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一掃
137 保護した男たち
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翌朝。
朝食時、リチャードも来たが、憔悴しきった様子で、睨むファオンから顔を背け、俯く。
「…お前、夕べ寝たのか?」
キースに聞かれ、リチャードは俯く。
キースは素っ気無くリチャードに言い渡した。
「…偵察には俺一人で行く」
「大丈夫だ!」
「…ふらふらだと足手まといだぞ!」
「絶対にならない!」
そう叫ぶリチャードの表情は必死で…。
キースは仕方無く頷く。
「なら、来い。
ファオン。
留守の間、怪我人を頼む」
ファオンは頷く。
「あ。
レオ、ファルコン、セルティスがいるテントは…。
覗くと怪我人の治り具合で、シュティッセンとの真っ最中にぶち当たるから、気をつけろ」
ファオンは一辺に赤くなって顔を下げる。
「…デュランはアランに付きっきり。
まるで恋人のように甲斐甲斐しいが…アランの為にも、誤解はしてやるな」
ファオンは頷く。
「テスに桃を貰って、アリオンとシーリーンの傷の治癒を手伝ってやれ。
聞いたところ…二人共意地になって、食べると自分の治癒で無く、相手の傷の治癒に“力”を使ってるそうだ…。
…何やってんだか。
だが長居するな。
どっちかが発情したら逃げて来い。
絶対、生きてる実感欲しくて迫り倒すからな」
ファオンは途端、赤くなって俯く。
キースは立ち上がって、言った。
「…リチャード。来い」
リチャードは一瞥すらファオンに向けず…。
まるで謝罪の為、一切ファオンの中から自分を消そうとするように…。
視線を合わせずキースの背に続く。
その厳しい表情はもう…人形のようにも…綺麗にも見えなかった。
ファオンはテスに桃を分けて貰う。
そして、アリオンとシーリーンのテントを覗いた。
二人共眠っていて…ファオンはほっ。として、二人の寝てる毛皮の真ん中に座る。
そして右手をアリオン。
左手をシーリーンに翳す。
やがて青い光が手の平から二人の傷口へと…流れて行った。
手が熱い。
どうしてだか…とても濃い、青の光が放出されて行って…アリオンが、くっ!と眉を寄せて胸元を押さえ、背を向けるシーリーンも、身じろいだ。
二人共が…眉を寄せて目ざめる。
「…滅茶苦茶熱い…」
シーリーンが呟き、アリオンも呻く。
「…ファオン…………」
ファオンは暫くして、突然気づく。
「あ…ごめん。僕………」
シーリーンは大きく吐息を吐く。
そして、体を返してファオンに振り向く。
そして目を見開く。
「……………………痛くない」
ファオンは俯いていた。
アリオンも、シーリーンの様子を見て、肘を付いて身を起こす。
起きた時ズキン!と痛んでいた右胸の痛みが消えていた。
「………………………俺も」
二人はそれぞれ、身を起こして体を横に捻ったりしていたが、やっと…。
「痛っ…!」
とシーリーンが呻き、アリオンも。
「流石にこれだけ動かすと痛い」
けれど二人は上半身起こしたまま溜息を吐くと、真ん中にいるファオンを見た。
「…どうした?」
アリオンに聞かれ、ファオンは顔を揺らして深く俯き、その後、上げる。
「…夕べ…リチャードが…!」
シーリーンが囁く。
「何かしたのか?」
ファオンは頷く。
「…キースが一緒で…あの…誘拐された時、どんなことされたかリチャードに言え…って………。
僕ずっと…封印したのに。
あれは僕の身に起こった事じゃ無い…って。
けど…喋ったら思い出した………」
シーリーンがそっと、肩に触れる。
「…そしたら…最初アリオンやシーリーンに凄く会いたくて…。
でも逃げられなくて、キリアンに叫んでた事も思い出した。
『来て!
今直ぐここに来て!』って…」
「それ…何日目の事だ?」
アリオンに聞かれて、ファオンは呟く。
「…二日目。
でも…だんだん感覚が消えて…」
シーリーンが呟く。
「喋っただけか?」
ファオンは濡れた青い瞳でシーリーンを見つめる。
「…キースのテントに泊まったら…いつの間にかランプが消えてて…。
眠っちゃって…。
そしたらリチャードに…体を触られてた」
だん!
ファオンはびっくりして、アリオンを見る。
アリオンは憤って、拳で毛皮の上を叩き…横の薬草の入ったトレーを弾き飛ばしてた。
そして立ち上がろうとする。
けれど身を屈めながら立ち上がりかけて、くっ!と眉寄せて痛む胸を押さえた。
「…まだ無理だ」
シーリーンに溜息交じりに言われ、アリオンは痛みが引くと、顔を上げる。
ファオンは思わず立ち上がってアリオンに駆け寄る。
「…駄目!
休まないと!
第一…リチャードはキースと偵察に出かけた」
アリオンは抱きつくファオンの細い体を両腕回して、抱きしめる。
ファオンは大好きな…アリオンの安心出来る胸に抱かれて…凄く落ち着いた。
いつも…いつもアリオンは頼もしかった。
けれど…右胸から血の臭いが少しして…。
ファオンはそっと囁く。
「お願い…。
座って…休んで」
アリオンは返事の代わりに、一度そっ…と胸に抱き寄せファオンの体を両腕で包み込むと…。
無言で深い青の瞳で見つめ、身を離して座り込む。
その時、ずかずかとテントに入って来る誰か。
に三人とも振り向く。
「…キリアン…」
ファオンに目を見開いて言われ、キリアンは憮然とした表情で、アリオンとシーリーンを見回す。
「死にかけたにしては、元気そうだな」
シーリーンはキリアンから顔を背け、アリオンもが俯く。
ファオンはいつも道理キリアンの胴に抱きつく。
キリアンはファオンの背に手を回す。
「お前夕べさ。
深夜頃。
俺の事、呼んだ?」
ファオンはびっくりして顔を上げる。
「なんかすげぇ勢いでお前が呼ぶ夢見て。
俺…お前は大丈夫だって聞いたから…この二人のどっちか死んで、お前辛くて俺呼んだのかも。
…って思ったけど…。
元気だよな」
アリオンはもっと深く俯き、シーリーンが顔を上げる。
「夕べリチャードに迫られて、ファオン、昔の話をしたらしいから多分…」
キリアンが歯を剥く。
「マジか!
…やっぱりあの時、全殺しにしてやるんだったぜ!
半殺し程度でお前らが止めるから!」
シーリーンが憮然。と言う。
「…俺が殴ろうと思ってたのに。
あんた一人で全部殴ったろう?」
アリオンも俯いたまま、囁く。
「好きで止めるか。
殺しそうだったから…慌てて止めたんだ」
ファオンはびっくりして…キリアンを見上げる。
「…俺も餓鬼だったしな!
今ならもっと効果的な拷問方法、いっぱい知ってる」
“お願いいっそ殺して”
ってあいつに言わせるぐらい」
アリオンとシーリーンが顔を下げきる。
「で?リチャードはどこだ?
安心しろファオン。
俺がきっちり仇取ってやる」
ファオンはキリアンを見上げる。
「…キースが話せって言ったから…全部ブツけたら、リチャード今日…僕を全然見なかった。
なんか全身憔悴して、“ごめん”な感じで…もう…僕には近寄らないって」
「それで済ます気か!
いいか!
やられたら、倍の倍の倍!
やり返して丁度良い」
シーリーンが囁く。
「それ…昔もそう思ってた?」
キリアンは毛皮の上に俯き座る、シーリーンを見る。
「…うーん。流石にやつれて見えるな。
死にかけただけあって」
シーリーンは顔を下げる。
「…やつれて見えるのは、多分そっちの(死にかけた)せいじゃない」
キリアンは美麗なプラチナの髪に顔を埋め俯く、シーリーンの整いきった横顔を見ながら、ファオンに顔を傾ける。
「その美麗なツラで絶対将来垂らしになるとは思ったが。
お前絶対垂らされてるぞ?」
そして、アリオンも見る。
「まああの整った綺麗顔で男っぽい。
って、反則技だよな。
…モトはあいつが手出ししたせいだろう?
餓鬼の癖に。
普通抱くか?
俺も怒鳴ろうと思ったが…。
滅多に感情剥き出しにしないあのファーレーンが怒鳴り付けたから。
怒鳴りそびれた」
そして、シーリーンと目が合うと、思い出したように呟く。
「…昔?
昔俺は、10倍返しで丁度良い。
と思ってた。
けど10倍返すと、大抵周囲が止める」
アリオンが、ぼそっ。と言った。
「相手を殺すから?」
キリアンはしれっ。と言った。
「でも殺した事、無いぜ?
ファオン。次にリチャードが来たら、徹底的に思い知らせてやれ!
奴の男根を!
蹴って!蹴って!蹴って!
蹴り倒すんだ!
…解ったか」
「…………うん…………。
けど来てくれて嬉しい…」
ファオンはキリアンの胴に腕を巻き付けたまま、顔を伏せる。
キリアンは溜息を吐く。
「…だってすげえ声で。
夢だったけど。
“来て!”
ってお前泣いてて。
起きてからもう、気になって気になって気になって、何も手に付かないから、シェナンが。
“居ても邪魔なだけだから、北尾根に行って会ってこい”って。
…酷い言い様だろう?」
「…でも、嬉しい…」
ファオンに胸に顔を埋められ、キリアンは少し、頬染めて囁く。
「お前、可愛い過ぎ」
ファオンはそう言われて、両手でぎゅっ!とキリアンにしがみつく。
キリアンはファオンにきつく抱きつかれ、溜息交じりに言った。
「桃くれたら、俺が
“今度リチャードがファオンに触れたら、ファオンが反射的にリチャードの男根蹴り潰す”
って白の魔法使いの“力”が効くよう、祈ってやるぜ」
それを聞いてシーリーンは
「(絶対白の魔法使いの“力”の使い方、間違ってる)」と思い、こっそりアリオンを見た。
が、アリオンも同様に思い、そっと同じ考えのシーリーンに、同意の視線を送った。
朝食時、リチャードも来たが、憔悴しきった様子で、睨むファオンから顔を背け、俯く。
「…お前、夕べ寝たのか?」
キースに聞かれ、リチャードは俯く。
キースは素っ気無くリチャードに言い渡した。
「…偵察には俺一人で行く」
「大丈夫だ!」
「…ふらふらだと足手まといだぞ!」
「絶対にならない!」
そう叫ぶリチャードの表情は必死で…。
キースは仕方無く頷く。
「なら、来い。
ファオン。
留守の間、怪我人を頼む」
ファオンは頷く。
「あ。
レオ、ファルコン、セルティスがいるテントは…。
覗くと怪我人の治り具合で、シュティッセンとの真っ最中にぶち当たるから、気をつけろ」
ファオンは一辺に赤くなって顔を下げる。
「…デュランはアランに付きっきり。
まるで恋人のように甲斐甲斐しいが…アランの為にも、誤解はしてやるな」
ファオンは頷く。
「テスに桃を貰って、アリオンとシーリーンの傷の治癒を手伝ってやれ。
聞いたところ…二人共意地になって、食べると自分の治癒で無く、相手の傷の治癒に“力”を使ってるそうだ…。
…何やってんだか。
だが長居するな。
どっちかが発情したら逃げて来い。
絶対、生きてる実感欲しくて迫り倒すからな」
ファオンは途端、赤くなって俯く。
キースは立ち上がって、言った。
「…リチャード。来い」
リチャードは一瞥すらファオンに向けず…。
まるで謝罪の為、一切ファオンの中から自分を消そうとするように…。
視線を合わせずキースの背に続く。
その厳しい表情はもう…人形のようにも…綺麗にも見えなかった。
ファオンはテスに桃を分けて貰う。
そして、アリオンとシーリーンのテントを覗いた。
二人共眠っていて…ファオンはほっ。として、二人の寝てる毛皮の真ん中に座る。
そして右手をアリオン。
左手をシーリーンに翳す。
やがて青い光が手の平から二人の傷口へと…流れて行った。
手が熱い。
どうしてだか…とても濃い、青の光が放出されて行って…アリオンが、くっ!と眉を寄せて胸元を押さえ、背を向けるシーリーンも、身じろいだ。
二人共が…眉を寄せて目ざめる。
「…滅茶苦茶熱い…」
シーリーンが呟き、アリオンも呻く。
「…ファオン…………」
ファオンは暫くして、突然気づく。
「あ…ごめん。僕………」
シーリーンは大きく吐息を吐く。
そして、体を返してファオンに振り向く。
そして目を見開く。
「……………………痛くない」
ファオンは俯いていた。
アリオンも、シーリーンの様子を見て、肘を付いて身を起こす。
起きた時ズキン!と痛んでいた右胸の痛みが消えていた。
「………………………俺も」
二人はそれぞれ、身を起こして体を横に捻ったりしていたが、やっと…。
「痛っ…!」
とシーリーンが呻き、アリオンも。
「流石にこれだけ動かすと痛い」
けれど二人は上半身起こしたまま溜息を吐くと、真ん中にいるファオンを見た。
「…どうした?」
アリオンに聞かれ、ファオンは顔を揺らして深く俯き、その後、上げる。
「…夕べ…リチャードが…!」
シーリーンが囁く。
「何かしたのか?」
ファオンは頷く。
「…キースが一緒で…あの…誘拐された時、どんなことされたかリチャードに言え…って………。
僕ずっと…封印したのに。
あれは僕の身に起こった事じゃ無い…って。
けど…喋ったら思い出した………」
シーリーンがそっと、肩に触れる。
「…そしたら…最初アリオンやシーリーンに凄く会いたくて…。
でも逃げられなくて、キリアンに叫んでた事も思い出した。
『来て!
今直ぐここに来て!』って…」
「それ…何日目の事だ?」
アリオンに聞かれて、ファオンは呟く。
「…二日目。
でも…だんだん感覚が消えて…」
シーリーンが呟く。
「喋っただけか?」
ファオンは濡れた青い瞳でシーリーンを見つめる。
「…キースのテントに泊まったら…いつの間にかランプが消えてて…。
眠っちゃって…。
そしたらリチャードに…体を触られてた」
だん!
ファオンはびっくりして、アリオンを見る。
アリオンは憤って、拳で毛皮の上を叩き…横の薬草の入ったトレーを弾き飛ばしてた。
そして立ち上がろうとする。
けれど身を屈めながら立ち上がりかけて、くっ!と眉寄せて痛む胸を押さえた。
「…まだ無理だ」
シーリーンに溜息交じりに言われ、アリオンは痛みが引くと、顔を上げる。
ファオンは思わず立ち上がってアリオンに駆け寄る。
「…駄目!
休まないと!
第一…リチャードはキースと偵察に出かけた」
アリオンは抱きつくファオンの細い体を両腕回して、抱きしめる。
ファオンは大好きな…アリオンの安心出来る胸に抱かれて…凄く落ち着いた。
いつも…いつもアリオンは頼もしかった。
けれど…右胸から血の臭いが少しして…。
ファオンはそっと囁く。
「お願い…。
座って…休んで」
アリオンは返事の代わりに、一度そっ…と胸に抱き寄せファオンの体を両腕で包み込むと…。
無言で深い青の瞳で見つめ、身を離して座り込む。
その時、ずかずかとテントに入って来る誰か。
に三人とも振り向く。
「…キリアン…」
ファオンに目を見開いて言われ、キリアンは憮然とした表情で、アリオンとシーリーンを見回す。
「死にかけたにしては、元気そうだな」
シーリーンはキリアンから顔を背け、アリオンもが俯く。
ファオンはいつも道理キリアンの胴に抱きつく。
キリアンはファオンの背に手を回す。
「お前夕べさ。
深夜頃。
俺の事、呼んだ?」
ファオンはびっくりして顔を上げる。
「なんかすげぇ勢いでお前が呼ぶ夢見て。
俺…お前は大丈夫だって聞いたから…この二人のどっちか死んで、お前辛くて俺呼んだのかも。
…って思ったけど…。
元気だよな」
アリオンはもっと深く俯き、シーリーンが顔を上げる。
「夕べリチャードに迫られて、ファオン、昔の話をしたらしいから多分…」
キリアンが歯を剥く。
「マジか!
…やっぱりあの時、全殺しにしてやるんだったぜ!
半殺し程度でお前らが止めるから!」
シーリーンが憮然。と言う。
「…俺が殴ろうと思ってたのに。
あんた一人で全部殴ったろう?」
アリオンも俯いたまま、囁く。
「好きで止めるか。
殺しそうだったから…慌てて止めたんだ」
ファオンはびっくりして…キリアンを見上げる。
「…俺も餓鬼だったしな!
今ならもっと効果的な拷問方法、いっぱい知ってる」
“お願いいっそ殺して”
ってあいつに言わせるぐらい」
アリオンとシーリーンが顔を下げきる。
「で?リチャードはどこだ?
安心しろファオン。
俺がきっちり仇取ってやる」
ファオンはキリアンを見上げる。
「…キースが話せって言ったから…全部ブツけたら、リチャード今日…僕を全然見なかった。
なんか全身憔悴して、“ごめん”な感じで…もう…僕には近寄らないって」
「それで済ます気か!
いいか!
やられたら、倍の倍の倍!
やり返して丁度良い」
シーリーンが囁く。
「それ…昔もそう思ってた?」
キリアンは毛皮の上に俯き座る、シーリーンを見る。
「…うーん。流石にやつれて見えるな。
死にかけただけあって」
シーリーンは顔を下げる。
「…やつれて見えるのは、多分そっちの(死にかけた)せいじゃない」
キリアンは美麗なプラチナの髪に顔を埋め俯く、シーリーンの整いきった横顔を見ながら、ファオンに顔を傾ける。
「その美麗なツラで絶対将来垂らしになるとは思ったが。
お前絶対垂らされてるぞ?」
そして、アリオンも見る。
「まああの整った綺麗顔で男っぽい。
って、反則技だよな。
…モトはあいつが手出ししたせいだろう?
餓鬼の癖に。
普通抱くか?
俺も怒鳴ろうと思ったが…。
滅多に感情剥き出しにしないあのファーレーンが怒鳴り付けたから。
怒鳴りそびれた」
そして、シーリーンと目が合うと、思い出したように呟く。
「…昔?
昔俺は、10倍返しで丁度良い。
と思ってた。
けど10倍返すと、大抵周囲が止める」
アリオンが、ぼそっ。と言った。
「相手を殺すから?」
キリアンはしれっ。と言った。
「でも殺した事、無いぜ?
ファオン。次にリチャードが来たら、徹底的に思い知らせてやれ!
奴の男根を!
蹴って!蹴って!蹴って!
蹴り倒すんだ!
…解ったか」
「…………うん…………。
けど来てくれて嬉しい…」
ファオンはキリアンの胴に腕を巻き付けたまま、顔を伏せる。
キリアンは溜息を吐く。
「…だってすげえ声で。
夢だったけど。
“来て!”
ってお前泣いてて。
起きてからもう、気になって気になって気になって、何も手に付かないから、シェナンが。
“居ても邪魔なだけだから、北尾根に行って会ってこい”って。
…酷い言い様だろう?」
「…でも、嬉しい…」
ファオンに胸に顔を埋められ、キリアンは少し、頬染めて囁く。
「お前、可愛い過ぎ」
ファオンはそう言われて、両手でぎゅっ!とキリアンにしがみつく。
キリアンはファオンにきつく抱きつかれ、溜息交じりに言った。
「桃くれたら、俺が
“今度リチャードがファオンに触れたら、ファオンが反射的にリチャードの男根蹴り潰す”
って白の魔法使いの“力”が効くよう、祈ってやるぜ」
それを聞いてシーリーンは
「(絶対白の魔法使いの“力”の使い方、間違ってる)」と思い、こっそりアリオンを見た。
が、アリオンも同様に思い、そっと同じ考えのシーリーンに、同意の視線を送った。
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