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夢の中の調教
270 人身御供
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ばんっ!
皆…いや、アントラン待望、扉が開く音。
どんっ!
押し出されたのは…戸口で待ち構えてるアントランに、背から突っ込むキース。
そしてキースに道連れにされたファーレーン。
ファーレーンはキースに胸ぐら引っ張られ、抱きつくようにキースに倒れかかる。
どさっ!
アントランに、突如二人の体重がのし掛かる。
一瞬にしてキースの背の下敷きにされ、哀れ
「ぐぇ…」
と潰れたカエルのような呻き声を上げている。
ファーレーンは思い切りキースに上から抱きつく格好で、身を起こそうにもキースに胸ぐら掴まれ、起き上がれない。
その時、シェナンが叫ぶ。
「今だ!」
アリオンとセルティス、シェナンは素早く扉の後ろから出て、倒れ込む三人と、それを身を屈め見ているキリアンの、横を一気に駆け抜ける。
三人はキリアンが出て来た、応接間へと駆け込んだ。
ばん!
セルティスが決死で扉を閉めた後、アリオンが扉を振り向き、ぼそり。と言う。
「…これって…単に、部屋を移動しただけで、状況は変わらない…?」
シェナンが慰めるように呟いた。
「…裏切り者が同じ部屋に、いないだけ…マシ?」
夢見てるシーリーンがアリオンに振り向き、ぼそり。と呟く。
「お前って…変に利口だよな」
アリオンは俯いたまま、頷く。
「…俺としては多分…キースがアントランに喰われてる間に、要塞駆け下りたい…?」
セルティスが俯いたまま、顔を揺らす。
レオも口を開きかけて、また閉じた。
裏切り者扱いされたキースだけが、ぶすっ垂れて言葉を吐く。
「お前、石牢に苦労して登ったのは、ファオン助ける為じゃなかったっけ?」
シーリーンが横で、慰めるように囁く。
「目的達成できず撤退する位なら…初めから登って来なかった方が…マシ?」
アリオンは思い切り顔を深く伏せて、俯いた。
レオはレドナンドが扉を開け、首を出して階段に人気の無いのを確かめてるのを、後ろで怖々見ていた。
が、シーリーンに振り向いて尋ねる。
「ファオンは?」
シーリーンは背後に振り向いたものの、囁く。
「…熟睡?」
レオはそれを聞いて、立て続けだったから無理も無い。
と顔を下げる。
レドナンドは振り向くと、囁く。
「…ともかく、アントランを逆に拉致しないと」
レオが溜息交じりに言葉を返す。
「…だがアントランは身軽で素早い…」
レドナンドも俯く。
「それが身上だしな…」
シーリーンも顔を下げる。
「…折角…あんたらに散々汚されたとは言え、ファオンと…出来たのに。
アントランには死んでも、襲われたくない」
レオが、ふ…と気づく。
「…そう言えば、アントランはシーリーンに惚れてたな」
レドナンドもレオを見る。
「…どう思う。
三人一気に並んだら…誰が襲いかかられる?」
シーリーンはその言葉を聞いて、年上で長(おさ)の二人を、上目使いで睨む。
二人はこそっ…とシーリーンを盗み見る。
「…だよな」
「だな」
シーリーンは一気に腹を立てた。
「あんたら、長のプライド、無いのか!」
レオとレドナンドはシーリーンに向き直る。
レオが真顔で言い放つ。
「…敵が《化け物》なら、見捨てない」
レドナンドは無理に笑顔を作って言う。
「…アントランは一応味方で、屈辱は味わうが死ぬ訳じゃない」
とうとうシーリーンは年上二人を、怒鳴り付けた。
「長(おさ)の誇りを投げ捨てた、みっともない言い訳はそれだけか!」
夢見てる皆は顔を下げて沈黙。
シーリーンだけが、囁く。
「…やっぱ夢で無くてもあんた、こういう場合俺を犠牲にするのか?」
シーリーンの問いに、レオは顔を下げて呟く。
「……………多分?」
それを聞いた途端、セルティスとアリオンはがっくり。と首垂れた。
皆…いや、アントラン待望、扉が開く音。
どんっ!
押し出されたのは…戸口で待ち構えてるアントランに、背から突っ込むキース。
そしてキースに道連れにされたファーレーン。
ファーレーンはキースに胸ぐら引っ張られ、抱きつくようにキースに倒れかかる。
どさっ!
アントランに、突如二人の体重がのし掛かる。
一瞬にしてキースの背の下敷きにされ、哀れ
「ぐぇ…」
と潰れたカエルのような呻き声を上げている。
ファーレーンは思い切りキースに上から抱きつく格好で、身を起こそうにもキースに胸ぐら掴まれ、起き上がれない。
その時、シェナンが叫ぶ。
「今だ!」
アリオンとセルティス、シェナンは素早く扉の後ろから出て、倒れ込む三人と、それを身を屈め見ているキリアンの、横を一気に駆け抜ける。
三人はキリアンが出て来た、応接間へと駆け込んだ。
ばん!
セルティスが決死で扉を閉めた後、アリオンが扉を振り向き、ぼそり。と言う。
「…これって…単に、部屋を移動しただけで、状況は変わらない…?」
シェナンが慰めるように呟いた。
「…裏切り者が同じ部屋に、いないだけ…マシ?」
夢見てるシーリーンがアリオンに振り向き、ぼそり。と呟く。
「お前って…変に利口だよな」
アリオンは俯いたまま、頷く。
「…俺としては多分…キースがアントランに喰われてる間に、要塞駆け下りたい…?」
セルティスが俯いたまま、顔を揺らす。
レオも口を開きかけて、また閉じた。
裏切り者扱いされたキースだけが、ぶすっ垂れて言葉を吐く。
「お前、石牢に苦労して登ったのは、ファオン助ける為じゃなかったっけ?」
シーリーンが横で、慰めるように囁く。
「目的達成できず撤退する位なら…初めから登って来なかった方が…マシ?」
アリオンは思い切り顔を深く伏せて、俯いた。
レオはレドナンドが扉を開け、首を出して階段に人気の無いのを確かめてるのを、後ろで怖々見ていた。
が、シーリーンに振り向いて尋ねる。
「ファオンは?」
シーリーンは背後に振り向いたものの、囁く。
「…熟睡?」
レオはそれを聞いて、立て続けだったから無理も無い。
と顔を下げる。
レドナンドは振り向くと、囁く。
「…ともかく、アントランを逆に拉致しないと」
レオが溜息交じりに言葉を返す。
「…だがアントランは身軽で素早い…」
レドナンドも俯く。
「それが身上だしな…」
シーリーンも顔を下げる。
「…折角…あんたらに散々汚されたとは言え、ファオンと…出来たのに。
アントランには死んでも、襲われたくない」
レオが、ふ…と気づく。
「…そう言えば、アントランはシーリーンに惚れてたな」
レドナンドもレオを見る。
「…どう思う。
三人一気に並んだら…誰が襲いかかられる?」
シーリーンはその言葉を聞いて、年上で長(おさ)の二人を、上目使いで睨む。
二人はこそっ…とシーリーンを盗み見る。
「…だよな」
「だな」
シーリーンは一気に腹を立てた。
「あんたら、長のプライド、無いのか!」
レオとレドナンドはシーリーンに向き直る。
レオが真顔で言い放つ。
「…敵が《化け物》なら、見捨てない」
レドナンドは無理に笑顔を作って言う。
「…アントランは一応味方で、屈辱は味わうが死ぬ訳じゃない」
とうとうシーリーンは年上二人を、怒鳴り付けた。
「長(おさ)の誇りを投げ捨てた、みっともない言い訳はそれだけか!」
夢見てる皆は顔を下げて沈黙。
シーリーンだけが、囁く。
「…やっぱ夢で無くてもあんた、こういう場合俺を犠牲にするのか?」
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「……………多分?」
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