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二つを兼ねる者 セグナ・アグナータ
75 愛らしく可憐
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アリオンが振り向いた時、ファオンは全て脱ぎ捨て…。
全裸で、けれどあちこちに《化け物》の乾いた血を付けていた。
アリオンはファオンの手を引き、洗い場に促す。
「ここに並んで…。
ここは少し凹んでるから、流せば排水路を伝い、留まらずに下に流れて行く」
ファオンは無邪気にアリオンに笑いかけ、頷く。
「前のこの溝にお湯が溜まってるから…上の棚に乗ってる…この桶で」
ファオンは取っ手の付いた、木の桶を取る。
「湯を掬って、血を洗い流す。
棚のあちこちに籠があるだろう?」
ファオンは湯が溜まる溝の上の、木桶の置いてあった岩の棚に目を向ける。
籠の中に薬草が入ってた。
「…これは体を綺麗にするだけでは無くて、香りもいい」
ファオンは手に取る。
《皆を繋ぐ者》が使う花のような、甘ったるい香りではなく…爽やかな香りがした。
「血の臭いを消す為、血が付いてる部分に擦り込む」
ファオンはアリオンが、腕に乾いた血がこびりついた場所を擦るのを見習って、肩を擦り始める。
ふ…と気づくと、横一列に並んでる、皆が顔を傾け、こちらを見ていた。
アリオンが振り向くと、一斉にさっ!と顔を前に向ける。
キリアンがファルコンの股の間を覗き込んで言った。
「…解りやすい男だな…。
ファオン。
お前ホントにこんな巨根、咥え込んだのか?!」
“巨根”で直ぐファルコンが右横二人離れたキリアンに歯を剥く。
「見るな!」
レオがぼやく。
「戦闘後は大抵、興奮が残ってるから勃ち易い」
キリアンがレオを覗き込む。
そそり勃つ様子を隠すでも無く平静なレオに、その場の皆は頼もしげにレオに視線を送る。
「…つまりファオンを見ただけで、そうなるのか?」
呆れ混じりのキリアンの問いに、ついにファルコンも開き直る。
「奴は《皆を繋ぐ者》だしな!」
キリアンは黙々と体に付いた血糊に薬草を擦りつけながら、呟く。
「…テントじゃ勃たないと恥だが…。
こんな所で勃たせとくとただの“間抜け”…。
それで《勇敢なる者》らの湯に、《皆を繋ぐ者》を入れないんだな。
ファオンはやらないだろうが、すれた《皆を繋ぐ者》なら絶対『無様(ぶざま)』と笑うだろうしな」
皆、一斉に無言でキリアンに振り向き、歯を剥いた。
激戦だったアラン、アリオン、キリアン、ファオンは結局すっ裸で湯を後にする。
他は皆、腰布を付けて四人の後を少し離れ、付いて行く。
キリアンが背の低いファオンを覗き込み、見つめて呟く。
「…お前一人だったら男らにおっ勃てられて真っ赤になって、奴らはすっかり“雄”に成り果ててお前は思いきり、萎縮してたな」
背後でそれを聞いたファルコンが
“ファオンは《皆を繋ぐ者》だから、俺達は勃って正解なんだ!”
と喰ってかかろうとしたが、両横からレオとキースに手を掴まれ、目で
『止めとけ』
と押し止(とど)められた。
ファオンは頬を染めてキリアンを見上げる。
「…だって…みんな年上だし…体だって大きいし」
「お前認識間違ってるぞ。
年上でデカかったら、もっと気合い入れて突っかからないと」
横でアリオンとアランがそれを聞いて、俯いて溜息を吐き出した。
キースがキリアンの横に来て、そっと尋ねる。
「兄貴のファーレーンは“弟を汚された”
と凄い怒ってたぞ?
お前は平気なのか?」
キリアンはキースを見る。
「…俺にはどう頑張っても解らないが、アリオンとやっても平気そうだし。
逆に嬉しそうだし。
こういうのって本人の問題だろう?
俺は解らなくても、ファオンが幸せならそれでいい。
ただ…」
言って背後に続き来る男らをじろり。
と振り向き、見る。
「…あいつらまでファオンのケツの世話になろうと図々しく乗っかるのは、どうかと思うな。
特にあの“巨根”」
ファルコンが拳を握り肩迫り出すのを、レオと今度はセルティスが押し止めた。
「がばがばな女なら悦ぶだろうが…。
ここ暫く剣の修行に真面目に出て、男を咥え込んでない幼気(いたいけ)なファオンの尻に、突っ込むか?普通。
遠慮しないか?」
逆に尋ねられて、キースはキリアンに屈むと、こっそり囁く。
「ファルコンの脳みその中に、遠慮と言う考えは無い」
キリアンは二度、頷く。
「…“巨根”だしな………」
ファルコンはとうとう、怒鳴った。
「遠慮と巨根は関係無い!」
デュランが背後から、白く形のいいキリアンのお尻を眺め、ぼそり。
と尋ねる。
「…あんたに迫る男って、今までいなかったの?」
皆が、ある意味無謀とも言えるその発言に、ぎくり…!と身を揺らす。
キリアンはジロリ。
と冷たい視線を背後のデュランに送る。
「…俺に迫るような男がいたら、そいつの男根役に立たなくなるまで力の限り、蹴りつけてやるぜ!」
皆が見てるとデュランは足を止め、皆が歩き去る中、暫く置き去りになり…。
その後走ってレオの背後に隠れ、そのまま皆と歩き出した。
レオは二度、振り向き、デュランが背後にぴったり隠れてる姿に、眉間を思い切り寄せた。
全裸で、けれどあちこちに《化け物》の乾いた血を付けていた。
アリオンはファオンの手を引き、洗い場に促す。
「ここに並んで…。
ここは少し凹んでるから、流せば排水路を伝い、留まらずに下に流れて行く」
ファオンは無邪気にアリオンに笑いかけ、頷く。
「前のこの溝にお湯が溜まってるから…上の棚に乗ってる…この桶で」
ファオンは取っ手の付いた、木の桶を取る。
「湯を掬って、血を洗い流す。
棚のあちこちに籠があるだろう?」
ファオンは湯が溜まる溝の上の、木桶の置いてあった岩の棚に目を向ける。
籠の中に薬草が入ってた。
「…これは体を綺麗にするだけでは無くて、香りもいい」
ファオンは手に取る。
《皆を繋ぐ者》が使う花のような、甘ったるい香りではなく…爽やかな香りがした。
「血の臭いを消す為、血が付いてる部分に擦り込む」
ファオンはアリオンが、腕に乾いた血がこびりついた場所を擦るのを見習って、肩を擦り始める。
ふ…と気づくと、横一列に並んでる、皆が顔を傾け、こちらを見ていた。
アリオンが振り向くと、一斉にさっ!と顔を前に向ける。
キリアンがファルコンの股の間を覗き込んで言った。
「…解りやすい男だな…。
ファオン。
お前ホントにこんな巨根、咥え込んだのか?!」
“巨根”で直ぐファルコンが右横二人離れたキリアンに歯を剥く。
「見るな!」
レオがぼやく。
「戦闘後は大抵、興奮が残ってるから勃ち易い」
キリアンがレオを覗き込む。
そそり勃つ様子を隠すでも無く平静なレオに、その場の皆は頼もしげにレオに視線を送る。
「…つまりファオンを見ただけで、そうなるのか?」
呆れ混じりのキリアンの問いに、ついにファルコンも開き直る。
「奴は《皆を繋ぐ者》だしな!」
キリアンは黙々と体に付いた血糊に薬草を擦りつけながら、呟く。
「…テントじゃ勃たないと恥だが…。
こんな所で勃たせとくとただの“間抜け”…。
それで《勇敢なる者》らの湯に、《皆を繋ぐ者》を入れないんだな。
ファオンはやらないだろうが、すれた《皆を繋ぐ者》なら絶対『無様(ぶざま)』と笑うだろうしな」
皆、一斉に無言でキリアンに振り向き、歯を剥いた。
激戦だったアラン、アリオン、キリアン、ファオンは結局すっ裸で湯を後にする。
他は皆、腰布を付けて四人の後を少し離れ、付いて行く。
キリアンが背の低いファオンを覗き込み、見つめて呟く。
「…お前一人だったら男らにおっ勃てられて真っ赤になって、奴らはすっかり“雄”に成り果ててお前は思いきり、萎縮してたな」
背後でそれを聞いたファルコンが
“ファオンは《皆を繋ぐ者》だから、俺達は勃って正解なんだ!”
と喰ってかかろうとしたが、両横からレオとキースに手を掴まれ、目で
『止めとけ』
と押し止(とど)められた。
ファオンは頬を染めてキリアンを見上げる。
「…だって…みんな年上だし…体だって大きいし」
「お前認識間違ってるぞ。
年上でデカかったら、もっと気合い入れて突っかからないと」
横でアリオンとアランがそれを聞いて、俯いて溜息を吐き出した。
キースがキリアンの横に来て、そっと尋ねる。
「兄貴のファーレーンは“弟を汚された”
と凄い怒ってたぞ?
お前は平気なのか?」
キリアンはキースを見る。
「…俺にはどう頑張っても解らないが、アリオンとやっても平気そうだし。
逆に嬉しそうだし。
こういうのって本人の問題だろう?
俺は解らなくても、ファオンが幸せならそれでいい。
ただ…」
言って背後に続き来る男らをじろり。
と振り向き、見る。
「…あいつらまでファオンのケツの世話になろうと図々しく乗っかるのは、どうかと思うな。
特にあの“巨根”」
ファルコンが拳を握り肩迫り出すのを、レオと今度はセルティスが押し止めた。
「がばがばな女なら悦ぶだろうが…。
ここ暫く剣の修行に真面目に出て、男を咥え込んでない幼気(いたいけ)なファオンの尻に、突っ込むか?普通。
遠慮しないか?」
逆に尋ねられて、キースはキリアンに屈むと、こっそり囁く。
「ファルコンの脳みその中に、遠慮と言う考えは無い」
キリアンは二度、頷く。
「…“巨根”だしな………」
ファルコンはとうとう、怒鳴った。
「遠慮と巨根は関係無い!」
デュランが背後から、白く形のいいキリアンのお尻を眺め、ぼそり。
と尋ねる。
「…あんたに迫る男って、今までいなかったの?」
皆が、ある意味無謀とも言えるその発言に、ぎくり…!と身を揺らす。
キリアンはジロリ。
と冷たい視線を背後のデュランに送る。
「…俺に迫るような男がいたら、そいつの男根役に立たなくなるまで力の限り、蹴りつけてやるぜ!」
皆が見てるとデュランは足を止め、皆が歩き去る中、暫く置き去りになり…。
その後走ってレオの背後に隠れ、そのまま皆と歩き出した。
レオは二度、振り向き、デュランが背後にぴったり隠れてる姿に、眉間を思い切り寄せた。
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