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夢の中の逃避行
201 夢の続き 洞窟内の襲撃
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降りしきる雪の中、知ってる誰もが危険視する中央の巣まで、ウロつく《化け物》の姿は見かけなかった。
けれど寒さは増し、微かに空を覆うグレーの雲が、青く…感じられる。
夜明けが近い。
「…戦う前に…凍えて死にそうだ…」
アランが手を必死でにぎにぎして、ほぐしながら呟く。
が、先頭のジェンスはだかだか歩き、そのまま巣の入り口へと進んで行く。
リチャードも、胸張る偉そうなジェンスに負けじ。
と胸張って、後に続く。
「…《化け物》も…眠ってる?」
デュランの声に、セルティスも
「多分」
と頷く。
けどもう…ジェンスらに続き、ファーレーン、キリアンもが突っ走って行く。
ファオンが、アリオンとシーリーンの真ん中から飛び出して兄達の後を追う。
直ぐ、アリオンとシーリーンも駆け出した。
エイモスがアリオンらに横を通り過ぎられ、更にロレンツにも追い越され、慌てて走り出し、レオとキースと横一直線になってそのまま巣の入り口へ。
ファルコンは条件反射で皆の後を追う。
が。
ふと足を止め、振り向いて背後を見ると、アランとデュランはそのまま。
セルティスだけが…少し歩く速度を上げた。
ファルコンは駆け去る男らと速度を上げない男らに囲まれ、首振って交互に見つめた…後、駆け去る男らの、後に続く。
「…走った方が、暖ったかい?」
デュランの問いに、アランは頷く。
「多分。
…けど走った先が美女だったら、俺も喜んで駆けるんだが」
「…ですよねぇ…」
デュランも寒さで背を丸め、俯いて同意する。
けれど先で待ち受けてる《化け物》の姿を二人同時に思い浮かべ…。
アランとデュランの足は更に遅くなった。
数歩先のセルティスだけが
「吹雪いてるんだから!方角分からず、はぐれると遭難するかも!」
と怒鳴り、二人は互いの顔を見合わせ、慌ててセルティスの後に小走りで続いた。
崖の入り口から中へ入ると、入り組んだ岩壁の細い道。
ジェンスが駆け込み、後ろは一列になって後に続く。
エイモスがかなり後ろから呟く。
「…ここ…入ったの始めてだ…。
この前にいっつもわんさかいるから」
直ぐ、道が開けて広大な洞窟内に辿り着く。
でこぼこした岩場のあちこちに火が焚かれ、薄暗い洞窟内を赤黒く照らしていた。
中はかなり暖かい。
足元から上がる熱に気づき、キリアンが囁く。
「…地熱が溜まってるのかな」
キリアンの言葉に、ファーレーンがもう剣を抜いて、緊迫感に包まれて頷く。
背後でエイモスが
「突然暖かいと、眠くなりそう…」
と一行の緊張が、一気に崩れ去る発言をした。
ジェンスが振り向いて大声で吠える。
「お出迎え、ナシだぜ?!
確かこの広い洞窟のあちこちにある細い道の奥に…5つくらい巣がある筈なのに!」
洞窟内に響き渡る大声に、皆がひやっ。とする。
すると…声に気づいた一匹の《化け物》が、だだっ広い洞窟奥の、細い道から姿を見せる。
次に、もう一匹。
暫くして…5匹程が、黒く不気味に蠢いて、細い道からやって来る。
そして…突然獲物を見つけたように、一行に襲いかかって来た。
「よっ・しゃあぁぁぁぁぁぁ!」
リチャードは横で豪快に剣を振り回すジェンスから、逃げた。
「…み…味方も斬る?!」
ファーレーンの横に付いて尋ねると、ファーレーンが囁く。
「剣振ってるジェンスとエイモスの側には、絶対!
近寄るな!
《化け物》より危険だ!」
リチャードはデカい体でぶんぶん剣を振り回し、襲って来る最初の一匹を、突っ込み様振り回しついでに叩き斬る、ジェンスを怖々見た。
けれど寒さは増し、微かに空を覆うグレーの雲が、青く…感じられる。
夜明けが近い。
「…戦う前に…凍えて死にそうだ…」
アランが手を必死でにぎにぎして、ほぐしながら呟く。
が、先頭のジェンスはだかだか歩き、そのまま巣の入り口へと進んで行く。
リチャードも、胸張る偉そうなジェンスに負けじ。
と胸張って、後に続く。
「…《化け物》も…眠ってる?」
デュランの声に、セルティスも
「多分」
と頷く。
けどもう…ジェンスらに続き、ファーレーン、キリアンもが突っ走って行く。
ファオンが、アリオンとシーリーンの真ん中から飛び出して兄達の後を追う。
直ぐ、アリオンとシーリーンも駆け出した。
エイモスがアリオンらに横を通り過ぎられ、更にロレンツにも追い越され、慌てて走り出し、レオとキースと横一直線になってそのまま巣の入り口へ。
ファルコンは条件反射で皆の後を追う。
が。
ふと足を止め、振り向いて背後を見ると、アランとデュランはそのまま。
セルティスだけが…少し歩く速度を上げた。
ファルコンは駆け去る男らと速度を上げない男らに囲まれ、首振って交互に見つめた…後、駆け去る男らの、後に続く。
「…走った方が、暖ったかい?」
デュランの問いに、アランは頷く。
「多分。
…けど走った先が美女だったら、俺も喜んで駆けるんだが」
「…ですよねぇ…」
デュランも寒さで背を丸め、俯いて同意する。
けれど先で待ち受けてる《化け物》の姿を二人同時に思い浮かべ…。
アランとデュランの足は更に遅くなった。
数歩先のセルティスだけが
「吹雪いてるんだから!方角分からず、はぐれると遭難するかも!」
と怒鳴り、二人は互いの顔を見合わせ、慌ててセルティスの後に小走りで続いた。
崖の入り口から中へ入ると、入り組んだ岩壁の細い道。
ジェンスが駆け込み、後ろは一列になって後に続く。
エイモスがかなり後ろから呟く。
「…ここ…入ったの始めてだ…。
この前にいっつもわんさかいるから」
直ぐ、道が開けて広大な洞窟内に辿り着く。
でこぼこした岩場のあちこちに火が焚かれ、薄暗い洞窟内を赤黒く照らしていた。
中はかなり暖かい。
足元から上がる熱に気づき、キリアンが囁く。
「…地熱が溜まってるのかな」
キリアンの言葉に、ファーレーンがもう剣を抜いて、緊迫感に包まれて頷く。
背後でエイモスが
「突然暖かいと、眠くなりそう…」
と一行の緊張が、一気に崩れ去る発言をした。
ジェンスが振り向いて大声で吠える。
「お出迎え、ナシだぜ?!
確かこの広い洞窟のあちこちにある細い道の奥に…5つくらい巣がある筈なのに!」
洞窟内に響き渡る大声に、皆がひやっ。とする。
すると…声に気づいた一匹の《化け物》が、だだっ広い洞窟奥の、細い道から姿を見せる。
次に、もう一匹。
暫くして…5匹程が、黒く不気味に蠢いて、細い道からやって来る。
そして…突然獲物を見つけたように、一行に襲いかかって来た。
「よっ・しゃあぁぁぁぁぁぁ!」
リチャードは横で豪快に剣を振り回すジェンスから、逃げた。
「…み…味方も斬る?!」
ファーレーンの横に付いて尋ねると、ファーレーンが囁く。
「剣振ってるジェンスとエイモスの側には、絶対!
近寄るな!
《化け物》より危険だ!」
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