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第四章『晩餐での冒険』
凄まじい争奪戦(晩餐会)
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侍従が、広間にどうぞ。と部屋の扉を開けて一同を促し、皆がぞろぞろと部屋を出始めてもディングレーの笑いは止まず。
ローフィスに呆れ顔で背中をその手で促され、何とか列の、後に続いた。
廊下を抜けて広間に彼らが姿を現すと、場の一同はどよめき、歓声を上げた。
ディングレーがあまりの人の多さに、つい口を開けたまま固まった。
豪勢で巨大なシャンデリアが10個は吊されている広々とした大広間に、200人近くがびっしりと詰め込まれ、着飾った客達の無数の視線が、一斉に注がれる。
客達は広間だけでなく巨大な二階に続く階段にも、廊下に続く戸口の側にも、外に続くテラス脇にまで、びっしりと溢れ返っていた。
ギュンターが見ると、アイリスはにこやかな笑みを浮かべ、ローフィスは肩をすくめ、オーガスタスはその長身を少し、屈めて俯いた。
ゼイブンはさっさと一同を見渡し幾人かの美人に素早く視線を送り、早速微笑んで自分をアピールした。
テテュスはそんなに大勢の人前に出た事が無くて、少しアイリスの後ろに隠れ気味で、自分達に視線を送る彼らを伺っていた。
ファントレイユは呆然として思わずレイファスを見つめ、レイファスはファントレイユにささやく。
「主役はどうせ、騎士達だ」
ファントレイユは途端、ほっとして頷く。
ローランデはその盛大な舞踏会のような晩餐会に呆れた表情を浮かべ、シェイルはローフィスを見つめ、自分は彼らの相手をするのはごめんだ。とじっと強い瞳で見つめ、ローフィスはそれを受けてため息を吐いた。
彼らは人々が良く彼らを見る事の出来る、金糸の入った赤絨毯の敷かれた演壇へと招かれ
『本気か?』
と問う、ディングレーの強い視線に、皆心の中では同意するものの、大人しくそこに上がり、並ぶ。
婦人の、騎士達を褒め称える演説の間中、皆は壇上でずっとさらし者にされ続け、客達…。
特に、女性達はどの騎士の元へ駆け込むかを素早く視線を送り合って狙い澄まし、早く話が終わらないかと皆、じりじりして待っていた。
「…ここで私達は心から彼らに、感謝を捧げましょう!」
婦人のその言葉で盛大な拍手が沸き起こり、それが終わるか終わらない内に争奪戦のように、一斉に女性客達がドレスの裾を摘み、騎士の元へと駆け込む。
シェイルがさっさと子供達を抱え促すと輪の中から抜け出し、人目の付かない、部屋の隅へと逃げ込む事に成功した。
ギュンターもゼイブンも、ローランデもディングレーもがあっという間に着飾った若い女性達に取り囲まれ、アイリスだけは、場慣れた様子で微笑んで相対していた。
オーガスタスはその大柄に体ゆえに逃げ遅れ、とうとう女性達に行く手を阻まれ、苦笑を漏らして捕まったが、彼の場合は取り囲む者達には男性も、混じっていた。
レイファスは、人混みからその小柄な子供達を庇うように抱えるシェイルを見上げ、ささやく。
「…シェイルはいいの?」
シェイルは視線を下げるとしかめっ面した。
「冗談だろう?ごめんに決まってる」
シェイルは三人をそっと促し、小さな階段を登り、他からは上がって来られない小さな二階のバルコニー席から、その取り囲まれるみんなを見下ろす。
背後から丁重に銀製の盆を差し出す召使いに振り向き、盆に乗った食べ物を摘み、飲み物を注文する。
子供達がシェイルに習い、飲み物を尋ねて屈む召使いに注文を口にし、盆から食べ物を摘む。
行こうとした召使いに、シェイルは声を掛ける。
「ああ…君」
彼は階段を降りようとして、振り向く。
「俺達がここに居るのは、誰にも内緒だ」
シェイルがそっ、と人指し指を口の前に立てて片目をつぶると、召使いは同様に、立てた人指し指を閉じた口に当て、やはり片目をつぶって茶目っ気混じりに、同意した。
子供達の見つめる視線に気づくと、シェイルは階下の騒動を指してささやく。
「あそこに戻りたいなら止めないが…」
が、子供達に
『そんなの、絶対に嫌だ』
と一斉にじっ、と見つめられ、シェイルは項垂れて続けた。
「…ならお前ら、ここに居るのがバレないようにしろよ。
どうやらあんまり宮廷に出向く機会の無い、退屈で話題に飢えている、そこそこ上級の田舎暮らしな連中のようだ」
テテュスもファントレイユもが、思いっきり頷く。
「…凄いね」
レイファスが一階を見下ろしつぶやく。
ファントレイユがそっと、聞く。
「君でも、こんなのは初めて?」
レイファスが頷く。
ファントレイユに視線を振られ、テテュスも頷いた。
シェイルが顔を揺らしてアイリスを顎で指す。
「親父さんは、慣れてるみたいだな」
アイリスだけがとても場慣れし、優雅で余裕のある様子で微笑み、女性達とにこやかに会話を楽しんでいた。
が、ギュンターの四方はぎゅうぎゅう詰めで、皆が押し合ってギュンターの前へ出ようと争い、将棋倒しに成りそうな騒ぎで、彼がいつ、怒鳴り出すか見物だ。とシェイルが笑った。
ディングレーは取り囲まれて無遠慮に女性に腕を取られ、鳴り出した音楽に踊ろうと誘いまくる女性達に眉間を寄せ、女性達は彼の腕を争って取り合い、こちらも怒鳴り声が響くのは、時間の、問題のようだった。
ローフィスは彼女達に丁重にしゃべりかけ、愛想良く相対しては、逃げ出すきっかけを探っているようだったが、隙無くびっしり囲まれていたからどうやら長期戦のようだ。
オーガスタスは女性のみならず、若い男性から老公爵迄をその周囲に従え、彼らの尊敬の眼差しを一身に受けながらも、朗らかな微笑みを浮かべていた。
どうやらその長身と体格と威風で逃げ出す事は可能だが、失礼に当たると思い、彼らの相手をしているようだった。
ローランデの周囲はまた、違っていた。
取り囲む一段と年若い女性達から
『気品漂う、夢の王子様』
と、うっとりとした瞳で見つめられ、皆が彼の品の良さと美しさに一斉にぽーっと、見惚れてる。
その、静かな女性達の中には、少女の心を持った年輩のご婦人も多数、居た。
ゼイブンは巧妙に、囲む女性を選り分けていた。
美人で色気のある豊満な女性、だけに狙いを絞って愛想を振りまき、勘違いする女性を序々に退かせて輪の中から引かせ、残った女性の中から更に、選び絞る。
といったやり方に、レイファスは呆れ返った。
「…この状況に動じないのは、アイリスとゼイブンだけみたいだね」
シェイルも全く、同感だと頷く。
「…動じるどころか、楽しんでる」
ついに、きゃーっ!という悲鳴が聞こえ、ギュンターの周囲の女性が押し合いに崩れ出した。
ギュンターが咄嗟に、押されて下敷きに成ろうとした女性の腕を掴み抱き寄せたりしたから、また別の、きゃーっ!が、飛んだ。
彼女達の遠巻きに、取り残されていた男性群はだが、長身で輝く金髪のギュンターの、美貌の男ぶりに
『あれじゃ、仕方ない』
と言うように、皆無言で首を横に、振り続けていた。
ディングレーがとうとう怒鳴った。
「俺は踊れない!
アイリスが名手だから、あっちに相手して貰ってくれ!」
だが一人の女性が彼の耳に何かひそひそと話し、ディングレーは少し屈んで…と言っても、強引に腕を引かれて屈まされていたけど。
その言葉を聞いた後、ディングレーは彼女を睨んだ。
「そっちがいいなら、あの淡い栗毛の色男に頼め!
奴なら絶対、断らない!」
言って、輪の中から逃げ出そうと周囲を見回し…すっかり取り囲まれ、どこにも出口が無いのに絶望したように首を横に、振った。
テテュスがそっ、とシェイルを見上げた。
「ディングレーを、助け出さなくていいの?」
シェイルは視線を彼に向けたまま、唸った。
「あそこに降りたら最後、奴が逃げ出す間も無くこっちも、捕まる」
レイファスもファントレイユも、戦闘のようなシェイルのその状況判断に、思わず顔を見合わせた。
レイファスが視線を向けるのに、テテュスが気づく。
ファントレイユもレイファスが見つめている、後ろの壁の小さな戸口に目を向けた。
「…ここから、降りられると思う?」
ファントレイユがそっと言うと、レイファスは肩をすくめる。
「…ちょっと、覗いて見る?」
テテュスが、そう聞くレイファスを見つめ、提言した。
「僕が行って、ディングレーを助ける。
君は…」
テテュスがそっ、とバルコニーに肘を付き、飲み物を煽りながら階下を見つめるシェイルに視線を送る。
レイファスはそれに気づいて、頷いた。
「解った。残る」
テテュスがシェイルに気づかれないよう、そっと戸口を開けて中へ入ると、ファントレイユもテテュスの衣服の裾を握って続く。
レイファスが目を丸くして彼を見ると、ファントレイユはそっと振り向き、後は頼む。と言うようにレイファスを見つめた。
「…ローフィスと寝たい女は三人は確実に、居るな」
唸るシェイルにレイファスは、冷や汗を隠して相づちを、打った。
「ローフィス、格好いいし。しょうがないよ」
テテュスはその、大人ではちょっときつい高さの小部屋を歩き、付いて来るファントレイユを見つめた。
「君迄、来ちゃったの?」
ファントレイユはその綺麗な顔をテテュスに向けると、ぼやいた。
「だって、ダンスの訓練どころじゃないもの」
テテュスもため息混じりに俯いた。
直ぐに小さな下に降りる階段があり、二人は笑った。
ローフィスに呆れ顔で背中をその手で促され、何とか列の、後に続いた。
廊下を抜けて広間に彼らが姿を現すと、場の一同はどよめき、歓声を上げた。
ディングレーがあまりの人の多さに、つい口を開けたまま固まった。
豪勢で巨大なシャンデリアが10個は吊されている広々とした大広間に、200人近くがびっしりと詰め込まれ、着飾った客達の無数の視線が、一斉に注がれる。
客達は広間だけでなく巨大な二階に続く階段にも、廊下に続く戸口の側にも、外に続くテラス脇にまで、びっしりと溢れ返っていた。
ギュンターが見ると、アイリスはにこやかな笑みを浮かべ、ローフィスは肩をすくめ、オーガスタスはその長身を少し、屈めて俯いた。
ゼイブンはさっさと一同を見渡し幾人かの美人に素早く視線を送り、早速微笑んで自分をアピールした。
テテュスはそんなに大勢の人前に出た事が無くて、少しアイリスの後ろに隠れ気味で、自分達に視線を送る彼らを伺っていた。
ファントレイユは呆然として思わずレイファスを見つめ、レイファスはファントレイユにささやく。
「主役はどうせ、騎士達だ」
ファントレイユは途端、ほっとして頷く。
ローランデはその盛大な舞踏会のような晩餐会に呆れた表情を浮かべ、シェイルはローフィスを見つめ、自分は彼らの相手をするのはごめんだ。とじっと強い瞳で見つめ、ローフィスはそれを受けてため息を吐いた。
彼らは人々が良く彼らを見る事の出来る、金糸の入った赤絨毯の敷かれた演壇へと招かれ
『本気か?』
と問う、ディングレーの強い視線に、皆心の中では同意するものの、大人しくそこに上がり、並ぶ。
婦人の、騎士達を褒め称える演説の間中、皆は壇上でずっとさらし者にされ続け、客達…。
特に、女性達はどの騎士の元へ駆け込むかを素早く視線を送り合って狙い澄まし、早く話が終わらないかと皆、じりじりして待っていた。
「…ここで私達は心から彼らに、感謝を捧げましょう!」
婦人のその言葉で盛大な拍手が沸き起こり、それが終わるか終わらない内に争奪戦のように、一斉に女性客達がドレスの裾を摘み、騎士の元へと駆け込む。
シェイルがさっさと子供達を抱え促すと輪の中から抜け出し、人目の付かない、部屋の隅へと逃げ込む事に成功した。
ギュンターもゼイブンも、ローランデもディングレーもがあっという間に着飾った若い女性達に取り囲まれ、アイリスだけは、場慣れた様子で微笑んで相対していた。
オーガスタスはその大柄に体ゆえに逃げ遅れ、とうとう女性達に行く手を阻まれ、苦笑を漏らして捕まったが、彼の場合は取り囲む者達には男性も、混じっていた。
レイファスは、人混みからその小柄な子供達を庇うように抱えるシェイルを見上げ、ささやく。
「…シェイルはいいの?」
シェイルは視線を下げるとしかめっ面した。
「冗談だろう?ごめんに決まってる」
シェイルは三人をそっと促し、小さな階段を登り、他からは上がって来られない小さな二階のバルコニー席から、その取り囲まれるみんなを見下ろす。
背後から丁重に銀製の盆を差し出す召使いに振り向き、盆に乗った食べ物を摘み、飲み物を注文する。
子供達がシェイルに習い、飲み物を尋ねて屈む召使いに注文を口にし、盆から食べ物を摘む。
行こうとした召使いに、シェイルは声を掛ける。
「ああ…君」
彼は階段を降りようとして、振り向く。
「俺達がここに居るのは、誰にも内緒だ」
シェイルがそっ、と人指し指を口の前に立てて片目をつぶると、召使いは同様に、立てた人指し指を閉じた口に当て、やはり片目をつぶって茶目っ気混じりに、同意した。
子供達の見つめる視線に気づくと、シェイルは階下の騒動を指してささやく。
「あそこに戻りたいなら止めないが…」
が、子供達に
『そんなの、絶対に嫌だ』
と一斉にじっ、と見つめられ、シェイルは項垂れて続けた。
「…ならお前ら、ここに居るのがバレないようにしろよ。
どうやらあんまり宮廷に出向く機会の無い、退屈で話題に飢えている、そこそこ上級の田舎暮らしな連中のようだ」
テテュスもファントレイユもが、思いっきり頷く。
「…凄いね」
レイファスが一階を見下ろしつぶやく。
ファントレイユがそっと、聞く。
「君でも、こんなのは初めて?」
レイファスが頷く。
ファントレイユに視線を振られ、テテュスも頷いた。
シェイルが顔を揺らしてアイリスを顎で指す。
「親父さんは、慣れてるみたいだな」
アイリスだけがとても場慣れし、優雅で余裕のある様子で微笑み、女性達とにこやかに会話を楽しんでいた。
が、ギュンターの四方はぎゅうぎゅう詰めで、皆が押し合ってギュンターの前へ出ようと争い、将棋倒しに成りそうな騒ぎで、彼がいつ、怒鳴り出すか見物だ。とシェイルが笑った。
ディングレーは取り囲まれて無遠慮に女性に腕を取られ、鳴り出した音楽に踊ろうと誘いまくる女性達に眉間を寄せ、女性達は彼の腕を争って取り合い、こちらも怒鳴り声が響くのは、時間の、問題のようだった。
ローフィスは彼女達に丁重にしゃべりかけ、愛想良く相対しては、逃げ出すきっかけを探っているようだったが、隙無くびっしり囲まれていたからどうやら長期戦のようだ。
オーガスタスは女性のみならず、若い男性から老公爵迄をその周囲に従え、彼らの尊敬の眼差しを一身に受けながらも、朗らかな微笑みを浮かべていた。
どうやらその長身と体格と威風で逃げ出す事は可能だが、失礼に当たると思い、彼らの相手をしているようだった。
ローランデの周囲はまた、違っていた。
取り囲む一段と年若い女性達から
『気品漂う、夢の王子様』
と、うっとりとした瞳で見つめられ、皆が彼の品の良さと美しさに一斉にぽーっと、見惚れてる。
その、静かな女性達の中には、少女の心を持った年輩のご婦人も多数、居た。
ゼイブンは巧妙に、囲む女性を選り分けていた。
美人で色気のある豊満な女性、だけに狙いを絞って愛想を振りまき、勘違いする女性を序々に退かせて輪の中から引かせ、残った女性の中から更に、選び絞る。
といったやり方に、レイファスは呆れ返った。
「…この状況に動じないのは、アイリスとゼイブンだけみたいだね」
シェイルも全く、同感だと頷く。
「…動じるどころか、楽しんでる」
ついに、きゃーっ!という悲鳴が聞こえ、ギュンターの周囲の女性が押し合いに崩れ出した。
ギュンターが咄嗟に、押されて下敷きに成ろうとした女性の腕を掴み抱き寄せたりしたから、また別の、きゃーっ!が、飛んだ。
彼女達の遠巻きに、取り残されていた男性群はだが、長身で輝く金髪のギュンターの、美貌の男ぶりに
『あれじゃ、仕方ない』
と言うように、皆無言で首を横に、振り続けていた。
ディングレーがとうとう怒鳴った。
「俺は踊れない!
アイリスが名手だから、あっちに相手して貰ってくれ!」
だが一人の女性が彼の耳に何かひそひそと話し、ディングレーは少し屈んで…と言っても、強引に腕を引かれて屈まされていたけど。
その言葉を聞いた後、ディングレーは彼女を睨んだ。
「そっちがいいなら、あの淡い栗毛の色男に頼め!
奴なら絶対、断らない!」
言って、輪の中から逃げ出そうと周囲を見回し…すっかり取り囲まれ、どこにも出口が無いのに絶望したように首を横に、振った。
テテュスがそっ、とシェイルを見上げた。
「ディングレーを、助け出さなくていいの?」
シェイルは視線を彼に向けたまま、唸った。
「あそこに降りたら最後、奴が逃げ出す間も無くこっちも、捕まる」
レイファスもファントレイユも、戦闘のようなシェイルのその状況判断に、思わず顔を見合わせた。
レイファスが視線を向けるのに、テテュスが気づく。
ファントレイユもレイファスが見つめている、後ろの壁の小さな戸口に目を向けた。
「…ここから、降りられると思う?」
ファントレイユがそっと言うと、レイファスは肩をすくめる。
「…ちょっと、覗いて見る?」
テテュスが、そう聞くレイファスを見つめ、提言した。
「僕が行って、ディングレーを助ける。
君は…」
テテュスがそっ、とバルコニーに肘を付き、飲み物を煽りながら階下を見つめるシェイルに視線を送る。
レイファスはそれに気づいて、頷いた。
「解った。残る」
テテュスがシェイルに気づかれないよう、そっと戸口を開けて中へ入ると、ファントレイユもテテュスの衣服の裾を握って続く。
レイファスが目を丸くして彼を見ると、ファントレイユはそっと振り向き、後は頼む。と言うようにレイファスを見つめた。
「…ローフィスと寝たい女は三人は確実に、居るな」
唸るシェイルにレイファスは、冷や汗を隠して相づちを、打った。
「ローフィス、格好いいし。しょうがないよ」
テテュスはその、大人ではちょっときつい高さの小部屋を歩き、付いて来るファントレイユを見つめた。
「君迄、来ちゃったの?」
ファントレイユはその綺麗な顔をテテュスに向けると、ぼやいた。
「だって、ダンスの訓練どころじゃないもの」
テテュスもため息混じりに俯いた。
直ぐに小さな下に降りる階段があり、二人は笑った。
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