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夢の中の逃避行
190 温泉
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ぐだっとした男らが歩き来るのをロレンツは見ながら、コートかけに歩き出す。
「血が付いてるようだったら、持ってきて」
アリオンとシーリーン、ファオンも顔を見合わせ、コートかけに歩き出す。
キリアンだけがロレンツに
「俺の分のマントも頼む」
と言ってソファから動かない。
ロレンツは無言で自分のマントとキリアン、二人分のマントを腕に持つ。
キリアンはソファから起き出すと、真っ先に暖炉横の扉を開けた。
そこは周囲にレンガの壁はあるものの、天井が無かった。
雪が舞い落ち、外気に晒され全員が身震いする中、キリアンはさっさと服を脱いで行く。
「……………………………………」
キリアンが歩く先、点々とレンガの床に衣服が散らばる。
先の、レンガに囲まれた広い湯殿に向かう、もうすっかりすっ裸のキリアンに、ロレンツが叫ぶ。
「埋めないと。
源泉だからそのまま入ると、火傷するぞ!」
キリアンは裸のまま振り向くと、言ったロレンツを睨み付ける。
「以前俺が来た時、直ぐ入れたぞ?!」
「前に他のヤツが浸かった後だったからな!
水が流れ込むとこ知ってるだろ?!」
キリアンは首を振り、湯殿の周囲の、水が流れ込む場所を探す。
アリオン、ファオン、シーリーンはロレンツに習って、臭いマントをレンガで囲まれた洗い場の熱湯(源泉)の中に落とす。
そして…振り向くロレンツに
「服、脱いでここに入れて」
と言われ、三人はその場で脱いだ。
ロレンツは点々と落ちてるキリアンの衣服を拾い、洗い場のお湯にどさっ!と投げ込む。
皆がキリアンに振り向くと、キリアンは裸のまま、湯殿に流れ込む筈の、細い水路とお湯の境目の板を、外していた。
が、外しても…。
「水、出ないぞ!」
叫ぶキリアンに、ロレンツが怒鳴り返す。
「多分途中で凍ってる!
そっちの端から雪掻き込んで!」
キリアンは湯殿の端に、レンガで仕切られた場所に降り積もってる雪を、横に置かれたデカいシャベルで掬い上げて湯殿に運び、中に落とす。
どさっ!
アリオン、ファオン、シーリーンが服を脱ぎ始めるロレンツを無言で見つめる。
「…………………なる程。
だから、キリアンの散らばる衣服も後始末するんだ」
シーリーンの言葉に、ロレンツは無言で頷き返す。
「…それより源泉熱いから。
キリアン手伝わないと、入れない」
アリオンもシーリーンもが溜息と共に振り向き、駆け寄ると、下に置かれてるデカいシャベルを持ち上げ、雪を掬い上げて湯殿に放り込んだ。
ファオンは湯殿の前で交互にデカいシャベルで雪を湯殿に放り込む、キリアン、アリオン、シーリーンを眺めながら、寒さに両腕回して体を抱き込んでいた。
が、ロレンツが余裕で裸でやって来て、手を湯に入れると、足先から中へと入って行く。
キリアンがシャベルから雪を落とした直ぐで、湯に気持ちよさげに浸かるロレンツ見て、眉寄せて尋ねる。
「…熱くないのか?」
ロレンツは、後からまたシャベルにたっぷりの雪を乗せてやって来る、裸のアリオンとシーリーンを見ると
「あれ入れれば多分丁度良い。
熱くなったら出ればいいし」
と言い捨てて、また湯に浸かりきる。
キリアンはシャベル後ろに放り投げると、ざっぷん!と音立てて湯殿に飛び込んだ。
ファオンも慌てて中へ入る。
かなり…熱めだったけど…ずっと寒い中を歩き続けた後だったから、入った途端溶けたようにふにゃ。
となった。
アリオンとシーリーンは雪を湯殿に放り込んだ後、やっぱりキリアンみたいにシャベルを後ろに放り投げ、同時に湯殿に入る。
ほぼ半日以上延々と…雪の中を歩き続けたから、全員が浸りきって皆、無言。
ふ…。
とファオンが気づく。
「…《化け物》の血が体に付いてたら、このお風呂も臭くなる?」
キリアンが億劫そうに、手で湯殿の端を指す。
「…沸いて来てるから、どんどん流れてく」
ファオンが見ると、湯殿の端に溝があって、お湯は流れ出していた。
ロレンツがもたれかかり顔を上に向け、目を閉じたまま呟く。
「…だから暫くしたらまた、お湯が熱くなる」
シーリーンが思わず呟く。
「また、俺達に雪、運べって?!」
横でアリオンがぼそっ。と言う。
「多分な。
雪継ぎ足す前に、出ようぜ」
シーリーンは同意して頷く。
二人共、ロレンツの横にいるファオンを見る。
が、萌えない程疲れ切っていた。
「血が付いてるようだったら、持ってきて」
アリオンとシーリーン、ファオンも顔を見合わせ、コートかけに歩き出す。
キリアンだけがロレンツに
「俺の分のマントも頼む」
と言ってソファから動かない。
ロレンツは無言で自分のマントとキリアン、二人分のマントを腕に持つ。
キリアンはソファから起き出すと、真っ先に暖炉横の扉を開けた。
そこは周囲にレンガの壁はあるものの、天井が無かった。
雪が舞い落ち、外気に晒され全員が身震いする中、キリアンはさっさと服を脱いで行く。
「……………………………………」
キリアンが歩く先、点々とレンガの床に衣服が散らばる。
先の、レンガに囲まれた広い湯殿に向かう、もうすっかりすっ裸のキリアンに、ロレンツが叫ぶ。
「埋めないと。
源泉だからそのまま入ると、火傷するぞ!」
キリアンは裸のまま振り向くと、言ったロレンツを睨み付ける。
「以前俺が来た時、直ぐ入れたぞ?!」
「前に他のヤツが浸かった後だったからな!
水が流れ込むとこ知ってるだろ?!」
キリアンは首を振り、湯殿の周囲の、水が流れ込む場所を探す。
アリオン、ファオン、シーリーンはロレンツに習って、臭いマントをレンガで囲まれた洗い場の熱湯(源泉)の中に落とす。
そして…振り向くロレンツに
「服、脱いでここに入れて」
と言われ、三人はその場で脱いだ。
ロレンツは点々と落ちてるキリアンの衣服を拾い、洗い場のお湯にどさっ!と投げ込む。
皆がキリアンに振り向くと、キリアンは裸のまま、湯殿に流れ込む筈の、細い水路とお湯の境目の板を、外していた。
が、外しても…。
「水、出ないぞ!」
叫ぶキリアンに、ロレンツが怒鳴り返す。
「多分途中で凍ってる!
そっちの端から雪掻き込んで!」
キリアンは湯殿の端に、レンガで仕切られた場所に降り積もってる雪を、横に置かれたデカいシャベルで掬い上げて湯殿に運び、中に落とす。
どさっ!
アリオン、ファオン、シーリーンが服を脱ぎ始めるロレンツを無言で見つめる。
「…………………なる程。
だから、キリアンの散らばる衣服も後始末するんだ」
シーリーンの言葉に、ロレンツは無言で頷き返す。
「…それより源泉熱いから。
キリアン手伝わないと、入れない」
アリオンもシーリーンもが溜息と共に振り向き、駆け寄ると、下に置かれてるデカいシャベルを持ち上げ、雪を掬い上げて湯殿に放り込んだ。
ファオンは湯殿の前で交互にデカいシャベルで雪を湯殿に放り込む、キリアン、アリオン、シーリーンを眺めながら、寒さに両腕回して体を抱き込んでいた。
が、ロレンツが余裕で裸でやって来て、手を湯に入れると、足先から中へと入って行く。
キリアンがシャベルから雪を落とした直ぐで、湯に気持ちよさげに浸かるロレンツ見て、眉寄せて尋ねる。
「…熱くないのか?」
ロレンツは、後からまたシャベルにたっぷりの雪を乗せてやって来る、裸のアリオンとシーリーンを見ると
「あれ入れれば多分丁度良い。
熱くなったら出ればいいし」
と言い捨てて、また湯に浸かりきる。
キリアンはシャベル後ろに放り投げると、ざっぷん!と音立てて湯殿に飛び込んだ。
ファオンも慌てて中へ入る。
かなり…熱めだったけど…ずっと寒い中を歩き続けた後だったから、入った途端溶けたようにふにゃ。
となった。
アリオンとシーリーンは雪を湯殿に放り込んだ後、やっぱりキリアンみたいにシャベルを後ろに放り投げ、同時に湯殿に入る。
ほぼ半日以上延々と…雪の中を歩き続けたから、全員が浸りきって皆、無言。
ふ…。
とファオンが気づく。
「…《化け物》の血が体に付いてたら、このお風呂も臭くなる?」
キリアンが億劫そうに、手で湯殿の端を指す。
「…沸いて来てるから、どんどん流れてく」
ファオンが見ると、湯殿の端に溝があって、お湯は流れ出していた。
ロレンツがもたれかかり顔を上に向け、目を閉じたまま呟く。
「…だから暫くしたらまた、お湯が熱くなる」
シーリーンが思わず呟く。
「また、俺達に雪、運べって?!」
横でアリオンがぼそっ。と言う。
「多分な。
雪継ぎ足す前に、出ようぜ」
シーリーンは同意して頷く。
二人共、ロレンツの横にいるファオンを見る。
が、萌えない程疲れ切っていた。
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