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夢の中の逃避行
198 夢の続き 雪の中なのに危険なお出かけ その前
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ファオンはロレンツにお下がりの衣服を貸して貰い、アリオンとシーリーンはエイモスとジェンスの衣服を借りる。
キリアンもロレンツのお下がりを借りて、ロレンツがファオンに更に、剣を手渡すのを見つめる。
ファオンは剣を手に…それは嬉しそうで、改めて選考委員の奴らにキリアンが腹立てた時…。
気づくとファーレーンも、剣を嬉しそうに腰に差す、ファオンを見つめながら、同様の様子だった。
が、横のキースとレオがファーレーンを取り巻く。
「…本気で、南尾根の中央の巣に出向く気か?!」
キースが歯を剥いて言うと、レオも頷く。
「あそこは冬でも危険だぞ?」
エイモスが、一応身支度してソファにかけ、ファーレーンに顔を向ける。
「俺らが現役の時だって、あそこの巣の周囲に近寄るのは滅茶苦茶ヤバかった…」
ばん!
その時扉が開き、ジェンスが雪塗れの姿を現す。
「…どうした?」
ロレンツに聞かれ、ジェンスはムス!と顔向ける。
「…送って行った。婚約者の家に」
「玄関で『さようなら?』」
ロレンツに聞かれ、ジェンスはムス!としたまま、頷く。
「で、どこ行くんだ?」
ファーレーンが美麗な面(おもて)を向ける。
「南尾根中央の《化け物》の巣」
ジェンスがそれ聞いた途端、剣の柄に手を添える。
「一暴れしてやる!」
キースとレオは、かつての南尾根の長だったジェンスを知っていたから…顔を見合わせる。
ロレンツの二人の兄は、色事には凄くだらしないけど、ひとたび剣を握ると…。
もの凄く、頼りになる。
いつも剣握って悪漢から女性を守れば、絶対振られないのに。
と二人は、戦う時のきりっ!としたジェンスとエイモスの顔と、相手を口説く時のデレっとした、スケベ丸出しの顔の落差を思い浮かべて、俯いた。
アリオンとシーリーンも、ファオンに寄ると囁く。
「この…雪だ。
あっちから食糧確保に出て来るなら…杖付きも見つけられるかもだが…」
シーリーンが言うと、アリオンも頷く。
「こっちから出向くとなると…巣にいる起きてる奴ら、全部を殺らないと杖付きは出て来ないかもしれないぞ?」
ファーレーンが振り向く。
「選抜委員の奴らを絶句させて取引に持ち込むには、それ位しないと」
キリアンが溜息吐く。
「…兄貴は言い出したら引かない」
『知ってる癖に』
と、キースを見る。
レオはキースに
「お前でも説得出来ないのか?」
と聞き、キースは
「…やっぱ押し倒して、気持ち良くさせて言い聞かせないと無理かな…」
と俯いて言う。
エイモスがファーレーン見、キースを指差して怒鳴る。
「こいつととっくにそういう関係か?」
そしてキースに向き直り、尚も怒鳴る。
「お前、いっつも振られてただろう?!
…さては、口だけだな?!」
ファーレーンはキースを睨む。
「寝ていて無意識にされた事だから、あれは無効だ!」
が、一行はそれを聞いて、それぞれが小声で話合う。
レオが俯き、小声でキースに問う。
「…そんな事、可能か?」
キリアンはファオンの前で聞く。
「寝ていて無意識にされて、覚えてないなんて経験、あるのか?」
アリオンとシーリーンは、ファオンの背後で沈黙。
ファオンは可愛らしくキリアンに微笑む。
「寝ていて無意識なら、されたとしても覚えてない」
アリオンとシーリーンはあまりにも当然のファオンの返答に絶句する、キリアンを呆れて見た。
キリアンは直ぐ、長兄ファーレーンに振り向く。
「…どうしてキースにされた。
って分かったんだ?」
ファーレーンは少し赤くなって、むすっとして言う。
「…その朝、ナンか痛かったし…。
キースが後で『した』と私にバラしたからだ」
エイモスが、こそっ。と尋ねる。
「痛かった…って…挿入場所が?」
ファーレーンはとうとう怒って怒鳴った。
「他にどこが痛むんだ!
いい加減、これからの戦闘に集中しろ!」
全員が出かける先を考え
『…そうだった………』
と一斉に口を閉じ、俯く。
ジェンスだけが
「さっさと出かけようぜ!」
と、きりっ!とした表情で、扉を開けた。
キリアンもロレンツのお下がりを借りて、ロレンツがファオンに更に、剣を手渡すのを見つめる。
ファオンは剣を手に…それは嬉しそうで、改めて選考委員の奴らにキリアンが腹立てた時…。
気づくとファーレーンも、剣を嬉しそうに腰に差す、ファオンを見つめながら、同様の様子だった。
が、横のキースとレオがファーレーンを取り巻く。
「…本気で、南尾根の中央の巣に出向く気か?!」
キースが歯を剥いて言うと、レオも頷く。
「あそこは冬でも危険だぞ?」
エイモスが、一応身支度してソファにかけ、ファーレーンに顔を向ける。
「俺らが現役の時だって、あそこの巣の周囲に近寄るのは滅茶苦茶ヤバかった…」
ばん!
その時扉が開き、ジェンスが雪塗れの姿を現す。
「…どうした?」
ロレンツに聞かれ、ジェンスはムス!と顔向ける。
「…送って行った。婚約者の家に」
「玄関で『さようなら?』」
ロレンツに聞かれ、ジェンスはムス!としたまま、頷く。
「で、どこ行くんだ?」
ファーレーンが美麗な面(おもて)を向ける。
「南尾根中央の《化け物》の巣」
ジェンスがそれ聞いた途端、剣の柄に手を添える。
「一暴れしてやる!」
キースとレオは、かつての南尾根の長だったジェンスを知っていたから…顔を見合わせる。
ロレンツの二人の兄は、色事には凄くだらしないけど、ひとたび剣を握ると…。
もの凄く、頼りになる。
いつも剣握って悪漢から女性を守れば、絶対振られないのに。
と二人は、戦う時のきりっ!としたジェンスとエイモスの顔と、相手を口説く時のデレっとした、スケベ丸出しの顔の落差を思い浮かべて、俯いた。
アリオンとシーリーンも、ファオンに寄ると囁く。
「この…雪だ。
あっちから食糧確保に出て来るなら…杖付きも見つけられるかもだが…」
シーリーンが言うと、アリオンも頷く。
「こっちから出向くとなると…巣にいる起きてる奴ら、全部を殺らないと杖付きは出て来ないかもしれないぞ?」
ファーレーンが振り向く。
「選抜委員の奴らを絶句させて取引に持ち込むには、それ位しないと」
キリアンが溜息吐く。
「…兄貴は言い出したら引かない」
『知ってる癖に』
と、キースを見る。
レオはキースに
「お前でも説得出来ないのか?」
と聞き、キースは
「…やっぱ押し倒して、気持ち良くさせて言い聞かせないと無理かな…」
と俯いて言う。
エイモスがファーレーン見、キースを指差して怒鳴る。
「こいつととっくにそういう関係か?」
そしてキースに向き直り、尚も怒鳴る。
「お前、いっつも振られてただろう?!
…さては、口だけだな?!」
ファーレーンはキースを睨む。
「寝ていて無意識にされた事だから、あれは無効だ!」
が、一行はそれを聞いて、それぞれが小声で話合う。
レオが俯き、小声でキースに問う。
「…そんな事、可能か?」
キリアンはファオンの前で聞く。
「寝ていて無意識にされて、覚えてないなんて経験、あるのか?」
アリオンとシーリーンは、ファオンの背後で沈黙。
ファオンは可愛らしくキリアンに微笑む。
「寝ていて無意識なら、されたとしても覚えてない」
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キリアンは直ぐ、長兄ファーレーンに振り向く。
「…どうしてキースにされた。
って分かったんだ?」
ファーレーンは少し赤くなって、むすっとして言う。
「…その朝、ナンか痛かったし…。
キースが後で『した』と私にバラしたからだ」
エイモスが、こそっ。と尋ねる。
「痛かった…って…挿入場所が?」
ファーレーンはとうとう怒って怒鳴った。
「他にどこが痛むんだ!
いい加減、これからの戦闘に集中しろ!」
全員が出かける先を考え
『…そうだった………』
と一斉に口を閉じ、俯く。
ジェンスだけが
「さっさと出かけようぜ!」
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