アグナータの命運

あーす。

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レグウルナスとなったファオン

171 ファオンのアグナータお休み日の過ごし方

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 その時、アランがテントを覗く。

「…………………お前ら、シュティッセンよりファオンがいいの?」

シーリーンとアリオンは互いに発言を譲り合う。

アリオンが
「…当然、そうだけど…ファオンは今日、《勇敢なる者》レグウルナスでアグナータ(皆を繋ぐ者)じゃないんだろう?」
と聞く。

「…いや別に…ファオンが良ければ、相手して貰えば?」
そして、背後に振り向く。

「アリオンとシーリーンが今日はファオンを二人占めしたいって。
別に、いいよな?」
と叫ぶ。

レオがテントの入り口の、アランの横に来る。

中を覗き、後、アランににっこり笑う。
「…ファオンに覗かれず、思い切り出来るぞ」

アランもにやり。と笑う。
「…つまり、ファオンをアリオンとシーリーンに押しつけるんだな?」

シーリーンはぼそり。と呟く。
「…押しつけられて、俺は嬉しいが…」

そして、ファオンを見る。

ファオンはレオに小声で囁く。

「…覗いてる…って…?」
レオは頷き、アランが言う。
「知ってた」

ファオンは、がっくり首垂れる。
が、直ぐ上げる。

「僕が覗いてなかったら…もっと熱烈?」

レオは余所を向き、アランも誤魔化すようにそっぽ向く。

レオはさっさとその場から消え、アランが明るく言う。
「お前ら、押しつけられて嬉しいだろう?
但し明日は全員の相手だから、ファオンをあまり疲れさせるな!」

アランが消えた後、レオが取って戻って二人に言う。
「ファオンをここに、足止めしといてくれると嬉しい」

アリオンとシーリーンが溜息を吐く。

ファオンは必死にレオに訴える。
「…僕…僕だって一度、シュティッセンに咥えて貰いたい!」

レオは連れなく言う。
「次回な!」

ばさっ!
テントの布が下がり、声も無くしょげるファオンを、アリオンとシーリーンが覗き込む。

ファオンが顔を上げる。
「…二人共、僕に挿入(い)れたいんだよね?
でも…僕だって、挿入(い)れたい」

アリオンとシーリーンは葬式のように青くなって俯く。

シーリーンが、そっと聞く。
「…まさか、俺とかアリオンに挿入(い)れたい。
とかって思って無いよな?」

ファオンは顔を上げて、シーリーンをうるうるした瞳で尋ねる。
「挿入(い)れさせてくれる?」

シーリーンは言葉に詰まる。
横でアリオンが、ぶんぶん!と首を横に振った。

「…でも僕…期間の途中で《皆を繋ぐ者》アグナータになったから…ロクに教えも受けてない…。
シュティッセンの、もっと見たい………」

シーリーンもアリオンもそれを聞いて、溜息吐く。

「…そうだよな。普通…《化け物》キーナンの繁殖期が始まる前の冬に、《皆を繋ぐ者》アグナータは決定していて…冬の間に色々教えて貰うんだよな」

アリオンが言うと、シーリーンも俯く。
「…白紙だったから…皆、初々しくてそそられきったんだが…」

「初々しいのが、いいの?」

ファオンに聞かれ、二人は…。

「………………………………………」

アリオンとシーリーンは互いを見て、かなり長い沈黙。

シーリーンはそっと言う。
「俺はお前だから嬉しかったが、他は…そうだな。
変にすれてない所もいい。
と好評だった」

アリオンも頷く。
「…恥ずかしがる所とかが、やたら可愛い。
と、お前のいない所で皆、言ってた。
…けどお前が悲壮だったから…皆、黙ってたが」

「シュティッセンみたいな《皆を繋ぐ者》アグナータが良いんじゃ無くて?」

ファオンの質問に、シーリーンもアリオンもがまた、発言を譲り合い…結果、アリオンが言う。

「シュティッセンみたいな《皆を繋ぐ者》アグナータは滅多に居ない。
シュティッセンの時北尾根の男ら全員は、南尾根や東尾根に羨ましがられたからな」

ファオンは目を見開く。

「………そうなの?」

シーリーンが、こそっ。と言う。
「大抵はあそこまで揃わない。
テクがいいと、やたらスレてたり…。
顔が美麗だと、ツンとしてたり…。
女王様みたいな、偉そうな《皆を繋ぐ者》アグナータも居たな」

シーリーンがそう言って、顔をアリオンに振る。
アリオンが、そっと後を繋ぐ。

「…確か東尾根の、グレイの前の《皆を繋ぐ者》アグナータがそうだ。
挿入(い)れさせてはくれるけど、扱いが悪いと文句を言ったり。
手でしかさせてくれなかったり。
…の高慢なタイプだった。
とにかく綺麗だったが…目が合うと、つん!と顔を背けられた」

ファオンが俯く。
「…シュティッセンって…凄く綺麗なのに…優しいもんね…」

アリオンとシーリーンが、どきどきしながらファオンを見つめる。

ファオンは顔を上げた。

「…ちょっと、シュティッセン覗いた後なら…アリオンとシーリーンと、する」

二人は一気に、がっくり。と首を垂れた。



 レオのテントで、これからシュティッセンと始めよう。
として集う面々が、テントの入り口を開けて、アリオンとシーリーンが敗北宣言を告げるのを聞く。

「…見た後じゃ無いと、俺とシーリーンと、しないそうだ」

キースが呆れる。
「お前ら二人でも言いくるめられないのか?」

セルティスが深く、俯く。
「…やれば出来るだろうけど…」

アランも腕組みして頷く。
「…二人共、ファオンにはめちゃ甘い」

キースが思い切り深い溜息吐き、皆に告げる。

「俺が、体使ってファオン言いくるめようか?」

レオがこっそり、キースに言う。
「…もし俺が、体使ってファーレーンを言いくるめる。
と言ったら?」

キースはさらり。と言う。
「ブチ殺す」

レオはファオンの両横に立つ、アリオンとシーリーンに促すように首を振り、キースは二人が、自分を睨んでるのに気づく。

「…そうか」
レオは俯いたまま、言った。
「ああ」

ファルコンがファオンに怒鳴る。
「そんなに…俺達がシュティッセンとどうやるのか、見たいのか?!」

ファオンが、思い切り大きく首を縦に振って頷くので、デュランとリチャードですら、顔を下げて沈黙した。
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