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一掃
124 引き上げ
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アリオンは腕に喰い付く《化け物》をそのまま、目前の《化け物》を斬り、今また右に襲いかかり来る《化け物》に剣を振ろうとした時、突然岩の上からこちら目がけ襲い来るキーナン《化け物》が、背を向けるのを、目の端で見た。
斬ろうとした《化け物》が、足を止めて背後に振り向く。
続々と襲いかかろうとした《化け物》らが全て、背を向けて引いて行く。
アリオンは咄嗟、左腕に食いつく《化け物》に剣を突き刺し
「ぐわっ!」
と叫び腕を放されて直ぐ、蹴って吹っ飛ばす。
腕から流れる血を見もせず、引いて行く《化け物》らが消えた、レオ達の入って行った岩下の道へと駆け込む。
デュランが剣を下げたまま、ぞっ…とする程の殺気満ちた視線向けて振り向き、その奥のセルティスが、屈み、ぐったりするアランを抱き止めていて、その奥でファルコンは眉を寄せ、あちこちかぎ爪の傷だらけの傷だらけの姿で剣を、憮然とした表情で下げていた。
セルティスの横にいたレオは、屈みセルティスに何か言っていて…。
けどその時、セルティスから仄青い微かな光が、アランの喉へと伝わり行くのが、見えた。
「やられたのか…?」
アリオンが出口に一番近い、デュランにそう声をかける。
デュランもそこら中怪我だらけで、やはり左腕を血に染め、右手もあちこちに怪我を負いながら、闘牙に今だ包まれながらも、頷く。
足元には《化け物》の死体だらけ。
「あまり…動かすな」
レオの声にセルティスが頷き、アランを抱き上げようするが、ファルコンが屈み腕を出して受け継ぎ、気絶したアランを抱き上げる。
「…アランは…!」
アリオンが尋ねると、レオもファルコンもが、目を見開いて、外で戦い腕から血を流し、あちこちかぎ爪の傷だらけのアリオンの姿を見つめる。
セルティスが青い顔で俯き、囁く。
「場所が悪い。
喉をやられた。
白の魔法使いの“力”で、血は止めた」
レオがアリオンに顔を上げる。
「…ファオンは…?」
セルティスも、俯いて呟き、立ち上がる。
「杖付きを殺ったんだな?」
アリオンは気づき、突然背後に振り向くと、駆け出す。
セルティスも、出口近くのデュランに囁きながらアリオンの後を追う。
「…両手塞がってるファルコンを、レオと一緒に護れ」
デュランは頷く。
が、駆け出すセルティスの、消耗の激しい走り様を見て、叫ぶ。
「俺が行く!」
「馬鹿言え!」
セルティスはそう一声怒鳴り、《化け物》の死体を飛び越えながら、道を駆け去っていく。
デュランは背後から、首に血を垂らしぐったりとしたアランを抱える、ファルコンに肩を押され、振り向いた。
ファルコンの背後から来るレオに
「元気があるなら、援軍を呼びに走れ」
と言われ、頷いて直ぐ駆け出す。
「大丈夫か?」
レオの声に、ファルコンは振り向く。
「こいつを運ぶ元気くらい、残ってる」
レオは頷いた。
レオとファルコンが坂を上がって行く。
凄い早さで駆け込んで来る、キース、シーリーン、リチャードの三人は、ファルコンとレオの姿に、声を失う。
まさに…血塗れ…。
リチャードが、声を掠れさせて問う。
「………《化け物》の死体の…上に落ちたんじゃあ………」
キースとシーリーンが、無言で二人に近寄る。
リチャードは呆然と…その後を呟いた。
「…無い…よな………」
「死んだのか?」
キースの秘やかな声に、ファルコンは首を横に振る。
「…セルティスが、治癒の力を使った。
だが“巣”の近くで力が弱い」
キースが両手広げる。
「後は俺がやる」
ファルコンは頷いて、気を失うアランを、キースの手に委ねた。
シーリーンはレオに駆け寄る。
「アリオンとファオンは?!」
「…ファオンはたった一人で群れの後方に走って…杖付きを殺った…らしい…。
戻って来ないので、アリオンとセルティスが見に行ってる」
シーリーンが駆け出す。
ファルコンが怒鳴る。
「リチャード!付いて行け!
単独行動は厳禁だ!」
リチャードは弾かれたようにシーリーンの後に続き、駆け出した。
キースの背後、ファルコンとレオは流れ続ける血に、気が遠くなりそうになりながらも、ゆっくりと付いて行く。
やがて雑兵らが駆けつけると、二人を両側から、支え歩いた。
斬ろうとした《化け物》が、足を止めて背後に振り向く。
続々と襲いかかろうとした《化け物》らが全て、背を向けて引いて行く。
アリオンは咄嗟、左腕に食いつく《化け物》に剣を突き刺し
「ぐわっ!」
と叫び腕を放されて直ぐ、蹴って吹っ飛ばす。
腕から流れる血を見もせず、引いて行く《化け物》らが消えた、レオ達の入って行った岩下の道へと駆け込む。
デュランが剣を下げたまま、ぞっ…とする程の殺気満ちた視線向けて振り向き、その奥のセルティスが、屈み、ぐったりするアランを抱き止めていて、その奥でファルコンは眉を寄せ、あちこちかぎ爪の傷だらけの傷だらけの姿で剣を、憮然とした表情で下げていた。
セルティスの横にいたレオは、屈みセルティスに何か言っていて…。
けどその時、セルティスから仄青い微かな光が、アランの喉へと伝わり行くのが、見えた。
「やられたのか…?」
アリオンが出口に一番近い、デュランにそう声をかける。
デュランもそこら中怪我だらけで、やはり左腕を血に染め、右手もあちこちに怪我を負いながら、闘牙に今だ包まれながらも、頷く。
足元には《化け物》の死体だらけ。
「あまり…動かすな」
レオの声にセルティスが頷き、アランを抱き上げようするが、ファルコンが屈み腕を出して受け継ぎ、気絶したアランを抱き上げる。
「…アランは…!」
アリオンが尋ねると、レオもファルコンもが、目を見開いて、外で戦い腕から血を流し、あちこちかぎ爪の傷だらけのアリオンの姿を見つめる。
セルティスが青い顔で俯き、囁く。
「場所が悪い。
喉をやられた。
白の魔法使いの“力”で、血は止めた」
レオがアリオンに顔を上げる。
「…ファオンは…?」
セルティスも、俯いて呟き、立ち上がる。
「杖付きを殺ったんだな?」
アリオンは気づき、突然背後に振り向くと、駆け出す。
セルティスも、出口近くのデュランに囁きながらアリオンの後を追う。
「…両手塞がってるファルコンを、レオと一緒に護れ」
デュランは頷く。
が、駆け出すセルティスの、消耗の激しい走り様を見て、叫ぶ。
「俺が行く!」
「馬鹿言え!」
セルティスはそう一声怒鳴り、《化け物》の死体を飛び越えながら、道を駆け去っていく。
デュランは背後から、首に血を垂らしぐったりとしたアランを抱える、ファルコンに肩を押され、振り向いた。
ファルコンの背後から来るレオに
「元気があるなら、援軍を呼びに走れ」
と言われ、頷いて直ぐ駆け出す。
「大丈夫か?」
レオの声に、ファルコンは振り向く。
「こいつを運ぶ元気くらい、残ってる」
レオは頷いた。
レオとファルコンが坂を上がって行く。
凄い早さで駆け込んで来る、キース、シーリーン、リチャードの三人は、ファルコンとレオの姿に、声を失う。
まさに…血塗れ…。
リチャードが、声を掠れさせて問う。
「………《化け物》の死体の…上に落ちたんじゃあ………」
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リチャードは呆然と…その後を呟いた。
「…無い…よな………」
「死んだのか?」
キースの秘やかな声に、ファルコンは首を横に振る。
「…セルティスが、治癒の力を使った。
だが“巣”の近くで力が弱い」
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「…ファオンはたった一人で群れの後方に走って…杖付きを殺った…らしい…。
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ファルコンが怒鳴る。
「リチャード!付いて行け!
単独行動は厳禁だ!」
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キースの背後、ファルコンとレオは流れ続ける血に、気が遠くなりそうになりながらも、ゆっくりと付いて行く。
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