アグナータの命運

あーす。

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終焉の儀式

153 “終焉の儀式” アリオン

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 シーリーンが立ち上がると、ファオンは不安そうにシーリーンを見上げる。

シーリーンは気づいて微笑を送る。
するとファオンは嬉しそうに微笑み返した。

シーリーンが元の居場所に戻る。

アリオンは少し躊躇った後、立ち上がる。

が、立ったままその場を動かない。

皆が突っ立ち、中央のファオンをじっと見つめるアリオンに視線を送る。


ファオンは見つめられているのに気づき…ゆっくりとアリオンに振り向く。

その深い青色の瞳が、自分に向けられていると気づき…次にその熱い視線が自分を見つめてると解ると、一気にアリオンを意識して、頬を染め上げる。

アリオンはその時、ゆっくりと足をファオンの前へと運ぶ。


シーリーンは居場所に戻り、座りかけ…アリオンが歩み行くのを見つめる。

アリオンとファオンは見つめ合ったまま、視線を外さない。
ファオンの頬はアリオンに見つめられて、どんどん紅に染まる。

すっ…と、毛皮の上に座るファオンの目前でアリオンは屈み込む。

ファオンはアリオンの顔が目前にあって、その綺麗で男らしい顔で見つめられ、頬を更に真っ赤に染めた。


皆、シーリーンを盗み見るが、シーリーンの眉が深く寄る。

アリオンのやり用は…明らかにファオンの“初めての相手”としての余裕に溢れていた。


アリオンは両腕をファオンの背に回し、一気に胸に、抱き寄せる。

ファオンはアリオンの胸に抱かれて、恥ずかしげに頬をもっと染める。

アリオンは熱烈に抱きしめるとファオンの顎を上げさせ…ファオンは抱いているアリオンを見つめ、倒れてくるアリオンの顔とその唇を、受け止めるように顔を反対側に、そっ…と傾けた。

二人の唇が重なる。


レオが呻く。

「…アリオンらしいな」

ファルコンが首を傾げる。

「殆ど喋らず…直ぐ行動に移すところか?」

レオが囁き返す。

「…自分の存在感を相手に刻み込む所だ」

ファルコンは思わずそう言った、レオの顔を見た。


ファオンはもう…アリオンの口づけに囚われてる様子を見せる。

唇が触れると震え…抱きしめられて身毎囚われるように…そっと腕を背に回し抱き返し、アリオンのキスに応えてるものの…。

その身は戦慄き続け、青く大きな瞳はアリオンをとらえて潤み始める。

それは見てる誰の瞳にも、ファオンにとっての“特別な相手”としてアリオンを映し出した。


アリオンの腕の中にすっぽり抱かれてしまうと、ファオンは身を微かに震わせながら…アリオンが傾けてくる顔に合わせて口づけを繰り返すけれど、もう感じてるようにファオンはアリオンを熱に浮かれたような瞳で見つめ返す。

憧れのアリオンに見つめられ…口づけられてる事に…感激してる。
そんな風に見えた。

アリオンが唇を離すと、ファオンは俯き…そして見つめるアリオンに顔を上げる。


シーリーンは顔を揺らす。
その時のファオンはもう少年に見えず…まるで乙女のように見えたから。

アリオンの顔が倒れ込むと…ファオンはアリオンに顔を傾け…唇を受け止め…恥じらいながら…けれどキスを返し、とても色っぽく…けれど幼気(いたいけ)に、アリオンに抱きつく。

愛しい男に口付けられる…まるで乙女のようにファオンが見えて…シーリーンの眉が、思い切り、寄る。


意識の飛んでいたファオンは、“今”のアリオンの迫力に、身が小刻みに震えて止まらない。

アリオンは青年としてあまりにも立派な体躯をしていて…少年の頃ですら迫力があったのに、今はもっと…男らしくて…。

身体がどうしても震え出す。

見つめられると泣き出したくなる程で…。

ファオンはアリオンの腕を、肩を…胸板を意識すると、意識を失いそうだった。

ぐい!と顎を再び持ち上げられ、深く口付けられると…あの…昔の時の熱情そのままの熱い思いが駆け抜ける。

背がどんどん…倒れて行って気づくと…毛皮の上に横たわっていた。

アリオンの体が密着し、再び唇に唇が重なる。

アリオンの膝が膝の下から滑り込んで…腰が密着し始める。

膝が自然と持ち上げられ、双丘の蕾にもう…アリオンの猛った固い男根を意識する。

アリオンがしっかりとした瞳で見つめ、それが合図のようにもう…滑り込んで来る。

「んっ!」

押し広げられる圧迫感…。

シーリーンの…優しさの中に見せる、ふいを付くどきりとさせられる男らしい強引さとは全く違い…始終全身から男らしさを滲ませて圧され…。

アリオンの熱い思いが、見つめられると全身を駆け巡るのに…。
それじゃ足りないと言わんばかりに挿入されると、もう…挿入(はい)ったアリオンの固く熱い男根に意識を奪われてしまう…。

アリオンは挿入(はい)ったまま…顔を倒し、乳首に唇をそっ…と触れてくる。

たまらなく感じる。

「んっ!」

ファオンは首を振っていた。

挿入(はい)ったまま動かないアリオンの男根はじんじんと痺れと疼きを醸し出すのに…今、乳首に口付けられると、アリオンの唇の熱さも意識し…そしてやんわりと男根を握り込まれると…今度はアリオンの手の平の熱さを意識する。

全身で…アリオンを感じてる。


ファオンは…やっぱり幼く見えた。

意識がどこか飛んでいるのか…過去に抱かれた頃に帰っているような…。

見てる者は、その当時の二人を見せつけられてる気になる。

ファオンは愛撫されて感じてる。と言うより、アリオンの存在感そのものに、感じてるように見えた。


ファオンは幼気に首を振る。
アリオンに吸われた乳首がつきん!と軽い痛みを伴いたまらなく感じると、挿入(はい)ったままのアリオンが脈動を始め…それと同時にファオンの鼓動も上がり始める。

ファオンにきつく締め付けられたアリオンは快感を感じながら…もっと求めるように…ずっ!と動き出す。
ファオンは慌ててアリオンの、腰を抱く腕に縋り付く。

「あ…っ!」

アリオンは気づいてファオンの胸元から顔を上げる。

アリオンが背を起こすと、ファオンの両腕は直ぐアリオンの首に回されて縋り付く。

アリオンの首に腕を巻き付けながらファオンは倒した背を、一気に引き上げてアリオンにぴったりと身体を寄せた。

アリオンの、男らしく美しい顔を覗き込む。

まるで容赦を頼むように。

アリオンの綺麗な鼻筋の顔が倒れ込むと、ファオンは口付けられて震えた。

「…ん…っ……」

ずっ!

アリオンですら、感じたように小刻みに顔を唇を震わせて、腰を進める。

ファオンは真っ赤な唇を震わせて仰け反る。

「あっ…!」

アリオンが脈打ったままファオンの中で動き始めると、ファオンの唇から切れ切れに…喘ぎが洩れる。

「あ…あっ!」


…今ではもう…他の男達の快感を刻み込まれている場所なのにどうして…アリオンは誰とも違うんだろう…?

それはアリオンだけで無く、シーリーンもそうだったけれど…。

挿入(はい)ってのは自分だと…アリオンは誰より…主張するから…?

それとも…アリオンを特別に意識してるから…挿入(い)れられただけで感じ…その上、中に挿入(はい)ってる事を…意識しまくるんだろうか…?

もう…意識が霞んでくる。

“アリオン”と言う熱に耐えきれずに…。


「…ん…っ!」

ファオンの瞳が潤みきる。

「あ……っん…アリオン…アリ…オン」

助けを求めるような声。

アリオンですら、深い快感に囚われたようにファオンを潤む瞳で見つめ返す。

アリオンの腕の中に抱かれてるファオンは、白い肌を晒し、しなやかにしなだれかかり…。
彼に“愛されてる”事が一目で解るほど。

誰のどんな場合より…ファオンが貫かれ抉られてる様子は、はっきりと…解った。

ファオンがアリオンに挿入される毎に唇を震わせ…それがアリオンの見せる“愛”の行為だと…。
知ってるように身体を戦慄かせ、全身でアリオンに縋りついていたから。

アリオンはそれに応えるように再び奥深くに挿入する。

「………ん………っ」

まるで泣き出しそうな…声。

ファオンはきつくアリオンに縋り付いて、唇を噛んでいた。
アリオンが突き入れて来る度、耐えるように目を固く瞑り…アリオンが奥深く貫く度、泣く。

「あっ…ああっ…!」

どうしてだか…見てる者達に解った。
ただ…感じる場所を突かれてるのじゃ、無い事が。

“アリオン”に突かれてる。
その事が、ただ感じるだけでなくもっと…ファオンの熱を上げさせる。

睫を震わせ、眉を切なげに寄せながら…。
アリオンが再び打ち付け、貫かれる事を震えながら待っている。

アリオンはファオンの洩らす吐息を愛おしく感じながら…下からファオンへと、雄々しく腰を打ち付ける。

「んんっ…!」

ファオンの頬に、涙が滴る。

アリオンが更に深く深く抉る。

「あっ…あ…っ…!」

切れ切れの吐息。

まるで唯一の相手と抱き合ってるみたいに…ファオンはアリオンに貫かれる事が辛いような…けれどアリオンの腕の中にいる事が幸福なような…複雑な表情を見せる。

されている行為が分かって無くて…どうしてアリオンがそうするか…理解出来ないけれど、アリオンの腕の中できつく抱きしめられて、どの相手より深く繋がっている事を、心で感じてる様子が、端から見て取れた。

「…アリ…オン…。
アリオン………」

ファオンはとうとう涙を頬に、伝わせる。

アリオンはその時、ファオンを誰からも引き離して自分のものに出来た喜びで震えた。

それは…今現在の事なのか、それとも…初めてファオンを抱いた、その時の事だったのか…。

ファオンはアリオンに深く囚われ…アリオンの存在を全身で感じ…。
アリオンに愛を打ち込まれて熱に震える。

受け止めきれず、けれど必死で耐えながらそれでも…付いて行こうとするように…。

ファオンが顔を傾け、熱に包まれた青く潤んだ瞳でアリオンを見つめ返す。

それはファオンの心から、アリオンへ“愛しい思い”を返しているように見えた。


デュランが思わず呻く。
「…熱烈過ぎ…」

「…これ…リチャードがもし餓鬼の頃盗み見てたら…」
アランが囁き、シーリーンは深い吐息を吐き…。

皆も頷く。
キースが掠れた声で囁いた。

「…完敗に感じ…その後焼け糞になっても、理解出来るな」


「(もう…駄目………)」

ファオンの意識が、霞んでいくのが見えた。

アリオンが力強く、最後深く抉る。

「んっ!」

ファオンは一瞬意識を取り戻し…けれど解放されたようにぐったりとアリオンの腕の中にしなだれかかる。

アリオンは荒い吐息を吐く。

そして殆ど意識の無い、ファオンをぐい!と抱く腕で引いて顎を上げさせ、口付ける。

ファオンは唇にアリオンの唇の感触を感じたのか…瞳をうっすら…と開ける。

その時、ファオンは誰も居ない…アリオンと二人きりの世界に連れて来られ…何からも隔絶されながら…。

アリオンとただ二人だけのその世界を、受け入れるように熱い口づけに応えた。

もしそれが…たった…六才かそこらの年の出来事だとしたら…。
余程の“思い”が無ければ応えられないだろうと言う事が、傍目から解った。

普通の六歳児ならとっくに…泣き叫んで“自分”に帰って行くはずだ。

ファオンは…つまりそれだけ、アリオンの視界に入り、アリオンの腕の中に抱かれることが、嬉しかったのだと。

皆に知らしめた。


ファオンはアリオンに口付けられ…その後、ぐったりとアリオンの胸に倒れ込む。

シーリーンから見て、ファオンはやはり…唯一の、自分が心を許した男の胸に頼り切ってしなだれかかる“乙女”に見えて、唇を噛んだ。
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