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夢の中の調教
231 せっかく上がったのに、ロレンツと共にまた降りるアリオン
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アリオンは最下層の鉄柵の門番を殴り倒した後、ロレンツが無事三つ目の鍵も手に入れ、鉄門を開けるのを見た。
直ぐ、シェナンがやって来て、その後ろにレドナンドの姿も見える。
「………………………………………」
アリオンはロレンツが“待たせてる”と言ってた人物達が、予想外の大物で、目を見開いた。
けれど二人の後から…アントランが。
「お前も、味方?」
と聞きながら横を通り過ぎて行く。
「……………(なぜ、アントラン?)」
アリオンは鉄門開けた途端、一斉に上がって行く皆を見る。
そして
「(あ、また上がるのか…)」
と凄く不毛な気分に陥りながら、螺旋に続く石の坂を登って行った。
シェナンとレドナンドは先を登りながら、話してる。
「…キリアンとファーレーンは関わってないんだろう?」
レドナンドの言葉に、シェナンが頷く。
「あんな単純なヤツが弟の逃亡企ててたら、とっくに俺が気づいてる」
アントランが、二人の背後から声上げる。
「…じゃ、どうして捕まってる?」
先頭歩くシェナンも、その後ろのレドナンドもが、振り向く。
「…推察するに、委員会の陰謀だな」
シェナンの言葉に、レドナンドも頷く。
「あいつらの親父さん(キルファース)、委員会に相当恨まれてるらしい。
しかも、凄く恨んでたヤツらが揃って、めちゃくちゃ権力強いそうだ」
シェナンがレドナンドを見る。
「シリルローレルが。
俺とその仲間達は“実戦向きだが権力向きじゃない”
と言いつつも…委員会のメンバーの説得にかかってるらしいが…。
遺恨が深くて、手に負えないって。
それで俺らに、三人をともかく救出して、それから考えよう。
とかって言ってたぜ。
…何考えるんだか」
レドナンドも、暗い顔で俯く。
「…きっと…どっかで委員会メンバーの弱味とか握ってて、さり気なく脅して処分取り消しさせるとか?」
ロレンツが直ぐ、声上げる。
「脅して出来るんだったら、とっくに処分取り消しになってるだろう?」
シェナンが言う。
「弱味を握ってる男が、現在行方不明で。
探し出すから、時間稼げってさ」
アリオンが最後尾で、ぼそっ…と言う。
「ロレンツとシェナンはともかく…あんたまで処分覚悟で、ファーレーン脱獄させるのか?
レドナンド?」
「俺は無視か」
直ぐ、アントランに突っ込まれる。
が、アリオンはじっ。とレドナンドの広い背を見る。
アントランの後ろにいるロレンツと、うんと上にいる先頭のシェナンは、目を見交わし合う。
…自分達も突っ込みたかったのに。
アントランに先を越されて。
レドナンドは問われてるアリオンでなく、アントランに振り向く。
が、アントランは後ろ向いてアリオンをじっと見てるので、仕方無く言う。
「…シーリーンがファオンを助け出し、一緒に投獄された。
と聞いて、アントランが忍び込む。
と言うから…。
どっちみちアントランなら大人しく出来なくて…更にキリアンまでいるから大騒ぎになり、俺は責任を取らされる。
なら…一緒に行って、確実にファーレーンを逃がした方が、マシだろう?」
「俺のせいか?!」
アントランは直ぐ、目前の長(おさ)に振り向いて怒鳴る。
レドナンドはそれに答えず、くるり。と黙してアントランに背を向ける。
アントランがアリオンを見ると、直ぐ後ろのロレンツまでもがアリオンを見ていた。
アリオンは俯ききって、言った。
「…あんたがアントランを連れてきたんじゃ無くて…。
アントランに引きずられて、仕方無く来たのか?」
問われてレドナンドは、振り向かずに背を向けたまま、頭だけ頷いて示した。
アリオンが思った事を、ロレンツが言った。
「誰もが尊敬込めて仰ぎ見る東尾根の長(おさ)にしちゃ…みっともない理由だな…」
アリオンはロレンツの背後で、こっそり頷いた。
夢見てる皆が一様に溜息を吐く。
キースがレオに尋ねる。
「あれ?
ってコトは、あんたとレドナンドは敵対?」
セルティスがレドナンドを庇う。
「…だってレドナンドだって、正面切ってレオと顔付き合わせたりしないで…。
こっそりファーレーン逃がすんだろう?
多分、シェナン辺りがレオを言いくるめるんじゃないのか?」
シーリーンも頷く。
「…レオとレドナンドが激突したら、絶対どっちも戦いそうで凄く怖い」
アリオンが補足する。
「…けど二人の対戦、凄く見たいワクワク気分も…割とある」
レオ以外が皆頷く中、レオが言った。
「激突しようが、たかが夢の中だ。
それより俺はソーセージさえ食わされなけりゃ、満足だ」
「…そこか?!」
アリオンとキースに同時に突っ込まれ…それでもレオは、頷いた。
直ぐ、シェナンがやって来て、その後ろにレドナンドの姿も見える。
「………………………………………」
アリオンはロレンツが“待たせてる”と言ってた人物達が、予想外の大物で、目を見開いた。
けれど二人の後から…アントランが。
「お前も、味方?」
と聞きながら横を通り過ぎて行く。
「……………(なぜ、アントラン?)」
アリオンは鉄門開けた途端、一斉に上がって行く皆を見る。
そして
「(あ、また上がるのか…)」
と凄く不毛な気分に陥りながら、螺旋に続く石の坂を登って行った。
シェナンとレドナンドは先を登りながら、話してる。
「…キリアンとファーレーンは関わってないんだろう?」
レドナンドの言葉に、シェナンが頷く。
「あんな単純なヤツが弟の逃亡企ててたら、とっくに俺が気づいてる」
アントランが、二人の背後から声上げる。
「…じゃ、どうして捕まってる?」
先頭歩くシェナンも、その後ろのレドナンドもが、振り向く。
「…推察するに、委員会の陰謀だな」
シェナンの言葉に、レドナンドも頷く。
「あいつらの親父さん(キルファース)、委員会に相当恨まれてるらしい。
しかも、凄く恨んでたヤツらが揃って、めちゃくちゃ権力強いそうだ」
シェナンがレドナンドを見る。
「シリルローレルが。
俺とその仲間達は“実戦向きだが権力向きじゃない”
と言いつつも…委員会のメンバーの説得にかかってるらしいが…。
遺恨が深くて、手に負えないって。
それで俺らに、三人をともかく救出して、それから考えよう。
とかって言ってたぜ。
…何考えるんだか」
レドナンドも、暗い顔で俯く。
「…きっと…どっかで委員会メンバーの弱味とか握ってて、さり気なく脅して処分取り消しさせるとか?」
ロレンツが直ぐ、声上げる。
「脅して出来るんだったら、とっくに処分取り消しになってるだろう?」
シェナンが言う。
「弱味を握ってる男が、現在行方不明で。
探し出すから、時間稼げってさ」
アリオンが最後尾で、ぼそっ…と言う。
「ロレンツとシェナンはともかく…あんたまで処分覚悟で、ファーレーン脱獄させるのか?
レドナンド?」
「俺は無視か」
直ぐ、アントランに突っ込まれる。
が、アリオンはじっ。とレドナンドの広い背を見る。
アントランの後ろにいるロレンツと、うんと上にいる先頭のシェナンは、目を見交わし合う。
…自分達も突っ込みたかったのに。
アントランに先を越されて。
レドナンドは問われてるアリオンでなく、アントランに振り向く。
が、アントランは後ろ向いてアリオンをじっと見てるので、仕方無く言う。
「…シーリーンがファオンを助け出し、一緒に投獄された。
と聞いて、アントランが忍び込む。
と言うから…。
どっちみちアントランなら大人しく出来なくて…更にキリアンまでいるから大騒ぎになり、俺は責任を取らされる。
なら…一緒に行って、確実にファーレーンを逃がした方が、マシだろう?」
「俺のせいか?!」
アントランは直ぐ、目前の長(おさ)に振り向いて怒鳴る。
レドナンドはそれに答えず、くるり。と黙してアントランに背を向ける。
アントランがアリオンを見ると、直ぐ後ろのロレンツまでもがアリオンを見ていた。
アリオンは俯ききって、言った。
「…あんたがアントランを連れてきたんじゃ無くて…。
アントランに引きずられて、仕方無く来たのか?」
問われてレドナンドは、振り向かずに背を向けたまま、頭だけ頷いて示した。
アリオンが思った事を、ロレンツが言った。
「誰もが尊敬込めて仰ぎ見る東尾根の長(おさ)にしちゃ…みっともない理由だな…」
アリオンはロレンツの背後で、こっそり頷いた。
夢見てる皆が一様に溜息を吐く。
キースがレオに尋ねる。
「あれ?
ってコトは、あんたとレドナンドは敵対?」
セルティスがレドナンドを庇う。
「…だってレドナンドだって、正面切ってレオと顔付き合わせたりしないで…。
こっそりファーレーン逃がすんだろう?
多分、シェナン辺りがレオを言いくるめるんじゃないのか?」
シーリーンも頷く。
「…レオとレドナンドが激突したら、絶対どっちも戦いそうで凄く怖い」
アリオンが補足する。
「…けど二人の対戦、凄く見たいワクワク気分も…割とある」
レオ以外が皆頷く中、レオが言った。
「激突しようが、たかが夢の中だ。
それより俺はソーセージさえ食わされなけりゃ、満足だ」
「…そこか?!」
アリオンとキースに同時に突っ込まれ…それでもレオは、頷いた。
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