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一掃
130 その後のリチャード そしてレオとシュティッセン
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リチャードは自分とキースを除くほぼ全員が負傷し、そこら中を走り回り、多忙を極めていた。
雑兵らとキース。
そしてシリルローレルと共に、その後の“巣”を確認しに出かけた。
最初、“こんな人数で大丈夫か?”
と思ったけど、シリルローレルは流石ファオンの師だけあって、マトモな道を通らない。
とんでもない遠回りだと思ったけど、“巣”を安全に見回せる、小高い岩場に出る。
北の岩場の“巣”は、入り組んだ岩の窪みのそこかしこにあって、他の“巣”からは岩で隔てられていた。
わんさか化け物うじゃつく“巣”が、あちこちに見える。
数は、八つ程。
二つの“巣”は数が少なく、若い《化け物》がバラバラといるだけ。
奥の洞窟から、産まれて歩けるようになった《化け物》が出て来る。
杖付きがいないから、互いに喰い合って、数は増えない。
だが六つの“巣”には杖付きがいるらしく、その数は半端無い。
一つの“巣”に確実に、70程はいる。
端と手前の“巣”なんて、100超えていそうな勢い。
「あの二つの“巣”の杖付きを殺れば、杖付きを失った群れは他の“巣”を襲い、ほぼ壊滅状態だな」
シリルローレルは軽く言う。
“だいたい今まで、繁殖期に“巣”に近づく事じたいが、自殺行為だってのに!”
リチャードは文句を言いたかった。
あれ程強い男らが揃って…大怪我負っていたし。
そしてキースと一緒に、二つの100越えの“巣”の、攻略方法とか、練っている。
だからキースが
「一旦引くぞ」
と言った時、リチャードはもう両手上げて飛び跳ねたいほど、嬉しかった。
今、あのおぞましい人食い化け物がうじゃうじゃいる様を見ると…。
出生で悩みまくった青春が、馬鹿げて思える。
今なら…昔の自分に“悩んでないで、したいことを存分にして生きてることを楽め”
と言ってやれる。
それに…。
“誰も自分を見てくれない!”
そんな激しい憤りと絶望的な悲しみは…ここに来れば消えて無くなる。
数少ない仲間として、皆が寄り添い、気持ちを向けてくれる…。
やりたくない大変なこと。
に背を向けず立ち向かえば…皆が認め、労ってくれる…。
でも同時に“怖い”“辛い”“苦しい”
その思いも…レオのような頼れるリーダーは、感じて労ってくれる…。
無言で寄り添って。
その背中で。
戦い振りで。
“大丈夫だ”
そう言ってくれる………。
偵察の帰り際、キースとシリルローレルが話してる。
「“巣”を襲うのは効果的だ。
だが、半端無い危険と隣り合わせだから、入念に準備しないと」
その言葉に、リチャードは心からほっとした。
年上のその男の、落ち着き。
経験で知り尽くした危険に対する知恵。
キースは対等に接していたけど…自分なら多分、縋り付いてしまうほど、頼りになる大人の男。
伝説の…英雄。
にしては、栗色巻き毛と緑がかった青の瞳の、軽い外見。
チャラい。
と侮ると…ふいに厳しさが彼の身を覆い、幾度も死線をかいくぐってきた逞しさを覗かせるから…。
どう接して良いのか途惑いまくり…。
リチャードは極力、シリルローレルに近寄るのを避け続けた。
ファオンはあれ程痛かった打ち身が消え…。
出血多量から来る貧血も治まり始め…。
翌日には歩き回れたから、レオのテントを覗いた。
ちょっと入り口の布を横に退けたら、ファルコンが見えて、人差し指で口元に当てるから…。
「?」
と思い、もう少し…布を横にずらして、中を覗く。
横にレオが横たわっていて、その上に…シュティッセンがいた。
長い銀の髪を首から避(よ)けて背に流し、俯きながらレオの上に…乗っていた。
「っ!」
ファオンはようやく…二人の…の場面を覗き見してる。
と気づいた。
そっ…と見ると、ファルコンは背にクッションを敷いて背を少し起こし、薬草を飲みながら見ないフリ。
その向こうのセルティスは背を向け、寝てるふり。
シュティッセンが、ゆっくり…腰を動かす。
レオの男らしい眉が寄り…シュティッセンは真っ赤な唇をして、そんなレオを潤んだブルー・グレーの瞳で見つめてる。
色っぽくしなる、白い背。
腰回りに衣服が絡みついて、繋がってる部分は隠れていた。
シュティッセンは赤い唇を震わせながら、レオを見つめゆっくりと…腰を使う。
レオが少しずつ…高まるように。
中に咥え込んで、うねるように腰を動かしていた。
ゆっくりの動きなのに…レオはとても感じてる様子で、時折首を振り、仰け反ったりしてる。
どきどきした。
シュティッセンの手は、レオの裸の胸に当てられ、細く長い指が触れ、時折優しくレオの胸をなぜる。
けどレオはあちこち負った怪我で、布で巻かれまくっていたから…。
肌が出てる部分は少ない。
レオが
「い…い」
と、震える声で告げると、シュティッセンは微笑む。
「もう…少し動いても…痛みませんか…?」
レオは頷く。
シュティッセンが色っぽくくねりながら前後に揺れ始め…次第に上下に身を上げ下げする。
レオの上り詰めた表情。
やがてシュティッセンは吐息と共に動きを止め…真っ赤な唇をレオに寄せる。
どきり…とした。
まるで恋人同士の…口づけのよう…。
顔を寄せて、そっ…と唇で触れている。
まるでそれは互いが、互いの存在を確かめるよう…。
「(…凄く…綺麗…)」
レオの赤い髪はいつもより色が暗かったけど、顔色は少し戻っていた。
高く男らしい鼻が傾く。
シュティッセンの口づけに、応え包むように…。
顔を傾けるレオですら、シュティッセンをとても愛してる…。
そんな風に、見えた。
シュティッセンは…そんなレオに再び口付けられる事が嬉しくて…感激を滲ませ、優しく…レオの唇を唇で包み込んでいた。
ファルコンと目が合うと、ファルコンのまなざしは
「(どうだ。本物の《皆を繋ぐ者》って、色っぽいだろう)」
と語っていて、ファオンは赤くなって、顔を下げて入り口の布も下げた。
雑兵らとキース。
そしてシリルローレルと共に、その後の“巣”を確認しに出かけた。
最初、“こんな人数で大丈夫か?”
と思ったけど、シリルローレルは流石ファオンの師だけあって、マトモな道を通らない。
とんでもない遠回りだと思ったけど、“巣”を安全に見回せる、小高い岩場に出る。
北の岩場の“巣”は、入り組んだ岩の窪みのそこかしこにあって、他の“巣”からは岩で隔てられていた。
わんさか化け物うじゃつく“巣”が、あちこちに見える。
数は、八つ程。
二つの“巣”は数が少なく、若い《化け物》がバラバラといるだけ。
奥の洞窟から、産まれて歩けるようになった《化け物》が出て来る。
杖付きがいないから、互いに喰い合って、数は増えない。
だが六つの“巣”には杖付きがいるらしく、その数は半端無い。
一つの“巣”に確実に、70程はいる。
端と手前の“巣”なんて、100超えていそうな勢い。
「あの二つの“巣”の杖付きを殺れば、杖付きを失った群れは他の“巣”を襲い、ほぼ壊滅状態だな」
シリルローレルは軽く言う。
“だいたい今まで、繁殖期に“巣”に近づく事じたいが、自殺行為だってのに!”
リチャードは文句を言いたかった。
あれ程強い男らが揃って…大怪我負っていたし。
そしてキースと一緒に、二つの100越えの“巣”の、攻略方法とか、練っている。
だからキースが
「一旦引くぞ」
と言った時、リチャードはもう両手上げて飛び跳ねたいほど、嬉しかった。
今、あのおぞましい人食い化け物がうじゃうじゃいる様を見ると…。
出生で悩みまくった青春が、馬鹿げて思える。
今なら…昔の自分に“悩んでないで、したいことを存分にして生きてることを楽め”
と言ってやれる。
それに…。
“誰も自分を見てくれない!”
そんな激しい憤りと絶望的な悲しみは…ここに来れば消えて無くなる。
数少ない仲間として、皆が寄り添い、気持ちを向けてくれる…。
やりたくない大変なこと。
に背を向けず立ち向かえば…皆が認め、労ってくれる…。
でも同時に“怖い”“辛い”“苦しい”
その思いも…レオのような頼れるリーダーは、感じて労ってくれる…。
無言で寄り添って。
その背中で。
戦い振りで。
“大丈夫だ”
そう言ってくれる………。
偵察の帰り際、キースとシリルローレルが話してる。
「“巣”を襲うのは効果的だ。
だが、半端無い危険と隣り合わせだから、入念に準備しないと」
その言葉に、リチャードは心からほっとした。
年上のその男の、落ち着き。
経験で知り尽くした危険に対する知恵。
キースは対等に接していたけど…自分なら多分、縋り付いてしまうほど、頼りになる大人の男。
伝説の…英雄。
にしては、栗色巻き毛と緑がかった青の瞳の、軽い外見。
チャラい。
と侮ると…ふいに厳しさが彼の身を覆い、幾度も死線をかいくぐってきた逞しさを覗かせるから…。
どう接して良いのか途惑いまくり…。
リチャードは極力、シリルローレルに近寄るのを避け続けた。
ファオンはあれ程痛かった打ち身が消え…。
出血多量から来る貧血も治まり始め…。
翌日には歩き回れたから、レオのテントを覗いた。
ちょっと入り口の布を横に退けたら、ファルコンが見えて、人差し指で口元に当てるから…。
「?」
と思い、もう少し…布を横にずらして、中を覗く。
横にレオが横たわっていて、その上に…シュティッセンがいた。
長い銀の髪を首から避(よ)けて背に流し、俯きながらレオの上に…乗っていた。
「っ!」
ファオンはようやく…二人の…の場面を覗き見してる。
と気づいた。
そっ…と見ると、ファルコンは背にクッションを敷いて背を少し起こし、薬草を飲みながら見ないフリ。
その向こうのセルティスは背を向け、寝てるふり。
シュティッセンが、ゆっくり…腰を動かす。
レオの男らしい眉が寄り…シュティッセンは真っ赤な唇をして、そんなレオを潤んだブルー・グレーの瞳で見つめてる。
色っぽくしなる、白い背。
腰回りに衣服が絡みついて、繋がってる部分は隠れていた。
シュティッセンは赤い唇を震わせながら、レオを見つめゆっくりと…腰を使う。
レオが少しずつ…高まるように。
中に咥え込んで、うねるように腰を動かしていた。
ゆっくりの動きなのに…レオはとても感じてる様子で、時折首を振り、仰け反ったりしてる。
どきどきした。
シュティッセンの手は、レオの裸の胸に当てられ、細く長い指が触れ、時折優しくレオの胸をなぜる。
けどレオはあちこち負った怪我で、布で巻かれまくっていたから…。
肌が出てる部分は少ない。
レオが
「い…い」
と、震える声で告げると、シュティッセンは微笑む。
「もう…少し動いても…痛みませんか…?」
レオは頷く。
シュティッセンが色っぽくくねりながら前後に揺れ始め…次第に上下に身を上げ下げする。
レオの上り詰めた表情。
やがてシュティッセンは吐息と共に動きを止め…真っ赤な唇をレオに寄せる。
どきり…とした。
まるで恋人同士の…口づけのよう…。
顔を寄せて、そっ…と唇で触れている。
まるでそれは互いが、互いの存在を確かめるよう…。
「(…凄く…綺麗…)」
レオの赤い髪はいつもより色が暗かったけど、顔色は少し戻っていた。
高く男らしい鼻が傾く。
シュティッセンの口づけに、応え包むように…。
顔を傾けるレオですら、シュティッセンをとても愛してる…。
そんな風に、見えた。
シュティッセンは…そんなレオに再び口付けられる事が嬉しくて…感激を滲ませ、優しく…レオの唇を唇で包み込んでいた。
ファルコンと目が合うと、ファルコンのまなざしは
「(どうだ。本物の《皆を繋ぐ者》って、色っぽいだろう)」
と語っていて、ファオンは赤くなって、顔を下げて入り口の布も下げた。
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