロスは首を横に、振る。
「レッツァディンが本当に決着を付けたい相手は、私だ。
本当は他の者らは関係無い。
だから…」
「その地位も奪うな。と?」
アルファロイスの言葉に、ディアヴォロスは首、縦に振る。
アルファロイスは吐息交じりに囁く。
「…いいだろう…。
そんなに…私から、生身で暴れる機会を奪いたいんなら」
それに従う。と見つめ来るアルファロイスに、ディアヴォロスは感謝の視線を向けた。
部屋の奥で…ギュンターは近衛の大物二人の言葉聞き、項垂れきっていた。
ローランデはきつい眼差しで素早く革手袋を付けていて、オーガスタスは萎れるギュンターが、結果一度も結界から帰還し、ローランデを抱きしめられなかった為。
と解って吐息吐く。
ディンダーデンはベルトに手かけ
「襲撃があるのか?」
と、わくわくした楽しげな雰囲気を作っていた。
ディングレーが、もたれかかっていた戸口から身を起こそうとし、突然部屋に入って来たシェイルを、思わず見送る。
シェイルは真っ直ぐディアヴォロスの前へ進むと、囁く。
「ローフィスがまだ、動けない。だから…」
ディアヴォロスはその、銀髪の可憐な妖精に囁く。
「君は彼に付いているといい」
シェイルはディアヴォロスを見上げる。
ディアスは苦笑し…そして屈む。
シェイルはその近づいて来るディアスの唇に、自分からそっ…と口付け、囁く。
「…あんたもまだ充分…本調子じゃないんだろう?
無茶は…」
言った途端、背後のアルファロイスが陽気に笑って口挟む。
「やっぱり、見張りが要るな!」
ゼイブンが、ディングレー立つ戸口に姿見せ、憮然。と室内の一同を見、言い放つ。
「ローフィスもアイリスも、傷があの騒ぎで癒えてないから、結果俺が道案内役を被(こうむ)った」
ディンダーデンが剣をベルトに差し、笑う。
「賜(たまわ)った。じゃなく、被(こうむ)った。か。
お前らしいぜ」
オーガスタスが、ディアヴォロスの横に来て告げる。
「これだけ居るんだ。
あんたの出番は無い」
シェイルが追随する。
「もっと、言ってやって。
ディアスだって休養が、必要なのに!!!」
ディアヴォロスは困ったように、シェイルを見る。
が、オーガスタスが囁いた。
「第一消耗した体に、ゼイブン案内する道は大層過酷だ。
俺は『闇の第二』以外には、とてつもなく強いから大丈夫だ」
ディンダーデンは途端
『そうだった』
と道案内のゼイブンを見、吐息と共に顔下げた。
とうとうディングレーが、高貴な従兄弟(ディアヴォロス)に囁く。
「俺に代わって、シェイルと一緒にローフィスと養生しろ」
ディアヴォロス目前の、シェイルも思い切り、頷く。
「ディングレーは不器用な武人だから、病人の世話より喧嘩の方が役に立つ」
ゼイブンが見てると、その通りなのでディングレーががっくり。
と首下げた。
日の落ちた月明かりの中、ギュンター、ディンダーデン、オーガスタス、ローランデ、ディングレー、ゼイブンが次々と馬に跨がる。
ディアヴォロスの横でシェイルが見張るように立ち、面々は右将軍、左将軍が見送る中、門ある方向へ馬の首回し、次々に出立した。
皆が速度上げて門を目指すと、アルファロイスが悪戯っぽく笑う。
ディアヴォロスを促し、馬に跨がると睨むシェイルに、微笑って告げた。
「背後で見守るだけだ!
出番が無ければ、最後迄姿を見せない!」
シェイルはディアヴォロス迄馬上でアルファロイスと馬並べる様子に、憮然と腕組む。
「絶対!
約束だぞ!」
言葉無いディアヴォロスに代わり、アルファロイスが陽気に請け負った。
「私に任せろ!」
二人が馬の首門に回し、拍車かけ駆け去るのを見つめ、シェイルは思った。
けどだって、請け負った右将軍アルファロイスは悪ノリが、大好きな物好きだ。
シェイルは絶望の吐息吐くと、唯一の理性。
ローランデ迄もが、きっちりしつこい妨害に腹立てまくってるのを思い出し、更なる絶望の吐息を吐き出した。
皆一斉に馬蹴立て門を潜る。
横の茂みよりがさっ!
と音がした途端、馬上オーガスタスが、先頭のゼイブンに声かける。
「アースラフテスが言うには、襲撃されるそうだ!」
ゼイブンは振り向くと、憮然。と告げる。
「俺の案内する道に襲撃者は現れない!」
ディンダーデンが背後から怒鳴る。
「オーガスタスは、襲撃しやすい道を行け。
と言ってるんだ!」
ゼイブンは振り向くと、近衛の色男を睨む。
オーガスタスのその後ろ。
ギュンターと併走するディンダーデンに怒鳴り返す。
「俺は!
襲撃に出会うのはごめんだ。と言ってる!
あんたら近衛の男と違い俺は!
道案内が済めば、お役御免でギュンターの就任式なんかにも、出向かなくて済むんだからな!」
オーガスタスがゼイブンの背に怒鳴る。
「いいから、普通の道を行け!
襲撃が済んだら、近道に付き合う!」
ゼイブンは背後の、近衛の大物(オーガスタス)に歯を剥いた。
「俺に、絶対短剣使わせるなよ!」
ディンダーデンが背後で陽気に叫ぶ。
「いいから、襲撃来たらどっかに隠れてろ!」
最後尾からディングレーが、追随して怒鳴る。
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