273 / 286
夢の中の調教
273 やっと脱出
しおりを挟む
シーリーンが覗くと、ファオンは衣服を着て寝台に腰掛けてた。
とっさ駆け寄り、腕を掴んで引く。
「逃げるぞ!」
ファオンはびっくりし、けれど嬉しそうに笑い、思いっきり頷く。
シーリーンの手に引かれて階段を降りると、その先に背を向けて立つ、レオとレドナンド。
その向こうに、縛られて石の床に転がるアントラン。
そして………。
床に仰向けて転がり、ファーレーンに抱きつくキースと、遮二無二掴むキースの腕を引き剥がそうと抗うファーレーン。
腰を屈めて、それを観察してるキリアン。
ファオンは目を見開く。
が、シーリーンに引っ張られ、レオとレドナンドの背を通り過ぎて応接間へ連れ込まれる。
「ファオン!」
「アリオン!」
シェナンが直ぐ叫ぶ。
「さっさと行こう!」
そしてまだ愚図つく、ロレンツの肩を強引に、抱いて引く。
「早く行かないと、またキリアンに…」
シェナンの囁き声に、ロレンツはすっ飛んで戸口まで行き、振り向く。
「早く、出よう!」
セルティスとシーリーン、アリオンとファオンはびっくりし、けれど頷くと、ロレンツに続く。
一行はこっそりとまた建物を抜け出すと、下へと続く石の階段の、入り口まで来て、振り向く。
「追っ手はいない!」
シーリーンの声に、セルティスが髪に手をやる。
「…俺の、立場は?
まあ…いいか。
下の門開ける、鍵はあるのか?」
シェナンがロレンツに振り向く。
ロレンツはさっ!と腰に下げた皮のポシェットから、鍵を差し出す。
セルティスに頷かれ、一行は石の螺旋階段を降りていく。
ファオンだけが、振り向くと
「僕だけ?
ファーレーン兄様と…キリアンは?」
と尋ねていて、アリオンとシーリーンが無言で顔を下げると、詐欺師シェナンがやっぱりにこにこと笑い、言った。
「二人は、絶対大丈夫だから。
君みたいに、閉じ込められて無くて自由に動き回ってたろう?」
「………でも、ファーレーン兄様、キースに掴まってた」
「あれは、じゃれてたんだ」
この誤魔化しに、ロレンツは勿論、アリオンとシーリーンまでもが顔を下げた。
「……………じゃれてたの…?
昔みたいに?
じゃ、いい事?」
シェナンはにっこり笑う。
「そう」
ファオンは心配事が、無くなったように笑った。
「良かった!」
「…どうかとすると、びっくりするくらい素直な所ってキリアンと一緒で、血筋かな」
シェナンの言葉に、ロレンツは無言。
が、頷きながら言う。
「確かに素直だけど、あいつ(キリアン)は主張がある時、意見を引っ込めない」
ロレンツの文句に、シェナンは溜息を吐く。
「………まぁね…。
無理矢理された記憶って、なかなか消えないものだから…。
確かに君が、気の毒だとは思う」
アリオンとシーリーンが見ていると、ロレンツは真っ赤になって怒った。
「せっかく、綺麗さっぱり忘れてたのに!」
夢見てるレオが囁く。
「結局、逃げられたか」
セルティスが安堵してるので、キースがじろりと見て言う。
「自分だけいいコで、安心か?」
セルティスは頷く。
「アントランにも襲われなかったし」
アリオンは溜息吐く。
「俺もそれだけは、凄く嬉しい」
「…………………………」
シーリーンが俯いて、沈黙。
そして、ぽそり…と言った。
「…ファーレーンの申し出(ファオンに代わって自分が《皆を繋ぐ者》になる)、夢の中のレオ、受けたりして」
レオは気づき、途端キースに、ぎん!と睨まれて、慌ててキースから、顔を背けた。
とっさ駆け寄り、腕を掴んで引く。
「逃げるぞ!」
ファオンはびっくりし、けれど嬉しそうに笑い、思いっきり頷く。
シーリーンの手に引かれて階段を降りると、その先に背を向けて立つ、レオとレドナンド。
その向こうに、縛られて石の床に転がるアントラン。
そして………。
床に仰向けて転がり、ファーレーンに抱きつくキースと、遮二無二掴むキースの腕を引き剥がそうと抗うファーレーン。
腰を屈めて、それを観察してるキリアン。
ファオンは目を見開く。
が、シーリーンに引っ張られ、レオとレドナンドの背を通り過ぎて応接間へ連れ込まれる。
「ファオン!」
「アリオン!」
シェナンが直ぐ叫ぶ。
「さっさと行こう!」
そしてまだ愚図つく、ロレンツの肩を強引に、抱いて引く。
「早く行かないと、またキリアンに…」
シェナンの囁き声に、ロレンツはすっ飛んで戸口まで行き、振り向く。
「早く、出よう!」
セルティスとシーリーン、アリオンとファオンはびっくりし、けれど頷くと、ロレンツに続く。
一行はこっそりとまた建物を抜け出すと、下へと続く石の階段の、入り口まで来て、振り向く。
「追っ手はいない!」
シーリーンの声に、セルティスが髪に手をやる。
「…俺の、立場は?
まあ…いいか。
下の門開ける、鍵はあるのか?」
シェナンがロレンツに振り向く。
ロレンツはさっ!と腰に下げた皮のポシェットから、鍵を差し出す。
セルティスに頷かれ、一行は石の螺旋階段を降りていく。
ファオンだけが、振り向くと
「僕だけ?
ファーレーン兄様と…キリアンは?」
と尋ねていて、アリオンとシーリーンが無言で顔を下げると、詐欺師シェナンがやっぱりにこにこと笑い、言った。
「二人は、絶対大丈夫だから。
君みたいに、閉じ込められて無くて自由に動き回ってたろう?」
「………でも、ファーレーン兄様、キースに掴まってた」
「あれは、じゃれてたんだ」
この誤魔化しに、ロレンツは勿論、アリオンとシーリーンまでもが顔を下げた。
「……………じゃれてたの…?
昔みたいに?
じゃ、いい事?」
シェナンはにっこり笑う。
「そう」
ファオンは心配事が、無くなったように笑った。
「良かった!」
「…どうかとすると、びっくりするくらい素直な所ってキリアンと一緒で、血筋かな」
シェナンの言葉に、ロレンツは無言。
が、頷きながら言う。
「確かに素直だけど、あいつ(キリアン)は主張がある時、意見を引っ込めない」
ロレンツの文句に、シェナンは溜息を吐く。
「………まぁね…。
無理矢理された記憶って、なかなか消えないものだから…。
確かに君が、気の毒だとは思う」
アリオンとシーリーンが見ていると、ロレンツは真っ赤になって怒った。
「せっかく、綺麗さっぱり忘れてたのに!」
夢見てるレオが囁く。
「結局、逃げられたか」
セルティスが安堵してるので、キースがじろりと見て言う。
「自分だけいいコで、安心か?」
セルティスは頷く。
「アントランにも襲われなかったし」
アリオンは溜息吐く。
「俺もそれだけは、凄く嬉しい」
「…………………………」
シーリーンが俯いて、沈黙。
そして、ぽそり…と言った。
「…ファーレーンの申し出(ファオンに代わって自分が《皆を繋ぐ者》になる)、夢の中のレオ、受けたりして」
レオは気づき、途端キースに、ぎん!と睨まれて、慌ててキースから、顔を背けた。
0
お気に入りに追加
227
あなたにおすすめの小説
性的イジメ
ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。
作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。
全二話 毎週日曜日正午にUPされます。
部室強制監獄
裕光
BL
夜8時に毎日更新します!
高校2年生サッカー部所属の祐介。
先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。
ある日の夜。
剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう
気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた
現れたのは蓮ともう1人。
1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。
そして大野は裕介に向かって言った。
大野「お前も肉便器に改造してやる」
大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…
女装とメス調教をさせられ、担任だった教師の亡くなった奥さんの代わりをさせられる元教え子の男
湊戸アサギリ
BL
また女装メス調教です。見ていただきありがとうございます。
何も知らない息子視点です。今回はエロ無しです。他の作品もよろしくお願いします。
エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので
こじらせた処女
BL
大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。
とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…
少年野球で知り合ってやけに懐いてきた後輩のあえぎ声が頭から離れない
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
少年野球で知り合い、やたら懐いてきた後輩がいた。
ある日、彼にちょっとしたイタズラをした。何気なく出したちょっかいだった。
だがそのときに発せられたあえぎ声が頭から離れなくなり、俺の行為はどんどんエスカレートしていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる