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キーナンの来襲
63 手当て
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リチャードがテントの入り口の布を払い飛び出た瞬間、歩を止めぎょっ!とする。
両横に、キースとシーリーンが腕組みして立っていて。
「…………………」
リチャードが驚きすぎて、固まって二人を交互に見つめる。
岩の向こうからファルコンを先頭に、出かけていった者達が姿を見せる。
その中にファオンの兄、ファーレーンもいた。
キースがチラとリチャードを見る。
シーリーンが憮然。と腕組みして言い放つ。
「最中、緊急通報かレオ以外は入れないと思って、やりたい放題だよな!」
リチャードは俯く。
が、シーリーンに振り向くと、喰ってかかった。
「これ以上、戦闘に響かないよう俺だって立ち向かったんだ!」
「《化け物》に立ち向かえ!
逆らえない弱い立場のファオンじゃなく!」
シーリーンに怒鳴られて、リチャードは俯く。
が、言った。
「俺は悪くないからな!」
キースがぼそり。と呟いた。
「あんまり目に余る酷い扱いだと、お前《皆を繋ぐ者》を、監視付きじゃ無きゃ抱けなくなるぞ?」
リチャードが振り向く。
「どっちみち、この先そうじゃないか!
一人占め出来る時間なんて、ほぼ無い!」
キースがシーリーンに視線を送る。
「こいつ、開き直ったな」
シーリーンはきつい目でリチャードを見、言葉を返す。
「昔っから自分は悪くないと、どんな場合でも平気で居直る図々しい奴だ」
が、その時《化け物》の血糊と腐臭に満ちた皆が目前を通り過ぎる。
ファルコンがリチャードを見つけて言った。
「ファオンはどこだ?
後でレオのテントに連れて来い。
全員で話合いをするから、シーリーンとキース。
あんたらも顔を出せ」
ぞろぞろと…血と匂いを洗い落とす為に、温泉へとそのまま皆は進んで行った。
キースとシーリーンは布を払い、テントの中に入って行く。
ファオンはまだ裸で俯せで毛皮の上に横たわっていたので、びっくりして目を見開く。
キースが屈み込んで、同時に反対側から屈む、シーリーンを伺う。
「血は滴ってないな」
「…よっぽど溜まってたんだな。リチャードの奴…」
どろりとした白濁した液が蕾から滴るのを見て、シーリーンがそう呟く。
腕を掴むシーリーンを、ファオンは顔を上げて尋ねる。
「滝に…行くの?」
キースが横で囁く。
「いいから少し、動いてみろ。
痛むか?」
ファオンは少し身を起こした時、奥の擦れた跡に痛みが走って、頷く。
「少し」
キースが続けて尋ねる。
「ファルコンの時と比べ、どっちが痛い?」
「…………………………ファルコン」
シーリーンがほっとしたように吐息を吐き、毛皮の外に置かれた布を取って、蕾と周囲を拭き上げる。
けれどファオンはキースに振り向いた。
「…でもリチャードのやり方の方が、何倍も酷い!
ファルコンは普通にしただけだけど、巨根だから痛い。
リチャードはわざとそうした!」
キースは気遣うように優しく囁く。
「止めてやれなくて、悪かったな…」
シーリーンもむすっ。として言う。
「気づくのが遅くてすまない」
ファオンは二人の言葉に…俯く。
「ううん…。
今いてくれるだけで嬉しい」
シーリーンはそう呟く、ファオンの白く綺麗な横顔を切なげに見た。
「…湯に浸かれるか?」
囁くように尋ねると、ファオンは頷く。
キースが立ち上がる。
「テスを呼ぶ」
シーリーンはファオンの横で、頷いた。
両横に、キースとシーリーンが腕組みして立っていて。
「…………………」
リチャードが驚きすぎて、固まって二人を交互に見つめる。
岩の向こうからファルコンを先頭に、出かけていった者達が姿を見せる。
その中にファオンの兄、ファーレーンもいた。
キースがチラとリチャードを見る。
シーリーンが憮然。と腕組みして言い放つ。
「最中、緊急通報かレオ以外は入れないと思って、やりたい放題だよな!」
リチャードは俯く。
が、シーリーンに振り向くと、喰ってかかった。
「これ以上、戦闘に響かないよう俺だって立ち向かったんだ!」
「《化け物》に立ち向かえ!
逆らえない弱い立場のファオンじゃなく!」
シーリーンに怒鳴られて、リチャードは俯く。
が、言った。
「俺は悪くないからな!」
キースがぼそり。と呟いた。
「あんまり目に余る酷い扱いだと、お前《皆を繋ぐ者》を、監視付きじゃ無きゃ抱けなくなるぞ?」
リチャードが振り向く。
「どっちみち、この先そうじゃないか!
一人占め出来る時間なんて、ほぼ無い!」
キースがシーリーンに視線を送る。
「こいつ、開き直ったな」
シーリーンはきつい目でリチャードを見、言葉を返す。
「昔っから自分は悪くないと、どんな場合でも平気で居直る図々しい奴だ」
が、その時《化け物》の血糊と腐臭に満ちた皆が目前を通り過ぎる。
ファルコンがリチャードを見つけて言った。
「ファオンはどこだ?
後でレオのテントに連れて来い。
全員で話合いをするから、シーリーンとキース。
あんたらも顔を出せ」
ぞろぞろと…血と匂いを洗い落とす為に、温泉へとそのまま皆は進んで行った。
キースとシーリーンは布を払い、テントの中に入って行く。
ファオンはまだ裸で俯せで毛皮の上に横たわっていたので、びっくりして目を見開く。
キースが屈み込んで、同時に反対側から屈む、シーリーンを伺う。
「血は滴ってないな」
「…よっぽど溜まってたんだな。リチャードの奴…」
どろりとした白濁した液が蕾から滴るのを見て、シーリーンがそう呟く。
腕を掴むシーリーンを、ファオンは顔を上げて尋ねる。
「滝に…行くの?」
キースが横で囁く。
「いいから少し、動いてみろ。
痛むか?」
ファオンは少し身を起こした時、奥の擦れた跡に痛みが走って、頷く。
「少し」
キースが続けて尋ねる。
「ファルコンの時と比べ、どっちが痛い?」
「…………………………ファルコン」
シーリーンがほっとしたように吐息を吐き、毛皮の外に置かれた布を取って、蕾と周囲を拭き上げる。
けれどファオンはキースに振り向いた。
「…でもリチャードのやり方の方が、何倍も酷い!
ファルコンは普通にしただけだけど、巨根だから痛い。
リチャードはわざとそうした!」
キースは気遣うように優しく囁く。
「止めてやれなくて、悪かったな…」
シーリーンもむすっ。として言う。
「気づくのが遅くてすまない」
ファオンは二人の言葉に…俯く。
「ううん…。
今いてくれるだけで嬉しい」
シーリーンはそう呟く、ファオンの白く綺麗な横顔を切なげに見た。
「…湯に浸かれるか?」
囁くように尋ねると、ファオンは頷く。
キースが立ち上がる。
「テスを呼ぶ」
シーリーンはファオンの横で、頷いた。
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