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戦うレグウルナス
98 白の魔法使いの奇跡
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ファオンはふ…と、目を覚ます。
瞼の奥に、夢で見た闘技場が蘇る。
あの…場に立ち、戦い…。
そして名を呼ばれることが、目標だった………。
テントの布に透けて朝日差す中、キースがそこにいて、毛皮の上に座って裸の背を向けて、治療士の治癒を受けていた。
切り裂かれた傷は…小さくなって治りかけていたけれど、まだそこにあって、激しく動けば閉じかけた傷はまた、開きそう…。
ファオンはそっ…と側に寄る。
白の魔法使いは言った。
『私の“力”は彼らの肉体に、“力”を与える。
強い意志を持った時、それは形として現れる』
昨日桃を食べた。
だから…僕にだって、白の魔法使いの“力”が備わっている筈…。
治療士が、巻く布を用意してる間、ファオンはキースの背に、後ろから抱きつく。
願いが叶うなら…。
昨日食べた桃に“力”があるのなら…。
キースの傷がすっかり塞がって、普段道理動けますように……。
自分から白の魔法使いの力が放出されてる事を願って。
“治って!
お願い…!”
「…ファオン…?」
昨夜みたいに、仄青い光が、キースの傷を包んでる、ような気がした。
「…もう…いいか?
布を巻く」
治療士に言われ…ファオンは抱きついた、キースの背からどく。
布を手にした治療士が囁く。
「…………な…にを…した?」
キースの背を、目を見開いて見つめながら。
キースが尋ねる。
「傷は…?
今…傷の部分を、熱く感じた…」
ファオンも振り向いて見る。
「!」
殆ど、塞がっていた。
もう、微かに跡が残るだけ………。
“ありがとう!”
ファオンは思わず、どこにいるのか解らない、幻の白の魔法使いに、心の中で礼を叫んだ。
瞼の奥に、夢で見た闘技場が蘇る。
あの…場に立ち、戦い…。
そして名を呼ばれることが、目標だった………。
テントの布に透けて朝日差す中、キースがそこにいて、毛皮の上に座って裸の背を向けて、治療士の治癒を受けていた。
切り裂かれた傷は…小さくなって治りかけていたけれど、まだそこにあって、激しく動けば閉じかけた傷はまた、開きそう…。
ファオンはそっ…と側に寄る。
白の魔法使いは言った。
『私の“力”は彼らの肉体に、“力”を与える。
強い意志を持った時、それは形として現れる』
昨日桃を食べた。
だから…僕にだって、白の魔法使いの“力”が備わっている筈…。
治療士が、巻く布を用意してる間、ファオンはキースの背に、後ろから抱きつく。
願いが叶うなら…。
昨日食べた桃に“力”があるのなら…。
キースの傷がすっかり塞がって、普段道理動けますように……。
自分から白の魔法使いの力が放出されてる事を願って。
“治って!
お願い…!”
「…ファオン…?」
昨夜みたいに、仄青い光が、キースの傷を包んでる、ような気がした。
「…もう…いいか?
布を巻く」
治療士に言われ…ファオンは抱きついた、キースの背からどく。
布を手にした治療士が囁く。
「…………な…にを…した?」
キースの背を、目を見開いて見つめながら。
キースが尋ねる。
「傷は…?
今…傷の部分を、熱く感じた…」
ファオンも振り向いて見る。
「!」
殆ど、塞がっていた。
もう、微かに跡が残るだけ………。
“ありがとう!”
ファオンは思わず、どこにいるのか解らない、幻の白の魔法使いに、心の中で礼を叫んだ。
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