アグナータの命運

あーす。

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134 アリオンとシーリーン 2

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 ファオンが再びアリオンとシーリーンのテントを覗いた時…。

アリオンは溜息を吐き、シーリーンは嬉しそうに微笑んだ。

「(……………あれ?)大丈夫?」

シーリーンは本当に嬉しそうに、ブルー・グレーの瞳をきらきらさせた。

「…もう一度会えると、思わなかったから…お前が半端無く綺麗に見える」

ファオンは凄く、途惑ったけれど、アリオンが横で溜息を吐くのを見て、シーリーンの横に屈む。

シーリーンは起き上がろうとして…背をくっ!と屈める。

「まだ…起きちゃ駄目!」

シーリーンは肩に添えられたファオンの手を掴み、背を倒す。

「…あれ?
けどさっき、アリオンに抱きついてた…」

「…………………………見てたのか?」

「…キスとか…してた?」

「……………………まさか、してたのか?!」

横からアリオンが、びっくりして尋ねる。

シーリーンが横たわると直ぐ、怒鳴り返す。
「…どうして俺がお前にする!
殴ろうか悩んでたのに!」

とうとう、アリオンも横で怒鳴る。

「だから!
なんで殴ろうと思ってるのに抱きつく?!
第一、なんで俺を殴りたい?!」

「お前が瀕死の癖に俺に!
命、全部くれたりするからだ!
折角覚悟決めてたのに!」

「それは俺だ!
お前は庇う必要無かったんだ!」

ファオンは二人が、横になったまま怒鳴り合ってるから、また頭が疑問符だらけになった。

「…殴ろうと…思ってたら、抱きついたの?」

「…死んでるかどうか、確かめてたんだ」

「……………………ええと」

アリオンが怒鳴る。
「変だろう!」

ファオンが、ほっとして頷く。
「やっぱり、僕だけじゃ無いんだね?
変だと思うのって」

アリオンが、大きく頷く。

シーリーンが歯を剥く。

「だって最後、お前庇って背に傷受けた時、抱きついたお前が暖かかったから!
今度は冷たかったらどうしよう。
と俺でも一応、動揺したんだ!
折角庇って死なれたら…ショックだろう?!」

「…………………それで抱きついたの?」
「…………………それで抱きついたのか?」

シーリーンはアリオンとファオンに尋ねられ、むすっ。とした。

「一度死ぬほどの傷受けて誰か救ってみろ!
こっちは死ぬ思いして庇った相手に死なれたら…。
俺は死に損じゃないか!

………どっちも今、生きてるけど」

「……………………………」

アリオンが黙り込むので、シーリーンはもっと言う。

「庇う必要無い。
とか言われたら、もっとショックだ!」

「……………………それでファオン。
お前…俺達抱き合ってる。
で、変な誤解してないよな?」

アリオンに突然尋ねられ、ファオンはぎくり…!と顔を揺らす。

「…誤解…俺と…まさかアリオンで?!」

目を見開き、顔をシーリーンに凝視され、ファオンは思わず顔を背けた。

「……………まさか…本当に………?!」

シーリーンに聞かれ、ファオンは顔を下げ、こそこそと二人から遠ざかり、テントの入り口へ行くと
「傷が開くとまずいから…僕、もう行くね…」

と言って、テントから出る。

テントの中からシーリーンの
「最悪!」
と言う怒鳴り声が聞こえ…。
ファオンは二人を見舞うのは当分控えないと駄目かも…。

と俯ききった。
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