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夢の中の調教
241 助け出されない、シーリーン
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パタン…。
アリオンが、シーリーンを巡るキリアン、アントランの闘争を閉め出すように扉を閉めた途端、閉めたアリオンもシェナンもが、ほっとしたように顔を上げる。
「さて。
ファーレーンを探しに…あ」
シェナンの声と見開かれた目を見て、レドナンドとロレンツもがシェナンの視線の先。
背後に、ほぼ同時に振り向く。
「……………………………」
デュランが呆けて立っていて、背後のリチャードが怒鳴る。
「てめぇら!
侵入者か?!」
デュランは背後のリチャードを無視して囁く。
「あの…どうやって…入っていらっしゃったんです?」
リチャードが背後で、そんなデュランを睨む。
「何ゴマすってんだよ!!!」
「…………ちょっと、ファーレーンの様子を見に」
レドナンドの返答に、デュランはにっこり笑う。
「お元気です」
そして、一番手前のロレンツを見る。
一瞬俯き、また視線を上げて、ロレンツをじっと見る。
「…どうしてここに?」
シェナンが、にこにこ笑って言う。
「キリアンが本当に大人しくしてるかな。って思って」
「…ええと確か…さっき見た時はシーリーンが縛られてるのを良いことに、キリアンは襲ってましたね」
レドナンドが俯く。
「…やっぱり?」
ロレンツが目を見開く。
「…何で、キリアンがシーリーンを襲う?」
デュランが俯く。
「自分が…歩哨だと信じてるから…?」
アリオンがデュランをジロリ。と見る。
「なんで歩哨だと信じてる」
「…催眠術…で?」
ロレンツもアリオンも呆れた。
が、シェナンだけがにこにこ笑う。
「それは、いいことだ。
で?
どうしたら術が解けちゃうの?
解けちゃったら、マズイよね?」
デュランが悲しげにロレンツを見る。
「それが…ロレンツさんと、三回…致したら解ける事になってます…。
まさかここにいらっしゃるなんて…」
シェナンはやっぱり、にこにこ笑って言う。
「じゃ、ロレンツは早々に隠すから。
で、何を致したら…」
顔を上げるデュランの顔を見て、シェナンは気づく。
「ああ!
つまり今、キリアンがシーリーンにしてるような事を、キリアンと三回したら?」
リチャードが噛みつく。
「キリアンのヤツ!
挿入したのか?自分のケツに?!」
扉の中身を知らないロレンツだけが、目をぱちくりさせる。
「…つまり俺が三回キリアンに挿入(い)れないと…催眠術が解けない?!」
ロレンツは直ぐ、くるり。と背を向け、スタスタとデュランの横を通り過ぎる。
「…帰るの?まさか」
シェナンに言われ、ロレンツは振り向かず頷く。
けどロレンツは、横のデュランを見て問う。
「…もう、一回シーリーンとしてるなら…シーリーンじゃ駄目?
俺指定なの?」
デュランが愛想笑う。
「…貴方なら…ここにいないから、絶対術が解けないと思って。
これ…」
デュランが腕を上げ、見せられた噛み傷を、ロレンツは見て頷く。
「…酷い…」
「でしょ?
《化け物》じゃ、無いんですよ?
キリアンなんですよ?!」
ロレンツはまた、頷く。
そして、リチャードの横を通り過ぎようとして、リチャードに腕を掴まれる。
「ご用だ!」
デュランがリチャードを見る。
「でも、行かせないと…。
キリアンの術が解けるかも」
ロレンツも頷く。
「また、噛まれても良いのか?」
「…………………………」
リチャードは眉間寄せ、俯いて考え込む。
その時シェナンが。
「別にロレンツの、顔だけ見ても解けないんだろう?
三回致さなきゃ解けないんなら…。
別にいても良いんじゃ無いのかな?」
アリオンもレドナンドも同時にシェナンの事を、こう思った。
『流石、詐欺師』
デュランが
「それもそうですね」
と笑い
「じゃ、どこの牢に入って貰う?」
と背後の、リチャードに聞く。
ロレンツはリチャードに腕を掴まれたまま、聞く。
「俺、もしかしたら牢に入るの?」
リチャードが頷く。
ロレンツはシェナンを見る。
「あいつに頼まれてついて来た、だけなのに?
理不尽だ」
リチャードとデュランが、同時にシェナンを見る。
シェナンはにこにこ笑った。
「私の同行者だから。
牢に入れないでくれる?」
リチャードが怒鳴る。
「だが!
ファオンとシーリーンは渡せないぞ!
あいつらは罪人なんだ!」
レドナンドが尋ねる。
「ファーレーンは?」
リチャードは腕組みしてふんぞり返る。
「取り調べがまだだ!」
ロレンツが聞く。
「キリアンは?」
デュランがごますり笑顔を向ける。
「歩哨してくれると、俺達助かるんです…」
シェナンがにこにこ笑う。
「こうしよう。
ファーレーンとキリアンを渡してくれれば。
私達は大人しく帰る」
横でアリオンが
「俺…」
と言いかけた途端、シェナンがアリオンの口を手で塞ぎ、笑う。
「…それで、どう?」
リチャードとデュランが、顔を見合わせる。
「…キリアンはともかく…ファーレーンは尋問が済めば…もしかして…」
シェナンはまた、愛想良く笑う。
「キリアンがここにいて、何かの拍子に術が解けたら、また、噛まれるよ?
私とロレンツが引き取るから」
リチャードとデュランは、顔を見合わせる。
「…それ、いいかも」
リチャードが言うと、デュランも頷く。
「凄く、助かりますよね」
デュランが促す。
「じゃ、取り調べが済むまで、こっちで待っててくれます?」
と、歩哨待機所へ案内する。
レドナンドが、後ろに続きながら囁く。
「酒を振る舞ってくれるとありがたい。
喉がからからだ」
アリオンはシェナンの、口を塞ぐ手を、掴んで引っぺがす。
「…黙ってろって?!」
「暫くは」
シェナンに穏やかに言われて、アリオンはぶすっ垂れる。
が、シェナンと共に、レドナンドの後に続いた。
「…なんか凄く、頼りない救助隊だな…」
夢見てるアリオンのセリフに、シーリーン、だけが怒鳴る。
「俺はどうなる!
どうしてキリアンとアントラン放置だ!
次にアントランに襲われるかもしれないのに!」
『多分、襲われてる』
と全員が、思った。
が、揃って無言を貫いた。
アリオンが、シーリーンを巡るキリアン、アントランの闘争を閉め出すように扉を閉めた途端、閉めたアリオンもシェナンもが、ほっとしたように顔を上げる。
「さて。
ファーレーンを探しに…あ」
シェナンの声と見開かれた目を見て、レドナンドとロレンツもがシェナンの視線の先。
背後に、ほぼ同時に振り向く。
「……………………………」
デュランが呆けて立っていて、背後のリチャードが怒鳴る。
「てめぇら!
侵入者か?!」
デュランは背後のリチャードを無視して囁く。
「あの…どうやって…入っていらっしゃったんです?」
リチャードが背後で、そんなデュランを睨む。
「何ゴマすってんだよ!!!」
「…………ちょっと、ファーレーンの様子を見に」
レドナンドの返答に、デュランはにっこり笑う。
「お元気です」
そして、一番手前のロレンツを見る。
一瞬俯き、また視線を上げて、ロレンツをじっと見る。
「…どうしてここに?」
シェナンが、にこにこ笑って言う。
「キリアンが本当に大人しくしてるかな。って思って」
「…ええと確か…さっき見た時はシーリーンが縛られてるのを良いことに、キリアンは襲ってましたね」
レドナンドが俯く。
「…やっぱり?」
ロレンツが目を見開く。
「…何で、キリアンがシーリーンを襲う?」
デュランが俯く。
「自分が…歩哨だと信じてるから…?」
アリオンがデュランをジロリ。と見る。
「なんで歩哨だと信じてる」
「…催眠術…で?」
ロレンツもアリオンも呆れた。
が、シェナンだけがにこにこ笑う。
「それは、いいことだ。
で?
どうしたら術が解けちゃうの?
解けちゃったら、マズイよね?」
デュランが悲しげにロレンツを見る。
「それが…ロレンツさんと、三回…致したら解ける事になってます…。
まさかここにいらっしゃるなんて…」
シェナンはやっぱり、にこにこ笑って言う。
「じゃ、ロレンツは早々に隠すから。
で、何を致したら…」
顔を上げるデュランの顔を見て、シェナンは気づく。
「ああ!
つまり今、キリアンがシーリーンにしてるような事を、キリアンと三回したら?」
リチャードが噛みつく。
「キリアンのヤツ!
挿入したのか?自分のケツに?!」
扉の中身を知らないロレンツだけが、目をぱちくりさせる。
「…つまり俺が三回キリアンに挿入(い)れないと…催眠術が解けない?!」
ロレンツは直ぐ、くるり。と背を向け、スタスタとデュランの横を通り過ぎる。
「…帰るの?まさか」
シェナンに言われ、ロレンツは振り向かず頷く。
けどロレンツは、横のデュランを見て問う。
「…もう、一回シーリーンとしてるなら…シーリーンじゃ駄目?
俺指定なの?」
デュランが愛想笑う。
「…貴方なら…ここにいないから、絶対術が解けないと思って。
これ…」
デュランが腕を上げ、見せられた噛み傷を、ロレンツは見て頷く。
「…酷い…」
「でしょ?
《化け物》じゃ、無いんですよ?
キリアンなんですよ?!」
ロレンツはまた、頷く。
そして、リチャードの横を通り過ぎようとして、リチャードに腕を掴まれる。
「ご用だ!」
デュランがリチャードを見る。
「でも、行かせないと…。
キリアンの術が解けるかも」
ロレンツも頷く。
「また、噛まれても良いのか?」
「…………………………」
リチャードは眉間寄せ、俯いて考え込む。
その時シェナンが。
「別にロレンツの、顔だけ見ても解けないんだろう?
三回致さなきゃ解けないんなら…。
別にいても良いんじゃ無いのかな?」
アリオンもレドナンドも同時にシェナンの事を、こう思った。
『流石、詐欺師』
デュランが
「それもそうですね」
と笑い
「じゃ、どこの牢に入って貰う?」
と背後の、リチャードに聞く。
ロレンツはリチャードに腕を掴まれたまま、聞く。
「俺、もしかしたら牢に入るの?」
リチャードが頷く。
ロレンツはシェナンを見る。
「あいつに頼まれてついて来た、だけなのに?
理不尽だ」
リチャードとデュランが、同時にシェナンを見る。
シェナンはにこにこ笑った。
「私の同行者だから。
牢に入れないでくれる?」
リチャードが怒鳴る。
「だが!
ファオンとシーリーンは渡せないぞ!
あいつらは罪人なんだ!」
レドナンドが尋ねる。
「ファーレーンは?」
リチャードは腕組みしてふんぞり返る。
「取り調べがまだだ!」
ロレンツが聞く。
「キリアンは?」
デュランがごますり笑顔を向ける。
「歩哨してくれると、俺達助かるんです…」
シェナンがにこにこ笑う。
「こうしよう。
ファーレーンとキリアンを渡してくれれば。
私達は大人しく帰る」
横でアリオンが
「俺…」
と言いかけた途端、シェナンがアリオンの口を手で塞ぎ、笑う。
「…それで、どう?」
リチャードとデュランが、顔を見合わせる。
「…キリアンはともかく…ファーレーンは尋問が済めば…もしかして…」
シェナンはまた、愛想良く笑う。
「キリアンがここにいて、何かの拍子に術が解けたら、また、噛まれるよ?
私とロレンツが引き取るから」
リチャードとデュランは、顔を見合わせる。
「…それ、いいかも」
リチャードが言うと、デュランも頷く。
「凄く、助かりますよね」
デュランが促す。
「じゃ、取り調べが済むまで、こっちで待っててくれます?」
と、歩哨待機所へ案内する。
レドナンドが、後ろに続きながら囁く。
「酒を振る舞ってくれるとありがたい。
喉がからからだ」
アリオンはシェナンの、口を塞ぐ手を、掴んで引っぺがす。
「…黙ってろって?!」
「暫くは」
シェナンに穏やかに言われて、アリオンはぶすっ垂れる。
が、シェナンと共に、レドナンドの後に続いた。
「…なんか凄く、頼りない救助隊だな…」
夢見てるアリオンのセリフに、シーリーン、だけが怒鳴る。
「俺はどうなる!
どうしてキリアンとアントラン放置だ!
次にアントランに襲われるかもしれないのに!」
『多分、襲われてる』
と全員が、思った。
が、揃って無言を貫いた。
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