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終焉の儀式
143 “終焉の儀式” 2
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「まだ皆怪我を負ってる。
シリルローレルが治療士らに、桃の奇跡のやり方を伝授していったから、今夜は皆、ゆっくり休み、明日から儀式を行う」
レオの言葉で、《勇敢なる者》らは皆、頷く。
ファオンは暫く…言われた事を俯いて…飲み込もうとして…。
けど、全員に抱かれる事を考えただけで、あちこちが疼き出して、真っ赤になった。
アリオンが憮然して囁く。
「背の傷は、どうだ?」
「もう…殆ど瘡蓋に成ってる」
シーリーンも横に来ると、ファオンの背の薄衣をぴら。とめくり、見る。
「…確かに…」
そして、溜息を吐く。
二人は顔を見合わせた後に、シーリーンが囁く。
「お前…レオとかキースとかに抱かれて…後で忘れられるか?」
ファオンは言われて…凄く恥ずかしくなった。
レオは縋り付きたくなるほど頼もしくて男らしいし…。
キースは安心感はあるし、年上の男の余裕で、どきどきもさせてくれるし…甘ったるい気分にさせてくれる。
セルティスは若々しく逞しくて…あの顔で切なげに眉を寄せ、唇を寄せられたりすると、すっかり囚われてしまう………。
ファオンがずっと俯いているので、頭上でシーリーンとアリオンが、ほぼ同時に溜息を吐いた。
けれど夕飯はまだ皆がテントで取り、ファオンはキースとリチャードと、焚き火の石の椅子で取る。
「…東は《化け物》の森をやったから少し余裕そうだが…。
南は大変そうだ」
ファオンはキースの言葉に、顔を上げる。
そんな…大変な時期なのに…キリアンは自分の為に、度々足を運んで、見に来てくれていた。
「…こっちは儀式を始めると告げたら、雑兵らは
“明日は余程の襲撃が来ない限りは、護り切ります”
と言ってくれた」
リチャードは頷く。
その間、まるでファオンを見ない。
キースはその様子を見て、ファオンに囁いた。
「…今夜、リチャードはレオ、ファルコン、セルティスのいるテントで、シュティッセンが付きっきりで実技の特訓する」
「?」
「…マトモに抱けるように。
いや…優しく、感じさせるように“抱く”特訓だっけ?
相手がシュティッセンだから…嬉しいだろう?」
けどリチャードは顔を下げる。
「…でもそういう問題じゃ無い…。
ファオンは俺に…触られただけで過去の忌まわしい記憶が蘇って…嫌なんだろう?
…俺だって…昔、豆喰って酷い腹痛起こして以来、豆見ただけで気分が悪くなった」
キースが尋ねる。
「今でも、喰えないのか?」
リチャードは俯いたまま、言う。
「…ここに来て…残したらレオに怒られた。
調理した料理人を侮辱する気か?って………。
以来、無理して食べる。
最近ようやく…美味しいと…思う時もある」
キースはファオンに向かって笑う。
「…最後だ。
リチャードに触られて…どうしても気持ち悪けりゃ、泣き叫んでもいい。
それでリチャードが殊勝に落ち込めば、他の男が慰めるから」
ファオンは頷きかけて…深く俯くリチャードを見る。
…凄く、緊張し、同時に落ち込んでいた。
キースがすかさず言う。
「同情しなくていい」
ファオンは頷き、リチャードは少し、睨んだ。
シリルローレルが治療士らに、桃の奇跡のやり方を伝授していったから、今夜は皆、ゆっくり休み、明日から儀式を行う」
レオの言葉で、《勇敢なる者》らは皆、頷く。
ファオンは暫く…言われた事を俯いて…飲み込もうとして…。
けど、全員に抱かれる事を考えただけで、あちこちが疼き出して、真っ赤になった。
アリオンが憮然して囁く。
「背の傷は、どうだ?」
「もう…殆ど瘡蓋に成ってる」
シーリーンも横に来ると、ファオンの背の薄衣をぴら。とめくり、見る。
「…確かに…」
そして、溜息を吐く。
二人は顔を見合わせた後に、シーリーンが囁く。
「お前…レオとかキースとかに抱かれて…後で忘れられるか?」
ファオンは言われて…凄く恥ずかしくなった。
レオは縋り付きたくなるほど頼もしくて男らしいし…。
キースは安心感はあるし、年上の男の余裕で、どきどきもさせてくれるし…甘ったるい気分にさせてくれる。
セルティスは若々しく逞しくて…あの顔で切なげに眉を寄せ、唇を寄せられたりすると、すっかり囚われてしまう………。
ファオンがずっと俯いているので、頭上でシーリーンとアリオンが、ほぼ同時に溜息を吐いた。
けれど夕飯はまだ皆がテントで取り、ファオンはキースとリチャードと、焚き火の石の椅子で取る。
「…東は《化け物》の森をやったから少し余裕そうだが…。
南は大変そうだ」
ファオンはキースの言葉に、顔を上げる。
そんな…大変な時期なのに…キリアンは自分の為に、度々足を運んで、見に来てくれていた。
「…こっちは儀式を始めると告げたら、雑兵らは
“明日は余程の襲撃が来ない限りは、護り切ります”
と言ってくれた」
リチャードは頷く。
その間、まるでファオンを見ない。
キースはその様子を見て、ファオンに囁いた。
「…今夜、リチャードはレオ、ファルコン、セルティスのいるテントで、シュティッセンが付きっきりで実技の特訓する」
「?」
「…マトモに抱けるように。
いや…優しく、感じさせるように“抱く”特訓だっけ?
相手がシュティッセンだから…嬉しいだろう?」
けどリチャードは顔を下げる。
「…でもそういう問題じゃ無い…。
ファオンは俺に…触られただけで過去の忌まわしい記憶が蘇って…嫌なんだろう?
…俺だって…昔、豆喰って酷い腹痛起こして以来、豆見ただけで気分が悪くなった」
キースが尋ねる。
「今でも、喰えないのか?」
リチャードは俯いたまま、言う。
「…ここに来て…残したらレオに怒られた。
調理した料理人を侮辱する気か?って………。
以来、無理して食べる。
最近ようやく…美味しいと…思う時もある」
キースはファオンに向かって笑う。
「…最後だ。
リチャードに触られて…どうしても気持ち悪けりゃ、泣き叫んでもいい。
それでリチャードが殊勝に落ち込めば、他の男が慰めるから」
ファオンは頷きかけて…深く俯くリチャードを見る。
…凄く、緊張し、同時に落ち込んでいた。
キースがすかさず言う。
「同情しなくていい」
ファオンは頷き、リチャードは少し、睨んだ。
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