アグナータの命運

あーす。

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終焉の儀式

158 二人との初めての時

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 シーリーンは花祭りコンテストの時を思い返す。

ファオンが壇上にいるとも知らず、姿が見当たらずに周囲を探していた。

アリオンが金額を叫んだ時…。

振り向くとも無くアリオンに顔を向け…その視線の先に、ファオンの綺麗に着飾った姿を見つけ、一瞬呆けた。

白っぽいくねる金髪を肩に背に垂らし、白い肌の中。
大きな青い湖水の瞳をし、ピンクの唇の、素晴らしい美少女に見えたから。

「もう他にはいらっしゃいませんか?」

そう声が聞こえて、慌てて金額を叫んだ…。

後でその遅れが、ダンスの順番を決める。と知って、歯噛みした。

が………。

「…雷が鳴ったから…ファオンを抱いたのか?」

シーリーンの声に、アリオンが深く俯く。

「…お前、一切言い訳しないし。
なんで…気が変わった?
ファオンが男だと知って、諦めたんじゃ無いのか?」

アリオンは下を向く。

「…お前はいなかった。
中州の森に…ボートで池を渡って、ピクニックに行った時…。

ファオンの姿が見つからず、俺は取って戻った。
ボートを乗り上げた…近くの木々の中にファオンはまだ、独りぼっちでいて…。
迷子になると帰れなくなるから手を引いて…。
突然激しい雷雨に襲われ、木の洞へ逃げた。
雨は激しくなる一方で…隣の木に、雷が落ちて、裂けた。
…ファオンは怖がっていて…」

「だから抱いた?」

アリオンはシーリーンを睨む。

「…俺も死ぬかも。と思った。
その時、自分の一生を振り返った。
思い残すことが無いかどうか。
その時…初めて、ファオンが誰よりも好きだと気づいた」

「…つまり思い残す事が無いように?
けれど結局死ななかったんだな?!」

シーリーンに睨まれ、アリオンは顔を背けた。
が、シーリーンは怒鳴り付ける。
「じゃその後もずっと抱いてたのは?!」

「…一旦抱いたら…もう離せなくなってた」

シーリーンはそれを聞いて、運命を呪った。
それさえなければ、アリオンはずっと本心を封印し続けたはずだ。

「つまり死ぬ瀬戸際に立たされてようやく、男だろうが好きなんだからいいじゃないか。
と自分を許したんだな?!」

ファオンは思わず、怒鳴られたアリオンを見る。

アリオンは思い切り、顔を下げていた。

「…ずっと我慢してたから…抱きしめた時、ファオンにしがみつかれるのが…たまらなくて…。
つい繰り返し、味わいたいと求めてしまう」

「しがみつかれるのは抱かなくても果たせるだろう?!」

「…挿入する時、もの凄くしがみつかれる。
そんな中突き上げると…最高に幸福な気分になる」

ファオンは真っ赤に成って俯く。

「…だって…ずっと遠かったアリオンが近いどころか…そんなところに彼のもの挿入(い)れられて…。
どうしていいか分かんないし、何がどうなってるかも、わかんなくて…。
だから…それをしてるアリオンに必死で…しがみついちゃって…いつも。
でもそうやって抱かれると…もう他のことなんて全部どうでも良くなって…。
僕…もずっと…アリオンの腕の中に…いたくなっちゃったんだ………」

ファオンが恥ずかしげにそう呟くと、シーリーンは怒鳴った。

「それはアリオンが思ってることで!
あいつ、存在感強烈だからお前、アリオンに圧しまくられてそう思ったんだ!」

ファオンがシーリーンに顔を上げる。

「…そう…なの?」

「そう!
ったく…お前がそんな強烈な状態でファオン抱いたから!
その後、俺は苦労したんだぞ!」

ファオンはシーリーンにされた事を思い浮かべる。

ブルー・グレーの瞳の美麗な顔。

凄い迫力で、男っぽくて…。

けれど真剣だった。

だから…温室に連れ込まれて両腕上に縛り上げられても抗えなかった。

シーリーンに裸にされて体に触れられた時、凄く恥ずかしかったけど…。

シーリーンはずっと真剣な表情で…。

まるで…どこをどんな風にアリオンに触られたか…探るように………。

「えっ…と僕、あの時どうしてシーリーンまで、アリオンのしたみたいな事始めるのか分かんなかったけど…。

アリオンが…先にしたから?
怒ってた?」

シーリーンは、むっ。とした。

「お前じゃなく、アリオンにな!」

けれどアリオンも、むすっ。として言った。

「で、お前ファオンシーリーンにもさせた?
お前が全力で嫌がれば、シーリーンは止めただろう?」

シーリーンがアリオンを見る。

「…全力で、嫌がられてないからな!」

アリオンはシーリーンを睨む。

ファオンは真っ赤に成って俯く。

「…だっ…て…。
シーリーンに…男根触られると気持ち良くなっちゃって…。
その上口でされてもっと…気持ち良くって。
…………気づいたら挿入されてた」

アリオンがシーリーンを睨むと、シーリーンはふん。とアリオンを鼻で笑った。
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