アースルーリンドの騎士 幼い頃

あーす。

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第七章『過去の幻影の大戦』

強力な助っ人

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かっっっっ!

放つ、寸前に光る。
レイファスははっ!として横の、テテュスを見た。
がテテュスも、自分を見ている。

「今の…!」
「君が放ったのか?」

問われレイファスは首を横に、振る。
「悪いな!
オーガスタスを君が、助けたかったか?」

声が頭上からし、レイファスもテテュスも上空を、仰ぎ見た。
テテュスとレイファスは、思わず声を、揃えた。

「アーチェラス!」



ギュンターもディングレーも…アシュアークでさえ、敵と剣を合わせながら上空を、見上げた。

白の…神聖騎士の隊服が光に包まれ、眩しく神々しく輝く。
アーチェラスは上空で止まり、飛来する飛び魔(イレギュレダ)を、見据える。

真っ直ぐ手を前に伸ばす。
ばっっっっ!

眩い光がその手から放射され、途端先頭五体の飛び魔(イレギュレダ)が意識を無くし地に、落ちて行った。

ギャアアァァァァァァ!

がその後ろ、二十体程の飛び魔(イレギュレダ)の群れの頭上に、一際大きな竜が、姿を見せる。

飛び魔(イレギュレダ)を三体集めた程の大きさで、黒い鱗に包まれ、目は真っ赤に光り、裂けた赤い口から涎を垂らし、地上の肉のご馳走を、上空から伺い見る。


アシュアークは背後からの殺気に、剣を合わせようとし、が息切れと脇の痛みに剣を、振り遅れた。
「(糞!また傷か!!!)」

がちっ!
その音に目を、見開く。

背が、あった。
見慣れた…。

「…アルファロイス…叔父様…!」



ざしっ!
敵を切り倒し、彼は振り向く。
「珍しいな!
小僧っ子が、傷作るなんて!」

アシュアークは微笑う、叔父である右将軍を見て呟く。
「百人力だ………!」

アルファロイスは年若い甥の言葉に笑い、背後に叫ぶ。
「大公!敵は俺が斬る!
ディアヴォロスが必死でこちらに向かってる!
だから貴方が回路を支えてくれと!『光の国』の光竜から言付かった。

…まだ、神聖騎士が来るらしい!」

エルベスはテテュスの横に付き、傷を押さえ囁く。
「…有難い…。
結構、ずしり!と来るから、戦ってる最中だと堪える」

アシュアークは暫く、突然現れた叔父の、戦いぶりに見惚れた。

剣を合わせ、直ぐ外しざっっっ!と短く振って横から来る男を何気に斬り、また正面向いて振って来る剣を頭を横に避け様、腹を突く。

どの剣も、振りが短く早く、彼が前へ進む毎に敵が血を吹き、倒れ行く。
「…まだ全然、本気じゃない…………!」

雑魚を交わすように首を上体を、振りながら短く剣を振り、敵はどんどん倒れ行く。
「いいから、少し休んでろ!」

言われてアシュアークは下げた、剣を見る。
「出来るか!」
行って敵を見つけ身を下げ、再び突っ込んで行った。



「…そんなに、多いか?」
アーチェラスは横に現れた、ムアールに正面を促す。



ムアールはそのデカイ竜に、口を閉ざす。
「太古に滅びた、セロールか?」

「…仲間が大好物なのにな…。
人間じゃおやつにしか出来ないデカさだ」

が、ムアールはその遥か上空から地を見下ろす。
「狂凶大猿(エンドス)がまた、来てる」

「地を、頼む」
が、ムアールが地に降りようとしたその時、頭の中で声。
「降りなくていい。
こっちは私が引き受ける」

ムアールとアーチェラスは顔を見合わす。
アーチェラスは迫り来る飛び魔(イレギュレダ)の群れに光弾ぶつけながら、返答する。

「…ホールーン。君迄来て、大公は大丈夫か?」
「「右の王家」のアルファロイスは、居るだけで回路を強化する。
だから私くらいなら大丈夫だそうだ」

ムアールはやれやれ。と吐息吐いた。
「じゃ、ドロレスとエイリルは今頃さぞかしむくれてるな」
ホールーンはあくまで冷静な、声で告げた。



「ドロレスには脅され、エイリルには怒鳴られた」

そしてホールーンはテテュスとエルベス大公の、横に現れ、囁く。
「『影』は私達が引き受ける。
が、戦う皆に全て“気”が配れる訳じゃない。
時々、助けてくれ」

テテュスは微笑んで頷き、レイファスは承知した。
と真顔をホールーンに、向ける。

ホールーンはつい、二人をじっ…と見た。

レイファスはディングレーの元に、狂凶大猿(エンドス)が迫るのを見つける。
がホールーンは二人を見つめたまま囁く。

「…ワーキュラス殿も何て無茶を…。
君達、あんなに可愛かったのにこんなに大きく、成ってしまって…」

狂凶大猿(エンドス)が屈み、ディングレーは剣を構え、毛むくじゃらの腕を伸ばす、狂凶大猿(エンドス)のその腕を斬ろう。と待ち構える。

レイファスが、叫ぼうと口を開けたその時、ホールーンはそっちを見もしないでテテュスとレイファスの変わり果てた(?)姿をじっ…と見たまま手を、振り上げ、手首をくるり…!と回す。

途端狂凶大猿(エンドス)は、いきなり宙に浮いてくるり…と回転し、どすん!と頭から、地に落ちた。

ディングレーは地に頭がめり込むその巨体が、巨木のように倒れ来るのに、下敷きに成るまいと慌てて、走ってた。

レイファスは呆けてホールーンを、見る。
「まだ…大丈夫だ。
ぽつり、ぼつりしか来てないから」

レイファスは、それでも…!と呆れ、テテュスは素直に微笑む。

その時ようやくホールーンが、笑った。
「…何だ。
ナリは大きくても、性格はそのままか…!」

その微笑があんまり嬉しそうで、安堵した様子で、思わずテテュスとレイファスは顔を、見合わせた。

「…一番大人になって変わったファントレイユが、ここに居ないのが、ホールーンの救いだな…!」
レイファスが言うと、テテュスは同感だ。と大きく、頷いた。



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