アグナータの命運

あーす。

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夢の中の調教

221 リチャードに迫られるシーリーン

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 両手首束ねられて上に吊られ、石牢同然の部屋の中で…。

シーリーンはリチャードの顔が寄り、幾度も唇を寄せられ、顔を背け倒していた。

「寄るな!」
と怒鳴る。
けれどリチャードは幾度顔を寄せても拒絶されるから…とうとう、シーリーンの股間に手を添える。

膝を床に付けていたシーリーンが、一気に素早く足を後ろに引いて回し蹴る。

どさっ!

リチャードは蹴り飛ばされて部屋の隅に…。

リチャードは濃い栗毛を振ってシーリーンに振り向き、石の床に手を付いたまま、濃い青の瞳を潤ませ、訴えかける。

「ひ…どい!
気持ち良くさせてあげようと思ったのに!」


夢見てるみんなが、顔を一斉に下げる。

「あれ…絶対リチャードじゃない…」

キースの言葉に、全員が頷く。

アリオンも言う。
「本物だったら
『何しやがんだ。てめぇ!』
と怒鳴り付けて殴り返してるよな」

セルティスも言う。
「間違っても
『ひどい!』
なんて、死んでも言わない。
あいつ自身が酷いヤツだから」

全員一丸と成って、頷き倒した。


その時、扉を開けてレオが来る。
「どんな様子だ?」
シーリーンは顔を上げてレオを見る。
「頼む…ファオンは何も知らない体なんだ!
俺が大切に大切に、今まで守って来た!
だから…辱めないでくれ!」

レオは必死に叫ぶシーリーンに呟く。
「安心しろ。
調教は、主にキースが楽しんでしてる。
ちゃんと気持ち良くさせながら無理無く挿入出来るように仕上げるから、お前はそれ迄ここにいろ」

レオは素っ気無く言って、部屋を出て行ってしまう。

シーリーンは一瞬呆け…だが扉の閉まる前に、歯を剥いて怒鳴った。

「あのどスケベが調教してて、安心出来る訳ないだろう?!」

だが、レオは戻って来ない。


リチャードは慌てて部屋を出て行き、石造りの廊下で、階段を登ろうとするレオの背後に詰め寄る。
「どうして足も、拘束しない?!」

レオは振り向く。
「必要、あるか?」
「さっき蹴られた!」
「何をして?」
「き…キスしようとしたら」

レオは、ぷっ。と吹き出す。
そしてリチャードに、顔を向けて言った。
「調教はファオンだけだ。
シーリーンにする必要は無い。
蹴られないよう、自分に振り向かせる事が出来ないのか?」

リチャードは、とても悲しげに俯く。

ここでも夢見てる全員が、目を背けた。

「普通、ここで悪態憑くよな?
リチャードなら」
レオが言い、シーリーンも。

「絶対ごりごりに押して自分の意見を主張し倒す。
『足枷は絶対必要だ!』
とこちらがうんざりする程、怒鳴り散らして」

皆、その言葉に同意して頷いた。
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