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夢の中の調教
273 やっと脱出
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シーリーンが覗くと、ファオンは衣服を着て寝台に腰掛けてた。
とっさ駆け寄り、腕を掴んで引く。
「逃げるぞ!」
ファオンはびっくりし、けれど嬉しそうに笑い、思いっきり頷く。
シーリーンの手に引かれて階段を降りると、その先に背を向けて立つ、レオとレドナンド。
その向こうに、縛られて石の床に転がるアントラン。
そして………。
床に仰向けて転がり、ファーレーンに抱きつくキースと、遮二無二掴むキースの腕を引き剥がそうと抗うファーレーン。
腰を屈めて、それを観察してるキリアン。
ファオンは目を見開く。
が、シーリーンに引っ張られ、レオとレドナンドの背を通り過ぎて応接間へ連れ込まれる。
「ファオン!」
「アリオン!」
シェナンが直ぐ叫ぶ。
「さっさと行こう!」
そしてまだ愚図つく、ロレンツの肩を強引に、抱いて引く。
「早く行かないと、またキリアンに…」
シェナンの囁き声に、ロレンツはすっ飛んで戸口まで行き、振り向く。
「早く、出よう!」
セルティスとシーリーン、アリオンとファオンはびっくりし、けれど頷くと、ロレンツに続く。
一行はこっそりとまた建物を抜け出すと、下へと続く石の階段の、入り口まで来て、振り向く。
「追っ手はいない!」
シーリーンの声に、セルティスが髪に手をやる。
「…俺の、立場は?
まあ…いいか。
下の門開ける、鍵はあるのか?」
シェナンがロレンツに振り向く。
ロレンツはさっ!と腰に下げた皮のポシェットから、鍵を差し出す。
セルティスに頷かれ、一行は石の螺旋階段を降りていく。
ファオンだけが、振り向くと
「僕だけ?
ファーレーン兄様と…キリアンは?」
と尋ねていて、アリオンとシーリーンが無言で顔を下げると、詐欺師シェナンがやっぱりにこにこと笑い、言った。
「二人は、絶対大丈夫だから。
君みたいに、閉じ込められて無くて自由に動き回ってたろう?」
「………でも、ファーレーン兄様、キースに掴まってた」
「あれは、じゃれてたんだ」
この誤魔化しに、ロレンツは勿論、アリオンとシーリーンまでもが顔を下げた。
「……………じゃれてたの…?
昔みたいに?
じゃ、いい事?」
シェナンはにっこり笑う。
「そう」
ファオンは心配事が、無くなったように笑った。
「良かった!」
「…どうかとすると、びっくりするくらい素直な所ってキリアンと一緒で、血筋かな」
シェナンの言葉に、ロレンツは無言。
が、頷きながら言う。
「確かに素直だけど、あいつ(キリアン)は主張がある時、意見を引っ込めない」
ロレンツの文句に、シェナンは溜息を吐く。
「………まぁね…。
無理矢理された記憶って、なかなか消えないものだから…。
確かに君が、気の毒だとは思う」
アリオンとシーリーンが見ていると、ロレンツは真っ赤になって怒った。
「せっかく、綺麗さっぱり忘れてたのに!」
夢見てるレオが囁く。
「結局、逃げられたか」
セルティスが安堵してるので、キースがじろりと見て言う。
「自分だけいいコで、安心か?」
セルティスは頷く。
「アントランにも襲われなかったし」
アリオンは溜息吐く。
「俺もそれだけは、凄く嬉しい」
「…………………………」
シーリーンが俯いて、沈黙。
そして、ぽそり…と言った。
「…ファーレーンの申し出(ファオンに代わって自分が《皆を繋ぐ者》になる)、夢の中のレオ、受けたりして」
レオは気づき、途端キースに、ぎん!と睨まれて、慌ててキースから、顔を背けた。
とっさ駆け寄り、腕を掴んで引く。
「逃げるぞ!」
ファオンはびっくりし、けれど嬉しそうに笑い、思いっきり頷く。
シーリーンの手に引かれて階段を降りると、その先に背を向けて立つ、レオとレドナンド。
その向こうに、縛られて石の床に転がるアントラン。
そして………。
床に仰向けて転がり、ファーレーンに抱きつくキースと、遮二無二掴むキースの腕を引き剥がそうと抗うファーレーン。
腰を屈めて、それを観察してるキリアン。
ファオンは目を見開く。
が、シーリーンに引っ張られ、レオとレドナンドの背を通り過ぎて応接間へ連れ込まれる。
「ファオン!」
「アリオン!」
シェナンが直ぐ叫ぶ。
「さっさと行こう!」
そしてまだ愚図つく、ロレンツの肩を強引に、抱いて引く。
「早く行かないと、またキリアンに…」
シェナンの囁き声に、ロレンツはすっ飛んで戸口まで行き、振り向く。
「早く、出よう!」
セルティスとシーリーン、アリオンとファオンはびっくりし、けれど頷くと、ロレンツに続く。
一行はこっそりとまた建物を抜け出すと、下へと続く石の階段の、入り口まで来て、振り向く。
「追っ手はいない!」
シーリーンの声に、セルティスが髪に手をやる。
「…俺の、立場は?
まあ…いいか。
下の門開ける、鍵はあるのか?」
シェナンがロレンツに振り向く。
ロレンツはさっ!と腰に下げた皮のポシェットから、鍵を差し出す。
セルティスに頷かれ、一行は石の螺旋階段を降りていく。
ファオンだけが、振り向くと
「僕だけ?
ファーレーン兄様と…キリアンは?」
と尋ねていて、アリオンとシーリーンが無言で顔を下げると、詐欺師シェナンがやっぱりにこにこと笑い、言った。
「二人は、絶対大丈夫だから。
君みたいに、閉じ込められて無くて自由に動き回ってたろう?」
「………でも、ファーレーン兄様、キースに掴まってた」
「あれは、じゃれてたんだ」
この誤魔化しに、ロレンツは勿論、アリオンとシーリーンまでもが顔を下げた。
「……………じゃれてたの…?
昔みたいに?
じゃ、いい事?」
シェナンはにっこり笑う。
「そう」
ファオンは心配事が、無くなったように笑った。
「良かった!」
「…どうかとすると、びっくりするくらい素直な所ってキリアンと一緒で、血筋かな」
シェナンの言葉に、ロレンツは無言。
が、頷きながら言う。
「確かに素直だけど、あいつ(キリアン)は主張がある時、意見を引っ込めない」
ロレンツの文句に、シェナンは溜息を吐く。
「………まぁね…。
無理矢理された記憶って、なかなか消えないものだから…。
確かに君が、気の毒だとは思う」
アリオンとシーリーンが見ていると、ロレンツは真っ赤になって怒った。
「せっかく、綺麗さっぱり忘れてたのに!」
夢見てるレオが囁く。
「結局、逃げられたか」
セルティスが安堵してるので、キースがじろりと見て言う。
「自分だけいいコで、安心か?」
セルティスは頷く。
「アントランにも襲われなかったし」
アリオンは溜息吐く。
「俺もそれだけは、凄く嬉しい」
「…………………………」
シーリーンが俯いて、沈黙。
そして、ぽそり…と言った。
「…ファーレーンの申し出(ファオンに代わって自分が《皆を繋ぐ者》になる)、夢の中のレオ、受けたりして」
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