アグナータの命運

あーす。

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夢の中の調教

251 やっとファーレーンとご対面のキース

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 セルティスは寝台横の椅子にかけていたけど…レオに視線を送る。
「もう…教える?」

レオはファオンを背後から抱きしめ、熱烈な口づけをしてるキースを見
『…そうだった…』
と思い出す。

腰布を直し、こほん。と咳ばらうと囁く。
「あー…この後、ちょっと囚人に、食事の差し入れしてくれるかな?」

キースはファオンに微笑んで唇を放し、そっとファオンを寝台の上に横たえると、寝台横に出て来たレオの横に並ぶ。
「…また…囚人が来たのか?」

セルティスが扉を開け、レオがキースに無言で頷く。
横の調教部屋に来ると、レオが言った。

「…実は…ファーレーンが囚われてて…更に、ファオンの代わりをするからファオンを解放しろと…」
キースは目を、まん丸に見開く。

暫く…黙り、そして寝室の扉を指す。
「あれだけ迄に仕上げて!今更交代?!
それに…………大体あんた、ファーレーンが抱けるのか?!
お前はどうだ!セルティス!」

セルティスは直ぐ、音を上げた。
「俺は無理」
レオも俯く。
「俺は…お前の仕上げ次第…?
…だってファオンだって…最初は嫌がってたんだぞ?
それがお前が…いやらしい暗示かけて、どんどん乱れてイイとか…言ったら、ああなった」

セルティスが、顔を上げる。
「ああ…確かに、そうだよな?
…キースが仕上げたら…俺ファーレーンでも、イケるようになる…かも?」

そう言った途端キースに睨まれ、セルティスは口を閉じて顔を背ける。

「…………………ファーレーンは、どこだ!」



ばん!
キースは怒りに包まれ、扉を開ける。

ファーレーンは室内に、鎖付きの木の長方形の手枷をしていて、振り向く。
じゃらじゃらと鎖の音をさせながら、キースに寄って来る。

が、鎖がぴん!と張って、50㎝手前で止まり、睨み付ける。
「いつまで待たせる!」
「お前、本気か?!
お前…寄ってたかって男に………」
ファーレーンはもっと怒る。
「…それをあの幼気なファオンにさせる気だろう?
いいからファオンを解放して、私を代わりにしろ!」

キースは、ぐっ…と詰まる。
もう…凄く遅くて、ファオンはすっかり…される事に慣れちゃって、しかも…抱かれる事が、大好きになった…。
とは、言えない。
しかもそうさせたのは自分。

ファオンは元々、ファーレーンほど自制心が無いから、恥ずかしさだけを取っ払えば…快感に忠実。

その上、蕩かし上手なレオとセルティスが…してるから…。
もうとろとろに蕩けてしまってる。

しかしセルティスもレオも…そこに導く自分の能力を…。
ファーレーンでも発揮させることを、望んでる。

キースは俯ききった。
「ファオンを解放しろ!
とっととしないと…」

ばんっ!

キースはファーレーンが、手枷は鎖で繋がれそれ以上は近寄れないから、回し蹴って自分の背中側の腰に蹴り入れ…思い切り叩かれて…倒れかけたが耐えた。

「『…どうして足も、枷しとかないかな…』
………お前…調教とかされて、本気で平気?
俺に口説かれたって…いっつも冷たいのに」

ファーレーンが再び蹴りの体勢に入っていたけど、キースに振り向く。
「…兄として、ファオンが汚されるのは…我慢出来ない!」

キースは、汚されるどころか…もうすっかり、される快感の虜になって…。
更にレオにもセルティスにも…自分にも、甘えて“して”って潤む瞳で見つめる、今のファオンを思い浮かべ、ムンクの叫び状態になった。

ばんっ!

また…ファーレーンの蹴りが、背側の腰に入る。
一瞬どっ!と前へ吹っ飛ばされそうになりながらも、キースは踏み止まる。

「…本当に、俺にされても大人しく耐えるんだな!」
そう、吠える。
内心
“これしかない。
実際始めれば…ファーレーンだって…直ぐ挿入前に、蹴りを食らわすに決まってる!
意識がある時に…出来る筈が無い!”
キースは必死に自分にそう言い聞かせ…再び入る、ファーレーンの蹴りに、耐えた。

ばんっ!

「…どうして質問してるのに、蹴るかな!」
「いいから!
私を好きにして良いと言ってるんだから、ファオンは解放しろ!」

「…ファオンは食った後で、今寝てる」
「貴様!何回ファオンを汚した!」
キースは必死で頭の中で、回数を数え始め…途中で解らなくなって、放棄した。

「知るか!
数えてない!」

ばんっ!
また蹴りを食らう。
「数え切れない程したのか!貴様!」

また…ファーレーンは回し蹴りの体勢。

しゅっ!

今度、キースは横に場所をずれて、蹴りをかわした。
「避けるな!」
ファーレーンに叫ばれて、キースはファーレーンの真ん前に立つ。
「…ここならもう、股に膝蹴りも出来る。
どうする!
俺を役に立たなくして復讐するか!
俺に調教されてファオンと入れ替わるか!
どっちか、選べ!」

キースに逆ギレされて、ファーレーンは目を見開く。
そして…真ん前に立つ男の、股の間を見下ろす。

キースはファーレーンに畳みかける。
「口でも、出来なきゃ行けないんだぞ?!
お前、食いちぎらずに口の中で男の男根、気持ち良く出来るのか?!」

ファーレーンはそれを聞いて、かっかした。
「ファオンにも、それさせたのか?!」

キースは脳裏に…自分とレオのを美味しそうに口に咥えるファオンが思い浮かび…が、振り払った。
「お前に出来ないと俺は思ってるから!
まだ素直なファオンに仕込むしか、無いだろう?!」
「私にだって、それ位出来る!」
「嘘付け!
口なんかに挿入(い)れたら
“弱点晒しやがってこのどスケベの間抜けめ!”
とか思いつつ、一気に噛み千切るんだろう?!
解ってるのか?!
再起不能にさせる為にするんじゃないぞ?!
“気持ち良く”
させるんだぞ?!」

「…だから…舌を使えばいいんだろう?!
私が…《皆を繋ぐ者》アグナータにされたみたいに」

ファーレーンが顔を背けるから、キースはまた、怒鳴った。
「お前が、蹴らず殴らず…噛みつかずにそれが出来たら!
ファオンと交代させてやる!」



「………………………」
夢見てる全員が、無言。

「…何発入った?
蹴り」

アリオンがシーリーンに聞く。

「四…発…?」

シーリーンの答えに、レオもセルティスも首を横に、振りまくる。

「お手並み拝見だな…」
シーリーンの言葉に、セルティスも俯き加減で頷く。
「…あのファーレーンを…俺ですら抱きたいくらいに仕上げたら、キースに
『垂らし王』の称号を贈ろう…」

キースは『なんだそのふざけた称号は!』
と怒鳴りかけた。
が、アリオンも頷く。
「…俺も、贈る」
「俺も」
シーリーンまで言って、最後にレオが
「喜んで、贈ろう」
と言うので、とうとうキースは沈黙して拳を握り込んだ。
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