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夢の中の調教
224 やっと、出番のアリオン 崖を登る
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アリオンは必死で崖を登る。
岩山の途中から崖の中を、くり抜いた道が建物まで続くんだけど、くり抜いた道はたいして広くないし、見張りがきっちりいる。
…だからアリオンは絶壁を登る。
両手の指を、掴まれる岩の裂け目にかけて。
つま先を、岩の隙間にひっかけて。
そして、遙か上に垂直に伸びる絶壁を睨み、下を決して見まい。
と決意し、更に上へと、少しずつだけどファオンとシーリーンを助け出す為に、進み続けた。
けれどその時、崖上の建物の中は大騒ぎ。
何と、ファオンの二人の兄。
ファーレーンとキリアンがファオン逃亡幇助の罪で、この建物に縄を打たれ、引っ立てられて来たから。
レオは扉が開いた途端デュランが飛び込むのを見て、その報告をデュランから聞く。
「…セルティスとキースにも伝えましょうか?」
デュランが調教の様子を覗きたいのは、ミエミエ。
チラチラ…っ。と、続き部屋の奥の、調教部屋を覗ってる。
が、今ファーレーンが捕らえられた。
なんてキースにバラしたら、自分が挿入出来る程に広げる、前に…。
キースはファオンの調教を放り出し、捕らえられたファーレーンに張り付く。
「…俺が頃合いを見計らって言う。
お前はキリアンを見張れ」
「冗談ですよね…?
連行した男らはずっと…ここに連れて来るまでに、傷だらけなんです」
「?
だって、両手首後ろで縛ってるんじゃないのか?」
「…噛まれて」
「………………………。
ダンカンが…控え部屋にいるだろう?」
「催眠術師…って触れ込みの…サエないフード男?」
「…奴に、キリアンに術をかけろ。
と言え。上手くかかったら、また報告に来て良い」
レオににっこり笑われ、デュランはチラ…と扉の奥を覗う。
「あの…キースと…セルティスにも…」
「俺が言う」
きっぱり言われ…デュランは戸口に行くのに、三度も振り向いて未練たっぷりに、扉を閉めた。
ひゅうううぅぅぅぅぅぅ。
風が吹き抜け、アリオンは崖に張り付き、まだまだ!
と自分に気合いを入れて、また岩の隙間にかけた指を放し、先に腕を伸ばして、岩の隙間に指をかける。
正直鍛えきった筋肉だらけの体は、ずしり。と重い。
ひゅるるるるる…。
ちゃっ!
気づくと、ロープが先へ伸び、かぎ爪が崖肌に引っかかり、一度引いて外れないかを確かめ…。
そして次に、横をするすると…金髪の男が身軽に登っていく。
「(…ロレンツ?!)」
アリオンはあれ程苦労して登って来た崖を、横をするすると追い越していくロレンツを凝視する。
「…おい!」
アリオンが怒鳴ると、ロレンツが振り向く。
「うーん、後まだ少しあるな。
登ったら縄、下ろすから。
も少し待ってろ」
アリオンは『何で?!』と怒鳴りかけ…。
けれどするすると身軽にもうかなり上へと登り行く、背にまた別のかぎ爪付きロープを背負ったロレンツの姿を、呆然と見送る。
はっ!と気づく。
自分は指が痺れたり疲れたりしたら、崖下に真っ逆さま。
と言う厳しい現実に。
アリオンは再び、少しずつ指を先の岩の窪みにかけ、つま先を岩の裂け目にかけて、登り続けた。
残り7メートルは確実に在るはずの崖なのに…。
それから数分後、ロレンツが言う所の、ロープが垂らされる。
アリオンは必死に、横1メートルの向こうに垂れるロープに崖を横に這って近寄る。
腕を伸ばしロープを掴み…一安心してロープを、登り始めた。
崖の上に辿り着く。
そこは目指す建物を斜め下に見下ろす、巨大な岩の上。
ひゅぅぅぅぅぅぅ。
と風が髪を巻き上げる。
「さて。と。
下で援軍が待ってるから。
崖の中の道にいる見張り、片付けるのに手を貸して」
ロレンツに言われ、アリオンは呆然。
「……………………………………折角登ったのに。
また下れと?」
ロレンツはロープを肘に巻きながら言う。
「だって俺、先発隊だし。
どうせ、キリアンもファーレーンも、多少拷問されても堪えない」
「ファオンが《皆を繋ぐ者》として、調教される!」
叫ぶと、ロレンツはアリオンをじっ。と見る。
「…レオとキースとセルティスだろ…?
………もう、完全に遅いんじゃ無い?」
アリオンが、かっか来てファオン奪回に建物の方へと岩を下り始める。
が、上からロレンツに襟首を掴まれて言われた。
「ここまで引き上げてやった、恩返しは?
ヘタしたら落ちて、あんた、死体だったんだぜ?」
「………………………………………」
アリオンは無言で強引に自分を手伝わせようとする、ロレンツを見つめ続けた。
夢見てるレオが呟く。
「…あれだな。
ロレンツはキリアンと手法こそは違うが、強引さは一緒だよな」
「やっぱり同類だから?」
セルティスに言われ、レオは頷く。
アリオンだけが
「………………………………………」
夢の中同様、長い沈黙。
シーリーンが尋ねる。
「…どうした?」
「…どうして俺だけこんなにハード?」
それ聞いた途端、シーリーンが怒鳴った。
「いっぺんお前もリチャードに迫られてみろ!
俺は絶対お前のが、マシだと思うぜ!」
アリオンが見ると、キースも、レオも…セルティスもが心からシーリーンに同情し、一斉に頷いた。
岩山の途中から崖の中を、くり抜いた道が建物まで続くんだけど、くり抜いた道はたいして広くないし、見張りがきっちりいる。
…だからアリオンは絶壁を登る。
両手の指を、掴まれる岩の裂け目にかけて。
つま先を、岩の隙間にひっかけて。
そして、遙か上に垂直に伸びる絶壁を睨み、下を決して見まい。
と決意し、更に上へと、少しずつだけどファオンとシーリーンを助け出す為に、進み続けた。
けれどその時、崖上の建物の中は大騒ぎ。
何と、ファオンの二人の兄。
ファーレーンとキリアンがファオン逃亡幇助の罪で、この建物に縄を打たれ、引っ立てられて来たから。
レオは扉が開いた途端デュランが飛び込むのを見て、その報告をデュランから聞く。
「…セルティスとキースにも伝えましょうか?」
デュランが調教の様子を覗きたいのは、ミエミエ。
チラチラ…っ。と、続き部屋の奥の、調教部屋を覗ってる。
が、今ファーレーンが捕らえられた。
なんてキースにバラしたら、自分が挿入出来る程に広げる、前に…。
キースはファオンの調教を放り出し、捕らえられたファーレーンに張り付く。
「…俺が頃合いを見計らって言う。
お前はキリアンを見張れ」
「冗談ですよね…?
連行した男らはずっと…ここに連れて来るまでに、傷だらけなんです」
「?
だって、両手首後ろで縛ってるんじゃないのか?」
「…噛まれて」
「………………………。
ダンカンが…控え部屋にいるだろう?」
「催眠術師…って触れ込みの…サエないフード男?」
「…奴に、キリアンに術をかけろ。
と言え。上手くかかったら、また報告に来て良い」
レオににっこり笑われ、デュランはチラ…と扉の奥を覗う。
「あの…キースと…セルティスにも…」
「俺が言う」
きっぱり言われ…デュランは戸口に行くのに、三度も振り向いて未練たっぷりに、扉を閉めた。
ひゅうううぅぅぅぅぅぅ。
風が吹き抜け、アリオンは崖に張り付き、まだまだ!
と自分に気合いを入れて、また岩の隙間にかけた指を放し、先に腕を伸ばして、岩の隙間に指をかける。
正直鍛えきった筋肉だらけの体は、ずしり。と重い。
ひゅるるるるる…。
ちゃっ!
気づくと、ロープが先へ伸び、かぎ爪が崖肌に引っかかり、一度引いて外れないかを確かめ…。
そして次に、横をするすると…金髪の男が身軽に登っていく。
「(…ロレンツ?!)」
アリオンはあれ程苦労して登って来た崖を、横をするすると追い越していくロレンツを凝視する。
「…おい!」
アリオンが怒鳴ると、ロレンツが振り向く。
「うーん、後まだ少しあるな。
登ったら縄、下ろすから。
も少し待ってろ」
アリオンは『何で?!』と怒鳴りかけ…。
けれどするすると身軽にもうかなり上へと登り行く、背にまた別のかぎ爪付きロープを背負ったロレンツの姿を、呆然と見送る。
はっ!と気づく。
自分は指が痺れたり疲れたりしたら、崖下に真っ逆さま。
と言う厳しい現実に。
アリオンは再び、少しずつ指を先の岩の窪みにかけ、つま先を岩の裂け目にかけて、登り続けた。
残り7メートルは確実に在るはずの崖なのに…。
それから数分後、ロレンツが言う所の、ロープが垂らされる。
アリオンは必死に、横1メートルの向こうに垂れるロープに崖を横に這って近寄る。
腕を伸ばしロープを掴み…一安心してロープを、登り始めた。
崖の上に辿り着く。
そこは目指す建物を斜め下に見下ろす、巨大な岩の上。
ひゅぅぅぅぅぅぅ。
と風が髪を巻き上げる。
「さて。と。
下で援軍が待ってるから。
崖の中の道にいる見張り、片付けるのに手を貸して」
ロレンツに言われ、アリオンは呆然。
「……………………………………折角登ったのに。
また下れと?」
ロレンツはロープを肘に巻きながら言う。
「だって俺、先発隊だし。
どうせ、キリアンもファーレーンも、多少拷問されても堪えない」
「ファオンが《皆を繋ぐ者》として、調教される!」
叫ぶと、ロレンツはアリオンをじっ。と見る。
「…レオとキースとセルティスだろ…?
………もう、完全に遅いんじゃ無い?」
アリオンが、かっか来てファオン奪回に建物の方へと岩を下り始める。
が、上からロレンツに襟首を掴まれて言われた。
「ここまで引き上げてやった、恩返しは?
ヘタしたら落ちて、あんた、死体だったんだぜ?」
「………………………………………」
アリオンは無言で強引に自分を手伝わせようとする、ロレンツを見つめ続けた。
夢見てるレオが呟く。
「…あれだな。
ロレンツはキリアンと手法こそは違うが、強引さは一緒だよな」
「やっぱり同類だから?」
セルティスに言われ、レオは頷く。
アリオンだけが
「………………………………………」
夢の中同様、長い沈黙。
シーリーンが尋ねる。
「…どうした?」
「…どうして俺だけこんなにハード?」
それ聞いた途端、シーリーンが怒鳴った。
「いっぺんお前もリチャードに迫られてみろ!
俺は絶対お前のが、マシだと思うぜ!」
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