327 / 389
第七章『過去の幻影の大戦』
闇の刻印
しおりを挟む
ゥ゛ヴヴヴヴヴヴオオオォォォォォォォン…
音が…小さくなって行く。
今や、その光は倍以上。
二人の「左の王家」の王族の力凌駕する程に溢れ返り、その場を包む。
ワーキュラスは『闇封じ』ラキュサスティノスから呪文受け、タナデルンタスが力尽くで闇への空間への回路こじ開け『闇の第二』を、そこへ送り返す様を見守っていた。
『闇の第二』は最後に叫ぶ。
“おのれ…!
ディスバロッサ、裏切りがどんな結末を産むか…その身でこの後、確かめよ!
お前の魂決して…天等には昇らせまいぞ!!!”
一瞬、ディスバロッサの身に闇文字で刻印された、闇との誓いの言葉が黒く浮かび上がり、殆ど意識無くしていたディスバロッサの肉体が、激しく痙攣し始める。
が。
殆どタナデルンタスと同化していたような古代の闇封じ、ラキュサスティノスがすっ…と身乗り出し、透けたその手で、闇の誓いの古代文字に触れる。
ぎゃっ!!!
と、叫んだのは『闇の第二』。
その文字との回路を切られ、『闇の第二』はもう縋り付く者何も無く、慟哭上げて闇の世界に落ちる。
“ヴギャァァァァァァァァァァァァァ!!!”
ラキュサスティノスが叫ぶ。
“蘇生を!!!”
ワーキュラスに促され、アイリスは包んでいたディアヴォロスの体を離し、ディスバロッサの肉体に駆け寄る。
ローフィスが気づき、ディアヴォロスの身が、ぐらり…と揺れるのを必死で支え、オーガスタスが振り向くとローランデに
「ここを頼む!」
と一声叫び、ディアヴォロスの身支えるローフィスの横に付いて素早くその身を受け取る。
ほぼ正面からディアヴォロスを抱き止めるオーガスタスの横にローフィスは付くと、上空アーチェラスから力借り、呼び戻しの呪文を唱え始める。
アーチェラスから素晴らしい光送られ、ローフィスはかっ!と白金に光り、ディアヴォロスの身を包み込む。
アイリスは必死でワーキュラスの指示受け取り、ラキュサスティノスの力借りて床の上に倒れ込むディスバロッサの身に、手当て闇の刻印を、消しにかかる。
ワーキュラスが瞬時に、刻印…誓いを立てた主である、ディスバロッサの母を呼び出す。
レキウナス…「左の王家」集う中央テールズキースには住まず…好んで東領地ギルムダーゼンに近い、隠れ家のような鬱蒼とした森中の城に住む…最早魔女。と一族から恐れられる美女。
その美しく禍々しい透けた容貌を…ディアヴォロスは自分の肉体に戻り、霞む瞳で見つめる。
オーガスタスが抱くディアヴォロスの身に体温が戻り来る様に、安堵の表情を滲ませる。
が、横のローフィスは
“まだだ…!”
ときつい顔を崩さない。
ラキュサスティノスはその魔女に告げる。
“誓いの刻印を取り払え。
出来るのはお前のみ。
しないと言うなら、力尽くだ”
魔女…ディスバロッサの母、レキウナスは嗤う。
“おのれにそのような事が、出来ようか?
我はその子の母ぞ!
子は、母の意志そのもの!”
アイリスはワーキュラスの囁きを聞きながら、レキウナスに告げる。
“失礼。レディ。
ですが貴方に母性は無い。
産んだ。と言うだけで、その愛情が無い以上、正式に母とは言い兼ねる。
母。と言うものは、母の情愛注ぎ初めて、母と名乗れるもの。
産んだだけではその資格は、与えられません”
当然、レキウナスは怒る。
アルファロイスは下から登り来る敵が途切れ、ギデオンも吐息付くと、二人同時にディアヴォロスとディスバロッサへと振り向く。
“小賢しい小僧めが!
下賤な身分の汚れた男が何をほざこうぞ!”
“愛情の間に、身分は存在しない。
貴方が『闇の第二』に殺させた、乳母アンタネストの方が余程、ディスバロッサ殿の母に相応しい…。
そう。
貴方がディスバロッサの父であるリスティリア卿との仲を疑い、嫉妬で怒り殺した女性です…。
貴方は残酷にも、乳母アンタネストを“母”と慕う幼いディスバロッサの手を使い、『闇の第二』に殺させた。
それ以来ディスバロッサの心は闇に落ちた…。
どれ程深い傷を負わせた事か。
母。と名乗る貴方こそが、ディスバロッサの真の母を、殺させたのです。
なのに…今更貴方がディスバロッサ殿の母を名乗る?
どれだけ図々しいか、ご自分でお解りになれない?
…哀れですね”
その、冷たく卑下するアイリスの言い様は、レキウナスを心底怒らせた。
が、アイリスは尚も畳みかける。
“おや。
嫉妬ですか。
嫉妬の炎が貴方から伺い見える。
死して闇に落ちて尚、ディスバロッサ殿の心には乳母アンタネストが母の象徴として残り続け、消えはしない。
貴方が心から愛したリスティリア卿ですら、貴方が残虐な方法で乳母アンタネストを殺した時、貴方に心から失望し、貴方から去って行った…。
そりゃ、嬲り殺しにしたいでしょうね?
あなたからしたら。
が、そうして殺し、魂を闇に捕らえても…ディスバロッサの心の中で…そしてリスティリア卿の心の中で、乳母アンタネストは聖母のように輝き続ける。
さあ…これをどう消します?
悔しいでしょうね?
リスティリア卿は貴方同様、「左の王家」の男。
簡単に、闇には落ちない。
それに…貴方を敵に回した時点で、一族の守護神光竜ワーキュラス殿に守護を頼み、貴方には為す術が無い。
その都度貴方は乳母アンタネストの魂を呼び出し、どれ程の苦痛を与え、朽ちていく様をその魂に現し醜く変え…その事にどれだけ毎度、ディスバロッサが心を痛め、恐怖と畏怖で貴方を“母”と呼んだか…ご存知無い?
それでも貴方は図々しく幼いディスバロッサ殿に、囁いた。
“これこそが真の、母の愛”と。
どれだけ図々しいんでしょう。
さあ…!
今すぐこの闇の誓いの刻印をお解きなさい。
さもなくば………”
“下賤の男がどうほざこうが、我の知った事か!”
ラキュサスティノスが、ワーキュラスに微笑んだ。
“上出来だ”
途端…だった。
レキウナスが自分の手、そして顔が崩れゆく様に恐怖の叫び、上げたのは。
“ぎぃやゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!”
顔の肉は腐りそげ落ち、目玉は変な風に支える肉無くし、傾き行く。
手、足ともどろどろと崩れ、腐った腐臭を放ち始め…。
美女が一転、化け物と化す映像に、ギュンターは俯く。
「(根性鍛えられてないと、『影』とは付き合えないな…)」
そして、チラ。とローランデ。
そしてローフィスを盗み見る。
が二人共、表情も変えない。
「(どうしてあれ見て、ぞっとしないんだ…。
これじゃ当分、美女見ても勃たないぞ………)」
うんと離れた、ゼイブンも頭の中の映像で見てるのか、そっとギュンターに同意した。
「(気持ちは凄く、解る。
が、あれは『影』に浸った女、のみに起きる現象で、『影』とは無縁の美女は、年取って棺桶の中で朽ちる時迄あんなにはならないから、安心しろ)」
ギュンターはその時、ゼイブンの存在がどれだけ有り難いか、思い知ってしまった。
レキウナスは崩れゆく自分の姿に絶叫し…が、震える声で尚も、告げた。
“妾を…謀る気か…。
こんな…幻影を見せて!”
が、ラキュサスティノスが笑い交じりに告げる。
“『真実の光』を知らないのか。
光竜神ワーキュラス殿がその光浴びせれば…精神がそのまま、肉体に現れ、真の容貌が描き出される。
お前の真の姿はそれだ”
“これは妾なんぞでない!
乳母アンタネストの姿…!”
アイリスは呆れて言った。
“だって真のディスバロッサを愛し、気遣う母の愛。
を持ってたのは乳母アンタネストで、貴方じゃ無い。
『真実の光』は貴方が偽物だと告げている。
貴方が『真実の光』を今迄拒めたのは、『闇の第二』がディスバロッサの中に居たから。
『闇の第二』が『影』の次元に封じられた今、貴方に『真実の光』拒む能力は無い”
ラキュサスティノスが、微笑んでディスバロッサの刻印を示す。
アイリスはその闇の誓いの言葉が、薄く消え行くのを見、ラキュサスティノスに微笑み返す。
“我がディスバロッサの母ぞ!
なぜ…!消える!!!”
ラキュサスティノスが笑い交じりに告げる。
“そのディスバロッサに聞け。
ただ、言葉だけの“母”で無く、真の愛情を注いでくれた相手は誰かと。
ディスバロッサは無意識に乳母アンタネストを選び…その刻印は、ディスバロッサの母で無くては効力を発揮しない。
つまりお前はディスバロッサにとって、言葉だけの母であり、真の母では無いから刻印は効力無くし消えるんだ”
“ええいディスバロッサ!!!
お前の母は…母は、我ぞ!!!”
が…もう無理だった…。
光に包まれたディスバロッサが思い返す…優しく暖かい愛情注いでくれた乳母アンタネストの姿にうっとりと…楽しかった時間の思い出に彼は…浸りきり、実母レキウナスの声など、到底届かなかったから。
ワーキュラスの、荘厳な声が響く。
“刻印が、消えた!”
ミラーレスが頷く。
その顛末をレアル城内に身隠し、こっそり伺っていたメーダフォーテは、嫌な予感がした。
東の聖地の裏にこっそり隠した館。
多分ムストレスとディスバロッサの実体は、そこのどこかの寝台上にある筈。
きっと今頃、館に突然現れた『光の民』らにレッツァディンやララッツ。
ドラングルデやラルファツォルらが、ぎょっ!としてるに違いない…。
そして『光の民』らはディスバロッサの、寝台に眠る本体見つけ出し、その体からも闇の刻印消し去ろうと…するに違いない。
メーダフォーテはそれでも…光竜ワーキュラスの采配に、感謝した。
敵に縋りどれ程惨めだろうが…今はこの結界から、抜け出すのが先決。
音が…小さくなって行く。
今や、その光は倍以上。
二人の「左の王家」の王族の力凌駕する程に溢れ返り、その場を包む。
ワーキュラスは『闇封じ』ラキュサスティノスから呪文受け、タナデルンタスが力尽くで闇への空間への回路こじ開け『闇の第二』を、そこへ送り返す様を見守っていた。
『闇の第二』は最後に叫ぶ。
“おのれ…!
ディスバロッサ、裏切りがどんな結末を産むか…その身でこの後、確かめよ!
お前の魂決して…天等には昇らせまいぞ!!!”
一瞬、ディスバロッサの身に闇文字で刻印された、闇との誓いの言葉が黒く浮かび上がり、殆ど意識無くしていたディスバロッサの肉体が、激しく痙攣し始める。
が。
殆どタナデルンタスと同化していたような古代の闇封じ、ラキュサスティノスがすっ…と身乗り出し、透けたその手で、闇の誓いの古代文字に触れる。
ぎゃっ!!!
と、叫んだのは『闇の第二』。
その文字との回路を切られ、『闇の第二』はもう縋り付く者何も無く、慟哭上げて闇の世界に落ちる。
“ヴギャァァァァァァァァァァァァァ!!!”
ラキュサスティノスが叫ぶ。
“蘇生を!!!”
ワーキュラスに促され、アイリスは包んでいたディアヴォロスの体を離し、ディスバロッサの肉体に駆け寄る。
ローフィスが気づき、ディアヴォロスの身が、ぐらり…と揺れるのを必死で支え、オーガスタスが振り向くとローランデに
「ここを頼む!」
と一声叫び、ディアヴォロスの身支えるローフィスの横に付いて素早くその身を受け取る。
ほぼ正面からディアヴォロスを抱き止めるオーガスタスの横にローフィスは付くと、上空アーチェラスから力借り、呼び戻しの呪文を唱え始める。
アーチェラスから素晴らしい光送られ、ローフィスはかっ!と白金に光り、ディアヴォロスの身を包み込む。
アイリスは必死でワーキュラスの指示受け取り、ラキュサスティノスの力借りて床の上に倒れ込むディスバロッサの身に、手当て闇の刻印を、消しにかかる。
ワーキュラスが瞬時に、刻印…誓いを立てた主である、ディスバロッサの母を呼び出す。
レキウナス…「左の王家」集う中央テールズキースには住まず…好んで東領地ギルムダーゼンに近い、隠れ家のような鬱蒼とした森中の城に住む…最早魔女。と一族から恐れられる美女。
その美しく禍々しい透けた容貌を…ディアヴォロスは自分の肉体に戻り、霞む瞳で見つめる。
オーガスタスが抱くディアヴォロスの身に体温が戻り来る様に、安堵の表情を滲ませる。
が、横のローフィスは
“まだだ…!”
ときつい顔を崩さない。
ラキュサスティノスはその魔女に告げる。
“誓いの刻印を取り払え。
出来るのはお前のみ。
しないと言うなら、力尽くだ”
魔女…ディスバロッサの母、レキウナスは嗤う。
“おのれにそのような事が、出来ようか?
我はその子の母ぞ!
子は、母の意志そのもの!”
アイリスはワーキュラスの囁きを聞きながら、レキウナスに告げる。
“失礼。レディ。
ですが貴方に母性は無い。
産んだ。と言うだけで、その愛情が無い以上、正式に母とは言い兼ねる。
母。と言うものは、母の情愛注ぎ初めて、母と名乗れるもの。
産んだだけではその資格は、与えられません”
当然、レキウナスは怒る。
アルファロイスは下から登り来る敵が途切れ、ギデオンも吐息付くと、二人同時にディアヴォロスとディスバロッサへと振り向く。
“小賢しい小僧めが!
下賤な身分の汚れた男が何をほざこうぞ!”
“愛情の間に、身分は存在しない。
貴方が『闇の第二』に殺させた、乳母アンタネストの方が余程、ディスバロッサ殿の母に相応しい…。
そう。
貴方がディスバロッサの父であるリスティリア卿との仲を疑い、嫉妬で怒り殺した女性です…。
貴方は残酷にも、乳母アンタネストを“母”と慕う幼いディスバロッサの手を使い、『闇の第二』に殺させた。
それ以来ディスバロッサの心は闇に落ちた…。
どれ程深い傷を負わせた事か。
母。と名乗る貴方こそが、ディスバロッサの真の母を、殺させたのです。
なのに…今更貴方がディスバロッサ殿の母を名乗る?
どれだけ図々しいか、ご自分でお解りになれない?
…哀れですね”
その、冷たく卑下するアイリスの言い様は、レキウナスを心底怒らせた。
が、アイリスは尚も畳みかける。
“おや。
嫉妬ですか。
嫉妬の炎が貴方から伺い見える。
死して闇に落ちて尚、ディスバロッサ殿の心には乳母アンタネストが母の象徴として残り続け、消えはしない。
貴方が心から愛したリスティリア卿ですら、貴方が残虐な方法で乳母アンタネストを殺した時、貴方に心から失望し、貴方から去って行った…。
そりゃ、嬲り殺しにしたいでしょうね?
あなたからしたら。
が、そうして殺し、魂を闇に捕らえても…ディスバロッサの心の中で…そしてリスティリア卿の心の中で、乳母アンタネストは聖母のように輝き続ける。
さあ…これをどう消します?
悔しいでしょうね?
リスティリア卿は貴方同様、「左の王家」の男。
簡単に、闇には落ちない。
それに…貴方を敵に回した時点で、一族の守護神光竜ワーキュラス殿に守護を頼み、貴方には為す術が無い。
その都度貴方は乳母アンタネストの魂を呼び出し、どれ程の苦痛を与え、朽ちていく様をその魂に現し醜く変え…その事にどれだけ毎度、ディスバロッサが心を痛め、恐怖と畏怖で貴方を“母”と呼んだか…ご存知無い?
それでも貴方は図々しく幼いディスバロッサ殿に、囁いた。
“これこそが真の、母の愛”と。
どれだけ図々しいんでしょう。
さあ…!
今すぐこの闇の誓いの刻印をお解きなさい。
さもなくば………”
“下賤の男がどうほざこうが、我の知った事か!”
ラキュサスティノスが、ワーキュラスに微笑んだ。
“上出来だ”
途端…だった。
レキウナスが自分の手、そして顔が崩れゆく様に恐怖の叫び、上げたのは。
“ぎぃやゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!”
顔の肉は腐りそげ落ち、目玉は変な風に支える肉無くし、傾き行く。
手、足ともどろどろと崩れ、腐った腐臭を放ち始め…。
美女が一転、化け物と化す映像に、ギュンターは俯く。
「(根性鍛えられてないと、『影』とは付き合えないな…)」
そして、チラ。とローランデ。
そしてローフィスを盗み見る。
が二人共、表情も変えない。
「(どうしてあれ見て、ぞっとしないんだ…。
これじゃ当分、美女見ても勃たないぞ………)」
うんと離れた、ゼイブンも頭の中の映像で見てるのか、そっとギュンターに同意した。
「(気持ちは凄く、解る。
が、あれは『影』に浸った女、のみに起きる現象で、『影』とは無縁の美女は、年取って棺桶の中で朽ちる時迄あんなにはならないから、安心しろ)」
ギュンターはその時、ゼイブンの存在がどれだけ有り難いか、思い知ってしまった。
レキウナスは崩れゆく自分の姿に絶叫し…が、震える声で尚も、告げた。
“妾を…謀る気か…。
こんな…幻影を見せて!”
が、ラキュサスティノスが笑い交じりに告げる。
“『真実の光』を知らないのか。
光竜神ワーキュラス殿がその光浴びせれば…精神がそのまま、肉体に現れ、真の容貌が描き出される。
お前の真の姿はそれだ”
“これは妾なんぞでない!
乳母アンタネストの姿…!”
アイリスは呆れて言った。
“だって真のディスバロッサを愛し、気遣う母の愛。
を持ってたのは乳母アンタネストで、貴方じゃ無い。
『真実の光』は貴方が偽物だと告げている。
貴方が『真実の光』を今迄拒めたのは、『闇の第二』がディスバロッサの中に居たから。
『闇の第二』が『影』の次元に封じられた今、貴方に『真実の光』拒む能力は無い”
ラキュサスティノスが、微笑んでディスバロッサの刻印を示す。
アイリスはその闇の誓いの言葉が、薄く消え行くのを見、ラキュサスティノスに微笑み返す。
“我がディスバロッサの母ぞ!
なぜ…!消える!!!”
ラキュサスティノスが笑い交じりに告げる。
“そのディスバロッサに聞け。
ただ、言葉だけの“母”で無く、真の愛情を注いでくれた相手は誰かと。
ディスバロッサは無意識に乳母アンタネストを選び…その刻印は、ディスバロッサの母で無くては効力を発揮しない。
つまりお前はディスバロッサにとって、言葉だけの母であり、真の母では無いから刻印は効力無くし消えるんだ”
“ええいディスバロッサ!!!
お前の母は…母は、我ぞ!!!”
が…もう無理だった…。
光に包まれたディスバロッサが思い返す…優しく暖かい愛情注いでくれた乳母アンタネストの姿にうっとりと…楽しかった時間の思い出に彼は…浸りきり、実母レキウナスの声など、到底届かなかったから。
ワーキュラスの、荘厳な声が響く。
“刻印が、消えた!”
ミラーレスが頷く。
その顛末をレアル城内に身隠し、こっそり伺っていたメーダフォーテは、嫌な予感がした。
東の聖地の裏にこっそり隠した館。
多分ムストレスとディスバロッサの実体は、そこのどこかの寝台上にある筈。
きっと今頃、館に突然現れた『光の民』らにレッツァディンやララッツ。
ドラングルデやラルファツォルらが、ぎょっ!としてるに違いない…。
そして『光の民』らはディスバロッサの、寝台に眠る本体見つけ出し、その体からも闇の刻印消し去ろうと…するに違いない。
メーダフォーテはそれでも…光竜ワーキュラスの采配に、感謝した。
敵に縋りどれ程惨めだろうが…今はこの結界から、抜け出すのが先決。
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説


もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。
棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。
これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。
それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

とある元令嬢の選択
こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。


異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる