102 / 286
戦闘
102 桃の欠片
しおりを挟む
アランが、リチャードと雑兵らを連れて戻って来た時、皆は戦った場所より少し上の坂の岩場で、休んでいた。
アランがレオが座る岩の横に来て、告げる。
「共喰いしてたぜ」
「どこの“巣”だ?」
レオの質問に、アランは肩を竦める。
「北寄りの、岩場を抜けた最下部の洞窟。
今日襲う予定の“巣”の、北西寄りだ」
「…一つ潰したと思ったが…。
違ったか」
アランの背後からやって来たリチャードが、文句を言う。
「点在する“巣”の一番遠い場所だ!
行きも帰りも、他の“巣”の《化け物》に襲われないか、ひやひやだったぜ!」
レオの側に座っていたセルティスが、顔を上げる。
「布は、被らなかったのか?」
アランが答える。
「被らずに済んだ」
二人の受け答えに、少し離れた岩に座る、ファオンが問う。
「布?」
アランが振り向き、答える。
「シャクランの花の香りを染みこませた布だ。
なぜか奴ら、シャクランの花の香りだと、肉の匂いを嗅ぎ分けられない」
セルティスも微笑む。
「布をすっぽり被ると…奴らからは喰う“肉”に見えなくなるらしくて…襲われない。
偵察する者らは、常備してる」
ファオンは気づく。
「…シリルローレルは、夏《化け物》の谷を歩く時、シャクランの木が生えてたら覚えていて…多くの《化け物》に出会うと、木に登って隠れた」
セルティスの横に座ってた、ファルコンが俯く。
「…木が花を付けるのは、6月から…遅くて10月までだからな…」
リチャードが睨む。
「革袋から布を出したって、暫くすれば香りも消える!
そんな頃《化け物》に取り囲まれると、逃げ場が無くなるんだぞ!」
セルティスとファルコンの向かいに座ってたキースが、くすり…と笑う。
「お前、偵察にほぼ出ないからな」
ファオンの横に座るアリオンが俯く。
「流石に繁殖中期だと、一つの“巣”は100超えの数だな…」
アリオンとは反対側のファオンの横に座る、シーリーンも頷く。
「幸いなのは“巣”毎の繁殖期が微妙にずれて、それぞれある“巣”の群れが、一気に襲ってこないことだ」
レオが顔を上げる。
「…が、どの“巣”が次に襲撃に来るか予想できない限り…出来るだけこっちから出向いて、“巣”を潰していくのが正解だ」
アランがレオを見る。
「…いい知らせだ。
あんたらが潰した“巣”の《化け物》。
共喰いから生き残った奴らが、別の“巣”の《化け物》を襲い、喰ってたらしい…。
最も数が減ってたから、襲った《化け物》は襲われた“巣”の《化け物》らに、全て喰われたそうだが」
皆が一斉に溜息を吐く。
レオが皆を見て言う。
「…つまりどんどん“巣”を潰せば…杖付きの群れの《化け物》を襲う《化け物》も、それだけ増えるな」
アランが頷く。
「これから襲って来る、杖付きのいる“巣”の《化け物》も、数がかなり減る」
その時、テスがやって来て、レオに皿を差し出す。
「…桃を、人数分に切った物です」
レオは桃の欠片を、一つ取る。
そして皿を受け取り、セルティスへと皿を回す。
そしてテスを見て
「ご苦労」
と言い、テスは頷いて居留地に戻って行った。
皆、一つ取ると皿を次に回す。
レオは口に放り込みながら、皆に言う。
「…少しだが…白の魔法使いの“力”を貰え」
キースが、皆から離れた場所に座ってるデュランに振り向き、笑いながら怒鳴る。
「“リッツィアが俺に靡きますように”なんて、願うなよ!」
デュランが項垂れ、皆一斉に笑った。
アランがレオが座る岩の横に来て、告げる。
「共喰いしてたぜ」
「どこの“巣”だ?」
レオの質問に、アランは肩を竦める。
「北寄りの、岩場を抜けた最下部の洞窟。
今日襲う予定の“巣”の、北西寄りだ」
「…一つ潰したと思ったが…。
違ったか」
アランの背後からやって来たリチャードが、文句を言う。
「点在する“巣”の一番遠い場所だ!
行きも帰りも、他の“巣”の《化け物》に襲われないか、ひやひやだったぜ!」
レオの側に座っていたセルティスが、顔を上げる。
「布は、被らなかったのか?」
アランが答える。
「被らずに済んだ」
二人の受け答えに、少し離れた岩に座る、ファオンが問う。
「布?」
アランが振り向き、答える。
「シャクランの花の香りを染みこませた布だ。
なぜか奴ら、シャクランの花の香りだと、肉の匂いを嗅ぎ分けられない」
セルティスも微笑む。
「布をすっぽり被ると…奴らからは喰う“肉”に見えなくなるらしくて…襲われない。
偵察する者らは、常備してる」
ファオンは気づく。
「…シリルローレルは、夏《化け物》の谷を歩く時、シャクランの木が生えてたら覚えていて…多くの《化け物》に出会うと、木に登って隠れた」
セルティスの横に座ってた、ファルコンが俯く。
「…木が花を付けるのは、6月から…遅くて10月までだからな…」
リチャードが睨む。
「革袋から布を出したって、暫くすれば香りも消える!
そんな頃《化け物》に取り囲まれると、逃げ場が無くなるんだぞ!」
セルティスとファルコンの向かいに座ってたキースが、くすり…と笑う。
「お前、偵察にほぼ出ないからな」
ファオンの横に座るアリオンが俯く。
「流石に繁殖中期だと、一つの“巣”は100超えの数だな…」
アリオンとは反対側のファオンの横に座る、シーリーンも頷く。
「幸いなのは“巣”毎の繁殖期が微妙にずれて、それぞれある“巣”の群れが、一気に襲ってこないことだ」
レオが顔を上げる。
「…が、どの“巣”が次に襲撃に来るか予想できない限り…出来るだけこっちから出向いて、“巣”を潰していくのが正解だ」
アランがレオを見る。
「…いい知らせだ。
あんたらが潰した“巣”の《化け物》。
共喰いから生き残った奴らが、別の“巣”の《化け物》を襲い、喰ってたらしい…。
最も数が減ってたから、襲った《化け物》は襲われた“巣”の《化け物》らに、全て喰われたそうだが」
皆が一斉に溜息を吐く。
レオが皆を見て言う。
「…つまりどんどん“巣”を潰せば…杖付きの群れの《化け物》を襲う《化け物》も、それだけ増えるな」
アランが頷く。
「これから襲って来る、杖付きのいる“巣”の《化け物》も、数がかなり減る」
その時、テスがやって来て、レオに皿を差し出す。
「…桃を、人数分に切った物です」
レオは桃の欠片を、一つ取る。
そして皿を受け取り、セルティスへと皿を回す。
そしてテスを見て
「ご苦労」
と言い、テスは頷いて居留地に戻って行った。
皆、一つ取ると皿を次に回す。
レオは口に放り込みながら、皆に言う。
「…少しだが…白の魔法使いの“力”を貰え」
キースが、皆から離れた場所に座ってるデュランに振り向き、笑いながら怒鳴る。
「“リッツィアが俺に靡きますように”なんて、願うなよ!」
デュランが項垂れ、皆一斉に笑った。
0
お気に入りに追加
229
あなたにおすすめの小説



身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる