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夢の中の調教
245 ソーセージの行方
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レオは気づくと、うとうととまどろんでいた。
寝台の横にファオンが、身をぴったりと寄せて眠っている。
暫く、レオは呆然とした。
「(………ファオンって…囚人じゃなかったっけ…。確か)」
けれど身体を起こすと、そっ…と起き出す。
控え部屋に行くと、セルティスとキースは食事の真っ最中。
何と茹で上がったソーセージがテーブルに乗っていて…。
キースがシチューをスプーンで掬いながら、ソーセージの皿を空いたレオの座る予定の、椅子の前に肘で押し出す。
「………………………」
レオは椅子の背に手を置きながらも、固まってそれを見た。
セルティスが、言い淀んだが、口開く。
「取っといた。あんたの為に」
キースも頷く。
「俺達は、手を触れてない」
レオは椅子に座ると、手前に美味しそうに盛られ、湯気立てたソーセージを横目に、無言でその向こうの鳥の丸焼きに手を伸ばす。
「…ファオンに食事は?」
そう聞くと、キースは顔を上げる。
「じゃ、運ぶか?
ここから適当に持って行こうととは、思ってた」
セルティスが肩竦める。
「…そっちのワゴンの上の、皿がそうだ」
レオがテーブル横のワゴンを見る。
滑車のついた台の上に、肉と野菜とパンの乗った皿。
そしてシチューの皿の、二つの皿が乗っていた。
グラスが一つと水の入った瓶も。
レオは鳥の丸焼きを手掴みしてもぐもぐしながら立ち上がり、鳥の丸焼きの乗った皿を手に持ち、ワゴンの上に置くと、ワゴンを押して控え部屋を出て行く。
「…………………………………」
セルティスとキースが同時に、扉の向こうに消えて行くレオを見送り、パタン…と戸が閉じた後、やっぱり二人同時に、テーブルの上に残る、付け合わせの野菜の乗ったソーセージの山盛りを見つめた。
「…鳥の丸焼き…持ってった?あいつ…」
キースの言葉に、セルティスが残念そうに言った。
「…俺まだ、一個も食べてない」
セルティスがソーセージの皿を手に持ち、寝台のある部屋の扉を開けると、レオとファオンは寝台の上で、最後の鳥の丸焼きを食べていた。
一瞬セルティスはがっくり。と首を落としそうだった。
が、言った。
「これと、鳥とを交換に…来たんだけど」
ワゴンの上の、シチューとファオン用の野菜と肉の炒め物はまるっと残り…二人は鳥の丸焼きの皿を囲んで、食べきっていた。
レオは顔を上げる。
「それ、お前らで食べて良いから」
ファオンなんかはがっついて、顔も上げない。
「………………………あんたの、好物だろう?」
レオはもぐもぐしながら頷く。
「…ここ以外で。
ここでの俺の好物は、鳥の丸焼きに取って代わった。
…あ、空の皿、持って行く?」
セルティスは落ち込みながら皿を持ったまま、ドアノブに手をかけて呟く。
「…ワゴンの上に、乗せといて」
レオは頷き、セルティスは肩を落としたまま、ソーセージの乗った皿を持って退場した。
レオは瓶からグラスに水を注いでファオンに手渡す。
ファオンが飲んだ後、グラスを取り上げ再び注いで、自分も飲み干す。
「もう一杯?」
ファオンに聞くと頷くから、レオはまた注いでグラスをファオンに手渡した。
夢見てる皆は口々に言い合った。
あのソーセージに、調教用に使ったソーセージは含まれているのかどうかを。
だが続きの夢の中でセルティスが、まるっ…と残ったソーセージの皿を残念そうにテーブルに戻し、キースが手を出して食べ始めるのを見る。
皆、まだ「?」
と、夢の中の食事風景を見守った。
セルティスがじっ…とソーセージを食べてる様子に視線を注ぐので、キースは次のソーセージを手掴みし、頬を膨らませて尋ねる。
「…だってこれ、調教用のは入れて無いんだろう?」
セルティスが、凄く残念そうに言った。
「…数が少ないと言われて…。
部屋の隅に転がってるのを…混ぜた」
キースの、ソーセージに伸ばした手が、ぴたり。と止まる。
「…けど…隅にはバラけて数本転がっていたから…調教用に使った…のかどうかは………」
「………不明?」
キースに聞かれ、セルティスは頷く。
キースは口の中でもぐもぐさせながら…飲み込もうかどうかをかなり長い間…躊躇い続けていた。
夢見てるレオが、ほっ。として明るく言う。
「良かった!」
セルティスは気の毒そうに、キースに言った。
「………夢だし」
キースは項垂れて顔を、下げきったまま頷く。
「………解ってる」
アリオンとシーリーンはキースに背を向け、こっそりくすくすくす…と笑っていた。
しかし食べ終わったファオンは油だらけの指を布で拭った後、水を飲んでグラスをワゴンに置く、レオにしなだれかかる。
「…………………」
ファオンが、凄く恥ずかしそうに…。
けれど寝台に片足曲げて座り、片足は寝台端から下ろして床につけてるレオの、胴に回した腕を解いて…シャツを指先で取り退け、レオの素肌を晒して行く。
「…さっき…脱いでなかった………」
レオが、華奢な指で衣服を取り退けられ、素肌の胸にぴたっ。と顔を寄せるファオンに、一気に煽られる。
ふいに抱き寄せて、一気に寝台の上に押し倒すと、ファオンは凄くどきどきした表情で、頬を真っ赤にする。
レオは倒したファオンの仰向けの唇に、唇を寄せ…押しつけて、舌をもぐり込ませた。
突然の熱いレオの舌に…ファオンは感じたように身を戦慄かせる。
逞しいレオの裸の胸が胸に押しつけられると…ファオンはぞくり!と身を震わせながらも…レオの背に腕を回して縋り付く。
「ん…っ…んん…っ」
ファオンに甘く喘がれて、レオは直ぐ、ファオンの太腿に手を這わせた。
キースとセルティスは、少しだけ扉を開けて、それを見ていた。
「………………………」
言葉の出ないキースに、セルティスがそっと囁く。
「…一戦…終えた、後にする?」
キースは頷き、二人は同時に扉を閉める。
「…確か、シーリーンにも食事を出さないと…。
あの後、様子、見た?」
セルティスはキースに聞かれて、首を横に振る。
部屋に戻るとデュランが、テーブルを前に椅子に座り、ソーセージに舌鼓打っていた。
「………………………………………」
二人同時に、沈黙。
デュランは美味そうにソーセージに次々手を出し、平らげながら言う。
「これ、すっごく美味いっス!
いっつもレオに全部食べられちゃうのに…。
…レオ……今日は腹でも、壊したんですか?」
セルティスとキースと顔を、見合わせた。
「…全部、食べて良いから」
キースが言うと、セルティスも頷いた。
「俺も…あんま好きじゃ無いし」
デュランは満面の笑み。
「え?
俺一人で、抱え込んで食べて良いんですか?!」
キースもセルティスもが、同時に頷く。
デュランは輝く笑顔で両手にソーセージを握り、左右に首振って、がつがつ食べ始めた。
夢見てるレオが囁く。
「ここにデュランがいなくて良かった」
キースが、ほっとして笑顔で言う。
「なんか、収まるところに収まったって…カンジ?」
セルティスとアリオンとシーリーンだけが、俯く。
「…なんか…普段の日常でも凄く、ありそうなパターン?」
シーリーンの感想に、アリオンもセルティスもが同時に、頷いた。
寝台の横にファオンが、身をぴったりと寄せて眠っている。
暫く、レオは呆然とした。
「(………ファオンって…囚人じゃなかったっけ…。確か)」
けれど身体を起こすと、そっ…と起き出す。
控え部屋に行くと、セルティスとキースは食事の真っ最中。
何と茹で上がったソーセージがテーブルに乗っていて…。
キースがシチューをスプーンで掬いながら、ソーセージの皿を空いたレオの座る予定の、椅子の前に肘で押し出す。
「………………………」
レオは椅子の背に手を置きながらも、固まってそれを見た。
セルティスが、言い淀んだが、口開く。
「取っといた。あんたの為に」
キースも頷く。
「俺達は、手を触れてない」
レオは椅子に座ると、手前に美味しそうに盛られ、湯気立てたソーセージを横目に、無言でその向こうの鳥の丸焼きに手を伸ばす。
「…ファオンに食事は?」
そう聞くと、キースは顔を上げる。
「じゃ、運ぶか?
ここから適当に持って行こうととは、思ってた」
セルティスが肩竦める。
「…そっちのワゴンの上の、皿がそうだ」
レオがテーブル横のワゴンを見る。
滑車のついた台の上に、肉と野菜とパンの乗った皿。
そしてシチューの皿の、二つの皿が乗っていた。
グラスが一つと水の入った瓶も。
レオは鳥の丸焼きを手掴みしてもぐもぐしながら立ち上がり、鳥の丸焼きの乗った皿を手に持ち、ワゴンの上に置くと、ワゴンを押して控え部屋を出て行く。
「…………………………………」
セルティスとキースが同時に、扉の向こうに消えて行くレオを見送り、パタン…と戸が閉じた後、やっぱり二人同時に、テーブルの上に残る、付け合わせの野菜の乗ったソーセージの山盛りを見つめた。
「…鳥の丸焼き…持ってった?あいつ…」
キースの言葉に、セルティスが残念そうに言った。
「…俺まだ、一個も食べてない」
セルティスがソーセージの皿を手に持ち、寝台のある部屋の扉を開けると、レオとファオンは寝台の上で、最後の鳥の丸焼きを食べていた。
一瞬セルティスはがっくり。と首を落としそうだった。
が、言った。
「これと、鳥とを交換に…来たんだけど」
ワゴンの上の、シチューとファオン用の野菜と肉の炒め物はまるっと残り…二人は鳥の丸焼きの皿を囲んで、食べきっていた。
レオは顔を上げる。
「それ、お前らで食べて良いから」
ファオンなんかはがっついて、顔も上げない。
「………………………あんたの、好物だろう?」
レオはもぐもぐしながら頷く。
「…ここ以外で。
ここでの俺の好物は、鳥の丸焼きに取って代わった。
…あ、空の皿、持って行く?」
セルティスは落ち込みながら皿を持ったまま、ドアノブに手をかけて呟く。
「…ワゴンの上に、乗せといて」
レオは頷き、セルティスは肩を落としたまま、ソーセージの乗った皿を持って退場した。
レオは瓶からグラスに水を注いでファオンに手渡す。
ファオンが飲んだ後、グラスを取り上げ再び注いで、自分も飲み干す。
「もう一杯?」
ファオンに聞くと頷くから、レオはまた注いでグラスをファオンに手渡した。
夢見てる皆は口々に言い合った。
あのソーセージに、調教用に使ったソーセージは含まれているのかどうかを。
だが続きの夢の中でセルティスが、まるっ…と残ったソーセージの皿を残念そうにテーブルに戻し、キースが手を出して食べ始めるのを見る。
皆、まだ「?」
と、夢の中の食事風景を見守った。
セルティスがじっ…とソーセージを食べてる様子に視線を注ぐので、キースは次のソーセージを手掴みし、頬を膨らませて尋ねる。
「…だってこれ、調教用のは入れて無いんだろう?」
セルティスが、凄く残念そうに言った。
「…数が少ないと言われて…。
部屋の隅に転がってるのを…混ぜた」
キースの、ソーセージに伸ばした手が、ぴたり。と止まる。
「…けど…隅にはバラけて数本転がっていたから…調教用に使った…のかどうかは………」
「………不明?」
キースに聞かれ、セルティスは頷く。
キースは口の中でもぐもぐさせながら…飲み込もうかどうかをかなり長い間…躊躇い続けていた。
夢見てるレオが、ほっ。として明るく言う。
「良かった!」
セルティスは気の毒そうに、キースに言った。
「………夢だし」
キースは項垂れて顔を、下げきったまま頷く。
「………解ってる」
アリオンとシーリーンはキースに背を向け、こっそりくすくすくす…と笑っていた。
しかし食べ終わったファオンは油だらけの指を布で拭った後、水を飲んでグラスをワゴンに置く、レオにしなだれかかる。
「…………………」
ファオンが、凄く恥ずかしそうに…。
けれど寝台に片足曲げて座り、片足は寝台端から下ろして床につけてるレオの、胴に回した腕を解いて…シャツを指先で取り退け、レオの素肌を晒して行く。
「…さっき…脱いでなかった………」
レオが、華奢な指で衣服を取り退けられ、素肌の胸にぴたっ。と顔を寄せるファオンに、一気に煽られる。
ふいに抱き寄せて、一気に寝台の上に押し倒すと、ファオンは凄くどきどきした表情で、頬を真っ赤にする。
レオは倒したファオンの仰向けの唇に、唇を寄せ…押しつけて、舌をもぐり込ませた。
突然の熱いレオの舌に…ファオンは感じたように身を戦慄かせる。
逞しいレオの裸の胸が胸に押しつけられると…ファオンはぞくり!と身を震わせながらも…レオの背に腕を回して縋り付く。
「ん…っ…んん…っ」
ファオンに甘く喘がれて、レオは直ぐ、ファオンの太腿に手を這わせた。
キースとセルティスは、少しだけ扉を開けて、それを見ていた。
「………………………」
言葉の出ないキースに、セルティスがそっと囁く。
「…一戦…終えた、後にする?」
キースは頷き、二人は同時に扉を閉める。
「…確か、シーリーンにも食事を出さないと…。
あの後、様子、見た?」
セルティスはキースに聞かれて、首を横に振る。
部屋に戻るとデュランが、テーブルを前に椅子に座り、ソーセージに舌鼓打っていた。
「………………………………………」
二人同時に、沈黙。
デュランは美味そうにソーセージに次々手を出し、平らげながら言う。
「これ、すっごく美味いっス!
いっつもレオに全部食べられちゃうのに…。
…レオ……今日は腹でも、壊したんですか?」
セルティスとキースと顔を、見合わせた。
「…全部、食べて良いから」
キースが言うと、セルティスも頷いた。
「俺も…あんま好きじゃ無いし」
デュランは満面の笑み。
「え?
俺一人で、抱え込んで食べて良いんですか?!」
キースもセルティスもが、同時に頷く。
デュランは輝く笑顔で両手にソーセージを握り、左右に首振って、がつがつ食べ始めた。
夢見てるレオが囁く。
「ここにデュランがいなくて良かった」
キースが、ほっとして笑顔で言う。
「なんか、収まるところに収まったって…カンジ?」
セルティスとアリオンとシーリーンだけが、俯く。
「…なんか…普段の日常でも凄く、ありそうなパターン?」
シーリーンの感想に、アリオンもセルティスもが同時に、頷いた。
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