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夢の中の逃避行
191 ロレンツの兄達
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全員がガウンを羽織って元の客間に戻る。
するとソファに男が二人。
ワゴンに山盛りの食事を、ソファの前のテーブルに運び込んで食べていた。
「よぅ…!
秘蔵っ子!
尾根降りたそうだな?!」
栗色巻き毛の男が振り向く。
金髪の男は口ほもぐもぐさせて言う。
「やっ…おま…長…じゃなかったな。
お前母親に似て華奢だもんな!」
キリアンが横のロレンツを見る。
「誰?」
「栗毛はここで見た事あるだろう?
二人共、俺の兄貴」
キリアンは栗色巻き毛を見る。
アリオンとシーリーンもが。
確かにロレンツの兄。
と言うだけあって、二人共美男だった。
が、体格良過ぎで、逞しすぎた。
キリアンは憮然。と記憶を辿り呟く。
「…確か、連れてた女に愛想降りまくってて俺の前をスルー。
俺には一瞬視線向けただけで、性別聞いて“男"って言った途端…顔背けた大猿?」
「それ」
ロレンツの兄貴二人は、ロレンツの横のキリアン。
そしてファオンを見る。
栗毛が聞く。
「…女?」
キリアンは歯を剥いた。
「どっちも男!」
二人は、ナンだ。
と顔背ける。
金髪だけが振り向く。
「《皆を繋ぐ者》?」
「僕は」
ファオンが言う。
すると…二人は顔見合わせる。
「ナンか北尾根の《皆を繋ぐ者》が逃げた。
って大騒ぎになってるよな」
ロレンツが眉間寄せる。
「口外するなら、ここに閉じ込めるぞ」
二人はまた、末弟を見る。
「え?マジでその…逃げた《皆を繋ぐ者》?!」
栗毛が聞くと、金髪も言う。
「ナンか北尾根のダブル長してた《勇敢なる者》二人が、惚れててどっちかが連れて逃げ…」
言って、二人はアリオンとシーリーンを見、目を見開いて沈黙。
「…二人…居ないか?」
ロレンツはどさっ!と二人の横にかけると、横見て言う。
「…だから、三人で逃げたんだ」
兄貴二人はやっぱりアリオンとシーリーンを、じっ…と見る。
「ええと…」
金髪が言うと、栗毛も言う。
「…あの二人も、もしかして凄く愛し合ってて、三人じゃないと萌えなくて駄目。
とか?」
アリオンとシーリーンが一辺に歯を剥く。
「だから俺が連れて逃げようとしたら、コイツが割り込んだんだ!」
アリオンが怒鳴ると、シーリーンも叫ぶ。
「こいつと、どこをどう見たら愛し合ってる!」
二人に怒鳴られて、ロレンツの兄二人は肩竦める。
キリアンはロレンツの横に座る。
「…粗雑な大猿だな」
「俺と、母親違うから。
俺、母ちゃんが親父と再婚した後の子供」
兄貴二人は横のロレンツに振り向く。
栗毛が言った。
「俺らの母親、親父捨てて男と逃げたから」
金髪が振り向く。
「長男のお前が悪餓鬼過ぎて、手に負えなくて逃げた。
って聞いた」
「お前が餓鬼だったから。
体裁悪くて『男と逃げた』って言えなくて、そう言ったんだろう?」
ロレンツが呆れて言う。
「…子供が悪餓鬼過ぎて父親とそっくりで、三人も面倒みられなくて逃げた。
って俺、本人から聞いた」
「いつ!」
「俺らが遊びに行った時は言ってなかったぞ?!」
二人の言葉に、ロレンツはすまして言う。
「…行っても悪戯ばっかして、動き回っててロクに毎度、話さなかったのにか?」
アリオンは呆然と突っ立つファオンを、キリアンの横に促す。
そして座ると、兄貴二人に振り向く。
「…だから細目のロレンツと違って…デカいのか」
シーリーンはアリオンの横に、不機嫌に腰掛けて言う。
「どっちももしかして昔、《勇敢なる者》だったのか?」
栗毛が笑う。
「昔な!
大暴れ出来るのは最高だったが…。
女がいなくて最低だった」
金髪が横見て言う。
「お前、女好きすぎ」
ロレンツがアリオンらに振り向く。
「年子で、栗毛が7つ上で金髪が6つ上」
「親父、お袋に逃げられた後でお前の母親が後妻で入ってくれてお前が産まれたから…」
栗毛が言うと、金髪も言う。
「“可愛い可愛い、俺の大事なロレンツ”ちゃんだもんな!」
二人共、がっははっはっ!と笑う。
一行はどうしておばちゃん使用人が、しつこくロレンツに
『旦那様に顔を見せろ』
と言ってたのか、納得した。
ロレンツは頬杖付いて言う。
「あいつ(親父)、俺の事未だに三歳児みたいに思ってるぞ」
「だって!細いし華奢だし!」
「可愛くて綺麗で『天使みたいだ!』
とあの…デカくてゴツくて粗雑な親父が、目うるうるさせてんだぜ?!」
また、二人はがははっはっ!と笑う。
キリアンが横のロレンツを見る。
「お前のいい性格のルーツ、これだな」
シーリーンも溜息交じりに言った。
「…キリアンと付き合っても平気なのは…耐久性がここで鍛えられたからか」
キリアンが振り向く。
「どういう意味だ!」
アリオンが、俯いてぼそっ。と言った。
「『無神経』じゃあんた、奴らと五十歩百歩だろう?」
ファオンがそう言ったアリオンを見、次にキリアンを見たら、キリアンは眉釣り上げて歯を剥いていた。
「『天使』だから長(おさ)になりそびれたんだな!」
「俺ら、二人共長だったのにな!
どうせ体格いい同年のゴリラみたいな大男に長、取られたんだろう?!」
兄貴二人の言葉に、ロレンツがキリアンを見る。
「…ゴリラみたいな大男だってさ」
キリアンがぷんぷん怒る。
「長は俺だったぞ!」
二人は顔を見合わせ、暫く沈黙した後、爆発的に笑い転げる。
「じょ…冗談か!」
「一瞬、真に受けたぞ!ウケる…!」
キリアンは今度は二人に歯を剥く。
「どうしたら本当だって分からせられる!」
ロレンツは肩竦めて受け流す。
「耳、塞いでれば?」
「お前、ずっとそれで来たのか!」
「…お前の時もな」
キリアンは髪逆立ててロレンツに腹を立てる。
が、横のファオンはアリオンに食事の皿を渡され、アリオンとシーリーンはさっさと無視して、食事を始めてた。
するとソファに男が二人。
ワゴンに山盛りの食事を、ソファの前のテーブルに運び込んで食べていた。
「よぅ…!
秘蔵っ子!
尾根降りたそうだな?!」
栗色巻き毛の男が振り向く。
金髪の男は口ほもぐもぐさせて言う。
「やっ…おま…長…じゃなかったな。
お前母親に似て華奢だもんな!」
キリアンが横のロレンツを見る。
「誰?」
「栗毛はここで見た事あるだろう?
二人共、俺の兄貴」
キリアンは栗色巻き毛を見る。
アリオンとシーリーンもが。
確かにロレンツの兄。
と言うだけあって、二人共美男だった。
が、体格良過ぎで、逞しすぎた。
キリアンは憮然。と記憶を辿り呟く。
「…確か、連れてた女に愛想降りまくってて俺の前をスルー。
俺には一瞬視線向けただけで、性別聞いて“男"って言った途端…顔背けた大猿?」
「それ」
ロレンツの兄貴二人は、ロレンツの横のキリアン。
そしてファオンを見る。
栗毛が聞く。
「…女?」
キリアンは歯を剥いた。
「どっちも男!」
二人は、ナンだ。
と顔背ける。
金髪だけが振り向く。
「《皆を繋ぐ者》?」
「僕は」
ファオンが言う。
すると…二人は顔見合わせる。
「ナンか北尾根の《皆を繋ぐ者》が逃げた。
って大騒ぎになってるよな」
ロレンツが眉間寄せる。
「口外するなら、ここに閉じ込めるぞ」
二人はまた、末弟を見る。
「え?マジでその…逃げた《皆を繋ぐ者》?!」
栗毛が聞くと、金髪も言う。
「ナンか北尾根のダブル長してた《勇敢なる者》二人が、惚れててどっちかが連れて逃げ…」
言って、二人はアリオンとシーリーンを見、目を見開いて沈黙。
「…二人…居ないか?」
ロレンツはどさっ!と二人の横にかけると、横見て言う。
「…だから、三人で逃げたんだ」
兄貴二人はやっぱりアリオンとシーリーンを、じっ…と見る。
「ええと…」
金髪が言うと、栗毛も言う。
「…あの二人も、もしかして凄く愛し合ってて、三人じゃないと萌えなくて駄目。
とか?」
アリオンとシーリーンが一辺に歯を剥く。
「だから俺が連れて逃げようとしたら、コイツが割り込んだんだ!」
アリオンが怒鳴ると、シーリーンも叫ぶ。
「こいつと、どこをどう見たら愛し合ってる!」
二人に怒鳴られて、ロレンツの兄二人は肩竦める。
キリアンはロレンツの横に座る。
「…粗雑な大猿だな」
「俺と、母親違うから。
俺、母ちゃんが親父と再婚した後の子供」
兄貴二人は横のロレンツに振り向く。
栗毛が言った。
「俺らの母親、親父捨てて男と逃げたから」
金髪が振り向く。
「長男のお前が悪餓鬼過ぎて、手に負えなくて逃げた。
って聞いた」
「お前が餓鬼だったから。
体裁悪くて『男と逃げた』って言えなくて、そう言ったんだろう?」
ロレンツが呆れて言う。
「…子供が悪餓鬼過ぎて父親とそっくりで、三人も面倒みられなくて逃げた。
って俺、本人から聞いた」
「いつ!」
「俺らが遊びに行った時は言ってなかったぞ?!」
二人の言葉に、ロレンツはすまして言う。
「…行っても悪戯ばっかして、動き回っててロクに毎度、話さなかったのにか?」
アリオンは呆然と突っ立つファオンを、キリアンの横に促す。
そして座ると、兄貴二人に振り向く。
「…だから細目のロレンツと違って…デカいのか」
シーリーンはアリオンの横に、不機嫌に腰掛けて言う。
「どっちももしかして昔、《勇敢なる者》だったのか?」
栗毛が笑う。
「昔な!
大暴れ出来るのは最高だったが…。
女がいなくて最低だった」
金髪が横見て言う。
「お前、女好きすぎ」
ロレンツがアリオンらに振り向く。
「年子で、栗毛が7つ上で金髪が6つ上」
「親父、お袋に逃げられた後でお前の母親が後妻で入ってくれてお前が産まれたから…」
栗毛が言うと、金髪も言う。
「“可愛い可愛い、俺の大事なロレンツ”ちゃんだもんな!」
二人共、がっははっはっ!と笑う。
一行はどうしておばちゃん使用人が、しつこくロレンツに
『旦那様に顔を見せろ』
と言ってたのか、納得した。
ロレンツは頬杖付いて言う。
「あいつ(親父)、俺の事未だに三歳児みたいに思ってるぞ」
「だって!細いし華奢だし!」
「可愛くて綺麗で『天使みたいだ!』
とあの…デカくてゴツくて粗雑な親父が、目うるうるさせてんだぜ?!」
また、二人はがははっはっ!と笑う。
キリアンが横のロレンツを見る。
「お前のいい性格のルーツ、これだな」
シーリーンも溜息交じりに言った。
「…キリアンと付き合っても平気なのは…耐久性がここで鍛えられたからか」
キリアンが振り向く。
「どういう意味だ!」
アリオンが、俯いてぼそっ。と言った。
「『無神経』じゃあんた、奴らと五十歩百歩だろう?」
ファオンがそう言ったアリオンを見、次にキリアンを見たら、キリアンは眉釣り上げて歯を剥いていた。
「『天使』だから長(おさ)になりそびれたんだな!」
「俺ら、二人共長だったのにな!
どうせ体格いい同年のゴリラみたいな大男に長、取られたんだろう?!」
兄貴二人の言葉に、ロレンツがキリアンを見る。
「…ゴリラみたいな大男だってさ」
キリアンがぷんぷん怒る。
「長は俺だったぞ!」
二人は顔を見合わせ、暫く沈黙した後、爆発的に笑い転げる。
「じょ…冗談か!」
「一瞬、真に受けたぞ!ウケる…!」
キリアンは今度は二人に歯を剥く。
「どうしたら本当だって分からせられる!」
ロレンツは肩竦めて受け流す。
「耳、塞いでれば?」
「お前、ずっとそれで来たのか!」
「…お前の時もな」
キリアンは髪逆立ててロレンツに腹を立てる。
が、横のファオンはアリオンに食事の皿を渡され、アリオンとシーリーンはさっさと無視して、食事を始めてた。
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