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夢の中の逃避行
200 夢の続き 雪の中なのに危険なお出かけ 遭遇 その2
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一行が危険な、中央の巣に向かい始めると、アランがつぶやく。
「忘れてた。
リチャード!デュラン!」
皆、進みかけて振り向く。
シーリーンが怒鳴る。
「奴らも来てるのか…?!」
アリオンも呟く。
「奴ら現役だから、《皆を繋ぐ者》を拐(さら)ったと、俺達を糾弾するか激高するぜ?!」
アランは肩すくめる。
「でもデュランは新しい《皆を繋ぐ者》が来る。
と喜んでたぞ?」
セルティスが囁く。
「問題は、リチャードだな…。
アリオンとシーリーンがいなくなって…ファオンを独り占めできる。
と思ってる…多分」
「でももうリチャード、僕の事それ程好きじゃないよ?」
ファオンが言うと、吹雪の中、リチャードとデュランが姿を現す。
デュランがアランらの向こうの人影を見て、心からほっとして言う。
「良かった…人間だったんですか?
俺てっき…り……………あれ?」
リチャードは振り向く皆の中に、ファオンの姿を見つけて叫ぶ。
「ファオン!」
そして、アリオンとシーリーンを見て、
『やっぱり…』
と、肩落とす。
が、ふと気づき、顔を上げてキリアンをも凝視する。
「ええと…。
キリアンが…?逃し…???」
と、混乱しきってキリアンを指差す。
アランがデュランに言う。
「新しい《皆を繋ぐ者》に来て欲しいんなら、協力しろ!」
デュランは心からほっとして、胸を無でおろす。
「…正直、アリオンとシーリーンの抜けた後、ファオンをどう扱うか…困ってたから、逃げてくれて嬉しい」
リチャードも俯く。
「全くだ…後でアリオンとシーリーンに二人がかりで呼びだされ、ぼこぼこにされる覚悟でいた………」
皆、目を見開いてアリオンとシーリーンを見る。
二人はそっぽ向いてトボケた。
デュランがアランの横に来て聞く。
「…で、どこに行くんです?」
リチャードは
「キリアン…逃亡ほう助で…拉致…とかって、するのか………?」
と怖々尋ねる。
アランは一行を見る。
そしてデュランに顔を寄せ、ナイショ話でこそっと言う。
「…あのメンツで、これから中央の《化け物》の“巣”を潰しに行くから、俺らにもついて来い。
と脅されてる」
デュランはメンツを見る。
とっても怖い、キリアン、ファーレーン。
それにナンだかやたら偉そうで体格のイイ、二人の見慣れぬ男達。
そして…レオとキース。
アランが気づいて囁く。
「二人共、昔の南尾根の長だ」
リチャードが凄く深く俯いて、こそっ。と言う。
「…ファルコンが二人と戦ってる隙に、俺達逃げられる?」
ファルコンが振り向き、怒鳴った。
「幾ら俺でも、ジェンス一人で手一杯だぞ!」
キースとレオが、顔見合わせてため息吐く。
キースが優しく、リチャードに言った。
「…俺らが巣襲ってる間、どっかに隠れてていいから」
アランとセルティスが俯く。
「キース、相変わらずリチャードに甘いよな」
セルティスが言うと、アランも言う。
「あのお嬢さん顔でタカビーだから、つい女にしか見えなくて甘やかすんじゃ?」
リチャードが振り向き、歯を剥く。
「誰が女顔だ!」
そして剣を携え、だかだか歩きジェンスの横に並ぶ。
「火を点けちゃった?」
アランが言うと、セルティスが俯く。
リチャードは先頭に立つと吠える。
「殺ってやろうじゃないか!
南尾根の中央の巣の《化け物》が、どれだけのモンだ!」
レオがキースを見ると、キースは思い切り、肩竦めた。
デュランだけがアランの背後でこっそり
「俺…は、隠れてていいんですよね?」
と念押ししていた。
「忘れてた。
リチャード!デュラン!」
皆、進みかけて振り向く。
シーリーンが怒鳴る。
「奴らも来てるのか…?!」
アリオンも呟く。
「奴ら現役だから、《皆を繋ぐ者》を拐(さら)ったと、俺達を糾弾するか激高するぜ?!」
アランは肩すくめる。
「でもデュランは新しい《皆を繋ぐ者》が来る。
と喜んでたぞ?」
セルティスが囁く。
「問題は、リチャードだな…。
アリオンとシーリーンがいなくなって…ファオンを独り占めできる。
と思ってる…多分」
「でももうリチャード、僕の事それ程好きじゃないよ?」
ファオンが言うと、吹雪の中、リチャードとデュランが姿を現す。
デュランがアランらの向こうの人影を見て、心からほっとして言う。
「良かった…人間だったんですか?
俺てっき…り……………あれ?」
リチャードは振り向く皆の中に、ファオンの姿を見つけて叫ぶ。
「ファオン!」
そして、アリオンとシーリーンを見て、
『やっぱり…』
と、肩落とす。
が、ふと気づき、顔を上げてキリアンをも凝視する。
「ええと…。
キリアンが…?逃し…???」
と、混乱しきってキリアンを指差す。
アランがデュランに言う。
「新しい《皆を繋ぐ者》に来て欲しいんなら、協力しろ!」
デュランは心からほっとして、胸を無でおろす。
「…正直、アリオンとシーリーンの抜けた後、ファオンをどう扱うか…困ってたから、逃げてくれて嬉しい」
リチャードも俯く。
「全くだ…後でアリオンとシーリーンに二人がかりで呼びだされ、ぼこぼこにされる覚悟でいた………」
皆、目を見開いてアリオンとシーリーンを見る。
二人はそっぽ向いてトボケた。
デュランがアランの横に来て聞く。
「…で、どこに行くんです?」
リチャードは
「キリアン…逃亡ほう助で…拉致…とかって、するのか………?」
と怖々尋ねる。
アランは一行を見る。
そしてデュランに顔を寄せ、ナイショ話でこそっと言う。
「…あのメンツで、これから中央の《化け物》の“巣”を潰しに行くから、俺らにもついて来い。
と脅されてる」
デュランはメンツを見る。
とっても怖い、キリアン、ファーレーン。
それにナンだかやたら偉そうで体格のイイ、二人の見慣れぬ男達。
そして…レオとキース。
アランが気づいて囁く。
「二人共、昔の南尾根の長だ」
リチャードが凄く深く俯いて、こそっ。と言う。
「…ファルコンが二人と戦ってる隙に、俺達逃げられる?」
ファルコンが振り向き、怒鳴った。
「幾ら俺でも、ジェンス一人で手一杯だぞ!」
キースとレオが、顔見合わせてため息吐く。
キースが優しく、リチャードに言った。
「…俺らが巣襲ってる間、どっかに隠れてていいから」
アランとセルティスが俯く。
「キース、相変わらずリチャードに甘いよな」
セルティスが言うと、アランも言う。
「あのお嬢さん顔でタカビーだから、つい女にしか見えなくて甘やかすんじゃ?」
リチャードが振り向き、歯を剥く。
「誰が女顔だ!」
そして剣を携え、だかだか歩きジェンスの横に並ぶ。
「火を点けちゃった?」
アランが言うと、セルティスが俯く。
リチャードは先頭に立つと吠える。
「殺ってやろうじゃないか!
南尾根の中央の巣の《化け物》が、どれだけのモンだ!」
レオがキースを見ると、キースは思い切り、肩竦めた。
デュランだけがアランの背後でこっそり
「俺…は、隠れてていいんですよね?」
と念押ししていた。
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